杉本鉞子「武士の娘」(1967)
評価
★★★★
ひとこと
櫻井よしこ氏の
「明治人の姿」を先に読んでからだったのでとても読みやすかったです。
ジャンルは「伝記」になっていますが、私はこれはエッセイだと思っています。
訳者の後述にもあるとおり、原著はA daughter of the Samuraiとしている意図からも明確でして、自伝としてではなく、米国人から受けてきた質問に答えるようなつもりで書いたからこそ魅力があるんだと思います。
幕末から明治にかけて興味が高まりました。
分類
目次
- 越路の冬
- 縮れ毛
- 寒稽古
- 旧と新
- 落葉
- お正月
- 父の苦衷
- 二つの冒険
- 盂蘭盆
- 酉の日
- 初旅
- 旅に学ぶ
- 外国人
- 学課
- 受洗
- 渡米
- 第一印象
- 風習ちがい
- 思うこと
- となりびと
- 新しい経験
- 異郷の花
- 千代
- 東京の家
- 困ったこと
- お祖母さま
- 無縁仏
- 日本の婦道
- 姉の家で
- 死蔵の宝
- 黒船
よく考えていれば、自然に言葉がほぐれて意味が判ってまいります。(p31)
お嬢さま、私が辛いのではございません。つらい時には泣き、おかしい時には、存分に笑えるような身分に生れついて、有難いと思うております。けれども、お嬢さま、お気の毒に、旦那さまは…(p78)
さあ、千代、お前はこのお家にないものばかりを見せておくれだったから、お母さまはこのお家にあるものをお見せしてあげましょう。(p302)
いずこの国でも進歩のさきがけをするのは中流社会のように思われます。(p362)
メモ
- 裏日本の気候と歴史的位置づけの話
- (女性の)髪の毛に関する信仰の話
- 勉強に向かう姿勢の話
- 明治初期の新旧混在の家庭の話(肉食の話など)
- 分をわきまえることの話
- 正月風景の話
- 勘当した息子に対する父の話
- 嫁入りの話
- お盆の風習と幕末の勤王派と佐幕派の争いの話
- 結納と花嫁修業の話
- 東京への旅の話(1)
- 東京への旅の話(2)
- 女学校でのとまどいの話
- 女学校での学問の話
- 受礼までの話
- 渡米するまでの話
- 日米の違い(家庭)
- 日米の違い(金銭&ファッション)
- 日米の違い(国民性)
- 日米の違い(相互の誤解)
- 日米の違い(こども)
- 子育ての話
- 異国で生れた日本の子の話
- 帰国後の暮らしの話
- 帰国子女の話
- 帰国子女の子が日本に溶け込んでいく話
- 武家の掟の話
- 武家の掟の話(婦道)
- 古き風習の話
- 蔵の中の品々の話
- 再渡米の話
参考文献
本書を引用している文献
最終更新:2010年12月17日 19:22