西川恵「ワインと外交」(2007)
評価
★★★★
ひとこと
試験後の解禁の一冊は軽めのものから~といって積読からチョイス。
ワインの知識がなくてもスラスラ読める一冊です。
そもそもワインの一つ一つの違いなどには興味がなく、
なぜそこでそのワインを選ぶのかに興味がある私には
ぴったりのアプローチでした。
各国元首のスピーチに隠された意味や饗宴にこめられた意味など面白い。
外国特派員の方が饗宴の場から見た外交舞台という切り口は
なかなか面白いと思いました。
特に印象的だったのが日本とオランダの関係。
一面的な教育を受けてはいけないものだと改めて実感するとともに、
日本のトップ外交(&慰霊)は皇族に一手に押し付けてるのかなぁ
とも感じました。
分類
目次
第1章 ブッシュ大統領が食べた「フレンチフライ」
- フレンチフライとカリフォルニアワイン
- ポルトガル産ではなくフランス産
- シャトー・ラ・フィット・ロートシルトとドン・ペリニョン
- ワインに関するバッキンガム宮殿の慣例
- 記念式典で腕をふるったノルマンディーの名シェフ
- 席次に頭を悩ます国連の儀典担当者
第2章 飲まれなかったシャトー・マルゴー
- 大きな成果を生んできた「皇室外交」
- タイ国王即位六○周年記念式典
- 全員起立、乾杯なし
- 皇室とモロッコを結んだ一人の外交官
- イラン大統領とプロトコール
第3章 オランダ女王のガッツポーズ
- 日蘭両国民の認識ギャップ
- 戦争被害者と対話した日本大使
- それでも残ったデモの可能性
- 女王による歓迎晩餐会
- 劇的に好転したオランダ人の対日感情
- 紀宮さま、アイルランドを訪問
第4章 美食が支える欧州連合
- ヨーロッパ拡大記念式典
- アイルランドがシャトー・ランシュ・パージュを出したわけ
- ベルギー流饗宴は配慮のかたまり
- エリザベス女王にフランスが振舞った最高のワイン
- コール首相の驚くべき大食
第5章 「今日の夕食は軽めにします!」
- 韓国はフランス、日本はドイツ?
- 相互信頼で結ばれた小渕首相と金大中大統領
- 筆者にかかってきた“ブッチホン”
- 異例の厚遇を受けた金錘泌首相
- 仏独関係を立て直したアルザスのレストラン
- エリゼ条約四○周年
- 小泉首相の韓国初訪問
- 済州島会談
- 盧泰愚大統領の耳を疑う発言
- シラクとシュレーダー、最後の会食は「海の幸」だけ!
第6章 最も相手が難しい国、中国
- プロトコールへの拘り
- 江沢民の英国訪問、「過剰警備」が問題に
- シラクとブッシュは私邸で歓待
- 冷めてきた中国熱
- もめにもめた米国訪問プロトコール
第7章 ナマコのスープ、ツバメの巣のスープ
- 歓迎レベルは、安部首相より小泉首相の方が上だった
- 結構いける中国産ワイン
- 小渕首相よりも豪華だった共産党・不破委員長の歓迎晩餐会
- 陳水扁総統が進めた「饗宴の台湾化」
第8章 ホワイトハウスの饗宴
- クリントンからブッシュ、カジュアルからフォーマルへ
- 最初の国賓はメキシコ大統領/饗宴はすべて「テロとの戦い」のために
- 戦争への貢献度で、態度はくっきり
- フィリピン系女性が新料理長に
- 小泉首相、最後の訪米
第9章 復活を告げるロシア
- ロシアが主催した初のサミット
- ファーストレディーたちの昼食会
- 小渕首相が食べたロシア料理
- 訪仏でプーチン大統領が受けた厚遇
- 一二九年ぶりの訪英
- 懐かしい顔も集ったエリツィンの誕生祝い
1815年(ウィーン会議)から今日まで、両国は戦火を交わすことなく、
自由と民主主義のために手を携えてきました。
ただ我々はすべてに一致する訳ではありません。
英国のプラグマティズムとフランスの情熱。
フランスの構想力と英国のユーモア。
英国の雨とフランスの太陽。
私たちはこの補完関係を喜ぼうではありませんか。
(p93 エリゼ宮での晩餐会でのエリザベス女王のスピーチ)
メモ
参考文献
最終更新:2010年08月18日 15:33