正木英昭「『見える化』のことが面白いほどわかるの本」(2007)

評価

★★★☆

ひとこと

数年前、自社で「見える化ソリューション」と称したITソリューションを
売り出した時に手っ取り早く勉強するために入手した一冊。
「見える化」と言われたけど、どうしたらよいか・・・という人への入門書としては
平易だがきちんとポイントが押さえられていると思います。


分類

目次

  1. そもそも「見える化」ってどんなもの?
    • 1.トヨタで生まれ育った「見える化」
    • 2.「見える」とはどういうことか?
    • 3.なぜ「見えない」のか?
    • 4.見えないとどんな不都合が起きるか?
    • 5.見えるとどんなメリットがあるか?
    • 6.壁を打ち破って見える化するには?
    • 7.何を見せるとよいのか?
    • 8.どのように見せるとよいのか?
    • 9.企業の現場の見える化?
    • 10.経営・管理・間接部門の見える化
    • 11.内部統制と見える化
    • Column1 見える化は右脳を刺激する
  2. 導入のためにやるべきこと、やってはいけないこと
    • 12.「感動経営」のための2柱・2軸
    • 13.「5S」ができないと始まらない
    • 14.「標準化・文書化」に着手する
    • 15.「目標管理」を実施しておく
    • 16.基本プログラムを見える化する
    • 17.見える化の成否のカギは経営者
    • 18.部門は結局、部門長しだい
    • 19.見える化推進組織をつくる
    • 20.非正社員の改革活動への参画
    • 21.セキュリティと見える化
    • 22.ITを過信してはいけない
    • 23.形だけの導入には失敗が待っている
    • 24.“掲示板”にしてはいけない
    • 25.見える化の点検・報告の体制
    • 26.やって当たり前ではない
    • Column2 ITを見える化に活用する
  3. 何を見せるか? 「見える化」ポイントの絞り込み
    • 27.全体ボードの作成・設置
    • 28.部門ボードの作成・設置
    • 29.部門長だけのボードではダメ
    • 30.「目標・基準」と現状を対比する
    • 31.マイナス情報を浮き彫りにする
    • 32.問題点に「優先順位」を付ける
    • 33.現状を把握することの大切さ
    • 34.問題点を見せる基礎技術①「IE」
    • 35.問題点を見せる基礎技術②「QC」
    • 36.問題点を見せる基礎技術③「VE」
    • 37.データを取ったらグラフにせよ
    • 38.6つの経営機能活動SQD・CPM
    • 39.安全活動の見える化
    • 40.品質保証活動の見える化
    • 41.納期活動の見える化
    • 42.原価活動の見える化
    • 43.生産性向上活動の見える化
    • 44.人財活動の見える化
    • Column3 「ベンベルグ革命」は見える化から
  4. 見えたあとにどうするか? 「見える化」を行動につなげる
    • 45.管理・改善・改革・革命の違い
    • 46.まず、なくせないかと考える
    • 47.なくせないなら改善する
    • 48.なぜを5回繰り返せ
    • 49.問題対策表による改革の見える化
    • 50.根本対策表による改革の見える化
    • 51.根本原因を見つける「要因解析」
    • 52.「ブレーンストーミング」で発想
    • 53.発想を「見える体系化」でまとめる
    • 54.まず「ポカヨケ」を導入せよ
    • 55.ポカヨケでダメなら3つの歯止めを実行
    • 56.成果・問題の「水平展開」の大切さ
    • 57.環境の活用・共有化を進める
    • Column4 見える化で世界トップの評価
  5. 「見える化」を成功させるために
    • 58.なぜ見える化が失敗するのか?
    • 59.経営者の関与が成功を左右する
    • 60.改革の真の目的は良い社風づくり
    • 61.キックオフと決意の見える化
    • 62.PDCA活動サイクルの見える化
    • 63.ボードの前で仕事をする
    • 64.「自ら考える組織」をつくる
    • 65.小集団活動と改善提案の見える化
    • 66.ISOシステムの見える化
    • 67.ツールの運営ルールを見える化する
    • 68.見える化成功の10のポイント



気になる表現


メモ

  • 7つの「心の壁」
    1. 納得の壁(実行前)
    2. 惰性の壁(実行前)
    3. 無力の壁(実行前)
    4. 勇気の壁(実行前)
    5. 難渋の壁(実行後)
    6. 焦燥の壁(実行後)
    7. 落胆の壁(実行後)

  • 5つのコミュニケーションの壁
    1. 依存心
    2. 横着心(ある程度まとまってから伝えればよいだろう)
    3. 老婆心(この程度のことは知らせなくてよいだろう)
    4. かばい合い
    5. 優越感

  • 企業現場の見える化
    1. 最適な場所と位置の設定
    2. 長続きする管理体制
    3. 毎日ボードの前で話し合う

  • 感動経営のための2軸2柱
    • 人財の柱(教育・訓練・自主的活動)
    • システムの柱(現場システム・管理システム)
    • イメージ軸(5S・見える化)
    • ロジック軸(標準化・文書化・目標管理)

  • 目標設定のポイント
    1. 上長の目標に結びつける
    2. 重点的なものは5つ以内
    3. 選んだ目標は重みづけ(%)
    4. 目標は達成すべき成果を具体的に示す
    5. 目標には改革目標を加える
    6. 目標は努力すれば達成できる高さとする
    7. 目標は長期と短期でバランスをとる
    8. 共同目標で連鎖を図る

  • IT見える化の長所
    1. リアルタイム
    2. 広範対応
    3. 双方向性
    4. 作業効率がよい

  • IT見える化の短所
    1. 立ち上げ・検索に時間がかかる
    2. 空間構造配置に欠ける
    3. 画面が小さく見にくい
    4. 多くの人が同時に見て、検討するのに適していない

  • 見える化ボードの特徴(掲示板との違い)
    1. 実務の情報だけ表示する
    2. 全体・部門ボードは、目標管理を達成するのが主目的
    3. 現場ボードには、それぞれ目的が明確になっている
    4. 個々の表示物の位置、つながり、順序(空間配置)に重要な意味を持たせている
    5. 最終目的は、改革による人材育成と長期的利益の向上

  • Industrial Engineering:人・材料・設備の最適な組み合わせ・運営方法を追求
    • 方法研究
      • 工程分析
        • 製品工程分析
        • 事務工程分析
      • 作業分析
        • 作業者工程分析
        • 連合作業分析
      • 動作分析
    • 作業測定
      • 時間分析
      • 稼働分析
      • ラインバランス分析
    • 配置研究
      • 運搬分析
      • 配置分析

現場改革の順序:①配置→②工程→③作業→④動作

  • Quality Control:品新津管理
    1. 層別
    2. チェックシート
    3. グラフ
    4. パレート図
    5. 特性要因図
    6. 管理図
    7. ヒストグラム
    8. 散布図

  • Value Enginerring:対象の機能(働き)に着目し、それを最も経済的に達成する代替案を抽出
    1. 対象選定
    2. 情報収集
    3. 機能定義
    4. 機能評価
    5. アイデア発想
    6. 改革案作成
    7. 実施・フォロー

  • 改革12の定石
    1. 排除
    2. 正と反
    3. 正常と例外
    4. 定数と変数
    5. 拡大と縮小
    6. 結合と分離
    7. 集約と分散
    8. 付加と削除
    9. 順序の入替
    10. 共通と差異
    11. 充足と代替
    12. 並列と直列

  • 業務改革8着眼点
    1. 排除
    2. 簡素化
    3. 統合
    4. 分散
    5. 多能化
    6. 平準化
    7. 委譲
    8. 平坦化

  • 見える化失敗の理由
    1. 経営者の消極姿勢
    2. 前提条件の不備・不徹底
      1. 見える化を急ぎ過ぎた
      2. 目標管理が二重管理
    3. 現場の負担増大
      1. 管理・改革活動ごとに責任者・事務局・組織が違っていて、話し合い・調整を怠っている
      2. 会議・報告書・帳票類・点検票の種類が多すぎる
      3. 点検・監査が専門化していて種類・回数が多い

  • 見える化成功10のポイント
    1. 3つの壁(物理・心・長)を乗り越える
    2. 中長期経営計画に組み込み3年で完成
    3. 会社全体で進める
    4. 3つの基盤整備(5S・標準化・文書化・目標管理)
    5. 経営者はコックピット経営と歩き回る経営
    6. 部門長は目標管理をボード上で運営
    7. ボードの前で仕事(会議・報告)
    8. マイナス情報を浮き彫りにして対策を打ちやすく
    9. 対策は当面と根本の2本立て
    10. 自主性・自発性のある人財育成に活用

参考文献

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最終更新:2011年07月16日 11:22