553 名無しさん@ピンキー [sage] 2013/03/28(木) 01:00:01.73 ID:hVNlvPeG Be:
「後日談その1 尚子編」
尚子は、都会で一人暮らししていた息子の孝司のところへ押しかけていく。
孝司は、無論、若返った母の姿に腰を抜かさんばかりに驚くが、母の身に起きた不幸
を思えば捨てておくこともできず、珍妙な同棲生活を送るのだった、と。
「なぁ、母さん。いつまでもそんな泣いてばかりいたって暗くなるばかりだろ。もう、
親父のことはさっぱりと忘れて、さ、新しい人生をエンジョイしたらどうだよ」
若返ってセクシーになった母に欲情しかけたのも束の間、あまりにも毎日毎日、暗い
表情で修二の未練ばかりを口にし続ける尚子に、すっかり孝司も手を焼いていた。
「ううっ、そんなこと言ったって、母さんにとっては、ね、そんなに簡単に割り切れる
ような問題じゃないんですからね」
手元に抱え込んだティッシュボックスは尚子の涙と鼻水とを吸い込んで、次から次に
消費されていく。空になって畳まれた箱ですらかなりの厚みになってしまっている。
孝司はやれやれ、と天を仰ぐ。仕事から帰ってくれば、電気も灯さない暗い部屋の中
でこの調子なのだ。このままでは自分の身が持たないな、と感じつつあるのだった。
「いいこと、あの人はね、修二さんはね、優しすぎるんですよ。だから、ころころと商
売女なんかに騙されたりするし、その女が老けこんでも捨てられずに……抱えちゃった
りなんか、するんですよっ」
同じ老けつつあった自分は捨てられそうだったというのに、能天気というか、どこか
修二のことを美化しつつある尚子だった。
「まあ、それはもう聞いたから、さ、そうだ、ビールっても発泡酒だけどさ、飲もうよ。
飲んでウサを晴らす方がよっぽど健全だと俺は思うぜ」
冷蔵庫のなかから500ミリの大缶をふたつ取り出した孝司は、アテになりそうな乾
き物を探しに戸棚のなかをがさがさと漁る。
「なんですか、私はお酒なんて飲めませんよ。一口だけで頭が痛くなるんですからね」
と、渋る尚子だったが、くぴっ、と一口だけ、
「くぴっ、くぴっ、くぴっ、んんん、ぷ、ふわぁ……美味しい」
驚きの表情で尚子は掌中の缶を眺めた。
「ああ、やっぱりね、母さんの身体は、くだんの商売女とやらのそれになってるんだか
らさ、飲めるようになってても不思議はないんだろうぜ」
イカフライに柿ピーに、海苔煎餅と、定番のつまみを抱えた孝司がそう言うと、尚子
は実に渋い表情になっていた。
「なんですか、それじゃあ私はお軽いお水の女になってしまったとでも言うの……んぴ
っ、んぴっ、ふう……孝司、もう一本くれないのかしら?」
アルコールと若葉の肉体の親和性は高いようで、渡された缶はまたたく間に空になっ
てしまう。
缶を逆さにしたものを、もとに戻せばもう空になっているのだから、尋常ではない。
「いや、さ、母さん。でも、ちょっとピッチが急すぎやしないかい」
すでに五本目の缶を手渡しながら、孝司。
「なんですか、孝司。私がこれしきのお酒くらいでどうにかなるとでも、おもっている
のれすかっ、失敬な」
徐々にろれつが回らなくなってきた尚子だったが、血色は顔に戻ってきていた。
「ふ……う、それにしても暑いわねぇ」
ぬぎっ、と上着をはだける尚子。と、
「ちょ……なにしてんだよ。母さん」
上着どころか重ねて肌着まで脱ぎ去り、トップスはブラジャーのみ、という軽装にな
ってしまった尚子に孝司は口を尖らせる。
「え、ああ……いいじゃないの。別に、親子なんだし、別に減るもんじゃ……」
と、ふと、尚子は自らの豊かな胸元を両手で抱えると、
「ねえ、孝司ぃ……増えたでしょぉ、母さんのこのおムネ、凄いでしょお」
ブラの胸ぐりから半ばまではみ出しかけた迫力の半球体を自慢げに揺する尚子。
「ばっ……しまえよ、そんなもん。年甲斐もない」
と、言い捨てる孝司だったが、真珠のように半透明に輝く対の膨らみを目の当たりに
しては、声が震えてしまうのも、無理の無いところであった。
「うふふ、にくったらしい女のモノだけどねえ……いざ、自分のものになってみると、
すごく気分がいいろよ……それに、見てごらんなさいよ」
そう言いつつ、彼女は真珠の嵌った台座に、つまりはブラに手をかけて、
「えいっ、どおよ」
ぺろん、とか、ぽろん、といったオノマトペで表現するような大ぶりな果実があらわ
になって、孝司の視線を釘付けた。
「うっ、ちょ……待てよ、おい」
遮ろうとする孝司だったが、酔いの回った尚子は平気の態で、
「まったく、失礼しちゃうわよねえ……見てよ、この乳首も、明るいピンク色してるで
しょう、まったく商売女の癖にさ、私のよりずっと綺麗なんだもんね」
にやにや、と孝司の動揺の程を楽しむ尚子は、完全に理性の箍が外れてしまっていた。
「ばっ、馬鹿やろっ、母さんの声でそんなこと言われても、気色悪いだけだっつーの」
苦し紛れに悪態を吐く孝司だったが、
「ふーん……そうか、そんなら……こうすれば、いいんでしょぉ……ねっ」
いきなり、中年女性の侘びついた声が、若い娘の嬌声へと変容していた。
思わず、目を瞠る孝司。
「へっへーん。どうよ、これ、私ねっ、意識すればいつものおばさん声と、このおミズ
女の声の両方を使い分けることができるんだもんね」
くすくす、と婀娜な笑みを浮かべる尚子は、下に穿いていたズボンも脱ぎ去ると、シ
ョーツ一枚というあられもない姿となっていた。
「どーよっ、これなら無理じゃないでしょっ」
むろん、ウエストは見事にくびれていたし、下腹にも余計な脂肪は乗っていない。臀
部はひたすら丸くぴちぴちと張り出している、しなやかな美しさを絶頂とする二十三歳
の年齢の女のそれであった。孝司よりも、二歳も年下の母ということになっていた。
「まったく、あなたたち親子ときたら、揃いも揃って分別者らしい台詞ばっかり口にす
るくせに、やってることといったら、もう、おさるさんも同然にえっちい事ばっかりな
んだからぁ」
言いつつ、テレビ台の底の隙間に手を差し入れると、そこから洋モノのそういった系
統のDVDを取り出して、孝司の前にほれほれとちらつかせていた。
思わず石化する孝司。
「ん、固まってるわねぇ。私の息子、正直でいいこといいこと」
にやにやと、尚子は孝司の腰に跨ってみると、たしかに局所の一部は、全身の血流を
一度に集約して、かちんこちんに漲っていた。
「よ、よせよっ、おふくろ、悪ふざけもいいかげんにっ」
「やめないわよ……ばかっ」
孝司が、はっ、と見上げると涙がこんこんと溢れる尚子の両の瞳には狂気の炎が宿っ
ていたのだった。
「う、うっ、あなたぁ、修二さぁん……どうして、どうして私を裏切ったのっ!」
孝司の胸に顔を埋めて、おいおいと泣き崩れる尚子。
「いや、だからさ、俺、孝司だってば」
すると、尚子は目付きをさらに鋭く怪しくして、
「そんなの、どっちだって同じことです。あなたは育てて貰った恩も忘れて、私に逆ら
うというのですかっ、この裏切り者めがっ!」
だいぶ、やばい状況だった。思えば、この尚子と若葉との入れ替わりの場合には、顔
と魂の交換まではなされてはいるのだが、頭脳までは交換していないということになる
のだった。してみれば、尚子は若葉の脳で物を考えて、行動を決定するのであるから、
そこに無理が生じないはずがなかったのだ。
「さあ、これはお仕置きが必要ね、大人しくズボンを脱ぐのよっ」
若々しい腰つきのなまめかしい身体のラインをあらわに迫ってくるその女は、もはや
理性なき獣だった。
ああ、と孝司は呻く。物静かで努力家で、いつも穏やかに振舞っていた母は、もうど
こにもいないのだ。
と、踏み切ってしまえば、さすがは孝司も漁色家の修二の血を引く二代目だった。
「ええい、くそっ、こうなりゃもう、どうだっていいやい」
ずらりと鞘走らせたくろがねの名刀を、ぶるん、とばかりに一閃させると、
「おかしいのはこの世の中のせいだからね、俺のせいじゃねえよっ」
と、絶叫しながら目の前に眩暈のするような芳香を放つ女に向かって突撃を敢行して
いったのだった。
「きゃふん、なになに、孝司ったらぁん、ナニするつもりよォ」
「言っとくけど、俺はマザコンじゃないからねっ!」
と、その夜更けて重ねも重ねたり、五回戦目で、ようやくお互いの昂りと酔いとが収
まりつつあって、ようやく劣情のおさまった尚子と孝司だったが、
「はぁ……はぁ、ふぅ」
近親相姦と親子丼と他もろもろの背徳にどっぷりと浸かった尚子は、白く輝く肌に、
いくつもの汗の玉を光らせながら、深く、長く、息をつかった。
「ん……それで、どうだったよ。母さん?」
ようやく平静を取り戻した孝司は横目で尚子の赤く上気した顔を一瞥した。
「うん、ふふ……そうね、すごく、気持ちのいいものだったわ」
てらてらと輝く唇に微笑を浮かべて、女としての自信を獲得した尚子は、
「そうよね、気持ちのいい、楽しい……ものだったのよねぇ……」
ここに至って、ようやく何かを悟った尚子だった。
「それで、もう親父のことは許してやれそうなのかい?」
孝司の言葉にゆっくりと頷く尚子は、
「そうよ、こんなに楽しいことがあったっていうのに、あの人は、私のためにずっと我
慢を重ねていたんですものね……許すも何もないわ」
すると、孝司は尚子の髪を軽くかき撫でながら、
「いいや、違うよ。きっと親父はさ、母さんにもその気持ちよさと楽しさってのを自分
と共有してほしくて、でも、それができなかったことにジレンマだったんじゃないかな」
孝司の言葉に、しばし無言の尚子だった。
「母さんが、さ、最後に親父に抱かれたのって、いつだよ?」
ややあって、
「あなたが生まれてからはね……ずっと、無かったわ。わりと高齢での出産だったし、
体型も崩れてきてたから……なんだか見られたくなかった気持ちもあったし、ね……私
のほうから避けていたんだと……いたのよね」
ふう、と孝司は一息を吐いて、
「違うよ……きっと、親父はね、いつでも母さんには笑っていてほしかったんだと思う
んだよ。歳を取っているとか、どうだっていいんだよ。ただ、自分の好きな相手にはさ、
ずっと笑って、いてほしかったんだと思う……」
孝司のその言葉に弾かれるように、泣き崩れる尚子。
孝司に出来たことは、ただその時折、びくびくと嗚咽のたびに震える身体を抱きしめ
てやることでしかなかった。
やがて、夜が明けて、薄紫の空の裂け目から陽光が差し込みはじめたころ。
「母さんね、これからは復讐に生きることにしようと思うのよ」
衣服を整えて、声を元に戻した尚子は軽い微笑をまじえて孝司に軽口を利いた。
「へえ、それってどんな?」
孝司が尋ねると、
「母さんはね、これから自分の人生を、この若い肉体で、精一杯楽しんで過ごしていこ
うと思ってるのよ、それこそ後ろを振り向く暇さえないくらいに、懸命に、ね」
ようやく、尚子の再出発のための準備が整ったようだった。孝司は目を細めて、母の
晴れやかな表情に、満足の心地を得ていたのだった。
と、
「ううん、でも、どうしたものかしらね……」
ふと、指折りをしながら表情に翳りを見せる尚子だった。どうしたのか、と顔を寄せ
る孝司に、
「ええと、ね。生理の日から計算してみるとね、昨夜のあれって、どんぴしゃだったの
よねえ」
口を開いたままに凍りつく孝司だった。
「こうした場合、生まれてきた子って、あなたの兄弟になるのかしら、それとも、子供、
あららら、私はもしかしてお婆ちゃんになるってことなのかしら……?」
暗転してゆく世界に、それが尚子の軽口であることを信じたい孝司だったが、残念な
がら天の配剤というものは、こういう馬鹿馬鹿しい妄言を現実のものにしてしまうきら
いがあるのだった。
まあ、あとはどうとでも、男はいわゆる甲斐性というやつで乗り切るだけなのだが。
おわり
最終更新:2013年05月09日 15:56