イリュージョン1-1~7

53 名前:イリュージョン1-1[sage] 投稿日:2009/09/30(水) 00:39:59 ID:zdwNTW+N
マジシャンの手招きで舞台の袖から現れたのは、20代中頃の女性だった。
レオタードに包まれたその肢体…乳房は充分なボリュームを誇っているが、AVなどによく見られる全体的に肉付きが良すぎる…ぶっちゃけた意味でデブ…な意味での巨乳ではない。
ウェストは目をこらすまでもなくしぼられており、かつヒップはバストに負けずとも劣らないボリュームを見せつけている。
その肢体の存在感をより一層強調しているのが、レオタードのデザインだ。
胸元や腰回りの思い切ったカットはもちろんのこと、脇腹やヘソ周辺の意図的な露出が、その大胆さを更に更に強調している。
もちろん、肝心な部分は布地の下なのだが、際どい部位の露出が、ギリギリのチラリズムとでもいうべき、妄想を最大限に加速させる要因になっていることは間違いはない。
少なくとも、その女性が現れた瞬間の歓声は、マジシャンはもちろん、その他の女性アシスタントの登場時よりも一際大きかった。
かなりのオーバーリアクションで歓声に応える女性の動きに、その歓声は更に大きくそして期待に満ちたものになる。
そして歓声が多少治まったころを見計らって、マジシャンは再び舞台袖に向かって手招きをする。
新たな美女の登場か。
観客の大半は皆そう思ったかもしれないが、現れたのはまだ10歳に満たない少女…というより女の子といった方がしっくりとくるような幼い子供だった。
この女の子もまた先ほどの女性同様レオタード姿だが、もちろんそのデザインは、比べモノにならないほどおとなしい。
色つきのワンピース水着といった方がピンとくるほどだ。
観客の表情と歓声には若干ならぬ失望が伺えたが、それでも舞台の流れ上、拍手だけはそれなりに鳴り響く。
マジシャンの左右、それぞれ脇に並ぶ形になった女性と女の子は、深々と頭を下げる。
と、それが合図だったかのように舞台の上に、2台のキャスター付きテーブルが引っ張り出された。
テーブルといっても、やや細長いその形は、人間が寝ころぶ様にちょうどいい大きさに見える。
そして、マジシャンに促されるままに、そのテーブルの上に仰向けに横たわる女性と女の子。
テーブルの高さはかなり低めなので、観客席からでも、テーブルに横たわる2人の姿を上から見下ろせる形になっていた。
続いて、再びマジシャンの手招きによって、ステージ上に現れたのは巨大な回転丸鋸だった。


54 名前:イリュージョン1-2[sage] 投稿日:2009/09/30(水) 00:53:21 ID:zdwNTW+N
その丸鋸は、日曜大工用でホームセンターなどで売られているものの、数倍…いや、5倍以上の大きさがあった。
明らかに、子供ならその胴体をまっぷたつにできそうなその巨大な刃。
マジシャンのさりげない指先が動くと同時に、回転を始める丸鋸。
最初は鈍い回転音が、次第に甲高くそしてシャープな音へと変わっていく。
この鋸が偽物でないことを証明しようとするようにマジシャンが取り出したのは、男性の手首…いや二の腕ほどもある角材。
それを無造作に回転し続け丸鋸へと押し当てると…それは数秒ほどで2つへと切り分けられてしまう。
その瞬間、飛び散った木っ端に、観客全ては、これが偽物ではないと確信していた。
回転し続ける丸鋸が、ゆっくりと女性の横たわるテーブルへと近づいていく。
テーブルにくっつけられた丸鋸の台座。
そこに繋がっているレバーがゆっくりと倒されていくと、回転する丸自体もまた、倒れていく。
そして倒れていく先には、女性の脚…ほぼ股間といっていいほど際どい位置があった。
自分の柔肌に、遠慮も罪悪感も知らぬ機械の刃が近づいてくるというのに、女性は意識がないかのようにぴくりとも動かない。
そして、遂に回転鋸の刃が女性の肌をとらえた。
観客は誰もが飛び散る血飛沫を想像したことだろう。
しかし、それは見事なまでに裏切られた。
血飛沫は一滴も飛ばなかった。血だけではない。
肉体の破片といえるものは、おそらく微塵も飛び散ることはなかっただろう。
だが、それは鋸がとまったわけでもなく、女性実を捩って刃から逃れたわけではない。
先に述べたように観客席からは、テーブルの上の女性の姿は丸見えだった。
鋸がとまったり、女性が逃げれば、すぐにそうと分かったはずだ。
だが誰もがみていた。
今もまだ回転をし続けている鋸が、紛れもなく女性の脚に食い込んでいく様を。


55 名前:イリュージョン1-3[sage] 投稿日:2009/09/30(水) 22:56:03 ID:zdwNTW+N
不意に鋸の回転が止まった。
マジシャンの手が切断されたばかりの脚をつかむと、それをゆっくりと持ち上げ、観客へと向ける。
本来ならば、滴るはずの血は一滴も落ちてはいない。
が、その切断面は驚くほどに鮮明だった。
骨格はもちろんのこと、切断された筋肉に血管がありありと見えた。
まるで図鑑か、解剖の標本の様だ。
だが、それは標本ではない。よく目をこらせば、血管や筋肉が脈動しているのが分かる。
続いて、反対側の脚も丸鋸によって切断される。当然と言うべきか、こちらからも血は一滴も出ない。
一度テーブルから離れた丸鋸は今度は上半身へと向けられた。
肩の辺りから、彼女の腕が切断されていく。
右腕、そして左腕。
脚同様に、切断された腕もまた観客へと切断面がみせつけられることになったが、やはり血は一滴もおちず、そして切断面に見える血管も筋肉も脈動していることが分かる。
マジシャンとアシスタントの手によって、四肢を切り落とされた女性の身体が抱き起こされる様に持ち上げられた。
血が流れ落ちていないにもかかわらず、手足のないその姿は猟奇的としかいいようがなく、すぐそばに転がっている手足が、陰惨さを更に強調している。
にも関わらず、女性の表情には苦痛も悲哀も感じられない。
それどころか、サービスのつもりなのか、観客にむかって笑顔を振りまいてみせている。
続いて、丸鋸が向かった先は、もう一人…あの女の子の方だった。
こちらもまた、遠慮することをしらず、女の子の四肢を切り落としていく。
そして、女性同様にマジシャンの手によって抱き起こされる女の子。
やはり手足を失ったその姿は痛々しいが、女の子の表情に浮かんでいるのもまた笑顔だった。
ステージ上に並んでいる、手足のない女性と女の子の姿。
それは、大小の姫ダルマを想像させるものがあったが、それは酷くタチの悪いユーモアと言えた。
彼女達の手足が間違いなく切断されたということを観客に納得させたところで、起こされていた2人の身体が再びテーブルの上に横たわらせられた。

57 名前:イリュージョン1-4[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:24:57 ID:s8uoL2xa
再び丸鋸が回転しはじめた。
そして、その刃が振り下ろされる先には、女性の首…胴体と頭の接合部があった。
観客席から、ごくりと息と唾を呑む音が聞こえてくる。
ある意味当然だ。
人間の手足には重要な内臓はない。
手足の切断によって死亡するのは、その際の失血のためで、手足そのものがなくなっても、命そのものにかかわることにはならない。
実際、ここまで、切断された手足からは1滴の血も流れていないのだから、女性と女の子の2人…2人とも今のところは命の危険性はなかったのだ。
だが、切断されるのが、首となれば全く話は違う。
人間にとって重要な臓器の大半は胴体に集中している。
そこから切り離された頭部がとても生きていられるとは思えない。
いや、それ以前、首を切り落とされれば、脊椎そのものが破壊されてしまうため、もはや命はないと同じなのだ。
観客が、固唾を呑んで見守る中、丸鋸の回転する刃が女性の首へと食い込んでいく。
手足の時同様、血飛沫も肉片も飛び散らないが、確実に丸鋸は首の中へと食い込んでいくのが分かる。
やがて、ゆっくりと丸鋸の刃が引き抜かれると、底には、手足そして首すらも切り落とされた女性の胴体と、紛れもなく女性の生首が転がっていた。
流石に首を切り落とされては無事では済まなかったのか、女性の頭部はぴくりとも動く気配をみせない。
続いて、丸鋸の刃は女の子の方に向けられた。
こちらもまた、同じように切断作業が済み、そしてテーブルの上に転がる胴体と頭。
いつのまにか、ステージ上には、小さなテーブルが2台用意されていた。
アシスタントがそれぞれ、女性と女の子の頭を持ち上げると、まるで置物でも扱うかのように、テーブルの上に据え付けた。
テーブル上に飾られた2人の首は、目を閉じたまま動く気配をみせない。
流石に首を切られたら生きてはいられないか。
観客の誰もがそう思いかけた時、不意に一切の照明が消えた。
観客席に広がる軽いざわめき。
次の瞬間、2つのスポットライトが、ステージ上の2ヶ所を同時に照らし出す。
そこには、人間の頭部の置かれたテーブルがあった。
そして観客は息をすることさえ忘れることになる。
スポットライトに照らし出された瞬間、女性と女の子…2人の頭…頭だけであるにはかかわらず、ライトが眩しいと言うかの様にその目が瞬いた。


58 名前:イリュージョン1-5[sage] 投稿日:2009/10/02(金) 20:37:07 ID:vodazKJE
テーブルの大きさは、人間の頭が載るぎりぎりの大きさしかない。
しかも天板の下は、すぐテーブルの脚が伸び、そこに人間の首から下が隠れられるような場所などない。
その上、アシスタント達がその空間に頭や腕を突っ込んで見せたり、切断された手足をくぐらせてみせて、首の下には何もないことを強調してみせる。
更に、テーブルを回転させたり、ステージ上を右に左にと移動させて、観客にアピールしてみせる。
続いて、ステージに現れたのは、産婦人科の分娩台に似たシート2台だった。
中央に、ヘッドレスのないタイプのシート。その周囲には左右上下それぞれ1つずつ計4つのアームが取り付けられている。
まずは、首も手足もない胴体がシートの上に載せられた。
ともすれば、極めて猟奇的な光景だが、血が見えないせいか、ステージという環境のせいか、むしろそれは着色したトルソに見えないこともない。
特に女性の胴体は、そのプロポーションのせいもあって、まさにトルソ…美術品といってもいいほどかもしれない。
続いて、4つあるアーム、その1つ1つに切断された手足が置かれていく。
といっても、アームとシートとは距離が離れているため、手足が胴体にくっつくことはない。
しかも、アシスタント達はわざとらしく手足の向きを逆に…切断面を外に向けているのだから、いまだこの手足が胴体につながっていないことは一目瞭然だ。
最後にテーブル上にあった女性と女の子の頭が持ち上げられる。
アシスタントの手の中にある2人の頭が運ばれた先は、胴体の置かれたシート。
しかも、股間のすぐ前だった。
一瞬にしてバラバラになった身体と猟奇的な光景が、ある意味滑稽なものに変わる。
頭だけでは身動きがとれないためか、女性の顔も、女の子の顔も、特に嫌がる様子もなく、むしろ笑顔さえ浮かべていた。
2人の頭は、正に股間…性器の正面におかれれている上に、胴体のおかれているシートが分娩台を思わせるデザインのため、まるで出産シーンの悪質なパロディのようだ。
バラバラの状態のまま、シートに載せられた女性と女の子は、アシスタントの手によって、ステージ上を移動させられる。
どの角度、どの向きからみても、2人の身体は確かにバラバラだ。
その間も、女性と女の子は笑みを絶やさず、時折、おかしな表情をみせたりして、観客に苦笑と失笑を引き起こしていた。
一通りステージ上を回ると、2人を乗せたシートは、並ぶ様な形で中央に置かれる。
マジシャンの指示により、アシスタントは、アームに置かれていた右手…女性の右手と女の子の右手を持ち上げた。
持ち上げられた腕は半回転させられ、切断面が胴体側の切断面と向き合う様に持ち直される。
ゆっくりと胴体に近づいていく腕…遂に切断面と切断面が触れあい…そして数秒後、アシスタントが持ち上げていた手を離すと、切り落とされていた腕は、それがウソだったかのようにぴったりと胴体にくっついていた。
女性の右腕と女の子の右腕、いまやそれは切断されておらず、何事もなかったかのように胴体にくっついている。

61 名前:イリュージョン1-6[sage] 投稿日:2009/10/03(土) 22:37:56 ID:XHIURaff
続いて、左腕が持ち上げられる。
しかし、その後が右腕とは違った。
腕を持ち上げたアシスタント2名…この2人の位置が入れ替わったのだ。腕を持ち上げたまま。
女性の胴体の左側には女の子の左腕、女の子の胴体の左側には女性の腕。
それをみた観客の表情には、「まさか」と「もしや」という二つが同時に浮かびあがった。
もしやだとしたらどうなるのか。
本来のものとは違うはずの腕が、それぞれ胴体へつなぎあわされる。
そして、腕を持ち上げていたアシスタントがその手を離すと…
その腕は、右腕同様、胴体にくっついていた。
バラバラになった身体以上に、それは異常な光景だった。
豊満な女性の胴体の左側には、どうみても短な子供の様な腕がぶら下がり、一方で子供の小さな身体からはまるで不釣り合いに長い大人の女性の腕が伸びているのだから。
女性と女の子の頭はといえば、自分達の身体が更におかしなことになっているにもかかわらず、不気味とも言える笑みを浮かべたままだ。
そこで、さらに2名のアシスタントが加わった。
計4名となった彼女達は、それぞれ1本ずつ、切断されている脚を持ち上げた。
そして再び位置を入れ換えるアシスタント達。
つまり、女性の胴体の下には女の子の脚。そして女の子の胴体には女性の脚。
観客の誰もが、この後起こるであろう事態を正確に予想していた。
脚と胴体、その切断面導士がつなぎあわされる。
そしてアシスタント達が手を離せば、それぞれの脚は間違いなく胴体にくっついている。
異形としかいえない存在がステージの上におかれていた。
本来の胴体とは明らかに不釣り合いな長さの脚の存在が、その異形さを異様なまでに強調している。
そして、頭部…女性の頭と女の子の頭は、自分達の身体の異様さなどおかまいなしといった風に笑みを浮かべていた。
そして、マジシャンとアシスタントの手が、その頭部へとかけられた。

67 名前:イリュージョン1-7[sage] 投稿日:2009/10/08(木) 23:22:05 ID:N3iUafA8
マジシャンが女性の頭を、アシスタントが女の子の頭をそれぞれ持ち上げた。
2人は、まるでそれがスイッチであるかのように瞼を閉じる。
そこからの先の展開を予想できなかった観客は皆無といってもいいだろう。
そしてステージショーに関しては、いい意味での予想が裏切られることはないのだ。
それぞれ頭を両手の中におさめたまま、マジシャンとアシスタント、2人の位置が入れ替わる。
つまり、大人の左腕と両脚をもって女の子の身体の上に女性の頭が、子供の左腕の両脚を持った大人の女性の身体の上に女の子の頭がくる形になる。
改め観客は息を呑んだ。
ここまでの、手足の切断とその奇妙な結合は、ある意味で、精巧なダミーによるものだといえないこともない。
映画などではけっこうとある話だ。
照明などが偏るステージ上なら、更に誤魔化しも可能だろう。
だが、その上に頭を載せるとなると、話はまた変わってくる。
観客を焦らそうとするかのように、マジシャンとアシスタントの手の動きは実に緩慢だ。
1cm下ろすだけで1分もかかろうかというほどのんびりとした動き。
だが、観客はその動きに釘付けになれこそすれ、苦情や非難を叫ぼうとするものは誰一人としていない。
たったそれだけのために、どれだけの時間がかかっただのだろうか。
遂に、切り離されていたはずの頭が胴体へと接触する。
ここまで一度切り離された手足が再び結合している様をみているにも関わらず、観客の少なくとも半数はそれが起こることを信じられないでいた。
切り落とされた首が再びくっつくなんで…
マジシャンとアシスタントは同時に手を離した。
手や足と違い、頭の場合、胴体の上に載せる形になるので、手を離してもいきなり落ちることはありえない。
だがそれだけに観客の視線は突き刺さるほどに2人の身体に向けられることになる。
そんな観客の心情を読み取ったかのように、マジシャンは2人の目の前で指をパチンと鳴らした。

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最終更新:2009年10月18日 23:35