成毛眞「成毛眞のマーケティング辻説法」(2002)


評価

★★★☆

ひとこと

辻説法です。
購入した時、かなり気に入った一冊でした。
さすがに10年近く経って読み返してみると、
いい意味で世間が追いついてきたのかな・・・という感じはします。



分類

目次

  1. 利益を生み出しているのは誰?
    1. 「がんばる」よりもマーケティングを
      • マーケティングなきニッポン
      • 売りそこなっている人たちへ
    2. マイクロソフトの蔭の立役者
      • マイクロソフトにあってアップルにないもの
      • おもしろいアイデアには金一封
    3. 「製品」を「商品」に変える力
      • 肉を切らせて骨を断つ
      • マーケティングと営業の違い
    4. 「大本営」経営企画室を廃止せよ
      • 日本企業を駄目にした張本人
      • 屋上屋ができていく
    5. 人減らしだけが増益策か
      • 数字を読めないマーケッター
      • 売れる商品を持たせよ
    6. 組織文化を停滞させない方法
      • 「最低レベル」を切る
      • 「イエスマン集団」はマーケティングに向かない
  2. マーケティングは楽しい戦争だ
    1. 戦争論を読もう
      • ビジネスと戦争
      • 「いつか誰かが何とかしてくれる?」
    2. 戦略と戦術を区別しよう
      • 何をもって「勝ち」とするか
      • 「シェア」でないものを目標にしなければならない
    3. 二正面作戦はやめよう
      • まともな会社はやっていない
      • ローソンとセブンイレブンの違い
    4. いまも使える「背水の陣」
      • 全社一丸で盛り返す
      • これから増える?背水の陣企業
    5. 二番手企業は一点突破
      • 真似をするのは悪いことではない
      • 先行企業のお客の不満から学ぶ
    6. 「他人のふんどし」を使え
      • ウィンドウズ95、成功の秘密
      • まずトヨタを落とせ
    7. 「ネットワークの外部性」は魔法の杖
      • 参加者が増えるほど参加者の効用が増える
      • 競争他者が入りこめない「強力な法則」
    8. ユニクロはどこがすごいのか
      • 一種の「通貨」になったユニクロ
      • 「人間関係」という利益のために「服」を買う
    9. 中古市場は敵ではない
      • 質屋が買ってくれる安心感
      • 中古車が売れれば新車も売れる
    10. 市場は小さくとらえよ
      • 限定された市場でナンバーワンを目指せ
      • 「大市場」にいきなり参入する無理
    11. 山手線ブランディングとは
      • 全国ブランド・コンプレックス
      • まず「ある街」で評判を築こう
      • 田舎に絞って快進撃(穴吹工務店)
  3. 時間を無駄遣いさせよう
    1. 時間を巡る第三のマーケティング
      • 時間は「貴重品」だからこそ無駄遣いさせよ
      • 「時間を損した」と思いたくない消費者心理
    2. デパ地下人気の深層
      • 長い時間探し回るお客
      • 「にぎわいや発見」を演出
    3. 「迷わせて買わせる」応用例
      • ドン・キホーテの「ジャングル陳列」
      • ユニクロの「色数の多さ」
    4. ディズニーランド・コンプレックスから脱出せよ
      • 客を立ち止まらせる「実演販売」
      • 「くだらない」ほうがいい
    5. 読者への挑戦=DPEの再生策とは
      • 存亡の危機にあるDPE
      • 高級カメラを打っても駄目
    6. 人の顔が人を呼ぶ
      • 客の顔が見えるコンビニ
      • パソコンソフトでも応用
    7. ゴテゴテ展示のもう一つの効用
      • 活気を生み出す
      • 日本は「よろず屋」の国
    8. 専門用語で語ろう
      • マニュアル代わりに使われているカタログ
      • ちょっとした専門家にしてしまう
      • 「ちょっと詳しいやつ」が増えた
      • マニアの心をくすぐれ
    9. 専門媒体で語ろう
      • 経営者が露出すれば宣伝になる?
      • メッセージはサービス・商品で
  4. 隠れ中間層を探せ
    1. 秘密の花園はここにある
      • 「脇役」が「主役」になる
      • 「中間層」に着目せよ
    2. 「男の半隠居」雑誌、続々登場
      • シニア攻略のモデルとなった雑誌「サライ」
      • 「仕事をする気がなくなる雑誌」
    3. 有望市場の「小金持ち父さん」
      • おじさんの小遣いは増えている
      • 仕事の勝者より人生の勝者に
    4. 障害者は賞火者である
      • 三百万人に目を向けよう
      • 消費やビジネスの担い手になる
    5. 女二十代、男四十代
      • 和田秀樹氏の年齢仮説
      • 「老い」のイメージも変わる
    6. 任天堂 vs ソニー 世代マーケティングの二潮流
      • 常に子供に絞っている任天堂
      • 新作ごとに年齢層が上がるプレステ
      • ターゲットにガッチリ宣伝(金のつぶ におわなっとう)
  5. 魔法とファンタジーに注目しよう
    1. むき出しのテクノロジーに飽きてきた人々
      • 「ファンタジーブーム」の深層
      • 技術と物語性の合体
    2. カジノは「大人のディズニーランド」である
      • あの高揚感、非日常感をもう一度
      • 普通のサラリーマンの遊び場を
    3. 国内旅行は有望市場だ
      • 消費は明らかに「余暇」型に
      • なぜ海外ばかり出かけるのか
    4. 道中すべてをマーケティングせよ
      • 三重県が始めた観光客行動調査
      • 電鉄会社の役割が重要
    5. 里山付きマンションを売れ
      • 入居後のクレームがきっと減る
      • 都会と田舎の人がつながる
    6. 営林署に注目しよう
      • 山林に投資する喜び
      • 儲かる話ではないけれど
    7. 銀行よ、目覚めよ
      • 銀行が本気になればいろんなことができる
      • 「伊豆」も必ず蘇る
      • コンシェルジュを目指す金融機関(スルガ銀行)
  6. ITとカネとアタマは使いよう
    1. 「IT幼年期」の終わり
      • 私がマイクロソフトを辞めたもう一つの理由
      • もう二ケタ成長はない
    2. 私がインスパイアでやりたいこと
      • 金融業の将来性
      • コンサルタント料よりも株価上昇のほうが魅力的
      • 大企業のノウハウを中小企業へ
      • 「眠れる特許」を活かせ
    3. 揺らぎ始めた競争至上主義
      • アメリカ流「勝ち組・負け組」と異なる視点
      • 社会貢献型投資の可能性
    4. 食品安全危機が新ビジネスを生む?
      • 行政が問題だ
      • 新たなビジネスチャンス
    5. 二十万円のIT革命
      • 安くて会社の能力に合ったシステム
      • 目的を明確にした投資が成功する
    6. ITを巡る誤解を解く
      • ITブームは典型的「株の仕手戦」
      • 「ページビュー」のおかしさ
    7. オールドエコノミーはITで甦る
      • 問屋のモツ情報はITで活かせる
      • ITを使えば「残存者利益」を手にできる
    8. ITよりも伸ばすべきもの
      • デジタル以外に得意分野を
      • 日本の得意なことをやれ
      • 絶えざる革新がブランドを強くする(嵐山吉兆)
  7. いま、「フツーの生活」が新鮮
    1. レオン商法に学ぶ
      • 読者、実は真面目男
      • 「余計なもの」を入れない
      • 「普通の生活」が人気
      • 団塊世代が創る巨大な趣味市場
      • 「腹八分目」で大丈夫
    2. 「電車男」を解剖する
      • 地震はネットで知る時代
      • 「詩人」が集う2ちゃんねる
      • 「新しい日本語」というマーケット
      • 隠語が表舞台へ
    3. 野球再生法
      • 野球はスポーツではない
      • 手本はプロレス
      • もっと大胆に
    4. デジタル家電、真の主役はHDD
      • 時間感覚の消滅
      • あまり意味がない放送のデジタル化
    5. 韓流を深読みすると
      • 後悔の裏返し?
      • 台湾の気持ちは?


気になる表現

私自身、大学も文系で、この世界には素人だった。この私が業界にいるうちに理解できた程度の用語なら、一般の方もいずれわかるはずだと考えたのだ。別の言葉をあてがい、誤解や曖昧な理解を招くよりは、消費者を真司、きちんと専門用語を使うほうがいい。同時にこうも考えた。「こういう用語が当たり前に使われるようになれば、我々のマーケティングは成功だ」(p111)

メモ

  • マイクロソフトは必ず同時に二商品発表したりしない。訴求点も同時に二つ言わない。

  • 「時間を損した」と思いたくない消費者心理を逆手に取る。

参考文献

  • 山田英夫「デファクト・スタンダードの経営戦略」

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最終更新:2011年04月17日 23:27