阿川佐和子「ときどき起きてうたた寝し」(1991)
評価
★★★☆
ひとこと
30代半ばの働きづめだったころの阿川佐和子さんのエッセイ。
題名とは裏腹に、やはり忙しそうな様子がうかがえる。
一遍、我が親戚の話かなと思われる話あり。
分類
目次
- 三十年目の贈り物
- 扉の重さ
- 伯母ッ子
- ピンクの壁紙
- 森の男
- 虹の下で
- 気丈対応
- 豆腐屋のおかみさん
- シワに願いを
- 王室ショック
- 戻り歯
- 親ゆび小ゆび
- 南紀行
- ドジスキー
- 乳母泣かせ
- 健全とは
- 石にあらず
- 感想プロ
- 忘れ得ぬ道
- 占い試し
- 雨のポピーランド
- 下駄箱の夢
- 箱入り野菜
- 夜中の秘密
- 別れた楽器
- 深紅の爪
- 灰皿五割
- 温故知新
- ニアピン症
- ミミズのダンス
- ただより高きもの
- シベリアの眠り
- 熱きマドリード
- 海はるか
- 汗と涙の夏
- 小鳥の子
- チビの論理
- 人参きしめん
- 先生冥利
- 音しもの
- 足格
- 拾い癖
- 京三人
- 体力幻想
- 鏡遊び
- 天使が通る
- 真珠とクリスマス
メモ
書き出し
- 「僕のこと、覚えてますか」
- 近所の鰻屋さんに出前を頼むことがある。
- 姫路での仕事の帰り、広島へ立ち寄った。
- 「何色が好き?」
- 黒姫へ行った。
- 待ちに待った車がようやく来た。
- 電話が鳴った。
- 丸谷才一さんの随筆集『猫だって夢を見る』を読んでいたら、豆腐の話が出てきた。
- 今年のメダカは不遇である。
- この度、畏れ多くも、イギリス王室エジンバラ公フィリップ殿下にお目にかかるという機会にめぐまれた。
- 歯が痛い、と言ったら、「歯医者さんに行けば」と言われた。
- 去年の暮れに買ったシクラメンの葉が黄色くなり始めた。
- 三重県の尾鷲に住む友達夫婦に招かれて、紀伊を訪れた。
- スキーというものは、何度行っても出掛けるまでが大儀である。
- スキー場へ行って、これほど育児に燃えることになろうとは思ってもいなかった。
- この度、わたしく阿川佐和子が厚生省主催によるエイズ広報研究班の委員に選ばれた、と告げると、「なんでアンタが・・・・・・。理由はなんだ」周囲ではこのリアクションがいちばん多かった。
- この間、地下鉄に乗ろうとしてホームで電車を待っているうちに、「そうだ次の乗り換え駅の階段は前のほうだった」と気がついて、ブラブラと前方に進んでいった。
- 以前、豆腐についての話のなかで、「豆腐と納豆は、その製造工程から推察するに名前のつけ方が逆ではないか。きっと中国から輸入された際、通訳が間違えて伝えてしまったのだろう」というようなことを書いたら、「それなら、中国では麻婆豆腐のことを『麻婆納豆』と言ってなきゃおかしい」というご指摘を何人かの方からいただいた。
- 日曜日。
- 気学という中国の暦をもとにした占いがあり、生年月日を告げると、その人間がどんな星のもとに生まれ、どの星と相性がよく、今年はどんな運勢に位置しているかがわかるという。
- 千葉での仕事を終え、帰りに南房総のポピー畑を見たくなり、仲間をそそのかして足を伸ばすことにした。
- 新しい靴を買おうと思い立ち、家を出て電車に乗ったあたりから人様の足元が気になり始める。
- 野菜に音楽を聞かせながら育てている農園があると聞いて、半信半疑で取材に出かけた。
- 夜中に仕事をしていたら、外で車のぶつかる音がした。
- ハーモニカの音色を聞くと、ニューヨークを連想する。
- 長年愛用した爪切りを失くした。
- 他の仕事場の様子は存じ上げないが、テレビ局には喫煙家がことのほか多いようである。
- 引っ越しをしようと思い立ち、大家さんに賃貸契約解除の宣言をした(二ヵ月前に申しでなければいえない約束になっている)ものの、引っ越し先が決まらない。
- えのきどいちろうさんに今度出た自分の本をお贈りしたら、お礼状がファックスで送られてきた。
- 生まれて初めてサイン会というものを経験した。
- 引っ越しというものがつくづくたいへんな肉体作業であるということを、どうしてこうも簡単に忘れてしまうのだろう。
- 年に一度の夏休みに入った。
- スペインの夏は半端じゃない。
- マドリードから飛行機で一時間半ほど東へ、地中海に向かうと、そこはバレアレス諸島のイビサ島であります。
- 高校野球の決勝戦をとうとう最後まで観てしまった。
- 朝、窓辺でピーピー声がした。
- 妹尾河童さんのお宅へミジンコを見に行った。
- ラーメン屋に入ると必ず胡椒が置いてある。
- 電車の座席に座って本を読んでいたら、突然、目の前に中年の女性が現れて、「ねえ、あなた、先生でしょ」いきなりの質問である。
- アシスタント・ディレクターのコバタ君は、世にも不思議なしゃっくりをするので、今、仲間内で評判になっている。
- 椅子に座り、前に揃えた日本の裸足を眺めて驚いた。
- 電車に乗ってふと床を見ると、足下に一円玉が落ちていた。
- 週末に用事があって京都へ行った。
- 近所のフィットネスクラブの会員になって、体力増強に励むことにした。
- 我が家のメダカを妹尾河童さんにお分けすることになり、三十匹いるうちでイキのよさそうなのを十匹ほどみつくろってお宅へ伺った。
- 如月小春さんにお会いした。
- 年中行事のたぐいはとんと疎いけれど、唯一といっていいくらい、毎年十二月にだけ続けているえことがある。
参考文献
最終更新:2010年08月21日 14:47