大澤武男「ユダヤ人とローマ帝国」(2001)
評価
★★★☆
ひとこと
「ローマ人の物語」を読了後、別の視点から読みたくなって購入。
これを買うまでユダヤ人とキリスト教の関係をきちんと意識してなかったかも。。。
ある程度ローマ史が頭に入ってないと読みづらいと思われます。
分類
目次
第1章 前史 ユダヤ民族と古代社会
- ユダヤ人の起源
- 早くも旧約時代に絶滅の陰謀
- ヘレニズム時代にも皆殺し計画
- ローマ人との出会い
- ローマ市からのユダヤ人追放
- 優遇と反感の中で
- ユダヤ人の諸特権
- ギリシャ人の反感と憎しみ
- カエサルの寵愛
第2章 ローマ帝国への追従と抵抗
- 傀儡政権、ヘロデ大王
- エルサレム神殿の再建と懐柔政策
- 相次ぐ妻子、親族の抹殺
- ローマ帝国におけるユダヤ人の数
- ディアスポラとギリシャ語聖書
- 皇帝礼拝の拒絶
- カリグラ帝の強硬策
- ローマ総督の悪政と不穏な動き
- 大反乱の勃発、ユダヤ戦争へ突入
- エルサレムに神殿が立つ限り
- ティトゥスの最後通告
- たそがれのティトゥス凱旋門
- 聖書と律法の民に
- ディアスラ・ユダヤ人の蜂起
- ハドリアヌス帝の弾圧
- 最後の抵抗
- バル・コホバ戦争
第3章 初代教会の発展とユダヤ人
- ユダヤ人キリスト教徒とステファのの殉教
- ユダヤ教側からの迫害
- ヘレニスト・ユダヤ人パウロの回心
- ユダヤ教の壁を越えて
- 割礼論争
- エルサレムの使徒会議
- <<キリスト殺し>>神学の形成
- 初代教会の発展とディアスポラ・ユダヤ人
- 初代教父の護教論とユダヤ教論駁
- 最初の反ユダヤ教会法
- ラビのユダヤ教
- ローマ帝国との共存
第4章 古代末期ローマ帝国の対ユダヤ人政策
- 太陽の上に輝く十字架
- コンスタンティヌスの対ユダヤ人政策
- 対ユダヤ人規制、禁止法令
- ユダヤ人の保護規定
- 背教者ユリアヌスの夢
- 教会法にみるユダヤ人規定
- シナゴーグの放火、破壊、カリニクム事件
- 初期ビザンツ帝下のユダヤ人
第5章 古代における反ユダヤ思想の形成
- 反ユダヤ的言動の源泉
- 内部要因
- 政治的、社会的側面
- 生かさず、殺さずの運命
メモ
- 旧約聖書「エステルの書」:「選民思想」を持つユダヤ人を不穏分子として全滅させる思想が読み取れる
- 旧約聖書外伝「マカベ前書」:セレウコスシリアがユダヤ人根絶をめざしていたことが読み取れる
- 共和政ローマから自治権・貨幣鋳造権を認められる一方、一時的にはローマ市内からの追放運動も発生。(帰依者獲得のための改宗運動:プロせりティスムスへの嫌悪が原因と想定される)
- ヘロデ大王:アラブ系の屁レにス戸・ユダヤ人。ユダヤ人からの支持は得られていなかった。巧妙な懐柔策(エルサレムの神殿大改築)と体制強化により治世を安定させていた。
- バル・コホバの反乱(131-135):ローマ帝国に対する最後の大々的な抵抗。ハドリアヌス帝治世。
- ユダヤ民族の蜂起・反乱
- ユダヤ民族の宗教儀礼を禁止・弾圧・迫害の根拠となった場合に立ち上がる
- ユダヤ民族が窮地に陥り、終末観やメシアへの期待が高まった時に立ち上がる
- 政治的な妥協はしていた(対ローマなど)
- 古代ローマ社会では「ユダヤ民族の存在そのもの」を否定する反ユダヤ思想との対決はなかった
参考文献
最終更新:2011年12月29日 18:12