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**雹@神聖巫連盟様からのご依頼品  貴方とお茶を  本日晴天。杏のファームは今日も平和である。  silver vine。杏のファームに存在するNW中でも有名な喫茶店である。  看板猫のスピキオがあーんとあくびをしている。  店長の結城杏は贈答品コーナーの品を並べており、店員の優羽カヲリと四方無畏は掃除をしていた。  カラン  スキピオがぴくりと首を動かして鐘の音の方角を見る。  ドアが開いたのだ。 「あっ、いらっしゃいませー」  杏は笑顔でお客を出迎える。  メガネで着物の青年がエスコートしているのは、アンティークドレスを着て眼帯をつけた女性である。  女性は店をぐるりと見回して口に手を当て微笑んだ。  店の棚はいつもカヲリと四方が掃除しているので埃一つ積もる事もなく、品もいつも杏が整理しているので綺麗に並んでいる。 「綺麗ですね」  店を見て女性はにこりと笑った。 「ですねー」  男性は女性に「こちらへ」と言って席についた。  男性の顔は赤い。  オーと無言でカヲリと四方は顔を見合わせた。  デートである。デートに自分達の店が使われるのはすごいなあと思ったのである。  その二人の頭上でパンパンと杏が手を叩いた。 「はーい、お客さんのご注文ご注文―。オイラはキッチン行って来るよー」 「了解―」  かくして、silver vineの喫茶コーナーお客様第1号のおもてなしと相成ったのである。 /*/ 「何にしますか?」  雹は緊張した声でヴァンシスカに尋ねた。  ヴァンシスカにメニューをぱらりと捲って答えた。 「クッキーと紅茶を」  ヴァンシスカはすごいなあと雹は素直に思った。彼女は本来フランス革命前後の人なのだから、ここの文化はほとんど異文化と言ってもおかしくない。慣れるのがすごく早いのだ。雹は頭の中で財布と相談した。  うん。国に支払ってもらうからいい。大丈夫。  雹はカウンターの方に手を挙げると、店員がやってきた。 「すみません、紅茶二つと、クッキー、ホットケーキを下さい」  何度もメニューを辿って、店員にそう告げると、すぐにセットが出てきた。  ほっこりと湯気が出ているのがおいしそうである。  ヴァンシスカが花がほころんだように笑った。とても嬉しそうである。 「いただきまーす」と言いながら雹ははて、と思ってヴァンシスカを見た。  ヴァンシスカはうっすらと頬を赤らめた。 「甘いもの、好きなんです」  彼女はそう言うとクッキーを少しずつ口に入れながら食べ始めた。  小動物みたいな感じが可愛らしい。  雹はそんな彼女を見て安心してからシロップを回してかけてからホットケーキを一口大に切って頬張った。  素朴な店の雰囲気と同じく、ホットケーキもほっとするような味がした。 「おいしいですー」  思わず声に出すとヴァンシスカがきょとんとした顔でこっちを見てきた。  雹は少し照れた後、ホットケーキをもう一度一口大に切った。 「ホットケーキちょっと食べますか?」  フォークで刺してヴァンシスカに見せてみるが、彼女は首を振った。  うん、やっぱり異文化に慣れつつあっても食習慣まではそう簡単に変わらないか。 「そうですか」  雹はそう言ってからフォークに刺したホットケーキを口に入れた。  シロップが少し染み込んでいて甘かった。 /*/ 「ふー 今日はいろいろ見て回って疲れました」  雹はふーっと息を吐いた。  国にいる間はデートとは程遠い事をしていた。  国内が極度に人が増えた関係で、治安が悪くなったり物価が上がったりして、少しずつ歪みが生じているのが気になったのである。  ヴァンシスカと二人、馬に乗って国のあちこちを見て回った。  国の水質汚染やゴミのポイ捨てなどが起こっているのが悲しい。  まあいい事もあった。  藩王の爵位が上がった事で、お金が入るらしいので、これらの問題はおいおい解消される事だろうと言うのが分かった。まあきちんと内政を立てればの話だが。  デートらしくないデートだったが、ヴァンシスカは雹の横で笑っていた。  国の見回りが終わった時、彼女はにっこりと笑ってこう言ったのだ。 「お疲れ様でした」  彼女は雹に少しずつ言葉を教えてもらって、流暢に国の言葉を話せるようになったのである。  雹は彼女の笑顔で、疲れも癒されたのであった。  そして今も。 「ゆっくりくつろげるといいですね」  ヴァンシスカは優雅に笑いながらそう言い、お茶を飲んでいた。  お茶はほのかに柑橘類の匂いがした。 「お仕事っぽいことばっかりで、つまらなかった とか……?」  雹はおずおずとお茶を少し口に含みながらヴァンシスカを見た。  彼女はゆっくりと首を振った。 「いいえ、ちっとも」  ヴァンシスカはそう言って笑った。  雹は少し舞い上がり、勢いに任せて紅茶を一気飲みし、火傷をして舌を出した。  ヴァンシスカは手を口に当てて、クスクス笑った。  雹も釣られて、笑い出した。  店に二人のクスクスと言う笑いが溢れた。 /*/ 「ありがとうございましたー」  ドアはカランと言う音と共に閉まった。 「ラブラブだったね」 「うん。ラブラブ」  店員達は仲良く寄り添って帰っていったお客様を見送ってからこう言った。 「馬でデートってのも新しかったね」 「まあNWだったら色んな人いるけどねえ」  店員達の囁きを知ってか知らずか、スピキオは再度あーんとあくびをした。  本日晴天。杏のファームは今日も平和であった。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - あの瞬間にもう一度戻った感じがして、ひっじょーに楽しめました(`・ω・´)  ありがとうございます! -- 雹@神聖 (2008-11-14 10:32:01) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:雹@神聖巫連盟様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1228&type=1178&space=15&no= 製作:多岐川佑華@FEG http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1648;id=UP_ita 引渡し日:2008/11/14 ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|
**雹@神聖巫連盟様からのご依頼品  貴方とお茶を  本日晴天。杏のファームは今日も平和である。  silver vine。杏のファームに存在するNW中でも有名な喫茶店である。  看板猫のスピキオがあーんとあくびをしている。  店長の結城杏は贈答品コーナーの品を並べており、店員の優羽カヲリと四方無畏は掃除をしていた。  カラン  スキピオがぴくりと首を動かして鐘の音の方角を見る。  ドアが開いたのだ。 「あっ、いらっしゃいませー」  杏は笑顔でお客を出迎える。  メガネで着物の青年がエスコートしているのは、アンティークドレスを着て眼帯をつけた女性である。  女性は店をぐるりと見回して口に手を当て微笑んだ。  店の棚はいつもカヲリと四方が掃除しているので埃一つ積もる事もなく、品もいつも杏が整理しているので綺麗に並んでいる。 「綺麗ですね」  店を見て女性はにこりと笑った。 「ですねー」  男性は女性に「こちらへ」と言って席についた。  男性の顔は赤い。  オーと無言でカヲリと四方は顔を見合わせた。  デートである。デートに自分達の店が使われるのはすごいなあと思ったのである。  その二人の頭上でパンパンと杏が手を叩いた。 「はーい、お客さんのご注文ご注文―。オイラはキッチン行って来るよー」 「了解―」  かくして、silver vineの喫茶コーナーお客様第1号のおもてなしと相成ったのである。 /*/ 「何にしますか?」  雹は緊張した声でヴァンシスカに尋ねた。  ヴァンシスカにメニューをぱらりと捲って答えた。 「クッキーと紅茶を」  ヴァンシスカはすごいなあと雹は素直に思った。彼女は本来フランス革命前後の人なのだから、ここの文化はほとんど異文化と言ってもおかしくない。慣れるのがすごく早いのだ。雹は頭の中で財布と相談した。  うん。国に支払ってもらうからいい。大丈夫。  雹はカウンターの方に手を挙げると、店員がやってきた。 「すみません、紅茶二つと、クッキー、ホットケーキを下さい」  何度もメニューを辿って、店員にそう告げると、すぐにセットが出てきた。  ほっこりと湯気が出ているのがおいしそうである。  ヴァンシスカが花がほころんだように笑った。とても嬉しそうである。 「いただきまーす」と言いながら雹ははて、と思ってヴァンシスカを見た。  ヴァンシスカはうっすらと頬を赤らめた。 「甘いもの、好きなんです」  彼女はそう言うとクッキーを少しずつ口に入れながら食べ始めた。  小動物みたいな感じが可愛らしい。  雹はそんな彼女を見て安心してからシロップを回してかけてからホットケーキを一口大に切って頬張った。  素朴な店の雰囲気と同じく、ホットケーキもほっとするような味がした。 「おいしいですー」  思わず声に出すとヴァンシスカがきょとんとした顔でこっちを見てきた。  雹は少し照れた後、ホットケーキをもう一度一口大に切った。 「ホットケーキちょっと食べますか?」  フォークで刺してヴァンシスカに見せてみるが、彼女は首を振った。  うん、やっぱり異文化に慣れつつあっても食習慣まではそう簡単に変わらないか。 「そうですか」  雹はそう言ってからフォークに刺したホットケーキを口に入れた。  シロップが少し染み込んでいて甘かった。 /*/ 「ふー 今日はいろいろ見て回って疲れました」  雹はふーっと息を吐いた。  国にいる間はデートとは程遠い事をしていた。  国内が極度に人が増えた関係で、治安が悪くなったり物価が上がったりして、少しずつ歪みが生じているのが気になったのである。  ヴァンシスカと二人、馬に乗って国のあちこちを見て回った。  国の水質汚染やゴミのポイ捨てなどが起こっているのが悲しい。  まあいい事もあった。  藩王の爵位が上がった事で、お金が入るらしいので、これらの問題はおいおい解消される事だろうと言うのが分かった。まあきちんと内政を立てればの話だが。  デートらしくないデートだったが、ヴァンシスカは雹の横で笑っていた。  国の見回りが終わった時、彼女はにっこりと笑ってこう言ったのだ。 「お疲れ様でした」  彼女は雹に少しずつ言葉を教えてもらって、流暢に国の言葉を話せるようになったのである。  雹は彼女の笑顔で、疲れも癒されたのであった。  そして今も。 「ゆっくりくつろげるといいですね」  ヴァンシスカは優雅に笑いながらそう言い、お茶を飲んでいた。  お茶はほのかに柑橘類の匂いがした。 「お仕事っぽいことばっかりで、つまらなかった とか……?」  雹はおずおずとお茶を少し口に含みながらヴァンシスカを見た。  彼女はゆっくりと首を振った。 「いいえ、ちっとも」  ヴァンシスカはそう言って笑った。  雹は少し舞い上がり、勢いに任せて紅茶を一気飲みし、火傷をして舌を出した。  ヴァンシスカは手を口に当てて、クスクス笑った。  雹も釣られて、笑い出した。  店に二人のクスクスと言う笑いが溢れた。 /*/ 「ありがとうございましたー」  ドアはカランと言う音と共に閉まった。 「ラブラブだったね」 「うん。ラブラブ」  店員達は仲良く寄り添って帰っていったお客様を見送ってからこう言った。 「馬でデートってのも新しかったね」 「まあNWだったら色んな人いるけどねえ」  店員達の囁きを知ってか知らずか、スピキオは再度あーんとあくびをした。  本日晴天。杏のファームは今日も平和であった。 ---- **作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) - あの瞬間にもう一度戻った感じがして、ひっじょーに楽しめました(`・ω・´)  ありがとうございます! -- 雹@神聖 (2008-11-14 10:32:01) - 書かせていただきありがとうございました。とても仲いいログだなあと思いました。これからもヴァンシスカとお幸せに。 -- 多岐川佑華@FEG (2008-11-14 12:47:00) #comment(,disableurl) ---- ご発注元:雹@神聖巫連盟様 http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one&namber=1228&type=1178&space=15&no= 製作:多岐川佑華@FEG http://cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=1648;id=UP_ita 引渡し日:2008/11/14 ---- |counter:|&counter()| |yesterday:|&counter(yesterday)|

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