宮台真司「日本の難点」(2009)
評価
★★★☆
ひとこと
- 問題提起の一冊。
- 【処方箋】かと言われると違和感があるが、誰でも目にすることができ、誰にでもなんでも言えてしまう「今の日本」を抽象度を上げたもの。このような入門書はなかなかないと思う。
- でもターゲットは社会学を学ぼうとする学生向け。
- 一見とっつきやすそうな目次だが、基本的な社会学の素養がない人には勧めない。
- 一応社会学士の私ですが、もうちょっと基礎を学ばないとダメだなと反省しきりです。
分類
目次
第一章 人間関係はどうなるのか コミュニケーション論・メディア論
- 若者のコミュニケーションはフラット化したか
- ケータイ小説的-コンテンツ消費はどのように変わったのか
- 出版大恐慌、テレビも新聞も大凋落、マスメディアは生き残れるか
- 社会情勢の変化は人々のライフスタイルをどう変えたのか
- 「彼女がいても心は非モテ」という若者の不思議な自意識とは
- 相次ぐ休刊、「雑誌は要らない」か
第二章 教育をどうするのか 若者論・教育論
- 「いじめ」は本当に決してなくせないのか
- 「ネットいじめ」「学校裏サイト」から子どもを守れるか
- モンスターペアレンツやクレーマー対策とは
- モンスターペアレンツ保険は仕方がないか
- 教育の崩壊は本当にゆとり教育の「失敗」のせいか
- 子どもに「人の死」を教えられるか
- 「人の死」をどう教えるか
- 「早期教育」は本当に有効か
- 子どもに教えるのは「他人に親切」か「他人を見たら泥棒と思え」か
- 「真の早期教育」とは
- 実践している「幼児教育」とは
第三章 「幸福」とは、どういうことなのか 幸福論
- 「自分だけ幸せならそれでいい」のか
- 自己決定論の現在-「宮台真司」の主張は以前と今で矛盾しているか
- 日本人は宗教についての基本的理解がないか
- 日本人にも分かる「宗教」とは
- 自殺率は下げられないのか
- 「他人に迷惑をかけなければ何をしてもOK」か
- された方がそう思ったら「セクハラ」か
第四章 アメリカはどうなっているのか 米国論
- オバマ大統領の演説は一体どこがすごいのか
- どうして、アメリカは大統領制なのか
- 選挙で代表は選べるのか 多数決は正しいのか
- 豹変する米国 「オバマのアメリカ」はどう変わるか
- アメリカに守ってもらうために、対米追従は仕方がないのか
- どうして、日本の政治はダメになったのか
- 沖縄の在日米軍基地はどうなるのか
- 金融資本主義は諸悪の根源か
- 金融資本主義は乗り越えられるか
第五章 日本をどうするのか 日本論
- 後期高齢者医療制度は現代の「うば捨て山」か
- 裁判員制度-司法の民主化か、新しい動員体制か
- 「環境問題のウソ」はホントか
- 「内定取り消し」日本企業は劣化したか
- 秋葉原殺傷事件は格差社会やグローバル化のせいか
- 現代日本の民主主義は信頼できるか
- 日本におけるエリートとはどういう人か
- 日本の農業、自給率は大丈夫か
- 結局、社会は変えられないのか
メモ
- ポストモダン化
- 「社会の底が抜けている」ことに気付いてしまうこと
- 社会の底が抜ける=どんな社会も恣意的である。それを乗り越えるorやり過ごす働きが壊れる。
- 「社会の底が抜けていること」に気づいてしまった理由は「郊外化」
- 「再帰性」概念=「するも選択、せざるも選択」であることが万人に気づかれた状況を記述。by アンソニー・ギデンズ
- 再帰性の気づきの二段階
- ~1960's 主体こそ社会の構築物にすぎない(フーコー)vs主体の社会への投企を重視(サルトル)
- 1973~ 機能から記号へのシフト(ボードリヤール)、賃上闘争から労働環境闘争へのシフト:自己実現へ
- 社会学:みんなという想像と価値コミットメントの学問
- みんなという想像:G.H.ミード
- 価値コミットメント:タルコット・パーソンズ
- コンテンツ消費の変遷
- ~1973 少女マンガは代理体験
- 1973~86 少女マンガは関係性のもの(これって私の享受)
- 1988~ 短絡化(少女マンガが難しくて分からない子の増加)
- 人間は、利他的な人間の「本気」に感染する
- コミュニケーションのフラット化=「本気」で話したことを「本気」で聞く必要がなくなること
- 本気への感度が下がるとネガティブフィードバックが効きづらくなる
- 重要な他者(Significant Others) by ジョージ・ハーバード・ミード
- 「お前が死んだら俺が哀しい」が効くためにはこの関係構築が必要。
- 格差社会が悪い問題ではなく、誰かなんとか言ってやれよ問題
- サイレントマジョリティが数にモノを言わせてラウド・マイノリティを圧殺する可能性のみ注意を払えばよい。ただしガス抜きとしては有効なのでチャンスは与える。
- 秩序派 vs 自己決定派
- 古典的自由主義(秩序派)から価値多元主義(自己決定派)へ by ジョン・グレイ
- 自己決定派にとっての公共の秩序とは「価値観の違う人たちがうまく棲み分けられるようなプラットフォーム」
- 表現規制からゾーニング規制へ
- Yes, we canとYes, you canの違い。勝利演説以外すべて後者。
- アメリカの特殊性
- コミュニティ(共同体)ではなくアソシエーション(組織体)としての国家(通常の国家はコミュニティ)
- 正統性を絶えず人為的に想像・更新する。選挙、証拠保存の徹底はその手続き。信じる/信じないは別問題。
参考文献
- マル激トーク・オン・デマンド
- 東浩紀「動物化するポストモダン」(2001)
- 伊藤剛「テヅカ・イズ・デッド」(2005)
- ベネディクト・アンダーソン「想像の共同体」
- 宮台真司「サブカルチャー神話解体」(1993)
- 重松清「青い鳥」
- 宇城賢治「古伝空手の発想」
- 宮台真司「制服少女たちの選択」(2006)
- 宮台真司「<世界>はそもそもデタラメである」(2008)
- 宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之助「幸福論」(2007)
- 宮台真司「権力の予期理論」(1998)
- 二クラス・ルーマン「エコロジカル・コミュニケーション」(1986)
- 宮台真司「終わりなき日常を生きろ」(1996)
- NHKスペシャル「ひとり団地の一室で」(2005)
- J.S.ミル「自由論」
- スティーブン・ソダバーグ「チェ 28歳の革命」「チェ 39歳の別れの手紙」
- 宮台真司「14歳からの社会学」
最終更新:2010年08月21日 18:01