伏木亨「コクと旨味の秘密」(2005)
評価
★★★☆
ひとこと
タイトルに惹かれた衝動買い。
予想以上に科学的に書かれた堅い本だったので好感が持てました。
もっと“五感”を大切にしなきゃと思えた一冊でした。
分類
目次
第1話 料理のコクの生理学
- コクとキレ
- ネズミもコクが大好き
- ネズミを太らせる法
- ネズミの好きなビール
- 集合の力
- 甘味が失われた世界
- 栄養はおいしい
- 脳の機能から見たコク
- 味覚のホップ・ステップ・ジャンプ
- 日本酒の時間差攻撃
- 空間的な拡がりの正体
- 口の中で暴れる旨さ
第2話 味わえない美味しさ
- 味覚の外側へ
- 味のない大きな分子
- 豚骨スープも巨大分子
- 性的な食感
- ホットな魅力
- 不均一もキイワード
- 濃すぎると飽きてしまう
第3話 美味の事情
- 卵類は完全栄養系
- ミルクも完全栄養系
- 肉食動物の好み
- 一粒三〇〇メートルの甘味
- キムチの真贋
- 混ぜ合わせの妙
- 「合わせ技一本」系のコク
- 漬ける、浸ける
- こがす、いぶす
- あまのじゃくな「さっぱり系」
第4話 我が家の食は宮廷料理
- 家庭料理は絶品揃い
- カレーのすごさ
- 腐臭の魔力
- 貝の解明
- ニンニクと硫黄
- 孤高の蕎麦
- 最後の牛丼
- 牧場のミルクはなぜうまい
- 飛行機のスープはなぜうまい
- 洗練に命をかける日本の料理人
- 日本酒のコク、ビールのコク
- ワインに醤油
第5話 コクは三層構造
- メカニズムに迫る
- 中心部は「コアーのコク」
- コアーのコクはやみつきとなる
- マウスは油脂に「やみつき」
- 行列とネズミのレバー押しは似ている
- マウスはダシも好き
- 本能のおいしさ
- 麻薬の快感
- 新生児も喜ぶ
- 動物はノンカロリー嫌い
- 脳内の味判定
- 別腹は脳内にある
- 塩味には執着せず
第6話 感じる舌の事情
- にぎやかな舌
- 油の受容体
- 油はなぜおいしいのか
- 砂糖を感じる受容体
- ダシのうま味を感じる受容体
- ダシと香の深い関係
第7話 第二層のコク、第三層のコク
- とろみ、ねばり
- カレーライスのとろみ
- 香は重要
- 油と共存する風味
- 連想もおいしい
- 第三層のコク
- 「本能」「学習」「修練」
- コクの極北
- ベテラン俳優の味
- ジャズの味わい
- 無限の拡がり
第8話 飽きのこない味
- 動物、子供、大人
- コンビニ食品のわかりやすさ
- ファストフードの劣情
- 吸い物の品位
- 満足のはるか手前にあるもの
- 快感の絶頂
- 真のおいしさの喜びとは
第9話 コクの周辺感覚
- 江戸の粋は手前の思想
- 手前の思想の暴走
- 三叉神経の刺激が暴走する
- 超ドライは痛い?
- 三叉神経が介在するマゾヒスティックな世界
第10話 洗練を味わいながら死にたい
- 油文化圏とダシ文化圏
- 日本人の味覚座標
- ネズミに日本文化を教える
- 香りの記憶
- 離乳食から幼児食
- 母乳で母親の嗜好が伝わる?
- 介護食の再考を
第11話 大予想! 二〇××年のコク業界
- 新しいコク発見される
- KOKUブーム到来
- 非コク民登場!
- 「負け犬」返上へ業界団結か
- スローフード店が誕生
- 東京のトウガラシの消費量がソウルを抜く
- 「お菓子で食事」時代
メモ
- 甘味:糖質
- 塩味:ナトリウム、塩素。適度な塩味はミネラルが適度に含まれている証拠。
- うま味:アミノ酸(たんぱく質)。核酸が増強。
- コク≒厚み、リッチな、ボディー感のある
- デキストリン(大きな分子):人間は甘味として感じることができないデンプンの一種。コクを重視したビールに多く含まれる。みりんや清酒にも多い。
- 食感のような物理的刺激を化学的な信号に変換する役目を担っている細胞がセロトニン産細胞
(北海道大学 岩永敏彦教授)
- コクの三層構造
- コアー(中心部)のコク:糖・脂肪・ダシのうま味。病みつきにさせるコク
- 連想のコク:食感(とろみ・ねばり)・香り、油と共存する風味
- 比喩・抽象のコク
- 油の受容体:未解明。油そのものに「味」はなく、舌を刺激している。
参考文献
最終更新:2010年08月21日 17:47