東野圭吾「手紙」(2002)

評価

★★★☆

ひとこと

  • 東野圭吾の代表作の1つ、らしい。
  • 東野圭吾は作風の違った作品を書いているが、「感動を生む」というよりは、「ふと立ち止まらせる」一作と言った方がよいかもしれません。
  • 主人公と同年代の頃に読むとよかったかな~。高校生から大学生くらいのまだまだ多感な世代にお薦めしたい一作です。
  • 三浦綾子の「氷点」を思い出しました。また読み返してみようかと思います。


分類



ネタバラシ作品(この本より先に読め!作品)


ネタバラサレ作品(この本より先に読むな!作品)



気になる表現

しかしね、本当の死と違って、社会的な死からは生還できる。
その方法は一つしかない。こつこつと少しずつ社会性を取り戻していくんだ。他の人間との繋がりの糸を一本ずつ増やしていくしかない。(p321)

逃げずに正直に生きていれば、差別されながらも道は拓けてくる-君たち夫婦はそう考えたんだろうね。若者らしい考え方だ。しかしそれはやはり甘えだ。自分たちのすべてをさらけだして、その上で周りから受け入れてもらおうと思っているわけだろう?仮に、それで無事に人と人との付き合いが生じたとしよう。心理的に負担が大きいのはどちらだと思うかね?<中略>
その、いついかなる時も正々堂々としているというのは、君たちにとって本当に苦渋の選択だろうか。私にはそうは思えないな。わかりやすく、非常に選びやすい道を進んでいるとしか思えないが。(p373)

やがて気づいた。これは彼にとっての般若心経なのだとね。こちらからストップをかけないかぎり彼は手紙を書き続ける。ではストップをかければいいのか。そこで私の中に迷いが生じた。彼の手紙を止めることは事件の完全な終結を意味する。事件を終わらせていいのか。告白すると、事件の終わりを受け入れる決心がつかなかった。<中略>
それを読んで、私は決心したんだよ。もう事件を終わらせよう、とね(p411)


メモ

参考

主人公

武島直貴 強盗殺人犯の弟

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最終更新:2010年08月21日 18:15