集団入れ替わり

投稿日:2009/03/19(木)

「パパ、見て見て。」
娘の真優香が僕の元へ走ってくる。
「ほら、上手に畳めたよ。」
しゃべり方は5歳の女の子だが、艶のある成人女性の声。あぐらをかいている僕の膝元に飛び込む。
膝で感じるヒップの重量感。ビリッという鈍い音がした。
「重いよ、真優香。」
「えぇ、いいでしょ。」
振り返ると、ぱっちりとした二重まぶたとすっと通った鼻筋。ぽってりとした厚い唇が至近距離に迫る。
視線の下には、水色のパーカーを持ち上げる2つの隆起。そして丸見えの臍。
「やめなさい、真優香。今は大人なんだから。」
思春期前の透き通った声が響く。妻の由起子が真優香をたしなめる。
モスグリーンのニットに黒と白のチェックのロングスカート。
落ち着いた色調の服装とあどけない顔立ちのギャップに違和感がある。
「ほら、真優香立って。また破いちゃったでしょ。」
ゆっくり立つ真優香。ベージュのキュロットスカートから、ピンクと白のボーダーのタイツが見えてしまっている。
「ほら、いい加減お母さんの服着なさい。」
「やだ、おうちは真優香の服着たい。」
それも仕方ない、僕は思っていた。外に出るときは強制的に由起子の服を着せられるのだから。
それにしても、いつになったら元に戻れるのだろう。僕は、言い争いをする2人をぼんやりとながめていた。

「お呼びですか、ベイグ様。」
低い声が洞窟に反響する。
「おお、お前に仕事を与えようぞ。」
張りのある、ハスキーな女の声が響いた。
「オクポス、お前の物質転換能力を使うときが来た。」
「ははぁ。」
「我々は、これまで多くの怪人を送り込み、敗れてきた。
口惜しいがまともに戦っては、奴らには敵わぬ。」
「ベイグ様、なんと弱気なことを。」
「最後まで聞け。奴らは5人いなければ戦えぬ。5人のうち、1人でも戦う能力を失わせたらどうなる?」
「なるほど、そこでこいつの能力を使うんですね。」
隣にいた召使いガーニャが口を挟んだ。
「で、どいつどいつを入れ替えるんで?」
「だから、最後まで聞け。ガーニャも口を挟むな。」「申し訳ありません。」
「我々の目的は世界征服じゃ。奴らを倒すだけではない。」「ごもっともで。」
「人間が増えなければ自然と世界は我々のもの。子供ができなければ人間は増えぬ。」
「で、あっしは何をすれば。」
「子供を作る方法を知っている女と知らない女を入れ替えるのだ。」
「年増の女と幼女を入れ替えればようござんすね。」
オクポスがしたり顔でうなずく。
「年増とはなんだ。私が年増だと?」「いいや、そういう意味じゃ…」
「分かったらとっとと行け。」「ははぁ~」
オクポスは逃げ出すように洞窟を出て行った。

「あ~ぁ、最近ひまだなぁ。」晃がいすに座ってあくびをした。
「不謹慎ね、私たちがひまなのは平和な証拠。」由香がコーヒーカップをテーブルに置いた。
「そうそう、おかげで買い物に行く時間もできたし。」美緒が自分のカップを持っていすから立った。
「これから行くの?」「うん。」
「私も行こ。肌のお手入れに行かなきゃ。」
「二人とものんきだな。」「晃に言われたくないよ。行こ。」
美緒が由香の手を引いてガレージへ向かった。


街へ出た2人。
「じゃあ終わったら連絡して。」「は~い。」
美緒は手を振って由香と分かれようとしたその時だった。通りの向こうで悲鳴がした。
「何?」
由香が表情を変えた。美緒が声のする方へ向かう。由香も付いていく。
「好き放題させてもらいますよ~」
そこではオクポスが長い触手を伸ばして人々を襲っていた。
「何、あいつ?」
「オクポスよ。お荷物の怪人だって聞いてたんだけど。」「行きましょ。」
その目の前で、親子連れが触手に絡み取られた。泣き叫ぶ女の子。
「お前ら同士じゃ面白くないなぁ。親子はよくある話だからな。」
オクポスがさらに女性を絡め取る。
年は20代前半くらい、ブラウンのロングヘアの女性と、ブレザーを着た中学生。
「こりゃ面白い。」
オクポスの身体から青い光が放たれる。まぶしい光に美緒も由香も手をかざす。
振り落とされる4人。
しかし、明らかに姿が変わっていた。
スレンダーな美女は中学生のブレザーに身を包み、膝上からモデルのような脚が見えている。
さっきまで女の子が着ていた黄緑のトレーナーに水色のスカート。そこからは、まっすぐ伸びる中学生の脚。
だぶだぶの白のブラウスと黒のジーンズに埋もれるように立つ女の子。
ロングブーツにベージュのコート、黒のミニスカート。若作りをしているように見える母親。
「え、なんなのこれ?」最初に声を上げたのは女の子。しかし、明らかに子供の話し方ではない。
「なんで真優香の服着てるの?」中学生が胸元を見ながら立ち上がる。
「私どうなっちゃったの?」若作りの母親がおびえた声で立ち上がった。その中で起き上がれない女性。
「ママ~」見た目に似合わず泣きわめくスレンダーな美女。中学生が寄っていく。
「まさか、真優香なの?」「お姉ちゃんだれ?」艶のある声で中学生にお姉ちゃんという女性。
「ちょっと、どうなってるのよ。」生意気な口調で言い寄ろうとした女の子は、ジーンズにつまずき転んでしまった。若作りの母親は、ぼうぜんと立ち尽くしている。

「何が起きてるの?」由香がつぶやいた。
「入れ替わってる…」美緒が続けた。
「こりゃ面白い。子供を産んだ母親が中学生に、小さな子供が大人の女に。中学生はおばさんに、おばさんは中学生にか。ついでに服も全部めちゃくちゃにしてやったわ。」
そういうと、オクポスは高笑いをした。
「晃たちを呼ばないと。」美緒が由香に話したその瞬間、オクポスと目があった。
「お前らか。ちょうどいい。お前らの身体も子供と入れ替えてやるわ。」
「まずい、みんなが来るまでは逃げないと。」
反対方向に走り出したが、オクポスの触手は素早く伸びていく。美緒も由香もあっという間に触手に巻き取られた。
「やめろ、離せ。」美緒が抵抗するが、もちろん離すわけもない。
余った触手で周りにいる女の子達を捕まえていく。さっきよりも人数が多い。同じ青い閃光に包まれる。


ようやく回りが見えるようになり、美緒が咳払いをした。あまりにも甲高いその声。
「にゃんにゃの?」口を押さえようとした手は、小さく紅葉のよう。由香の着ていた白と水色のボーダーが身体全体を覆っている。ぽっこりと出たお腹、短い脚。
「ましゃか、あたち…」
目の前には紺のブレザーを着た、40代くらいの女性。肉感的な脚とグレーのチェックのミニスカートがミスマッチだ。
「私、高校生に?」中年女性らしいとも言える、少し低いこもった声。美緒はその話し方に聞き覚えがあった。
「ゆか、ゆか。」「まさか、美緒?」
「あたち、どうなってる?」「3,4歳くらいかな。」
「しゃんよんしゃい?」「あたしは?」
「おばしゃんににゃってる。」「おばさん?」
服からは若い高校生の匂い。しかし、少し動くと、香水と化粧の混じった匂いが鼻につく。
「これでお前達も戦えなくなったな。かわいいよ、美緒ちゃん。おや~由香ちゃんはずいぶんおばさんになっちゃって。もっともっと入れ替えてやるわ。」
追いかけなければならないが、二人ともそんな状況ではなかった。
二人の隣にはグレーのニットに黒のロングスカートを履いた女子高生。
地味な生地に似合わない張りのある乳房がニットの上からはっきりわかる。
「ちょっと、あたしの身体返してよ。」そこにやってきた10代前半の女の子。
美緒の着ていた、フリルの付いたピンクのアンサンブルに白のレースのスカートを履いている。中身は女子高生らしい。
「ママ~。」女子高生が泣き出す。中身は美緒が入れ替わった女の子のようだ。
「私たちの身体は?」「あぁ、あんにゃとょこに。しかもはだか。」
へたりこんでいる美緒の身体。ほとんど全裸で座っている。
周りに散らばるオレンジのパーカー生地と白黒ボーダーのタイツ。
ひもごと切れている小さいスニーカー。
「あのぉ、あたし…」「あなた、いくつ。」
「11です。」豊かな乳房が丸見えだが、放心状態の少女は気づく由もない。
「美緒になっちゃったのね。あたしの身体は…」
由香が周りを見渡す。
「うわ~ん。」
別の方向から大きな泣き声がした。
ロングヘアで細身の美女が黄色のプリントTシャツを着たまま泣いている。
美緒の身体に入った小学生の服だろうか。由香の身体にはまた別の小さな女の子が入っているようだ。
「あ、あたしがいる!」
また別の方からはかわいい声質に似合わない口ぶりで、由香の身体の持ち主が小さな身体でこちらに寄ってきた…

とにかく、あの日以来、街は大変なことになってしまった。
タコみたいな怪人は、エネルギーを使いすぎたとかで、
ボンテージを着た女の人がUFOみたいなのに乗って引き取っていったらしい。
そいつらを倒す戦隊ヒーローみたいな人がホントにいるらしいんだけど、そこの女の人たちも入れ替えられちゃった。
だから、入れ替わった5歳と11歳の女の子が特訓を受けて、そいつらを倒しに行くんだって。

真優香の行く幼稚園でも大人になっちゃった子が結構いるらしい。
そういえば、さっき回覧板持ってきた人、どっかで見たことある人だと思ったら、グラビアアイドルの星川さゆりだった。でも中身は真優香と同い年で隣の家の絵鈴ちゃん。
街に買い物に来てた星川さゆりと入れ替えられちゃったんだって。
逆に先生も子供にされた人がいるみたいで、真優香のいるもも組の担任の川上先生は、10歳の女の子になってるらしい。

ここだけの話、僕はこのままでもいいんだけどね。
少し年下のスタイルのいい美女が「パパ~」ってなついてくるなんていいじゃないですか。
ずっと若返った由起子も、感じすぎて短いけど行為はできるし。
おっと、真優香が着替えて戻ってきた。
グレーの伸びるズボン履いてるけど、なんだか競輪選手のスパッツみたいになってるよ。

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最終更新:2009年03月30日 22:22