アットウィキロゴ

姫の体は誰のもの 4

 アイザック王国には火山が多く、その噴火は国家にたびたび被害をもたらしていた。
 国を建てた初代国王フィリップスは、隣国との戦に勝利した帰り、火山の噴火に巻き込まれ、城に戻ることなく命を落とした。
 またあるときは、国で二番目の大都市が溶岩に飲み込まれ、一夜にして消滅した。
 今でも、国の南東部では複数の火山が小規模な爆発を続けており、絶え間なく降り注ぐ噴煙のために限られた植物しか育たない。
 建国以来数百年に渡って火山に悩まされているアイザック王国だが、その恩恵が皆無というわけではなかった。
 地中のマグマは地下水を温め、それが温泉という形で地表に噴きあがる。水量豊かな源泉は、人々に飲泉や入浴の習慣をもたらし、国の各所に保養地がつくられた。
 城にも当然、そうした水脈の一つが引かれ、王族のみならず、兵士や従者たちも浴場の使用を許されていた。
 第二王女マリアと第三王女エリザベスが供を連れて専用の浴場に向かったのは、夕餉の後のことだった。
「ヒルダ、あなたも一緒にお入りなさい。わたくしたちの体を洗ってほしいの」
 白と黒のメイド服を身にまとったエリザベスは、プリンセス・マリアの淡緑色のドレスを着た眼鏡のメイドにそう言った。
「はい。心得ました……」
 姫君たちやメイドの体は、依然として入れ替わったままだ。
 十三歳のエリザベスの首から下は、二十八歳のヒルダの体に。
 二十八歳のヒルダの首から下は、十六歳のマリアの体に。
 十六歳のマリアの首から下は、五歳のミンティの体に。
 そして、魔族の女の体になった庭師の娘ミンティは、牢に閉じ込められていた。
 行方不明になったエリザベスの身体を捜しに行った魔術師ジェシカは、いまだ城に戻っていない。何らかのトラブルに巻き込まれたのかもしれない。明日、兵士たちにより捜索が行われる予定だった。
「今日はいろいろなことがあって疲れましたわね。しっかり汗を流さないと」
 首から下がメイドの体になったエリザベスは、ヒルダの手を借りて着慣れぬメイド服を脱ぎ、艶かしい裸体をマリアに見せつけた。いまや第三王女の体の一部となったヒルダの乳房は、前方へと張り出し、自身の重みでわずかに垂れ下がっていた。
「ベス、あなた……本当にヒルダの体になっちゃったのね」
「ええ、お姉さま、そうですわ。わたくし、大人の体になりましたのよ」
 口を開けて呆けるマリアに、エリザベスは微笑んだ。
 五歳の幼女の体になったマリアは、背丈が今のエリザベスの半分ほどしかない。そんな姉の前にかがみ込むと、エリザベスはマリアの服を脱がせはじめた。
「あっ。何をするの、エリザベス?」
「何って、決まっていますわ。今の可愛らしいお姉さまは、おひとりで服をお脱ぎになるのも難しいでしょうから、手伝って差し上げるのです」
「や、やめなさい。それはヒルダの仕事でしょう? ああっ、ダメっ」
 マリアはじたばたと暴れたが、五歳の姉が二十八歳の妹に抗うことなどできはしない。小さな身を持ち上げられ、下着を剥ぎ取られる姿は滑稽だった。
 日頃はマリアが幼いエリザベスを可愛がっているというのに、今は反対だった。
「姫様がそのようなことをならさずとも、お手伝いでしたら私が致します」
「結構ですわ。わたくしたちは先に参りますから、ヒルダも早くいらっしゃい」
 エリザベスはマリアを抱き上げたまま、浴室に足を踏み入れた。
 王族のみ使うことを許された豪奢な浴場は、湯気でその全てを見渡すことができない。
 エリザベスは小さな姉を椅子に座らせ、桶で湯をかけてやった。
「やめて、ベス。このくらい自分でできるわ」
「いいえ、そういうわけには参りません。わたくし、いつもお姉さまに小さい小さいと可愛がっていただいておりますもの。そのお返しに、今日はお姉さまをたっぷりと可愛がって差し上げますわ」
「そんな……確かに体はミンティのものになっちゃったけど、私はあなたのお姉ちゃんなのよ。これじゃ、立場が逆じゃない」
「仕方がありませんわ。わたくしたち、体が別人のものになってしまいましたもの。今のお姉さまのお姿を拝見して十六歳の王女様だなんて、誰も思いませんわ」
 エリザベスは膝立ちになり、背後からマリアを抱きしめた。二十八歳の巨乳が二人のプリンセスの体に挟まれ、豊かな弾力を示す。
 変わってしまった自分たちの肉体を思い知らせるエリザベスの行為に、マリアは常の明朗さもどこへやら、すっかり妹に気圧されて怯えていた。
 そこに、ドレスを脱いで裸になったヒルダがやってきた。
「お待たせしました、マリア様、エリザベス様。今、お体を洗って差し上げます」
 ヒルダは海綿を手に取り、二人の王女の前に立った。瑞々しい肌が湿り気を帯び、夜の灯を受けて輝いていた。
 やや垂れ下がりつつあるエリザベスの乳とは異なり、恥らうことなく前を向いた立派な乳。股間の茂みはまだ薄く、白い肌には染み一つない。
 そんなプリンセスの無垢な身体に、眼鏡を外した黒髪のメイドの頭部が載っていた。十六歳の第二王女マリアの美しい体を、今は二十八歳のメイドが所有していた。
 エリザベスは姉から離れ、ヒルダを手招きした。
「お願いするわ、ヒルダ。まずお姉さまを洗って差し上げて」
「畏まりました。失礼します、マリア様」
 ヒルダは石鹸で泡だった海綿を用い、丁寧にマリアの肌を洗う。普段と変わらず甲斐甲斐しく自分の世話をするメイドを、第二王女はいつになく不機嫌な顔で眺めていた。
 無理もない。ヒルダの首から下にあるのは、マリア自身の体なのだ。いくらジェシカのしわざとはいえ、マリアにしてみればメイドに大事な身体を奪われたという思いがあるのだろう。
 洗い終えたヒルダに短い労いの言葉をかけると、マリアは早々に浴槽に飛び込んだ。
「お姉さま、大丈夫ですの? お風呂の底に足はつきますか」
「うるさいっ! このくらい大丈夫に決まってるでしょう!」
「あらあら、ご機嫌斜めですわね。それじゃヒルダ、次はわたくしをお願いね」
「畏まりました、エリザベス様」
 姉をからかって上機嫌のエリザベスは、椅子に座って忠実なメイドに身を委ねた。
 肉づきのいい手足に泡をまぶしてもらいながら、エリザベスは街での出来事を思い出す。
(ジェシカに気持ちよくしてもらうの、最高でしたわ。またああいうことをしてみたい……)
 信頼する女魔術師の手ほどきを受け、生まれて初めて淫らな経験をしたエリザベス。
 思春期を迎えたばかりの彼女には強すぎる感覚が、無垢なプリンセスの心を揺さぶっていた。
「ヒルダ、お願いがあるの」
「はい、何でございましょう?」
「わたくし、ヒルダに自慰の仕方を教えてほしいのです」
「姫様っ !?」
 ヒルダは目を剥き、手に持っていた海綿を床に落とした。
 生真面目なメイドがショックを受けるような、下品な用語を自分が口にしている。その事実に上気しつつ、エリザベスは肩越しにヒルダを見つめた。
「ジェシカから聞きました。大人の女性は自らの手で大事なところを刺激し、自分を慰めるのだと。わたくし、今は大人の女性になっているわけですから、ぜひヒルダにその方法を教えていただきたいのです」
「ひ、姫様がそのようなことをなさる必要はございません。どうかお聞き分けを」
「いいえ、わたくしは教えてほしいのです。どうしてもお嫌ですか?」
「いけません。そのようなこと、絶対にいけません」
 当たり前だが、ヒルダは頑なだった。とんでもないことだと何度も繰り返した。
「私は姫様のお世話を致す身です。そんな私が、姫様に淫猥な知識を吹き込んだなどとあっては、末代までの恥でございます。どうかご勘弁を」
「そうですか、では仕方がありませんわね。昔からわたくしの世話をして下さっているあなたに、こんなことを申したくはなかったのですが……」
 エリザベスは体の向きを変え、ヒルダと正面から向かい合った。
「ヒルダ、わたくしはあなたと体を交換しました。首から下がわたくしの体になったあなたは、こう申しましたわね。わたくしの体を責任もって預かると」
 珍しく厳しいエリザベスの物言いに、ヒルダの顔から血の気が引いた。
「は、はい……確かにそのように申しました」
「では、わたくしの体は今どこにあるのです? 城の者たちが申すには、わたくしの大事な体は恐ろしい魔族に奪われ、行方知れずというではありませんか。安易に自分の体を手放したわたくしにも非はありますが、あなたが任を全うできなかったのも事実です。違いますか?」
「い、いいえ……重ね重ね、申し訳ございません。全て私の落ち度でございます。こうなったからには、どのようなお咎めを受けようとお恨み致しません……」
 気の毒なほどに青い顔をしてうなだれるヒルダ。第二王女の大事な肉体を信頼して預けられたにも関わらず、彼女はその期待を裏切ってしまったのだ。たとえそれがジェシカの魔術のせいであろうと、厳しく罰せられるべき事態だった。
 エリザベスはそんなヒルダの頬に手をやり、顔を上げさせた。
「わかっていただいたなら、それでよろしい。ヒルダを罰するつもりはありません。その代わり……今だけ、わたくしの我がままを聞いて下さいますね?」
「姫様……」
 ヒルダの非を責めたて、自分の言うことを聞かせる。そんな王女の意図を察して、ヒルダは無念の涙を流した。
「心得ました。たとえ末代までの恥となろうと、今は姫様の仰る通りに致します」
「では、わたくしに自慰の仕方を教えると、この場で誓いなさい」
「はい。エリザベス殿下に、私めが自慰の仕方をお教え致します……」
「よろしい」
 機嫌を直したエリザベスは、自らの巨大な乳房を両手で持ち上げ、元の持ち主であるヒルダに見せつけた。
「それで、どのようにすればよろしいのですか? この大きな胸を手で刺激すれば、気持ちよくなれるのでしょう?」
「は、はい……失礼致します」
 抗う意思を無くしたヒルダは、椅子に座ったエリザベスの背後に回り込み、その豊かな乳を揉み始めた。
 ボリュームのある乳房が自在に形を変え、エリザベスに不慣れな感覚をもたらす。
「んっ、変な感じがしますわ。おっぱいが熱いの……」
「姫様、気持ちようございますか? では、こうするといかがでしょう」
 乳房の周辺から搾るように揉んでいたヒルダの指が、次に硬くなりはじめた乳首を狙う。黒く染まった二十八歳の乳頭に爪を立て、音を立てて掻きむしった。
「んんっ、敏感な乳首ですわね。声が我慢できなくなりそうですわ……あんっ」
 エリザベスはメイドのヒルダの身体で悶える。そんな第三王女を愛撫しているのは、第二王女マリアの肢体を己の所有物にしたヒルダだ。女たちの肉体は主を替え、新たな持ち主によって性の玩具にされていた。
「いかがですか、姫様? 私の体は乳首が弱いのですが」
「ええ、ヒルダ。あなたのおっぱいはすごいわ。こんなに大きくて敏感だなんて。教えて下さい。どうして大人の女性の胸はこんなに大きいのですか?」
「それは、赤子にミルクを飲ませるためでございます。赤子は母親のミルクを飲んで育つのです」
 興奮しているせいか、ヒルダは顔を赤くして答えた。
 王女の乳房を責める動きが、心なしかスムーズで大胆になっていた。エリザベスに性の手ほどきをしているうちに、少しずつヒルダの罪悪感が薄らいできたのかもしれない。指の腹で黒い乳頭を押し潰し、遠慮なくこねくり回してきた。
「ああっ、あんっ。赤子にミルクを? では、今のわたくしも胸からミルクを出すことができるのですか」
「いいえ、まだ出ませんわ。ですが、お腹に赤子を宿し、母親になればミルクが出ます」
「まあ……そうだったの。知りませんでしたわ。わたくしがお腹に子を宿せば……」
 止まない性感に顔を真っ赤にしながら、エリザベスは感嘆の声をあげた。
 脳裏にうっすらと浮かんでくるのは、亡くなった母、王妃の顔だった。
(お母様……わたくしは、立派な女になりました。この胸も、このお尻も、もう小さな子供ではありません。次はわたくしが子を産み、母になる番ですわ……)
 大人になった嬉しさを胸中で母に報告していると、ヒルダの手が胸を離れ、股間へと滑り込んできた。エリザベスは驚きに息を引きつらせる。
「きゃあっ !? ヒルダ、そこはっ」
「失礼致しました。こちらもご奉仕して差し上げます」
 今やヒルダのものになったマリアの指が、今やエリザベスのものになったヒルダの陰毛をかき分け、女の入り口をさぐりあてた。
「ああっ、ヒルダ……」
「いけませんわ。姫様の可愛らしいお声を聞いていたら、私も妙な気分になって参りました」
「構いません。お好きになさって……」
「だ、駄目っ! 駄目ぇっ!」
 二人が熱い眼差しで見つめ合っていると、そこに割り込んでくる者がいた。ヒルダに身体を奪われた第二王女のマリアである。
「やめなさい、二人とも! いったい何をしているの !?」
 首から下が五歳の幼児の体になってしまったプリンセスは、エリザベスとヒルダが淫らな行為を楽しんでいるのにようやく気がつき、慌てて止めに来たのだった。
「何って、ヒルダに大人の女の心得を教授してもらっていたのですわ。今のわたくしは子供ではありませんもの。このくらいのこと、存じておかなければなりません」
 真っ赤な顔で飛び跳ねる姉に、エリザベスは不敵な笑みを向けた。いつになく余裕を見せる妹に、マリアは明らかに気圧される。
「そんなの駄目っ! 体は大人でも、ベスはまだ子供でしょう !? ヒルダも、私の体を使ってはしたないことをしないでちょうだい!」
「申し訳ございません……」
 謝罪するヒルダに、エリザベスは鷹揚に手を振った。
「構いませんわ、ヒルダ。お姉さまのおっしゃることは気になさらないで。だって子供の言うことですもの」
「な、何ですって !? ベス、あなた……きゃあっ !?」
 怒り心頭に達したマリアが怒声をあげようとしたそのとき、エリザベスの手がマリアの小さな体を持ち上げた。
「何するの、ベス! お姉ちゃんを放しなさい!」
「いいえ、放しませんわ。聞き分けのない子供には、お仕置きが必要ですわね」
 マリアを抱えたエリザベスはその場に立ち上がると、マリアの両足首を握って逆さまに持ち上げた。頭を下にして宙吊りになったマリアは、悲鳴をあげて暴れだす。
「やめなさい、ベス! 危ないでしょう !?」
「暴れたらもっと危ないですわ、お姉さま。わたくしが手を放せば、お姉さまは頭から落ちてしまいますもの」
「は、放しなさい……ううっ、放して。頭がクラクラするの……」
 長い間風呂に入っていたこともあり、逆さ吊りにされたマリアは、たちまち頭に血が上る。赤い顔がますます赤くなっていった。
「ベス、お願い……もうやめて」
「まだまだですわ。いつもわたくしを馬鹿になさっていたお姉さまには、もう少し苦しんでいただきませんと」
「そ、そんなあ。私、もう限界よ……ううっ」
 やがて、マリアはうめき声をあげて失神してしまう。エリザベスは姉が完全に気を失ったことを確認すると、浴室の外の涼しい場所に寝かせてやった。
「さあ、ヒルダ、続きと参りましょう。わたくしにもっと大人の体のことを教えて下さいな」
「承知しました、姫様。今夜はお気が済むまで、お付き合い致します……」
 二人は抱き合い、どちらからともなく唇を重ねた。そして互いの体をまさぐり合う。
 邪魔者のいなくなった浴室からは、しばらくの間、女たちの嬌声がやむことはなかった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

「お兄ちゃん、こっちに来て」
 自分を呼ぶ声に、イワンは顔をあげた。
 見張りの任務が始まって、二時間ほどだろうか。退屈な仕事に嫌気がさしてきた頃だ。もたれかかっていた壁から離れ、イワンは牢屋の奥へと向かった。
 じめじめして薄暗い空間の隅に、ひとりの女が座っていた。
「ねえ、お兄ちゃん。あたし、まだお外に出られないの?」
 女はイワンに訊ねた。コウモリを思わせる黒い翼と、先が尖った黒い尻尾を持つ女だった。露出度の高い黒革の衣装をまとった身体は豊満で、男であれば誰もが見とれてしまうほど魅力的なプロポーションだった。
 だが、セクシーな肢体とは裏腹に、その顔はどう見ても四、五歳の幼児のものだった。黒い髪を三つ編みにしたあどけない幼子の顔。このちぐはぐな外見の女のことを、イワンはよく知っていた。
「ああ、まだダメみたいだ。外に出たらいけないよ、ミンティ」
 女の前でかがみ込み、イワンは質問に答えた。女の名はミンティ。イワンと旧知の仲である庭師の娘で、彼女が生まれたときから知っている。素直で可愛らしいミンティのことを、彼はとても可愛がっていた。
「えー、まだなの? つまんない……」
「もうちょっと我慢してくれ。もう少ししたら、きっとお許しが出るはずだから」
 自分でも信じていないことを、イワンはミンティに言い聞かせた。これは先ほどから幾度と無く繰り返されてきたやり取りで、彼自身うんざりしていた。だが、今のミンティを外に出すわけにはいかなかった。
(何せ、今のミンティは悪魔の体になってるんだからな……)
 イワンはミンティの幼い顔の下に視線を向けた。黒い翼と尻尾を生やしたその体は、明らかに人間のものではなかった。
 得体の知れない魔術のせいで、ここにいるミンティの体は、首から下だけが正体不明の女悪魔と入れ替わってしまったのだ。
 いくら庭師の娘の童女といえども、その体は魔性の者。野放しにするのは危険だった。
 そのため城に仕える魔術師に強力な結界を張ってもらい、こうして牢に閉じ込めて見張っているのだ。罪人用の足輪と長い鎖に繋がれたミンティの姿を見ると心が痛むが、それも元に戻るまでの辛抱だ。
「あたし、もうイヤだよー。ここから出して、お兄ちゃん」
「ダメダメ。もうちょっとだから、我慢しておくれ」
「そんなこと言われても、もう我慢できないよ。それに、なんかさっきから体がムズムズするし……」
 ミンティはもじもじして太ももを擦り合わせた。顔は幼女でも体はグラマラスな魔女のもの。刺激的な光景に、イワンは思わず唾をのんだ。
(いかん、いかん。何を考えてるんだ。相手は子供だぞ……)
 我に返って目を背けるイワン。牢の入り口へと戻り、見張りを続けなくてはならないと思い出した。立ち上がってミンティに背を向けた。
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
「あっちで見張りの続きだよ。俺はお城の兵士だからな。ちゃんと仕事をしないと怒られるんだ」
「えー、そんなのやだよ。ここにいて、お兄ちゃん」
「ダメダメ、もうちょっと我慢しろってば。朝になったら、お前の親父さんを呼んで……」
 口に出そうとした言葉を、イワンは途中で止めた。背後から奇妙な気配を感じたのだ。
 さして武道の心得のないイワンだが、今は名状しがたい不穏な気配をひしひしと感じた。
「な、なんだ?」
「……ねえ、お兄ちゃん、こっちに来て」
「どうした、ミンティ? そんなに怖い声を出すなよ……あはは」
 冷や汗をかいて、イワンは背後を振り返った。夜の闇の奥に、赤い二つの光が見えた。それは一対の瞳だった。
「お兄ちゃん、もう一度言うよ。こっちに来て」
 妖しい眼差しと甘い囁きがイワンを呼ぶ。悪魔の体になったミンティの誘いを、彼は断ることができなかった。鍵を取り出して牢を開けると、おぼつかない足取りで、ふらふらとミンティの前まで来てしまう。
「ミンティ……俺を呼んだか」
「うん、呼んだよ。あたし、退屈だからお兄ちゃんと遊びたいな」
「ああ、わかった……じゃあ、俺が一緒に遊んでやる」
 鎖に繋がれた魔女を見下ろすイワンは、既に正気ではなかった。魔族でも指折りの魔力を誇る大悪魔の誘惑に、魔術の心得もない兵士が抗えるはずもない。ミンティに命じられるがまま彼女を拘束していた鎖を外し、自らの鎧と服を次々と脱ぎ捨てていった。
「あたしね、ちょっとずつわかってきたんだ。この体の使い方が」
 自分の唇をなめ回し、ミンティがつぶやいた。その表情はあどけない幼女のものではなかった。男の精をすすり、堕落と快楽の道に誘い込む淫魔の顔だった。
 首から下が女悪魔になったミンティは、裸になった兵士を優しく抱きしめた。
「ねえ、お兄ちゃん。あたし、さっきから体がムズムズするんだ。どうしたらいいの?」
「ああ、任せろ。俺が何とかしてやる……」
 すっかり理性を失ったイワンは、ミンティの革の衣装を剥ぎ取り、悪魔の裸体をさらけ出した。形の整った見事な巨乳に舌を這わせると、幼女は甘い声をあげた。
「ああ……お兄ちゃん、気持ちいいよ……」
「ミンティ、こんなに大きなおっぱいになりやがって。子供のくせに、なんてやつだ」
 イワンは魔女の柔らかな肌を味わい、乳房の先端を口に含む。唇をすぼめて肉を吸うと、五歳の女児は満足の吐息をついた。
「ああっ、すごい。おっぱい、吸われてるよう……」
 本来であれば、今から十年以上たってから経験するはずの男女の営み。ジェシカの魔術によって淫蕩な女悪魔の肉体になってしまったミンティは、魔族の本能の赴くがまま、それに没頭していった。
 未知の感覚に戸惑うミンティを、イワンは巧みに責め、その心に女の喜びを刻みつけた。乳をたっぷり吸ったあとは、可愛らしい唇を味わい、熟れた秘所に指を這わせた。女性器に指を入れられる初めての経験に、ミンティは体をくねらせて悶えた。
「な、何これ、すごい。あたし、おかしくなっちゃうよ……」
「気持ちいいだろう、ミンティ。今からお前を、俺の女にしてやるぞ」
 イワンはそう言うと、ミンティに接吻し、その口内に舌を差し入れた。互いの唾液を絡め合い、獣のように互いを貪る。わずか五歳の幼女を相手にしているとは、とても思えなかった。口と口とを繋げたまま、汁の滴る膣内に指を抜き差しして、魔女の性感帯を刺激した。
「ああっ、お兄ちゃん、お兄ちゃんっ」
「見ろよ、これ。ミンティが可愛いから、こんなになっちまった」
 横たわって悶える少女の鼻先に、イワンは己の性器を突きつけた。雄々しく反り返った男の一物に、ミンティの視線は釘付けになった。
「すごい、大きい。これは何なの?」
「これはチンポだ。これをお前のここに入れて、思いっきり気持ちよくしてやる」
 正気を失った兵士は、童女の股間を愛しげに撫で回した。悪魔の本能に突き動かされたミンティも、頬を赤く染めてイワンを待ちわびているようだ。やがて女の脚が大きく開かれ、そこに男が分け入った。
「入れるぞ、ミンティ」
「うん、いいよ……ああっ、入ってくるっ」
 挿入はスムーズだった。充分に濡れたサキュバスの膣は喜んでイワンのペニスをくわえ込み、肉ヒダを絡ませる。
「すごいぞ、ミンティ。お前のここ、なんて感触なんだ」
 ゆっくりと腰を前後させ、イワンはミンティの膣内を味わう。幾重にも連なる肉の壁が、己の意思を持っているかのようにうねり、陰茎に吸いついてくるのだ。人間の女のそれとは似ているようでまるで異なる内部の感触に、たちまちイワンは虜になった。
(これが悪魔の体……なんて気持ちがいいんだ)
 浅い部分で抜き差ししたあと、亀頭で子宮の入り口を小突き、また浅瀬に戻る。えらの張ったイワンのものは肉汁ごとミンティの壁をえぐり、敏感なヒダを外へと引きずり出そうとする。ぞくぞくするような快感がイワンの背筋を走り抜けた。
「気持ちいいよ、ミンティ。俺、おかしくなりそうだ」
 イワンは鼻息も荒く、可愛がっていたはずの童女を容赦なく犯した。はち切れそうなほど膨張した肉の棒が往復するたびミンティは喘ぎ、大人の女の体で体験するセックスに酔いしれた。鼻水を垂らして喜ぶ子供の顔の下ではボリュームのある乳房が弾み、イワンの目を大いに楽しませた。
「た、たまらんっ。ミンティ、お前は最高だっ!」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんっ」
 ミンティはイワンの体にすがりつき、自分から腰を振って更なる交合を求めた。いまだ初潮も迎えていない、無垢な少女とは思えなかった。肉と汁のたてる淫猥な音が暗い牢の中に響き、ゆらめく炎が妖しく蠢く二人の影を壁に映した。
 名のある女悪魔の身体は、今や年端もいかぬ人間の娘に所有され、一介の兵士にもてあそばれていた。どれほど強大な魔力や腕力を持っていようと、頭部を別人のものと挿げ替えられてしまっては、無害で艶かしい女体でしかない。イワンは魔族と化したミンティとのセックスに篭絡され、欲望の赴くままにミンティを犯した。もしもこれが公になればただでは済まないだろうが、すっかり誘惑に負けてしまったイワンは危機感の欠片もなく、ひたすら熟れた女体をむさぼった。
「ああ……すごいよ、お兄ちゃん。あたし、とってもいい気分なの」
 激しい交わりは、ミンティにも新たな変化をもたらしているようだった。未知の感覚に戸惑っていたはずの童女は、今は嬉しそうな笑みをたたえ、熱い視線をイワンに注いでいた。その表情は既に無垢な少女ではなく、立派な女のものになっていた。
「お願い、お兄ちゃん。もっとして。もっとあたしを気持ちよくして」
「うおおっ !? 中の動きが……お、おお、おおっ」
 丸みを帯びた腰を上下させ、イワンを翻弄するミンティ。大の大人がたった五歳の幼女に手玉にとられていた。ますます高ぶる快楽に、イワンはなすすべもなく飲み込まれていった。
「おおっ、出る。ミンティ、出るぞっ」
 とうとうこらえきれなくなったイワンのものから、熱の塊がほとばしった。きつく体を密着させ、濃厚な子種をたっぷりとミンティの奥へと流し込む。己の生命そのものが抜け出ていく錯覚をイワンは覚えた。
「あはあ……あたしの中に、お兄ちゃんのおつゆが出てるよ。おいしい……」
 ミンティは満足げに舌を鳴らし、初めての膣内射精に酔いしれた。赤く染まった瞳が妖しく輝き、イワンの姿を映し出した。
「おっ、おっ、おおお……す、吸われる。ふう……」
 長い射精を終えたイワンに、強烈な疲労が襲いかかった。萎えた陰茎を引き抜くと、ミンティの股間に開いた丸い口から一筋の雫が滴り落ちた。
「俺……いったい何してたんだ? まさか、あのミンティと、こんな……」
 イワンの声は震えていた。欲望を満たして落ち着くと、今までの行為の意味を思い知らされる。いくら首から下が女悪魔の体と入れ替わっているとはいえ、ミンティは自分が普段から可愛がっている幼い子供だ。それをこうして手篭めにするなど、決して許されることではなかった。
 しかし、そんな罪悪感や後悔は、すぐに中断させられてしまう。ミンティの細い手が彼のペニスをぐっと握りしめたのだ。
「うっ、ミンティ……何をするんだ」
「どうしたの、お兄ちゃん? 早く続きしようよ」
 と言って、ミンティはイワンの性器を愛しげに扱きあげる。妖しい視線と声音で誘惑されたイワンの一物は、たちまち活力を取り戻した。イワンは慌てて首を振る。
「駄目だ、ミンティ。こんなことをしちゃいけないんだ」
「どうして? あたし、とっても気持ちよかったよ。でも、まだ足りないの。もっともっとお兄ちゃんのおつゆをココに注ぎ込んでほしいの」
 ミンティはへたり込んでいたイワンを床に押し倒すと、汗ばんだ乳房で彼の顔を挟み込んだ。女悪魔の体臭がイワンの鼻腔をくすぐり、再び理性を奪い去る。
 仰向けになった彼の上に、ゆっくりと腰を下ろすミンティ。弓なりにそり返った肉の槍は、またしても彼女の中へと飲み込まれていった。
「だ、駄目だ、ミンティ。もうやめてくれっ」
「いやだよ。あたし、もっとしたい。もっともっとしたいの」
「うっ、また出る。吸われる……あああっ!」
 ついさっき精を放ったばかりだというのに、イワンは間もなく絶頂に至った。やはり同じように、射精と共に、命そのものが吸われていくような感覚に襲われる。
 おそらく、それは錯覚ではない。イワンはようやくそのことに気がついた。自分の生命力が精と共にミンティに吸われているのだ。本人は無自覚だが、ミンティはイワンの命を喰らおうとしているのだ。それがサキュバスの本能だった。
「えへへ……おいしい。お兄ちゃんのおつゆ、すっごくおいしい」
「や、やめてくれっ! ミンティ、離れろっ!」
「もっと出してよ、お兄ちゃん。もっと出して。もっと飲ませて。ほら、もう一回」
「いやだああっ! た、助けて……助けてくれえっ!」
 生命の危機におののくイワンと、何も知らずに快楽にふけるミンティ。夜更けの城内で開かれた二人だけの宴は、いっこうに終わる気配を見せなかった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2014年03月01日 04:52