上阪徹「六〇〇万人の女性に支持される『クックパッド』というビジネス」(2009)
評価
★★★☆
ひとこと
この本はビジネス書です。料理好き(クックパッドユーザ)にも技術屋にも向きません。
サービス業に従事している人が読むべき一冊かなと思います。
さらっと読める一冊。
ちなみに・・・私もクックパッドを認知していなかったクチです。
(そういえば使ったことはあった)
分類
目次
序章 女性なら知っている。料理サイト「クックパッド」
- 数百万人の女性が、週に一度は訪れている
- どうして五〇万件ものレシピが、投稿されているのか
- たくさん使いたい材料で検索する人も多い
- 二〇万人が広告主の登場を待っている「レシピコンテスト」
- 料理が楽しくなることをやる。それ以外はやらない
第一章 就職を選ばなかった男が、辿りついた目標
- 学生では、すべてがイベントになってしまう悔しさ
- お金の保証を会社に預けてしまう、という恐怖
- 今の世の中の延長戦上に、スカッとした笑顔が出てくるか
- アメリカから日本に戻って知った、日本の食の豊かさ
- ユーザーが“増えない努力”をしていた創業期
第二章 クックパッドは、なぜ「女心」をつかんだのか
- 情報の送り手側はユーザーに甘え、傲慢になっている
- まずはユーザーを正しく理解する、ことから始める
- ただ入力するだけではダメ。楽しく入力できないと
- 説明が必要なサービスは、レベルが低い
- 「肉じゃが」だけで、約二〇〇〇種類もある意味
- 小さなほころびを絶対に放置しない。だから、安心できる
- 一三文字を超えると可読性が下がり、二四文字を超えるとさらに下がる
第三章 細やかなサービスを実現するのは、テクノロジー
- テクノロジーは道具。重要なのは、それで何をするか
- ユーザーの期待を上回る動線を用意できた理由
- ユーザーの印刷率は、ほしい情報が手に入ったかのバロメーター
- PDCAを圧倒的にしやすくするのが「Ruby」だった
- 日本の製品には説明が多い。これではグローバルでは戦えない
第四章 広告を見た人から「ありがとう」といわれるサイト
- マスメディア的なネット広告で果たしていいのか
- 成功や失敗は、自分の意志でコントロールできる
- ユーザー一〇〇万人。でも広告は安易に入れなかった
- 必要なのは、どんな広告が成立し得るか、事例をたくさん作ること
- 広告主にもユーザーにも魅力。レシピコンテスト
- 定番ブランド商品の需要底上げ。典型的な成功例「焼き肉のたれ」
- 意外な商品が大ヒットした「ロングテール商品の再評価」
- なかなか売れなかった商品に、ユーザーから「ありがとう」の声
- メーカー側が思ってもみなかった商品の使い方が生まれた
- 日々の食卓決定しているユーザーに「新商品の垂直立ち上げ」
- 飲料メーカーがクックパッドを使ってプロモーション
- 広告主自らが自信のレシピを提案する「スポンサードキッチン」
- 二週間でプラス二〇万世帯の食卓に、お酢を使った料理が並んだ
- 料理が楽しくなるのなら、どんな広告主でも活用できる
- モノを買うには、理由が必要な時代。動機付けができているか
- お金を払ってくれる顧客だけを見ていると、事業を見誤る
- 検索データベース「たべみる」から見える、本当のユーザーの気持ち
- エリアごとの週次データに出てくるのは「旬」でなく「欲求」
第五章 六〇〇万人を呼び込む「経営」と「マネジメント」
- オフィス環境に徹底的にこだわるのは、それこそ経営力だから
- 一緒に仕事をする外注も、プロかどうかを厳しく選定する
- 新オフィスへの引っ越しパーティーに、佐野が待ったをかけた
- 残業するよりしないほうがトクをする「ノー残業手当」
- インターネットは、まだ社会で一パーセント程度しか生かされていない
優れたモノは、無言語なんです。説明が必要なサービスというのは、やはりレベルが低い。
いくら美しくても、ここをつかんでください、なんて書かれたコップを使わないでしょう。(p61 佐野氏の言)
実は消費者は買いたいんです。買う目的や動機を探しているんです。
そこにポン、とぴったりの理由を見つけてあげる。プッシュしてあげる。
それはウィンウィンを生み出すんです。(p158 佐野氏の言)
メモ
- ユーザが楽しく入力するしくみ(自由度とフォーマットのバランス)
- 材料しか書けない文字量にプログラムにする
- 材料をデータベース化しても面倒だし、楽しくない
- 写真はサーバ側で圧縮・りサイズ・自動修正・トリミング
- 不完全(規律が守られていない)レシピには管理者が確認をとるしくみ(割れ窓理論)
- クックパッド モノづくり三原則
- 無言実行
- 必ず値段をつける
- 無言語化
参考文献
最終更新:2010年08月21日 17:59