吉良俊彦「1日2400時間吉良式発想法」(2010)
評価
★★★★
ひとこと
発想法の本。
ただその具体的な手法に入る前の準備体操というか心構えに半分近い
紙面が割かれていて、作者のパッションが伝わってくる良書。
発想法の具体的な内容は、大学の講義などを題材としているため、
理解しやすく、且つ、実践的。
分類
目次
序章 知らないことはすばらしいことである
第1章 基礎力の上のパッション
第2章 新コミュニケーション論
- みんなが苦手
- コミュニケーションの起源
- コミュニケーションとは
- コミュニケーション努力
- コラム「たった一つのいいところ」
第3章 画一的な生活からの脱却
- 二四時間とearth論
- 画一的な生活とは
- 自分を磨く
- コラム「マイケル・ジャクソンと『THIS IS IT』」
第4章 すべては「?」から始まる
- なんでだろう
- 喝と天晴れ
- 喜怒哀楽
- 表現力を身につける
- コラム「なんでだろうの泉」
第5章 第一次想起力とものの見方
- 答えは自由
- コインのカタチ
- ペンの見方
- いつもと違う視点で見る
- コラム「言い訳をしない生き方~追悼・小林繁氏~」
第6章 パッションの継続は力なり
第7章 チャネル変換型発想
- 同一視点発想
- 連想
- チャネル変換型発想
- ブレーン・ストーミング
- コラム「すぐそこにある」
第8章 5W1H発想法
- 行動の支配者
- 5W1H発想法
- 検証の重要性
- コラム「レミーがネズミでなければならない理由~プレゼンテーション~」
第9章 Yes, but発想
- 相手を知る
- Yes, but発想法
- 状況が決まれば
- コラム「Yes, butは人とのかすがい」
第10章 ポジティブシンキング
- ポジティブシンキング
- 最良の弔い
- 見えない安全
- 未来志向で
- コラム「No! 能天気」
第11章 引き算発想
- 自己目標設定
- 引き算発想
- コラム「やっぱり二番じゃダメなんだ」
第12章 不況の連鎖
第13章 上流に戻れ
第14章 遅刻のマーケティング~時間のマーケティング~
- コラム「すばらしき皆勤賞~金本知憲選手への賛辞~」
第15章 イメージのパニック~仕事のマーケティング~
第16章 比較ありき
終章 おさらい
「この紅茶がおいしい」と言うとき、何と比べておいしいのかをはっきりさせよう。
でなければ、それがどの程度おいしいのかわからない。
「一番おいしい」というのは、すべての紅茶を飲んでから言ってもらいたい。
どうしてもそう言いたければ「今のところ一番おいしい」と言うべきだ。
ただのベストやワーストではいけない。
これから新しいものが来ることを予見する表現、そして最初から決めつけないこと、これが比較において重要なことだ。(p65)
コインは丸、コインは長方形という見方はハードウェア的だと言える。
数分前のあなたなら自動販売機や貯金箱を発明することはできなかっただろう。
コインの投入口は明らかに長方形である。
ハードウェア的発想というのはそういうことであり、そこで勝負していけば必ず成功する。
ソフトウェア間での競争というのは熾烈も熾烈、生き残るのは本当に難しい。
だが、ちょっとものの見方を変えてハードウェア的に発想すれば(それこそが難しいのだが)、
成功の可能性は高くなる。(p106)
この世の中、あらゆるものがかわっておるのですよ、それに慣れてしまうまではね。
(p116, ライマン・フランク・ボーム「オズの虹の国」より)
視点を変える、ずらすということは自分の考えや意見を持つということにほかならないが、
勘違いしてはいけないのは、批判は考えでも意見でもないということだ。(p203)
2000本という表に出ている結果よりも、
4000とか5000とか、数字は分からないですけど、
多くの失敗を繰り返してきたと思います。
その数だけ悔しさがあったと思いますし、それに対して共感します。
(p218, 清原の2000本安打達成を祝したイチローのコメント)
メモ
- 1日を2400時間にする13箇条
- 画一的な生活からの脱却
- 自分の常識が人の常識ではない
- 学ぶこと(知識力)の蓄積がないとアイデア(創造力)は生まれない
- 同一視点発想からチャネル変換型発想へ
- 5W1Hで考えよう。5W1Hは万国共通の状況設定語
- 自己評価をするな!他人からの評価を素直に受け止める
- 「難しい言葉」は自尊心の表れ。だから「簡単な言葉」で話す
- ポジティブシンキング
- 自分自身は何割バッター?(目標達成率の認識)
- 働かなければ失敗しない
- 自分の会社、学校、家族の悪口を言うな。それは自分に対しての悪口
- 上流に戻れ
- 仕事や学業のレベルは必ず上がっていく。だから難しいことにチャレンジ
- ハードウェア的発想が重要
- ex.コインのカタチ:コインの絵を描いてみてください
- 丸に限定されているうちは「ソフトウェア発想」。A案、A'案に過ぎない
- 様々な角度から描く(ex.長方形、円柱)。「ハードウェア発想」B案になりうる。
- チャネル変換型発想(≒ブレーンストーミング)
- 「バナナ(お題)といったら、○○」をひたすら続ける
- 必ず名詞。擬態語・犠牲語は使わない。
- 制限時間3分
- なるべく個々の国、モノゴトを挙げる方がよい。(抽象化は次の高弟)
- 5W1Hのステップ
- Who(ターゲット),Where(マーケティング),When(時間)
- What(目的),How(手段)
- Why(検証)
- How much(予算)
- 自分を3ポイント伸ばす必要があるのに、達成率が3割なら、目標を10設定すればよい。
参考文献
- プラトン「ソクラテスの弁明 クリトン」
- リチャード・P・ファイアマン「困ります、ファイアマンさん」
- リチャード・P・ファイアマン「科学は不確かだ!」
- リチャード・P・ファイアマン「ファイアマンさんベストエッセイ」
- スティーブン・ジェイ・グールド「八匹の子豚 下 種の絶滅と進化をめぐる省察」
- スティーブン・ジェイ・グールド「神と科学は共存できるか?」
- スティーブン・ジェイ・グールド「フラミンゴの微笑」
- フランス・ドゥ・ヴァ―ル「あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす『人間らしさ』の起源」
- フランス・ドゥ・ヴァ―ル「利己的なサル、他人を思いやるサル モラルはなぜ生まれたのか」
- アービン・マジック・ジョンソン、ウィリアム・ノヴァク「マイライフ」
- 吉良俊彦「ターゲット・メディア主義」
- 吉良俊彦「『お嬢さん』が知っておきたい意外な疑問350」
- リチャード・ドーキンス「虹の解体」
- リチャード・ドーキンス「神は妄想である」
- エドワード・O・ウィルソン「バイオフィリア」
- ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」
- ニコラス・ハンフリー「喪失と獲得 進化心理学から見た心と体」
- ライマン・フランク・ボーム「オズの虹の国」
- ライマン・フランク・ボーム「オズのつぎはぎ娘」
- ライマン・フランク・ボーム「お図へつづく道」
- ダグラス・R・ホフスタッター「メタマジック・ゲーム 科学と芸術のジグソーパズル」
- 渡辺和子「愛することは許されること 聖書からの贈り物」
- ピーター・W・アトキンス「万物を駆動する四つの法則」
- ウィリアム・パウンドストーン「天才数学者はこう賭ける 誰も語らなかった株とギャンブルの話」
- ヘシオドス「神統記」
- プラトン「テアイテトス」
- 電通「鬼十則」
本書を参照している文献
最終更新:2011年08月20日 15:58