妹と恋人の境界線

226 名前:「妹と恋人の境界線」01[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:10:06 ID:1fHQ/69P
 最近視力が落ちてきた乃絵美は、眼鏡をかけている真奈美からのアドバイスで眼科医に行ったところ、仮性近視と判断された。
 フレームを新調したばかりの真奈美は、使わなくなったお古のフレームを乃絵美に快く譲った。
 数日後、乃絵美は真奈美から貰ったフレームで眼鏡を作ってみた。無いとよく見えないというほどではないが、読書の時など便利だろうと思ったのだ。
 そうして出来上がった眼鏡を家に持ち帰って早速掛けてみたのだが……。
「きゃっ……」
乃絵美が鏡を覗き込みながらびっくりしたような声を上げた。
「何かちょっと違和感があるけど……」
カウンターに置いていた鏡から顔を上げながら乃絵美はちょっと困り顔を見せる。
「大丈夫よ。まだ慣れていないだけだから。暫くしたら慣れるわよ」
真奈美は笑いながら乃絵美に声を掛ける。
「う、うん……でも何か雰囲気が変っちゃうね。まるで真奈美ちゃんになったみたい」
 乃絵美はちょっとはにかみながら笑みを見せる。
 眼鏡を掛けた姿は確かに真奈美に似ていた。真奈美のフレームと言う事もあってか、喫茶ロムレットの制服を着た時の真奈美に雰囲気がよく似ている。
「ふふっ、じゃあ髪を下ろしてみる?」
「ああっ、菜織ちゃんっ!?」
 店に遊びに来ていた菜織が乃絵美の髪の毛を束ねていた黄色いリボンをしゅるっと解く。
 さらっと乃絵美の髪が流れる様に乃絵美の背面を覆ってしまう。
「真奈美を横に来させて……あらっ、本当そっくりねえ」
「そ、そぅ?」
「何だか、恥ずかしい……」
 二人を並ばせると、本当そっくりだった。菜織の言葉に真奈美と乃絵美は何だかお互いを意識してしまって照れてしまう。
「ふふっ、更に真奈美にロムレットの制服を着せて~」
 そう言いながら菜識は真奈美にロムレットの制服を持たせて着替えさせる。
「乃絵美にヘアバンドをはめて、ちょっと髪を結って……」
 更に乃絵美をカウンターの椅子に座らせて、順に真奈美のものと同じヘアバンドをはめ、髪の端の方を編んでゴムで縛って、真奈美の髪型にしてしまった。
「もぅ、葉織ちゃんったら……」
 抗議の声を上げながらも真奈美はロムレットの制服に着替えて来た。
「これでどっちがどっちか判らないわね」
 笑いながら葉織は満足そうに言う。

227 名前:「妹と恋人の境界線」02[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:10:58 ID:1fHQ/69P
「みゃーこちゃんがいたら更にひどいことになってそう」
 乃絵美は苦笑する。
「……菜織ちゃん、もしかしてお兄ちゃんを騙そうと?」
「「騙す」なんて乃絵美、ひどい言い方ね。わたしは単に正樹が妹と彼女との区別が出来
るか試してみたいだけよ?」
 乃絵美の言葉に菜織はしれっと答える。確かにこれだけ似ていれば、菜織でなくても試してみたくなるだろう。
「出来なかったら、ちょっと寂しいかな」
「そうねえ、正樹君だったら、大丈夫だと思うけど……」
「でも、あの正樹だからこそ、心配なのよねえ~」
 二人の言葉に菜織は、自分で考えた悪戯なのに、何故かちょっと不安になってしまう。
 『カランカラン……』
「いらっしゃいませ……あっ、お兄ちゃん」
「あっ! 乃絵美、自分でバラしたらダメじゃあない」
 入り口のドアを開けて帰ってきた正樹を見て、反射的に声を掛けて仕舞う乃絵美に菜織は思わず顔に手を当てて叫ぶ。
「えっ? 乃絵美? 真奈美ちゃんじゃないの?」
「わっ、真奈美ちゃんが二人?」
 正樹の後ろから美亜子と冴子が驚きの声を上げた。
「……そんな事をしなくても、俺は真奈美ちゃんと乃絵美の区別は付くぞ」
 正樹がびっくりしつつも平静を装った声で言う。
「……なんで解るのよ」
 菜織が自分の企みが一発で崩れたので、少々ふてくされた表情で正樹に聞く。
「そりゃあ背格好と声だよな。真奈美ちゃんのメガネとヘアバンド借りてるけれど、そこまで似せられないしな」
「うっ……!」
 菜織は痛い所を突かれた様だ。
「そこまでは見抜けないと思っていたんだけどなあ……」
 腕組みをしながら渋い顔をする。
「正樹君にしては冷静な判断だよね」
「そうだな」
 美亜子と冴子もびっくりしたように言葉を続ける。
「正樹君にしてはと言う所が余計だ。俺はいつでも冷静だ!」
 ムキになる正樹の様子に皆が笑い、その場はそれでおしまいになった。


228 名前:「妹と恋人の境界線」03[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:11:29 ID:1fHQ/69P
「う~ん、そこまで似ていないかなあ……」
「菜織ちゃん、未だ考えているの?」
 ロムレットを出て、商店街を歩きながら菜織はぼそっとつぶやいた。
 正樹をびっくりさせてやろうと企んだのにあっさり見破られた事を、菜織は不満に思っていたのだ。
「じゃあじゃあ、もっと似せる様にしちゃえば良いんだよね」
 美亜子が提案する。
「おまえなあ、『似せる』って言っても限界があるんだぜ」
 冴子が美亜子の言葉に反論するが美亜子はニヤリと笑った。
「ふっふっふ、そう言うサエでも見間違える位の方法があたしにはあるのよ」
「えっ、美亜子、そんな方法があるの?」
 菜織はぱっと表情を明るくする。
「どうせロクな方法じゃないだろ」
「ふっふ~ん、至極合理的だもんねーー。お~い、チャムちゃんっっ!」
 美亜子は真奈美の胸元にぐいっと顔を近づけると、胸元にかかったペンダントに向かって声を掛ける。
 すると青白い光と共に一人の少女の姿が真奈美たちの前に現れた。
「……何だ……ミアコ。騒々しい」
 ぶすっとした表情を見せているのは真奈美を守護する精霊チャムナ・フォンだ。
「ねえねえチャムちゃん、ちょっと力を貸して欲しいんだけど……」
「話は聞いていた。大体ミアコの考える事は解るからな」
「ぷっ、やっぱり単純って事だ」
「むっ、サエうるさい」
「まあ、たまには自分達の行動を傍目から見る、と言う事も良いかもな。じゃあノエミ
を明日の朝マナミの所まで連れて来てくれれば良い」
「チャムちゃん、ありがとぉ~。ヤキソバパンたっぷり用意しておくからねん」
 がっちりチャムナの手を握りながら美亜子がうれしそうに言う。
「よ~し、コレで正樹にひと泡吹かせられるわね」
「だ、大丈夫かなあ……」
 うれしそうに言う菜織と美亜子を見て、真奈美は苦笑いを浮かべるしかなかった。


229 名前:「妹と恋人の境界線」04[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:13:42 ID:1fHQ/69P
「真奈美ちゃん、おはよう」
 翌日の登校前、真奈美の家に乃絵美がやって来た。こういう事には全力で取り組む美亜子が昨夜のうちに電話で手配していたのだった。勿論正樹は気づかれないよう、内密に。
 真奈美の家には既に美亜子や冴子、菜織も来ていた。
「おはよう、マナミ……」
 みんなが集まった所でチャムナが姿を表した。
「チャムちゃん、おはようっ、今日はお願いね」
 姿を現したチャムナにヤキソバパンをいっぱいに詰めたコンビニ袋を持った美亜子がうれしそうに声を掛ける。
「じゃあ、二人とも並んで」
「うっ、うん……」
 真奈美と乃絵美は並んでチャムナの前に立つ。チャムナはぐっと手を合わせて何か呪文の様な言葉を呟きながら目を閉じる。
 そうすると不意に二人は青白い光に包まれて、周りから二人は見えなくなる。それも一瞬の事で、再び青い光がすぅっとゆっくり消えて行くと、再び二人の姿が見えた。
「おりょ? 何も変わっていない様に見えるけど……」
 美亜子がいぶかしげに二人を見る。
「ん? 真奈美、ちょっと背が小さくなってないか?」
「そういえば乃絵美って髪の色がもっと濃かった様な気がするんだけど……何か真奈美が乃絵美の髪型しているみたい」
 冴子と菜織が二人を見て言った通りの光景が、今3人の目の前にあった。
 ふっと真奈美と乃絵美がお互いを見ると、まるで二人が入れ持替わった様な姿形になっていた。かろうじて元々の髪型とリボンの色でお互いが認識出来ると言う状態だ。
「えっ、乃絵美……ちゃん?」
「きゃっ! 真奈美ちゃん?」
 真奈美と乃絵美はお互いを見てびっくりして声をあげたが、その声までもそっくり入れ替わっている状態だ。
「ちょっと力を使って二人の姿形をいじくった。元に戻すまではその格好だ」
 チャムナが真奈美たちに説明をする。
「何か、鏡で自分を見ているみたい」
「真奈美ちゃんも? 私もそんな感じがする……」
 何故かお互いの手を取り合って話をしてしまう。
「体そのものは元々の自分のものだから不都合はないと思うが……まぁ、一日二日だけだろうから、ミアコとナオリの我がままにつきあってやれ」
「ぶぅ、我がままって何よお……」
「そうそう、正樹がちゃんと見分けられるか。って知りたいだけのにねえ」
 チャムナの言葉に美亜子と菜織が反論する。
「……単に悪戯、だと思うけどな」
 チャムナと美亜子・菜織との会話を聞きながら、冴子はふぅと溜息が漏らすのだった。
「あ! でも、「乃絵美」が真奈美のメガネしてたらすぐバレちゃうわね」
 菜織がはたと気がついたように言うが、
「あの……それが、私、メガネなくても大丈夫みたい」
 真奈美がちょっと困ったようなうれしいような複雑な顔で言う。
「フッ、当然だ。今のマナミはノエミの身体と同じ状態になっているのだからな。無論、その逆も真なりだ」
 チャムナが鼻を鳴らして説明する。
「ふぅん。じゃあ、乃絵美は真奈美が普段掛けているメガネを借りてね」
「う、うん」
 そうして制服のリボンも交換すると、傍目からは区別が付かない様に見えた。

230 名前:「妹と恋人の境界線」05[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:14:29 ID:1fHQ/69P
 しかし……。
「チャムナさん、ちょっと胸の周りが重いし、お尻もちょっとキツいんだけど……」
 乃絵美が真奈美から借りた制服のリボンを結びながら言った。
「ああ、体つきをいじったから当然胸や腰のサイズも変わるぞ」
「そりゃあそうだろうな」
 チャムナの答えに冴子が妙に納得していた。
「じ、じゃあ乃絵美ちゃん、リボンだけじゃなくて服ごと交換しようか」
「う、うん、真奈美ちゃん。そうしたほうがいいかもね」
 真奈美と乃絵美は、慌てて真奈美の部屋に戻り、制服と下着を取り換える。
 やがて部屋から降りてきたふたりは、ちょっと顔を赤らめていた。
 いくら同性の幼馴染とは言え、さすがにこの歳で「服の取り換えっこ」をするのは少し恥ずかしかったらしい。
「ここまですれば、ばれないわよね」
「うん、絶対間違いないよぉ! じゃあ、学校へ行こうか」
 菜織と美亜子は自信満々の表情で言う。
「チャムちゃん、ありがとねん♪」
「ああ。元に戻るときは、また私を呼べ」
 美亜子から貰ったヤキソバパンを口にくわえたチャムナは、そのままペンダントに戻っていった。
「じゃあ、がんばって……」
「さあ、正樹に一泡蒸かせてやるわよ~」
 明るく気合いを入れる美亜子と菜織だった。

「あっ、そうそう乃絵美」
 学校に行こうとして歩き出した乃絵美に菜織がくるっと向き直り、乃絵美の耳元に顔を寄せて囁く。
「正樹はエッチだから、気を付けてね。ま、最悪前だけは守っておけば?」
「んっっ!」
 菜織の言葉に乃絵美は顔を真っ赤にした。
 乃絵美に何を言ったのかを瞬時に察知した真奈美も連鎖的に顔を赤くする。
「な、菜織ちゃんっっ!」
「な~に真奈美、そんなに顔を赤くする程恥ずかしい事なのかなあ?」
「んもうっ!」
 トボける菜織に真奈美は顔を赤くして抗議する。しかし、傍目から見たら乃絵美が菜織に抗議しているみたいで、何か新鮮な感じがするのを他の3人は感じていた。
「もしあたしが真奈美ちゃんだったら、こんな感じになるんだ」
 乃絵美は何か解らない期待感が体の中からこみ上げてくるのを感じた。


231 名前:「妹と恋人の境界線」06[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:15:38 ID:1fHQ/69P
「おはよう、真奈美ちゃん」
「あっ、お早う、お……じゃなかった正樹君」
「ん?」
 登校して菜織と一緒に教室に入る。教室には朝練を終えた正樹が声を掛けてきた。乃絵美は挨拶を返したが、危うく自爆する所だった。素早く菜織が乃絵美を小声で叱る。め
「乃絵美、こんな所で間違ったらダメよ。今の乃絵美は「真奈美」なんだから」
「う、うん」
「真奈美ちゃん、どうかしたの?」
「う、ううんっ。何でもないのよ」
 胸の前で手を組んだ格好で、乃絵美は慌てて言葉を返す。
「そうそうっ!」
 訝しげに言う正樹に乃絵美と菜織は慌てて言葉を返す。
「あっ、菜織ちゃん、先生来たみたいよ」
 乃絵美が教室の入り口の方を見ながら言う。それを見てみんな慌てて席の方に向かった。
「さ、真奈美、座るわよ」
「うん……」
(お兄ちゃん、全然気がついてないけど、上手く行くのかな……)
 一時眼目の教科書を机の上に広げながら、斜め向こうに座っている正樹を見つめながら乃絵美は授業を受け始めた。

 「ふぅ……ちょっと疲れたかも」
 お昼休みの時間、乃絵美はちょっとベンチに深めに腰掛けていた。一年生だが、普段から真面目に予習復習するタイプの乃絵美は、何とか二年生の授業にもついていけていた。英語・数学など、やっていないとまったく解らない授業が今日は無かったのは幸いだった。
 体育があったのにはちょっと困ったが、こと運動神経と言う点では、真奈美と大差なかったので、問題なく乗り切れたのだ。
「真奈美ちゃん、どうかしたの?」
「ううんっ、何でも無いよ、正樹君」
 思わずぼそっと言呟いたのを正樹に聞かれたのだが、慌ててごまかす。
 みんなと一緒に昼ご飯を食べたあと、正樹に誘われて校舎裏の小さな公園まで来たのだった。ここは放課後には人気が多いが、何故か昼休みは少ないと言う一風変わった場所だった。
「そう言えば、ここって人が少ないよね。普通昼休みの方が多いのに……」
「うーん、何故か解らないけどそうなんだよな。昼メシ食った後でゆっくりするのには最適なんだけどなあ」
 正樹は紙パックのコーヒ牛乳を飲みながら苦笑いをする。
 二人が座っている所はちょっと日陰の表からは余り見えないベンチ。正樹はよく此処で昼寝をしたり、菜織の追撃?をやり過ごしたりするんだとか。
「そうだよね……静かだし」                           「うん。だから、真奈美ちゃん……」
 横に座っていた正樹の手が「真奈美」の手を握って、正樹の顔が「真奈美」の顔に近づいてくる。
 乃絵美は一瞬どきっとしたが、自然と目を閉じてそのまま正樹と唇を重ねた。唇が触れた瞬間、全身が熱くなるのを感じた。
 正樹の腕の中へ流れる様に抱きつきながらも唇を重ね続けた。思ったよりも柔らかい正樹の唇から熱い何かが乃絵美の唇へ進入してくる。それが正樹の舌だと解ったと同時に口の中で熱い舌が乃絵美の口内を嘗め回す。

232 名前:「妹と恋人の境界線」07[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:16:30 ID:1fHQ/69P
「んんっっ!」
 乃絵美は思わず正樹の背中に手を回す。正樹もぐっと「真奈美」を抱き締めた。
 抱き合った事で胸の方から正樹の心臓の鼓動が伝わってくる。その鼓動は制服やブラの生地を通しても乃絵美の胸に伝わってきた。
「ああ! ……んっっ」
 重なった唇と唇の隙間から、乃絵美の吐息が漏れてくる。乃絵美は自分の舌をおずおずと正樹の舌に絡めてみる。ねっとりとした舌の感触が乃絵美の舌に伝わって来て、乃絵美の体中に快感が駆け巡ってゆく。
「……あふ……っんっっ!」
 誰も来ないと言う訳では無く、比較的目に付かないと言う場所でシていると言う緊張感と、「本物の真奈美に悪いのでは?」という後ろめたさが「真奈美」の思考を駆けめぐって、興奮が乃絵美の中をより深く支配していく。
「ああぁ……っ……!」
 永遠に続くかと思われた口付けも自然に正樹の方から唇を離した。スーーッと一筋の唾液が白い糸を引いて、乃絵美の唇から正樹の唇が離れていく。
「真奈美ちゃん……好きだよ」
「正樹……君……」
 肩の方を片手で抱き締められながらもう片方の手で胸の方を揉まれてゆく。形の良いバストが制服とブラの中で形を変えながら踊っていく。
「ああ…………っっ!」
 思わず出た甘い吐息に乃絵美は口元を押さえる。正樹はニッと微笑んで「真奈美」の首筋に口付けをした。
「ひっ! あっっ……」
 正樹の唇が首筋にふれた瞬間、電撃の様な感覚が乃絵美の背筋を駆け抜ける。
 さっきのキスとはまた違った快感と胸を揉まれてゆく快感が交互に混じり合って、乃絵美の興奮を高めていった。
「んんっ……はあ……っ………」
 正樹の手が上着のボタンを外してブラに直に触る。ブラの生地ごと胸が揉まれる刺激に乳首がキュッと堅くなる。乃絵美は体中が蕩けていくような感覚に襲われ、ベンチに体を横たえてしまった。
 更にブラがずらされて直接胸が揉まれる。体を支えていた力が抜けた分、さらに感じやすくなった様だ。
「やっ……んんっっ!」
 すっかり堅くピンと張った乳首を指で摘まれて思わず声を上げてしまう。
 正樹の指の中でコリコリと乳首が踊ってゆく。いじられる度に違った快感が乃絵美の全身を駆け巡る。
 正樹の大きな手が乃絵美の胸全体を揉み始めた。
「あぅっ……感じ……ちゃうっ!」
 胸を揉まれ、首筋やうなじに唇や舌を這わせられて行く度に背筋から頭の芯まで、快感と言う名の刺激が支配し、頬が火照ってきて熱く感じる。無性に正樹の体に抱きつきたくなって、彼の名を呼ぶ。
「正樹君っっ!!」
 正樹の体をグッと引き寄せてそのまま正樹の唇を自分の唇を再び重ねる。
 今度は乃絵美の方から舌を正樹の口の中へ差し入れる。熱い唾液の中で乃絵美の舌が正樹の舌と絡み合う。
 正樹は乃絵美の胸からスカートの中へ手を入れてゆく。乃絵美の敏感な部分に指が触れると、ビクッと乃絵美の体が震えた。
 そこは先程までの行為ですっかり感じてしまったせいか、しっとりと潤い……と言うより正樹の指が触れただけで指に乃絵美の蜜がまとわりつく位に濡れていた。

233 名前:「妹と恋人の境界線」08[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:17:56 ID:1fHQ/69P
「あれぇ? 真奈美ちゃんって、こんなにいやらしかったんだ……」
「いっ……ゃんっっ」
 正樹の指先が「真奈美」の敏感な所をなぞる度にビクビクッと乃絵美は反応して声を上げる。
 そのうちに指先がグショグショになってきたので、正樹はショーツの中に手を入れ、乃絵美の秘所を直に探った。
 花弁の周りはぐっしょりと蜜で溢れ、柔らかい花弁の感触と相まって正樹の指に絡んでくる。
「ひぃっ……あんっ」
 絡んだ指先が花弁とその上の敏感な蕾に触れて弄ばれる。乃絵美は波のように襲ってくる快感に、ただただ流されていった。
 正樹の指が乃絵美の秘所の中へと入ってゆく。随分あっさりと指は秘壷の中へ収まった。秘壷の中を指がかき回す。
「ああっっ!」
 更に内壁を指で撫でられる。蜜が指に絡んで内部を擦られるのは、自分の指でしかした事の無い乃絵美にとって今までに無い感覚と快感だった。ゾクゾクするたび気持ちが高ぶっていく。
 「真奈美ちゃんは何時もこんな感覚で正樹に愛されているのかな?」と思いながら、「真奈美」は感じていた。内壁をいじられつつ襞を親指でグリグリと弄られる度に、艶のある声が唇から漏れてくる。
「真奈美……ちゃん……」
「あっ? だめっっ!」
 乃絵美は、秘唇に正樹の肉棒が当てられたので、慌ててそれを握って挿入するのを止める。
 ソレは正樹の心臓の音が聞こえるかの様に熱くビクビクしている。奇妙な感覚に戸惑いながらも乃絵美は言い訳を口にする。
「今はゴムないから……コッチで……して」
 乃絵美は片手をベンチに手を掛け、スカートをたくし上げ正樹の方にヒップを突き出す。そして濡れそぼった秘唇で肉棒の先を撫でる。
 ジュクッと秘唇に絡みついていた愛液が肉棒に絡みつく。乃絵美はビクッと体を震わせながら、アヌスに正樹の分身の先を導いて入れようとする。
「真奈美ちゃん……」
 正樹は「真奈美」のヒップに手を掛けて己が分身をゆっくりアヌスの中へ挿入していく。
「ああっっっ……んっっ!」
 乃絵美は思わず艶やかな声を上げかけたが、行為をしている場所が場所だけに慌てて声を押し殺す。
 正樹の肉棒が「真奈美」のアヌスの中に押し込まれてゆく。異物感と肉棒が押し込まれる
事によって内壁を隔てた膣に、これまでと違う刺激が与えられて秘壷から愛液が溢れ出してくる。
「ううっ……キツいよ、真奈美ちゃん」
 正樹は根本まで入った肉棒を前後に動かす。動かされる度にアヌスと膣が刺激されて徐々に快感と言う刺激が乃絵美の全身を支配してゆく。
「いゃ……あ……つつ!」
 アヌスを中心に、動かされる肉棒の痛みと痺れ、全身をかき回される様な熱い感覚が乃絵美の体を駆け巡ってゆく。
 叫びたいが、周りに聞こえると不昧いので、声を押し殺そうとするが、自然と喘ぎ声が漏れてしまう。
 苦悶と快楽が入り混じる不思議な感覚が、乃絵美の表情を紅に染めていく。
「まさ……正…樹君……イクっ!」
「真奈美ちゃんっっ!」
「いゃぁ……ああっっっ!!」
 ビクビクッと体を大きく震わせて乃絵美は果ててしまう。
 キュッと締まったアヌスが正樹の肉棒を刺激し、同時に正樹も果てて「真奈美」のアヌスの中に正樹自身を注ぎ込む。
 熱い物が乃絵美のアヌスを満たして行く。秘壷から溢れ出た愛液が地面に大きな水溜まりとなって広がっていた。乃絵美はガクッと正樹の方に倒れ掛かって、二人は繋がったままベンチの上に倒れ込んだ

いったんここで切ります。後半は13時から。

234 名前:「妹と恋人の境界線」09[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:55:50 ID:1fHQ/69P
「んん~っ、やっと終わったわね、「真奈美」」
 授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、最後の挨拶を終えた後、放課後を待ちわびたかのように菜織がこちらを振り向きながら声を掛けてくれる。
「うっ、うん、菜織ちゃん」
 乃絵美は少しずれたメガネを直しながら「安心した」と言った表情で菜織に答えた。
 (……真奈美ちゃんがノートに予習しておいてくれていたので助かったみたい)
 もっともノートがあったとはいえ、一年の乃絵美には二年の授業は厳しかったが、何とか自力で乗り切ったのだ。
「じゃあじゃあ、後はロムレットでの数時間だけだよん」
 素早く帰り支度をした美亜子が二人に声を掛けて早く行こうと促す。「真奈美」と菜織、美亜子は教室を出て、校門へ向かって歩いてゆく。後から冴子も来るらしい。
 どうにも今日のロムレットは賑やかになりそうだ。「真奈美」はクスッと笑みを浮かべた。
「あっ、菜織ちゃんっ、の……じゃなかった「真奈美」ちゃん」
 玄関を出て少し歩いた所で真奈美が玄関から出てきて菜織たちに声を掛ける。
「あっ、ま……じゃない「乃絵美」、上手く一日過ごしたわね」
「うん。(でも、一年生の授業であそこまで進むとはね。結構苦労しちゃった)」
「(あれ? 真奈美も二年生だから、出来る範囲のハズでしょ?)」
 小声で大変そうに言う真奈美に対して菜織は結構キツい台詞を返す。
「う………そりゃあ、そうだけど……」
 乃絵美同様、真奈美も真面目な性格だが、基本さえつかめばあとは応用が利く乃絵美と違って、真奈美はどうやら不器用で要領の悪いタチらしい。
 一年前に習ったことも、試験が過ぎてどうやら大半を忘れてしまったのだろう。
「まぁまぁ、ま…「乃絵美」ちゃんも上手く過ごせたから、後の数時間を残すだけだよ。
 でも、おに……正樹君、あれでいて結構カンが鋭いんだよ?」
 「真奈美」は心配そうに言うが、菜織と美亜子は楽観的だった。
「んもぅ、「真奈美」も心配性ね~ここまで全然気付かなかったから大丈夫よ!」

 * * * 

 喫茶ロムレットに入ると、そこにはカウンター内の正樹のほかに、臨時講師のみちるが客として座っていた。どうやらふたりで雑談中のようだ。
「あらあら~随分とやさしいお兄ちゃんだこと」
「ただ、最近はどうも照れくさくて……」
 みちる先生の言葉に正樹はちょっとはにかみながら答える。
 どうやら、乃絵美のことで相談に乗ってもらっているようだ。
「別に兄妹だし、照れる事無いんじゃないの」
 正樹が声をした方に振り向いてみると、いつの間に着替えたのかロムレットの制服姿の菜織がニヤニヤ笑いながら立っていた。
「げっ……菜織?」
 菜織の後ろには「乃絵美」と「真奈美」が立っていた。「乃絵美」の顔はうっすらと赤らんでいるようだった。
「最近真奈美の事ばかり考えていて、乃絵美の事を考えてないのかな~って、思ってたんだけど……ちゃんと心配できているんなら良いわ、お・に・い・ちゃん」
 笑いながら肩をぽんぽんとたたく菜織に正樹は反論する。
「誰が乃絵美の事をないがしろにしたって? そんなバカなことあるわけないだろ!」
「きゃはは、とうとう自分で認めたね、シスコンさん」
「ぐっ……」
「まあまあ……菜織ちゃんも正樹君も、落ち着いて。これからお店があるんだから、ね?」
 言い争いになりそうな二人を「真奈美」が制する。「真奈美」の言葉に正樹と菜織は不満そうだが、渋々店の作業の方に掛かりだした。

235 名前:「妹と恋人の境界線」10[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:57:22 ID:1fHQ/69P
「(真奈美ちゃん、ごめんね)」
「(ううん……それでこそ、いつもの"お兄ちゃん"だし)」
 「真奈美」はそっと「乃絵美」の方に耳打ちするが、「乃絵美」ははにかんだ笑顔で答えた。
 実は正直に言うと、真奈美は正樹のことを未だ「幼馴染の兄貴分」「自分を守ってくれる男性」として意識している面が強いのだ。
 恋人になれて嬉しくないわけではないが、正樹に昔のような「庇護者」ではなく「対等な女性」として扱われることに少々違和感──寂しさのようなものを感じていたのも事実だ。
 それが、「乃絵美」になって、妹(つまり自分)の事を気に掛けてくれる正樹を見られたため、彼女は寂しさが吹き飛んだ気がしていたのだった。
「さあ、頑張って仕事しようね、お兄ちゃん」
 「乃絵美」はにっこりと笑いながらカウンターの方に入っていった。

「ありがとうございました~」
 「真奈美」が会計を済ませて出てゆく客に挨拶をする。どうも今日は珍しく客の入りが多いようだ。
「やっと一段落ついたわね~」
 菜織がふうとため息をつきながら食器を引き上げてくる。
「珍しくお客さんが多いものね」
「乃絵美、『珍しく』は無いだろ」
「あっ、ごめんなさいっっ」
 「乃絵美」の言葉に正樹が突っ込む。そんな会話に「真奈美」が苦笑する。
「乃絵美ちゃん、こんな忙しいのは久しぶりだからでしょ?」
「うん、そうなんだけど……って、あれ、真奈美ちゃん、ちょっと顔色悪いよ」
「えっ? そ、そうかな?」
 「真奈美」は思わず顔に手を当ててびっくりする。
 正樹と菜織が「真奈美」の顔を見ながら首をひねる。
「ほんとだ。ちょっと赤い」
「真奈美、ちょっと休んだら?」
「う、ううんっっ、大丈夫だよ。ちょっと忙しかっただけだと思うから」
 笑顔を作って答える「真奈美」。
「あんまり無理しないで……ほらほら」
 だが、正樹はさっさと「真奈美」の背中を押して店の奥へと連れて行った。

「……正樹君、ごめんね」
 正樹の部屋に入り、ベッドの上に腰掛けて、「真奈美」は申し訳なさそうな顔をしている。
「いいって、手伝ってもらっているのはこっちだから、俺らが真奈美ちゃんにお社を言いたいくらいだよ」
 正樹は「真奈美」に冷たいお茶の入ったコップを手渡しながら言う。
 「真奈美」はコップを受け取って口に含んだ。冷たいお茶が熱かった体を冷やしていくのが喉越しに解る。
「うん……ありがと」
 正樹は「真奈美」の横に座り、彼女の肩を抱いた。
「それと……こういうこともして欲しかったんだろ」
「まさきく……!」
 正樹は「真奈美」の唇に自分の唇を重ねる。
 乃絵美は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに正樹の背中に手を回す。
「ん……っっ」
 正樹の唇の感触が乃絵美の唇に心地よく伝わってくる。
「今日はよく頑張ってくれたから、そんな真奈美ちゃんに、特別にプレゼントだ」
「あっ……ああっ!」
 再び唇を重ねると、「真奈美」をすっとベッドの方へ押し倒す。
 乃絵美は正樹の手に抱かれたままベッドの中に身を沈めた。
「あ…………んっっ」
 ロムレットの制服越しに胸を揉まれ、思わず声を上げて身をよじらす。
 少し堅い制服の生地とブラの生地が乃絵美の胸を、乳首を刺激してゆく。
「ま……正樹君……」
 何時も自分でいじっている時の何倍もの刺激が加わっているのではないかと思えるような刺激が乃絵美の体を駆け巡る。すぐ乳首がピンと立って、ブラの布と擦れて刺激が増す。
「おやぁ、真奈美ちゃん、もぅ乳首を立たせているの? いつもより感じやすいみたいだね」
「ま、正樹君が……立たせているんだよぉ……ああっっ!」
 「真奈美」は甘い吐息混じりの声で、正樹に言葉を返す。
 その言葉の返礼に、正樹の手がそのまま「真奈美」のスカートの中へと入れられてゆく。 すーっと正樹の手が「真奈美」の太股をなぞって股間へと伸びる。
 白いストッキング越しに正樹の指の感触が伝わって、「真奈美」を刺激した。

236 名前:「妹と恋人の境界線」11[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 12:59:16 ID:1fHQ/69P
「いゃあ……っんっっ!」
 薄いショーツの布越しに秘所を撫でられて、思わず声を上げてしまう。秘所を指で撫でられる度に、顔と言わず全身が熱く庫れる様な感覚が支配していくのが感じられる。直ぐに秘所からは熱い密が溢れて来て、ショーツを濡らして、正樹の指に絡みついてくる。
「真奈美ちゃん……」
「えっ? ……きゃっ!」
 正樹は「真奈美」をうつ伏せにさせて、腰を持ち上げる。
 ヒップが持ち上げられて自然と四つん這いの姿勢になり、小振りなヒップが正樹の目の前に広げられた。
 ショーツの上からヒップを揉まれると、ショーツの布地とヒップが摺れるのと揉まれる感触とが重なり、心地良い刺激となって乃絵美の体を駆け巡り、秘所からの蜜が更に溢れる。
「こんなにして……真奈美ちゃん結構いやらしいね」
「まさ……き、くんが……ああっ……っ!」
 乃絵美は艶の掛かった声で正樹の言葉に答えようとすると、正樹は「真奈美」の秘所をショーツの上から舌で版める。
 ショーツがぐっと秘所に押し付けられて花弁と摺れる。蜜が絡まっているので痛くは無いが、秘所を舐められていると言う事の恥ずかしさが乃絵美を襲って興奮となって行く。
「あぁ……んんっ」
 正樹にショーツを説がされ膝までずり下ろされる。ショーツの秘所が当っていた部分から蜜が何本も細い糸を引いてゆく。ショーツを説がされて秘所が急に外気に晒されてヒヤッとする。
 小振りなヒップも、締まったアヌスも、蜜で濡らした花弁も秘所も……制服を着たままスカートを捲くり上げられ、下半身の全てを正樹に見られている。
 乃絵美は恥ずかしさで顔を真っ赤にした。
 更に正樹は舌で秘所を愛撫する。指とは違った少しざらついた舌の感触が花弁から全身へと駆け巡り、更に蜜を溢れさせる。更に菅を指で弄られるとそれだけで身を握って逃げ
出したくなるくらいの刺激が乃絵美を支配していく。
「正樹君……もう駄目……」
 ぶるぶる小刻みに秘所を震わせながら乃絵美は正樹の方を見る。秘壷からの蜜が滴り落ちてベッドのシーツを濡らしてゆく。
「じゃあ、そろそろいい?」
 今日は危険日ではない、とかろうじてそんなコトを思った乃絵美は、首を縦に振る。
「あっ!……んっっっっ……」
 正樹は乃絵美の秘所に口付けすると、舌で蜜を凪め取って塗り広げる。
 ペチャペチャといやらしい音が部屋に響いた。
 さらに正樹は自分の肉体の先を乃絵美の花弁に擦り付けて濡らしてゆく。擦り付けられる度に熟い肉体の感触が花弁に伝わってくる。
 「真奈美ちゃん……いくよ」
 そう言うと、正樹は乃絵美のヒップを抱えて、程よく乃絵美の蜜で濡れた肉体を花弁の中へ挿入する。
 「あっ……いあっあああっっっ!」
 ズブズブッッと乃絵美の花弁は正樹の分身を啼えていく。
 乃絵美は熱い肉棒が膣内に入ってくると身悶えしながらグッと目を閉じる。
 しかし、予想したような破瓜の痛みはなかった。
 (そう言えば、チャムナさんが、この身体は元の真奈美ちゃんと同じようにしたって言ってたっけ)
 つまり、今の「真奈美」の身体は処女ではないということなのだろう。
 一抹の寂しさと大きな安堵、そして「この体は正樹に女にされたのだ」という奇妙な愉悦を感じる乃絵美だったが、正樹が動き出すとともに、すぐに何も考えられなくなる。
 膣の奥に正樹の肉棒が当って子宮の入り口が刺激されて更に蜜を溢れ出させる。
「ああっ……ま……正樹君っっ!」
 肉襞できつく正樹の分身を締め付けながら乃絵美は喘ぎ声を上げる。
 更に正樹の手が「真奈美」の雌芯を弄くると、「真奈美」はシーツを掴み、歓喜の声を上げながら体を震わせる。

237 名前:「妹と恋人の境界線」12[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 13:00:08 ID:1fHQ/69P
 ズブズブッと可愛い乃絵美のヒップの中心で正樹の肉林が動いている。
 早めたり、ゆっくりと動かしたり……緩急のリズムが乃絵美の体内に響いて来る。乃絵美は興奮でどこか遠くへ飛んでいってしまうような感覚に襲われて来た。
「駄目、まさき……くん、もぅ……」
「真奈美っ!」
 「真奈美」が切ない表情で正樹の方を見る。そろそろ限界の様だ。正樹は更に肉棒を動かす速度を速める。
 体の奥深くを突き上げられている感覚に乃絵美は限界に遠した。
「ひゃあっ…………あああっっっ!」
 ギュッとヴァギナを締め付け、ガクガクッと全身を痙攣させて乃絵美が遠すると同時に正樹は「真奈美」の胎内に正樹自身を解き放つ。
 ドクドクッと乃絵美の胎内に熱い物が流れ込む。
「あぁ…っ……正樹君のが……はいって、くる……」
 乃絵美は恍惚とした表情で呟いた……。

 * * * 

 その後、すっかり元気を取り戻した「真奈美」は学園の制服に着替えて、乃絵美の部屋で、私服に着替えた「乃絵美」と相談する。
 最初はふたりとも互いの顔を窺うように無言のまま見つめあっていたのだが、思い切って「乃絵美」──本来の真奈美が話を切り出した。
「ねぇ、乃絵美ちゃん。この入れ替わりなんだけど……もう2、3日続けるってのはダメかなぁ?」
「え!?」
 意外な真奈美の言葉に乃絵美は目を白黒させる。
 兄を深く想う自分としては願ってもない申し出だが、真奈美の方はそれでよいのだろうか?
「うん。だって、乃絵美ちゃんの方は、今日学校で「真奈美」として正樹君とずっと一緒にいただろうけど、私の方は、まだ"乃絵美として"妹気分をほとんど味わってないんだよ?」
 なるほど、言われてみれば確かにその通りだ。今朝、学園に行く途中で家を出てから入れ替わったのだから。
「私は別に構わないけど……」
「本当!? じゃあ、ぜひお願い!」
 真奈美いわく、一度でいいから妹として兄に甘えてみたいらしい。
 苦笑しながら乃絵美は了解した。
「──それでね、せっかくだから、菜織ちゃんたちには、今日ここで元に戻ったみたいに見せかけるってのはどうかな?」
「あ、それはいいかも」
 今日一日、結果的に菜織と美亜子の思惑に振り回された形なのだから、それくらいの悪戯は許されてしかるべきだろう。


238 名前:「妹と恋人の境界線」end[sage] 投稿日:2009/12/23(水) 13:02:12 ID:1fHQ/69P
 菜織たちの元にふたりが戻ってくる。
「お、ふたりとも来たわね」
「ねぇ、もう元に戻ったの?」
「うん、ご覧の通りだよ、菜織ちゃん」
 乃絵美の私服を着ていることをアピールする「乃絵美」。どうやら、最初からそのつもりで着替えたらしい。
「ふふふ、結局、正樹はアンタたちの入れ替わりに気がつかなかったわねー」
「どうする? 明日にでも言っちゃう?」
「あ! 待って、美亜子ちゃん。実はその……言いにくいんだけど、私、昼休みに"お兄ちゃん"にキスされちゃったの」
 「乃絵美」が目を伏せる。
「ええっ!!」
「ま、まぁ、真奈美ちゃんだと思ってたわけだしねぇ」
「う、うん。でも、それをお兄ちゃんが知ったらきっとお互い気まずい雰囲気になるような気がするんだ」
「た、確かに!」
「はぁ……仕方ないか」 
 首謀者のふたりも渋々暴露をあきらめたようだ。
「あーあ、せっかくのからかうネタだったのになぁ」
「美亜子、考え方を変えるのよ。正樹が知らない私たちだけの秘密をコッソリ隠してるって」
「にゃるほろ~、それはソレでアリよね!」
 と、騒々しい二人と彼女らのお目付け役の冴子とともに、「真奈美」も伊藤家の玄関を出る。
「じゃあ、「真奈美」ちゃん、また明日ね」
「うん。「乃絵美」ちゃんも気をつけて」
 ふたりの少女は余人の知らない秘密を隠してクスクス笑い合って別れたのだった。

 * * * 

 その後、乃絵美は正樹の「恋人」である「真奈美」、真奈美は正樹の「妹」である「乃絵美」というポジションに、互いにすっかり満足してしまっていた。
 いちばん近い位置にいながら決して結ばれない"妹"という立場に乃絵美は密かに絶望し、逆に真奈美の方は恋人や妻と異なり、何があろうと変わらず傍にいて守ってもらえる"妹"という立場をコッソリ羨んでいたのだから、ある意味当然かもしれない。
 「2、3日間だけ」というつもりが、居心地の良さに互いに「戻ろう」と言いだせないまま、一週間が過ぎ、一カ月が経ち……すでに、あの入れ替わりから半年近くが経過していた。
 最初こそ学校の勉強などで(とくに乃絵美は)多少苦労はしたものの、しばらくするとそれにも慣れた。
 もとより性格や嗜好が比較的近かったというのもあるし、交友関係もほとんどカブっていたので、そういった面ではほとんど苦労することもない。
 最近ではふたりとも、自分が本来誰であったかを意識することなく、それぞれ「真奈美」、「乃絵美」としての日常を謳歌しているのだ。
 もちろん、正樹は「乃絵美」を妹として慈しみ、「真奈美」とは恋人として愛を交わしている。菜織たちもふたりが元に戻っていないなんて夢にも思っていなかった。

 そして今日、「真奈美」は真奈美としての最後のピース──チャムナ達精霊の宿った絆のペンダントを「乃絵美」から受け取った。
 「これは、真奈美ちゃんが身につけているべきものだから」と。
「チャムナさんは驚くかもしれないけど……これが私たちの幸せの形だから」
 そう呟いて、「真奈美」はベンダントを首にかけ、胸元に落とした。
 ペンダントは彼女の言葉に頷くように、一瞬だけキラリと光ったのだった。

  • FIN-

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最終更新:2009年12月23日 21:53