松村劭「三千年の海戦史」(2006)
評価
★★★☆
ひとこと
長らく積読だったが、「坂の上の雲」の最終回を前に取り出して一気に読了。
塩野七生や坂の上の雲に親しんでいると、比較的すんなり入ってくるが、
西洋史の通史が頭に入ってないと読みづらいと思われる。
もう少し個別の戦術の話があるのかと予想していたが、
やはりこの分量で三千年の通史を総ざらいするのは無理がある。
むしろ、時代とともにどう変わって行ったかに軸足を置いた方がよかったのでは・・・。
分類
目次
第一章 海洋戦略の夜明け「地中海」
- 海軍の源流
- ペルシャ戦争
- ペロポネソス戦争
- 巨人の時代
第二章 陸戦主導の時代
- 最初の強襲上陸作戦
- 中世の海上紛争
- 海洋国家の復興
- 百年戦争 英国の失敗
第三章 海洋覇権の時代
- 地中海から大西洋の時代へ
- 地中海の海洋覇権の争い
- 英国海峡の制海権
第四章 欧州の軍事優勢
- 近代戦の始まり
- 二つの戦争
- 昏睡と大失敗の時代
- 「機動」主役の時代
第五章 木造帆船から鉄甲蒸気船へ
- ナポレオン戦争の時代
- 蒸気機関の時代
第六章 農業時代の戦争から機会化時代の戦争へ
- 日露戦争
- 第一次世界大戦
- 両大戦の谷間
第七章 第二次世界大戦
- 大西洋と地中海
- 太平洋戦争
- 大西洋戦争
第八章 第二次大戦以降の海洋戦力
- 冷戦時代
- 冷戦後の海洋勢力
メモ
- フェニキア人の時代の船
- 漁船
- 輸送船:船幅は船長の1/2。ガイロイと呼ばれる丸船。主動力は帆、補助動力がオール。
- 軍艦:船幅は船長の1/5以下。モネールと呼ばれる長船。手動力はオール、補助動力が帆。軽快な運動性に優れるが航続距離は短い。
- 海洋都市の種類
- 大陸都市:海外と交易しなくても大陸内交易で自給自足可。陸上交通路が集中しやすい大河川の中流に建設
- 港湾都市:要塞化されると海軍基地となりうる
- 制海権
- 海上輸送時に気象・海象や海底地形・陸地地形の関係で船が航行する「海路(シーレーン)」と航行中の船が集まる「集束点」が存在する
- 海路を安定的に利用し、敵意ある国や競争相手国の利用を拒否する管制権力を「制海権」という。
- 獲得・維持する手段は(1)強力な「艦隊」、(2)基地。
- 大陸軍と大海軍を併せもった国家
- 古代ローマ
- 明王朝・・・鄭和の大航海は「示威行動」により明を宗主国とする冊封国を増やす目的(外国に基地や植民地を設定する考え方、海戦主義などは見られない)
- 現代の米国
- ヴァイキング
- 中世に北ゲルマン民族より登場
- 戦場は河口や海岸付近の陸上で、体よくいえば海兵隊。
- 地域を長く占領するのではなく、略奪に興味
- 初期は少人数で行動し、大規模な戦闘をつとめて回避。基本的には徒歩部隊。
- カッパーと呼ばれる軍船。戦闘用のロングシップと、輸送用のラウンドシップ。
- 基本的戦法(戦闘ドクトリン)の変遷
- 戦艦に激突して破壊、オールをへし折って行動不能に陥れる
- 第一次革命「火薬」の登場(15c)
- 第二次革命 遠洋航海可能な帆船艦隊&舷側に長射程カノン砲搭載(16c)
- 海洋国家の国家戦略
- 海洋国家の性格
- 団結しない限り座礁する
- 交易に国家の生存を賭ける海洋国家は交易相手国の内陸の問題には関心がない
- 交易地の拡大を追求する(not領土の拡大)
- 戦争目的は商圏の獲得(not敵国の占領)
- 海洋国家の国力に人口の大小や国土の大小は要素とならない
- 大陸国家に対する国家戦略
- 大陸に単一の強大な国を出現させない(対大陸政策は原則として勢力均衡政策)
- 大陸国家と戦争する際は決戦を海戦に求める(ヒットエンドラン作戦を取るため、長期戦になる)
- 植民地政策では「商圏」のみ独占しようとする連邦(商圏)主義。
- 海洋国家の軍事戦略
- 基地の占領が重要(大陸国家の陸軍の撃破ではない)
- 海空軍の作戦には物理的な無理が通じない(可能性を積み上げて計画)
- 戦闘艦艇の基本性能は火力、機動力、防護力、航続力
- 戦闘陣形は方陣(潜水艦の群狼攻撃から通商防護)。将来的に核火力の脅威が高まった場合には数多くの小円陣が分散・連携する形になることが予想される。
参考文献
最終更新:2011年12月28日 10:48