アットウィキロゴ

瑠美とさやか 18~22

<18>
そんな日々が続き、1ヶ月が過ぎようとしていたある日。
(そういえば…)
さやかがロッカーの棚の上を探す。
(使わない服なら置きっぱなしになっているはず…)
ロッカーの棚にはスタンダードなSサイズのナース服があった。
瑠美の身長は152cm、普通ならSサイズのナース服になる。
しかし…

―――それは2年前春を迎えようという日のこと。
地元の病院への就職が決まった瑠美のお祝いのために、二人はチェーン店の居酒屋にいた。
「向こうには残るつもりなかったの?」
「地元の方が何かといいかなぁなんて思って。結婚とか考えるとさ。」
のんびりした感じの瑠美だが、大事なところでは結構いろいろと考えているようだ。
「今日は何してたの?」
「まぁ、勤務のオリエンテーションとか、いろいろ。」
さやかがふと気になったことを聞いた。
「瑠美もナース服着るんだよね。」
「うん、今までだって実習用の着てたよ。」「へぇ。」
さらにさやかが聞く。
「瑠美って、大丈夫なの?」「何が…? あぁ、これね。」
瑠美は右手でFカップの胸を支えて見せた。
「そう。きつくないの?ナース服って結構タイトじゃない?」
「実習用はきつい。バストもヒップも。みんなおんなじサイズだし。
 でも仕事用はこれからもずっと着るから自分の作ってもらうことにした。 
 普通のやつも配られちゃうみたいだけど。」
「そんなこと、できるの?」
「聞きに行ったら、それならって言われて看護部長からサイズ計られた。」
「へぇ。」
「『別に恥ずかしがらなくていいのよ』なんて言われて。太くて作る訳じゃないんだから。」
瑠美が口を尖らせた。
「瑠美は太ってなんかないよ。」「さやかが言わないでよ。」
「私だって、結構サイズないんだよ」「細いんだからなんでもあるんじゃないの?」
「身長に合わせるとサイズが大きすぎることが結構多いの。」「ふぅん。」
腑に落ちない表情で、瑠美はカクテルを口にした―――

<19>
(どんな感じなんだろ…)
家に戻ったさやか。既成のSサイズのナース服を取り出し、広げてみる。
(確かに細めだし小さいかも)
着ていた白のニットとレースの入った黒のスカートを脱ぐ。青のキャミソールと水色の上下の下着姿になった後、
ナース服のボタンを外し、袖を通す。
むっちりとした二の腕が、ピンクの袖に締め付けられる。
(袖も少しきついかな。)
ボタンを上から留めていく。
3つ目のボタンを留めると大きな胸に沿って、急峻な、それでいて丸みのあるラインが描かれる。
(普通のSだとこうなっちゃうの?)
何とか下のボタンまで留めようとするが、胸が邪魔でなかなか下まで見えない。
手探りでなんとか留める。鏡の前に立ってみる。
厚手の生地が腕、胸に密着し、むっちりとした瑠美の魅力が強調されている。
スカートの裾もいつもより少し短く、膝上までの丈になっている。
ストッキングに包まれた脚には、むっちりとしたふくらはぎ。小柄な瑠美の体とはいえ艶かしさを十分感じさせるものだ。
「これじゃあ仕事にならないね、見てるほうも。コスプレみたい。」
(コスプレ?)
さやかは自分の言葉をもう一度胸の中で繰り返した。
(瑠美の体なら、かわいい服似合うよね。一度着てみたかったんだ、メイド服とか!)
一人の部屋でテンションが上がるさやか。
成長期の後は長身のため、服も大人っぽい、言い換えれば地味な服しか着てこなかったさやか。
かわいい服を着てみたいとは思っても、似合わないというコンプレックスと、なによりサイズがないことが多かった。
「買っちゃおっかなぁ~」
つぶらな瞳がさらに大きく開いてキラキラと輝く。周りから見ても中身がさやかだとは気づかないだろう。
部屋の隅にあるPCの前に座る。
「『メイド服』っと、なんだかいっぱいあるのね。結構高い…瑠美が似合いそうなのは…」
瑠美のお金を使う手前、そうそう多くは買えない。2着買って届くのを待つことにした。

<20>
20分後。
さやかはタンスや押入れをごそごそと探していた。
「あったぁ。しかも、制服も。」
押入れの奥のダンボールから実習服と高校時代の制服を探し出したのだった。
「制服まであるとはねぇ。高校の頃からさやかの巨乳は有名だったもんね。」
大きな胸に目を落としながら、実習服や制服、体操着を部屋へ出す。
散らかったダンボ-ルを片付けると、まずは高校時代の制服に手を掛けた。
白いブラウスにえんじと濃緑色のチェックのミニスカート。
同じ柄のリボン、紺のハイソックスとルーズソックスまである。
「私たちの頃は、ちょうど境目だったからね。って、なんでこんなに揃ってるんだろ。使ったのかな…」
疑問に思いながらも、さやかは袖を通していく。
いつものように胸のボタンを締めると生地がグッと持ち上がる。目線を落としてもスカートのウエストは見えない。
「瑠美からはこんな風に見えてたんだ。」
ハイソックスをはくと、高校時代の瑠美の姿。童顔なこともあり、今でも通用しそうだ。
腰に手を当てると胸の膨らみがさらに強調される。
生地が胸に持ち上げられたために、ボタンの脇からわずかに水色のブラジャーが見えている。
「高校生には刺激が強いよね。」
さやかは同じクラスの男子が、隣のクラスの瑠美のバストの話をしていたのを思い出した。
ブラウスを脱いで、体操着を着ようとしたが勤務の疲れが出てきた。
首周りと袖口にえんじの縁取りと胸元に校章、そしてえんじのブルマ。
卒業して2年くらいでハーフパンツになったというが、さやかの頃はまだブルマだった。
「これはそのうちに。」
出した服を枕元にたたんで、さやかはメイクを落としに洗面所へ向かった。

<21>
ある土曜の午後。さやかは勤務が入っており、この週末は会えない。
「よいしょっと」
瑠美は部屋に入ると、紙袋を下ろした。1つは厚手の上質紙でできた紙袋。もう1つは赤いビニールの袋。
中から服を取り出す。
「これ着て行ったら、びっくりするんだろうな…」

さやかの体になって10日程経った頃。
「さやかってスタイルいいのに、パンツばっかり。まぁ、ワンピースもちょっとはあるけど。」
ある日の電話で瑠美はさやかに言った。
さやかのクローゼットにある服でコーディネートをすると、大体がワンピースにレギンスか、
プルオーバーやブラウスにパンツのスタイルになってしまう。
しばらくは感じなかったのだが、体に慣れ、生活に慣れてくると、瑠美はいささかつまらなさを感じるのだった。
「なんていうか、昔からそういうの着てたから、なんとなくそういうの買っちゃうんだよね…」
「どうせならミニとか着ればいいのに。」
「えぇ、似合わないよ。」
「似合うって。こんなにスタイルいいんだから。」
瑠美は携帯を左で持ちながら、パジャマの上から、右手を腿から膝へと滑らせて見せた。
「じゃあ、瑠美が選んでみてよ。どんなのが私に似合うか。」
「いいよ。今度見といてあげる。さやかも私に似合うの選んでよ。」

そこから2回ほど会ったのだが、その都度瑠美は約束を忘れていたのだった。
「3度目の正直だからね。」
紙袋の中からは、ピンクのニットのアンサンブル。襟元とボタン周りには白い縁取りがしてある。
スカートは黒、ひざより少し上のスカート。これも裾に白いラインがある。お嬢様系のファッションだ。
赤いビニール袋の中からは、黄色いプリントのTシャツにジーンズ生地のホットパンツ。
「こっちから着てみるか…」
着替えると、黄色のTシャツにホットパンツ姿のさやか。腿までしかない生地が長い脚を見せ付ける。
「うん、ちょっと若づくりかな。」
腰に手を当て満足そうな瑠美。

<22>
数日後――
「えぇ?」
瑠美が携帯で話しながら少し大きな声を出した。
「家じゃないと見せられないって、さやか何着るの?」
「それは言えないよ。私はこのまま出てってもいいんだけどさ♪」
「待って。じゃあ行く。」瑠美は少し怒って電話を切った。
(もう、さやかったら何着るつもり?)
見慣れた駅前の通り、家までの道。
それでも、何か懐かしい感覚になるのは、多くても10日に1回くらいしか元の自分の家へ帰らないためだろう。
エレベーターに乗り、自宅のインターホンを鳴らす。玄関が開く。
「えぇ~?何それ?」
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
そこにはメイド服に身を包んだ瑠美の姿。白いブラウスにピンクのスカート。
エプロンは肩に引っ掛ける形になっているため、胸の下に食い込んでいる。強調されるバスト。
「何してるの、さやか。」
「だって、私の体じゃ似合わないんだもの。って瑠美もそれで電車乗ってきたの?」
「メイド服着てる人に言われたくないよ…」
瑠美は買ってきたホットパンツのスタイル。いつものさやかがする格好ではない。
「似合うじゃん。」「えぇ、恥ずかしいよ。」
「だから、メイド服着てる人に言われたくないって。」「でも、私は外出て無いじゃん。」
「当たり前でしょ!」「じゃあ、着替えるね。」
さやかはいつもの格好に着替える。ピンクの半そでのプルオーバーにベージュの7分丈のパンツ。
「うん、やっと馴染んできた。」
「そりゃ、いつもの瑠美の格好だもの。むしろ、私が落ち着かない。」
「そりゃそうだよね。」
そういいながら、瑠美は自分の家へ置いていったオブジェを見つめた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年06月03日 00:43