服部清「広告頭脳」(1996)

評価

★★★☆

ひとこと

大学の卒業論文執筆の際の参考書籍の一つ。
マーケティング戦略をどう目に見える形で表すか、が整理されている良書。
時が経っても根本的なところは変わらない。
また広告を発注する側の視点から書かれた「広告作成のステップ」もよい。


分類

目次

第1章 “インサイドワーク”こそ最強の武器になる
  • “広告のインサイドワークとは”
    • ある宣伝部長の苦悩の日々
    • 成功を約束する教科書などない
第2章 成功するマーケティングはどこが違うか
  • “マーケティング”とは何か
    • マーケティングの認識は正しいか
  • “マーケティング”は生き物だ
    • 時代と共に進化する“マーケティング”
    • “マーケティング”を演じる三人の役者とは
  • マーケティング戦略の領域とは
    • マーケティングに強い会社、弱い会社の差とは
  • マーケティング計画はどう組み立てるか
    • 今までのノウハウはもう通用しない
  • なぜ消費者を捉えられないのか
    • 不透明感いっぱいの現代のマーケティング
第3章 ヒット商品を生み出す市場頭脳を持て
  • 新製品をいかに生みだすか
    • 消費者のニーズをどう探り当てるか
    • モノより価値に金を払う時代だ
  • 常に「マーケットイン」の発想に立て
    • 重要なマーケターの“仮説づくり”
    • 生活の“快”を求める商品を考えろ
  • マーケティングでの広告の役割
    • 九〇年代の買い手市場の広告戦略
    • 企業は広告に何を求めているか
第4章 広告をヒットさせるこれが実戦ノウハウだ
  • ヒット商品はどうつくるか
  • 広告制作のステップ11
    1. 市場環境の考察と検証
    2. 現状の分析と方向性の確認
    3. マーケティング目標の設定
    4. マーケティング戦略策
    5. オリエンテーションの方法
    6. 広告戦略の基本フレーム
    7. 伝達内容の決定
    8. メディアプランの構築
    9. 広告表現の作成
      1. クリエイティブ・コンセプトの作成
      2. クリエイティブ・アイデアのチェック
    10. プレゼンテーション
      • 表現の質を高める六つのポイント
      • 見た目の表現より重要な「トーン&マナー」とは
        • ブランドの盛衰を握る「トーン&マナー」
        • 自社の広告をキイワードで表せるか
      • プレゼンテーションでの作品決定
        • 広告は数と量が多くてもダメだ
        • クライアントは何をチェックすべきか
      • 広告表現の事前クリニック
        • 広告調査はどこまで信用できるか
      • プレゼンテーションでの決定事項
        • プレゼンでは何をクリアするのか
    11. 広告制作の開始
        • 広告の勝負の分かれ目は何か
第5章 “効く広告”をつくる アイデア発想の極意
  • トップクリエイタ―のアイデア発想法
    • 電通・博報堂の一二氏の広告頭脳に学ぶ
  • “広告アイデアのフィールドチャート”の読み方
  • 「効く広告」をつくる秘中の秘とは
    1. 広告は限りなく「整理学」だ
    2. 広告は断じて「継続性」だ
    3. マスメディアに過信は禁物だ
    4. タレントに絶対神話はない
    5. 「アウトサイドイン」が大原則
    6. 広告調査は不可侵領域だ
    7. 広告が効果を上げる条件とは
第6章 新時代に勝ち残るこれからのCI戦略とは
  • CIは何を目指してきたか
    • 成果がなかったこれまでのCI戦略
    • 二一世紀の企業にどうパワーを注入するか
    • 長期不況の九〇年代が求めるCIとは
  • CIは最大の企業イベントで最強の企業戦略だ!
    • CIは難問を抱える企業のカンフル剤だ
    • CIを構成する四つの要素とは
  • 最強のCI戦略はどう進めるのか
    • なぜCI戦略に失敗するのか
    • 二一世紀の企業は何を問われているか




気になる表現


メモ

  • マーケティング目標の設定
    1. 売上高
    2. マーケットシェア
    3. マインドシェア
    4. イメージポジショニング

  • 広告目標例
    1. 知名度の向上 ※1
    2. 理解度の向上 ※1
    3. 好意度の向上 ※1
    4. 購入意図の向上
    5. イメージ・ポジショニング ※2
    6. イメージ・リポジショニング ※2
    7. ブランド・リステージ ※3
    8. ブランド・リマインド ※3
    9. ブランドスイッチの促進
    10. 使用習慣の促進 ※4
    11. 新生活の提案 ※4
    12. 新市場の創造(トライアルユースの促進) ※4
    • ※1 いつまでに、どのレベルまで向上させるか【目標値の数値化】
    • ※2 競合・関連商品との兼ね合いで、どのようにイメージされたいのか明確に
    • ※3 マインドシェアの向上という形で評価される
    • ※4 新製品やトップブランド商品の総需要開発の際にはとくに重要

  • トーン&マナー例(キーワードとイメージトーン)
    • 「信頼感」研究や技術、商品への限りない自信と信念の表明。安心感の付与。ex.メルセデスベンツ
    • 「健康感」力感、パワフル、いい汗、行動力、現代人の健康願望へのリーチ。ex.リポビタンD
    • 「家庭的」アットホームな団欒、家族の絆の大切さ。はずむ会話。主役はお母さん。ex.ほんだし
    • 「清涼感」すがすがしい空気感。透明感、命が洗われるような情景。清冽。ex.セブンスター
    • 「シズル感」本物の味わい、そそる食欲。プロの味を家庭で愉しむ醍醐味。ex.COOK DO
    • 「情緒感」なごむ心情。忘れかけた情緒の再発見。非日常への誘い。ex.JR東日本
    • 「躍動的」はじける若さ。快感。リフレッシュ。リズミカル。体が目覚める。ex.コカコーラ
    • 「男性的」究極の男の世界。肉体的パワー。男性賛歌。男のやさしさ。ex.サントリー新モルツ
    • 「美感」優雅な美。心の内面からの美しさ。ソフィスティケーション。ex.資生堂・女性用化粧品
    • 「季節感」日本の四季への憧憬。自然回帰。雑念からの解放。自分発見。ex.日清サラダ油
    • 「娯楽的」ユーモア、コミックタッチ。エンタテイメント・ギャグ。ex.NOVA
    • 「日常性」ヒューマニズム。コンテンポラリー。平凡ななかの非凡。ex.サントリーニューオールド



参考文献

  • ケリー「マーケティング計画と競争戦略」
  • 出牛正芳・山下文明・宮沢永光・中村孝之「マーケティングのことがわかる本」
  • 川勝久・榎本宏「企業競争と広告」
  • 川上宏「環境変化と経営」
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最終更新:2011年05月04日 09:54