阿川弘之「大人の見識」(2007)
分類
目次
第一章 日本人の見識
- 信玄の遺訓と和魂
- 東條の演説
- 局長ならば名局長
- 沈黙を守った人々
- 国家の品位
- 上手な負けっぷり
第二章 英国人の見識
- 獅子文六さんと英国
- ベントン虐殺事件
- 幸福であるための四条件
- ユーモアとは何か
第三章 東洋の叡智、西洋の叡智
- 武士道とジェントルマンシップ
- 大人の文学
- われ愚人を愛す
- 静かに過ごすことを習へ
第四章 海軍の伝統
- 精神のフレキシビリティ
- ラッパのひびき
- 最後の放欧航海
- 不思議な防空演習
- 最大の文化遺産?
第五章 天皇の見識
- 日独伊三国同盟
- ヒトラーを礼讃する「民の声」
- ポピュリオスの言葉
- 「四方の海みなはらからと思ふ世に」
第六章 ノブレス・オブリージュ
- 「自由と規律」
- ヘンリー王子と日本の皇族
- 昭和の陛下の軍事学
第七章 三つのインターナショナリズム
- ブラウダの匂い
- あいつだけ向こう岸
- 映画「東京裁判」
- 陸軍の立派な軍人たち
第八章 孔子の見識
- デカンショ節
- 五分間論語
- 祖国とは国語
- 治国平天下
- 漢学と朱子学
- 温故知新
評価
★★★★☆
ひとこと
「軽躁なる日本人へ」ということで、子・孫世代へ分かりやすく語りかけた一冊。
阿川佐和子さんのエッセイに惹かれた理由がよくわかった気がする。
阿川弘之氏の「海軍」「英国」の大人の見識やユーモアを大事にする心。
真なる「保守」を見たような一冊でした。
メモ
- 主将の陥りやすき三大失観
- 分別あるものを悪人とみなすこと
- 遠慮あるものを臆病とみること
- 軽躁なるものを勇豪とみること
- 幸福であるための四条件(エドワード・グレイ)
- 自分の生活の基準となる思想
- 良い家族と友達
- 意義のある仕事
- 閑を持つこと
- 鈴木貫太郎
- 戦時中:首相在任時のメッセージ-フランクリン・ルーズベルト逝去に際して「深い哀悼の意をアメリカ国民に送る」
- 吉田茂への言葉「戦争は勝ちっぷりが良くなくてはいけないが、負けっぷりも良くないといけません。鯉は俎板の上に載せられたら、包丁をあてたってびくともしない。あの調子でどうか吉田さん、負けっぷりよくやってください」
- ベントン虐殺事件のグレイ外相の答弁とイギリス国民の反応
「いかなる処置もとりません」
(こんな事件でアメリカと戦争ができるか? できないなら騒ぐだけ醜聞である)
参考文献
- 陶晶孫「日本への遺書」
- 清沢きよし「暗黒日記」
- 永井荷風「断腸亭日乗」
- 「鈴木貫太郎自伝」
- 小泉信三「読書雑記」
- 志賀直哉「わが生活信条」
- 藤原正彦「遥かなるケンブリッジ」
- 石光真人「ある明治人の記録」
- 池田清「自由と規律」
- 福原麟太郎「叡智の文学」
最終更新:2010年03月22日 18:00