新谷尚紀「日本の『行事』と『食』のしきたり」(2004)
評価
★★★☆
ひとこと
正月になると、このようなことが気になり、手にしました。
恐らくかなり基本的な話に終始しているのでしょうが、
何も知らないいまどきのヒトにはちょうどいい一冊。
食べることがもっと楽しくなるような気がします。
分類
目次
- 第一章 一年の行事と食のしきたり
- 四季とともに
- 魚の旬
- 野菜の旬
- 【正月】
- 鏡餅 橙、御幣、譲葉・・・、それぞれの意味
- 屠蘇 一年の健康を祈る
- 雑煮 屠蘇はともかく雑煮だけは
- 角餅と丸餅 各地方に伝わる雑煮の姿
- おせち 節日に神に供える食べもの「御節供」
- 【春】
- 七草粥 無病息災を祈って
- 節分 年齢と豆の数の関係
- 彼岸 「ぼたもち」「おはぎ」の意味
- 【夏】
- 七夕 七夕を祝って食べた素麺の理由
- 土用の丑 なぜ鰻でなければいけないのか
- 中元 源流は鯖だった
- 【秋】
- 月見 供えの団子は盗んでもよかった
- 新嘗祭 稲の収穫を感謝し、生命力を強化する
- 【冬】
- 【年の瀬】
- 年越しそば 多数の由来に秘められる人々の思い
- 年取り魚 行く年への感謝と来る年への祈念
- 第二章 人生の儀式と食の習わし
- 誕生/お食い初め 健やかに成長することを願う
- 雛祭り 貝類が多くつかわれるのはなぜか
- 端午の節句 粽と柏餅の由来とは
- 七五三 七つの祝いの食との関係
- 初潮 赤飯の色にこめられた思い
- 結婚 「子生婦」「寿留女」のいわれ
- 長寿祝い 賑やかな宴を家族とともに
- 葬式 供えるのは魂の象徴
- 第三章 郷土の伝統と食のいわれ
- 第一節 各地の伝統料理
- ほうとう(山梨県)「うまいもんだよかぼちゃのほうとう」の誕生
- しもつかれ(栃木県)庶民の知恵が生み出す伝統料理
- おやき(長野県)水田が少ない地域独特の名物
- そば(長野県)飢饉を救ったそばがハレ食になるまで
- きしめん(愛知県名古屋市)あの平たい麺が生まれた歴史
- 讃岐うどん(香川県)讃岐の男衆の技術が生んだこしの強さ
- 納豆(茨城県)納豆を誕生させた水戸藩の事情
- 第二節 各地のごちそう
- しょっつる鍋(秋田県)魚醤の鍋は「貝焼き」からはじまった
- 芋煮(山形県)船頭たちが張った河原の野宴とは
- 治部煮(石川県)脂ののった鴨の鍋を冬に食べる理由
- ふな鮨(滋賀県)それぞれの家独自の味が受けつがれる伝統
- 柿の葉寿司(奈良県)熊野街道を運ばれて吉野にやってきた鯖
- 湯豆腐(京都府)肉食を禁じられた僧侶たちのたんぱく源
- 第三節 戦後生まれの地方名物
- 牛タン焼(宮城県仙台市)和食職人が誕生させ、名物になるまで
- 餃子(栃木県宇都宮市)行政のどお力がおしあげた名物の知名度
- たこ焼き(大阪府)たこ焼きが生んだあるひとこと
- お好み焼き(広島県)ルーツになった子どもたちのおやつとは
- めんたいこ(福岡県)食材を唐辛子漬けにする発想のでどこrk
メモ
- 屠蘇の飲み方:家長が年初の挨拶をして屠蘇を神に捧げたのち、年少者から東を向いてはじめ、順に年長者に杯がまわる。
- お節の重詰め(四段):完全を表す「三」にさらに一つ重ねる
- 一の重:祝い肴「三つ肴(東:黒豆、数の子、ごまめ/西:黒豆、数の子、たたきごぼう)」と口取り(きんとん、伊達巻、蒲鉾。もともと祝い膳に付ける引き出物のこと。色合いも綺麗で甘い味が特徴)
- 二の重:焼物(鯛の塩焼き、ブリの照り焼きなど)
- 三の重:酢の物(いわしなます、さわらなます、酢かぶら、酢れんこんなど)
- 与の重:山の幸、山の幸の煮物(煮しめ、昆布巻きなど)
- 彼岸に先祖をお参りするのは日本独自の文化(中国にもインドにもない)
- 新嘗祭は明治6年より11月23日となり国民の休日に。昭和23年から「勤労感謝の日」に制定された。
- 端午の節句:楚の国 屈原にまつわる逸話
- 山梨県:全国有数の麺食県(夕食に麺を食べる比率が全国一位)
参考文献
- 松下幸子「祝いの食文化」
- 若月紫蘭「東京年中行事」
- 西山松之助「たべもの日本史総覧」
- 坪井洋文「イモと日本人」
- 新谷尚紀「なぜ日本人は賽銭を投げるのか」
- 橋本慶子「かばやき」
- 末広恭雄「魚と伝説」
- 新谷尚紀「暮らしの中の民俗学」
- 新谷尚紀「四季おりおり」
- 新谷尚紀「民俗学の視点と方法」
- 桜井満「節供の古典」
- 「折口信夫全集」
- 瀬川清子「女の民俗誌」
- 瀬川清子「若者と娘をめぐる民俗」
- 「民俗学がわかる事典」
- 新谷尚紀「死と人生の民俗学」
- 「日本の食生活全集」
- 「日本料理由来事典」
- 金子万平「焼餅・おやきの話」
- 中央食糧協力会「本邦郷土食の研究」
- 金子万平「信州そばのはなし」
- 「日本の郷土料理」
- 「本朝食鑑」
- 上田和子「おいしい古代ローマ物語」
- 吉井始子「江戸時代料理本集成」
- 黒木衛「山形の芋煮会」
- 滋賀の食事文化研究会「ふなずしの謎」
- 岡田哲「コムギ粉の食文化史」
- 那須正幹「広島お好み物語」
最終更新:2012年01月14日 23:04