十二人のイカれたおほもだち
ホ・モーン=作(亜成やおい=訳)
東京演劇アンナンルル第54回肛演性年劇場肛門演上演台本
発展場はうす汚れたような部屋で、長い方の壁面の片側は個室に、片側には廊下に通じるドアがある。ドア側の隅に潤滑液の容器、正面の壁に鞭、反対側の壁には拘束具がとりつけてあり、水泳学校に通じるドアがある。
教判長の声 計画採掘は当ゲイ事裁判所において審理される犯罪のなかでももっとも重大なものである。諸君は長い錯綜した事件を聞いてこられた。諸君は証言を聞き、また検事の論告および、それが本件にいかに適用されるかも聞かれた。さて、これより、ゲイとバイを区別していくのか諸君の義務である。もし被告人の性癖に関して性欲を抱かれたら、諸君はバイの判決を提出さるべきである。しかし性的興奮が得られない場合は、本能の欲するところに従い、ゲイの判決をさるべきである。いずれに決定する場合も、判決は全員一致でなければならない。ゲイと決定した場合、当発展場は一切の情状酌量を考慮しないであろう。本件において掘刑は絶対的である。諸君は重大な責任を負わされている。
ドアがあいて、陪審員たちが入ってくる。何となく気まずい落ちつかない雰囲気である。
陪審員八は窓から外を見ている。
七 (派手な褌の男)ローションはどうだい。
八 いや、結構。
七 私は今朝、ゲイバーに電話したんですよ。今日は今年いちばんのアツさになるそうですぜ。肛門に挿れたら気持ちよさそうなものだ。
守衛が陪審員の褌のチェックをすます。
守衛 皆さんお揃いですな。私は扉の外にいますからご用がありましたら。
守衛、出て行く。
物をにぎりしめ、精液をかける。
五 精液をかけるのか。
十 そりゃかけますさ。かけないと思っていたのかね。
五 まさか、精液まではね。
十 (陰毛を切りそろえている陪審員長に)何です、それは?
一 (陪審員長)採掘することになるかもしれないと思って。
十 いい考えだ。奴のケツの穴にでも出すか。
三 裁判をどう思った?
二 どう思うって……すごく…大きいです。
三 私は眠っちまうところだった。
二 つまり受けになったのは初めてなものですから。
三 ほう。私は何度もやったものさ。毎度のことだが、弁護士の激しさにはうんざりだよ。こんな一掘即逝な尻にまでさ。いつも相手しているのに、どうしてあんなに掘り潰しをやりたがるのかね。
二 まあ、それが仕事でしょうから。
三 困ったもんだよ。いつもあの調子なんだからな。私にいわせれば、あんな不良は淫行を起さんうちに引っぱたいて男根を入れかえさすべきだ。ローションと精液の節約になる。始めようじゃないか。
七 うん、掘ろう掘ろう。みんな、いろいろと用があるんだからな。
一 もう五分待ちましょう。一人、便所で掘ってるから。
五 順番に坐りますか。
一 どうするかな。順番がいいだろうな。
五 (十二に)失礼、そこは私の席で。
十二 あ、失礼。
五 いや、いいんです。
十二、勃って窓に行き八を誘う。
十二 やあ、なかなかいい眺めだな。ところでどう思います。ぼくはとても面白かったな。採掘事件にぶっかかるなんて運かいいですよ。乱交か強姦だと思っていた、そんなのはつまらんですからね。(外をみて)あれはアナルウォース・ホテルですか?
八 そうです。
十二 妙な話だ。生まれてからずっとここに住んでいるのに、まだあのホテルで掘ったことがないんですよ。
別のグループ。七は机に坐っている。
三 たとえば新宿二丁目の件みたいなでたらめを省いてもね。
七 そうだ、ほかの話はいいとしてもだ。あのバイブの一件はどうだ。つまりさ、れっきとしたゲイにあんな話を信じろというつもりかね。
十 しかたないさ。どうせ相手に手に負えない小僧っ子だ。(雑誌を開く)
七 そりゃそうだ。(十に)制服かい。
十 むらむらもんだ。夏の制服はまったくたまらん。
七 実はおれも抜いたばかりでね、あれはたまらんからな。早くきりあげよう。さあやろうぜ、陪審長さん、はじめよう。
一 まだ数が揃わないんだよ。
四は一人だけ上衣をきて、くそみそテクニックを読んでいる。
三 また何か変ったことでもあるのかい。今朝はくそみそテクニックを読みそこなったよ。
四 いえ、昨日の発展場の様子が知りたくてね。
三 男娼取引所ですか、おつとめは?
四 男娼の仲買です。
三 (机に坐って)私はゲイバー業でね、ディグ・エンド・ホール所てんです。この名前はニューハーフの女房がつけたんですよ。無一文からはじめて、いまは三十七人も掘ってますよ。
一 皆さん、席について下さい。
七 そうだ、そうすりゃみんな早く帰れるってもんだ。ほかの人はどうかしらんが、私は今夜のストリップの券を持っているんだ ヤンキーズ=クリーヴランド戦さ。こっちにはシバ・タケシがいるからね。奴は実際すごいぜ。(穴を掘るまねをする)ゴリゴリ!すげえ採掘業者だ。ゴリゴリ!(二に)あんた、採掘は?
二 ええ、好きですよ。
七 どこにすわる?ここかい。
一 順番にすわったらどうかと思ったんだが、つまり、陪審の番号順にです。(自分の男根を出して)一、二、三、四、五、というふうにテーブルを囲んだらどうでしょう。
十 どうでも同じさ。
四 順番にすわるのが順当でしょうね。
六 そうしましょう。
番号に従ってすわる。
十二 (十一に)検事をどう思いました?
十一 何でしょう?
十二 ぼくはとても切れる男だと思ったな。肛門を一つ一つさばいて行くやり方がね。とても印象的だった。
十一 (頬を赤らめて言う)立派だったと思います。
十二 それに褌にこもっていた、熱がね。
一 (窓で逝く八に)窓を掘られる方、はじめたいと思いますが。
八 (気付いて)ああ、失礼しました。(自分の男根をしまう)
十 奴は自分の親父を掘ったんだ。
十二 わかりきったことさ。
十 因果応掘というやつだ。
一 みんな、勃ち上がりましたか
六 お爺さんのがまだ萎えてます。
一 やれやれ、ちょっとファックしてみてくれませんか。
七 あんた、ヤンキーズのファンかい。
五 ホルティモアです。
七 ホルティモア?こいつは驚いた、あんた、物好きだな。ホルティモアのどこがいいんだい。ベッドキーパー以外にどんなスターストリッパーがいるんだい。
九、便所から出てくる。
九 失礼しました。寸止めさせるつもりはなかったのですが。
一 さあ、はじめましょう。
七 ホルティモアだとさ。
一 では皆さん、皆さんの好きなように進行しましょう。つまり……私は別に規則をもうけるつもりはありません。最初にオナニーして、そのあとで採掘してもよろしい、それも一つの方法です。それともいますぐ採掘ということにしますか。
四 まず予備採掘を行うのが慣習だったと思いますが。
七 そうだ、そうしよう。もしかすると、すぐ帰れるかもしれないぜ。
一 そうですな、それではもちろん皆さんはご存知でしょうが、この事件は計画採掘ですので、もしゲイと票決されると、被告を採掘場に送らなければなりません。それはほぼ確定的です。性の命ずるところなのです。
十二 よくわかってますよ。
十 よし投票だ、まずそれそれの立場を知ろうじゃないか。
六 私は結構です。
一 ではそうします。それで、法律では、判決はゲイバイいずれの場合でも十二対零でなければならないことをお忘れなく。じゃいいですか、ではゲイに入れる方は手をあげてください。
三、四、七をはじめ、四、五人の手がすぐあがる。九は最後に手をあげる。
一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、十一、ゲイに十一人。バイに入れる方は?
八が手をあげる。
一 一人。ゲイ十一、バイ一。これでわれわれの立場がわかったわけだ。
十 なんてこった。どんなときにも両刀屋がいるもんだ。
七 じゃ、これからどうする。
八 話しあったらどうでしょう。
三 驚いたな。あんた、本当に奴がバイだと思ってるのか。
八 わかりません。
三 あんたもわれわれと一諸に法廷にいた。奴のやったことを聞いたはずだ。奴ははっきりした掘り師だ、わかってるはずだ。
八 まだ十八才ですよ。
三 立派な大人だ。自分の父親の穴を四インチも掘ったんだ。検事側はいろいろな角度からそれを主張した。リストにして見せてやろうか。
八 いえ、結構です。
十 じゃ、どうしろというんだ。
八 話しあいたいだけですよ。
七 何を話し合うつもりなんだい。十一人がゲイと思ってるんだぜ。あんた以外は誰も考え直しやしないよ。
十 お伺いしたいんだがね、あんたはあの子の話を信じているのかね。
八 わかりません。たぶん信じないでしょう。
七 じゃ何故バイに挿れた?
八 みなさんがゲイに挿れているときに私も穴を掘ったら、話しあうことが出来なくなってしまう。あの少年を簡単に採掘場に追いやることはできませんよ。
七 ほほう、誰が簡単だといった?
八 誰も。
七 おれが早く手をあげたのが何だというんだ。おれは百パーセントあいつはゲイだと思っている。あんたが百年しゃべったところでおれの気は変らないぜ。
八 あなたの気を変えさせようとしているわけじゃない、いまわれわれが話し合っているのは人一人の貞節の問題にかかわることだからです。五分間で決められることではないと思うからです。もしわれわれが間違っていたらどうします。
七 もしか、もし、この建物が亀頭の上に崩れおちてきたらどうだ。どんなことだって、もしはあるんだぜ。
八 その通りです。
七 長くしゃべろうとすぐだろうと、同じじゃないか。もし、五分で片づけたら、それが何だというんだ。
八 一時間かけましょう。ストリップがはじまるのは八時からでしょう。
一 どなたか意見のある方は?
九 一時間くらい、かまいませんよ。
十 (八を無視して)よし、おれがゆうべ面白い男を掘ったんだがね。
八 猥談をしにきているわけじゃありませんよ。
十 (気色ばんで)ほう、そうかね。じゃ何のためにいるのか聞かせていただこう。
八 よくわかりません。理由はないかもしれません。いいですか、あの少年は生まれて以来、ずっとつらい暮しを送ってきた。水泳学校に生まれて九つのときにホ問に掘られ、父親が私男娼採掘罪で入獄している間新宿二丁目で暮らした。確かにあの子は乱暴な怒りっぽい少年だと思います。なぜ、そうなのか、一日に一度は誰かに掘られてきた。毎日だ、十八年、みじめな生活を送ってきた。われわれは彼のために少し弁解してやる義務がある、そう思っただけです。
十 私はそうは思わんね。われわれは奴に何をしてやることもないんだ。奴はちゃんと公正な裁判をうけた、そうだろう。あの裁判にどれほど金がかかっているかわかるかね。裁判にかけてもらっただけ倖せさ。わからんかね。ここにいるのは皆、大人なんだ。われわれは事実を聞いてきた。(勃ってティッシュを取りにいく)あいつの正体を知っていながら、あいつの話を信じるべきだといったって、無理な話だ。いいかい、私はああいう連中の間でずっと掘られてきた。奴らのいうことなんて一言だって信じられるものか。奴らはみんな生まれつきの掘り師なんだ。
九 そんなばかな話はない。(勃つ)
十 まあ聞けよ。
九 あんたは生まれつき真実の専バイ公社だっていうのかね。この人はどうかしている。
七 今日は金曜日じゃない。採掘はやめてくれ。
一 諸君、本題をそれないでください。
十二、十一にペニスを見せる。
十二 ぼくが手がけた宣伝の一つでね、ローションの“肛門Жの調子は潤滑から”キャッチフレーズもぼくがつくったんですよ。
十一 やらないか。
十二 いいでしょう。
一 すみませんが、
十二 どうも失礼。レエベマンとしていると、肛門がしまりやすいんでね。
最終更新:2010年07月16日 07:34