岡田尊司「人を動かす対話術」(2011)

評価

★★★☆

ひとこと

人との対話、主に、カウンセリング的な手法について書かれた一冊。


分類

目次

第一章 心を開くアプローチ
  • 有為転変の末に
  • 「失敗」から生まれた発見
  • 方法一つで大きく変わる
  • 対話がもつ二つの基本的な働き
  • 安全感を守る
  • 関心の共有するだけで人は元気になる
  • 初老の男性のケース
  • 勉強が苦手な非行少年のケース
  • 主導権を手放す勇気
  • 本人の邪魔をしない
  • 心を汲むことの力
  • 変化を引き起こす三つの要素
  • 共感を表現する
  • リフレクティブ・リスニングとは何か
  • 「誰も心配してくれない」女性のケース
  • バイトを辞めてしまった男性のケース
  • オープン・クエスチョンが大切な理由
  • 肯定的な反応を増やす
  • 褒める場合の落とし穴
  • ピぐマリオン効果と信じる力
第二章 問題を解決するアプローチ
  • 問題があるところに原因があるとは限らない
  • 解決志向短期療法とは何か
  • 問題を解決するとはどういうことか
  • 迷路を出口からたどる
  • ゴールを明確にする
  • うまくいかなければ違うことをする
  • 初めて耳にするという姿勢
  • 肝心な問題に話題を集中する
  • 共感やねぎらいは、やはり重要
  • キーワードをフィードバックする
  • ノーマライズする技法
  • 疑問や発見、驚きを伝える
  • 質問によって気づきを促す
  • 前向きなことばを拾い上げる
  • スケーリング・クエスチョン
  • 仮定法で抵抗を突破する
  • ミラクル・クエスチョン
  • 仮定の質問に乗ってこない場合
  • 関係性の質問
  • 例外に着目する
  • コーピング・クエスチョン
  • ソリューション・トーク
第三章 人を動かすアプローチ
  • 悩みの根底には両価的葛藤がある
  • 両価性をどれだけ深く理解しているか
  • 動機づけ面接法とは
  • 人が変わるために何が必要なのか
  • 無理やり動かそうとしても逆のことが起きる
  • 両価性の原理
  • 中立的で共感的な態度
  • よくある悪いパターン
  • 対決という手法
  • まず両価的葛藤を明確にする
  • 見せかけのジレンマと本当のジレンマ
  • 揺れ動く思いを積極的に認める
  • チェインジ・トーク
  • 変化を生む基本テクニック
  • (1)スケーリング・クエスチョン
  • (2)オープン・クエスチョンを増やす
  • (3)「したくない」のか「できない」のか
  • (4)変化が起きたと仮定して尋ねる
  • 人を変える危機感
  • (5)矛盾を拡大するテクニック
  • 抵抗と上手に付き合う
  • (1)抵抗には抵抗しない
  • (2)抵抗する気持ちを映し返す
  • (3)リフレーミングする
  • (4)本人の主体性と責任を強調する
  • (5)結果をあせりすぎていることを指摘する
  • 小さな変化を強化する
  • 自己効力感を高める
  • 言葉が変わると人は変わる
  • 言葉を行動につなげる作業
  • 具体的な行動計画を立てる
  • 肩を押すタイミング
第四章 受け止め方を変えるアプローチ
  • ベックの発見がもたらした方法
  • 偏った認知の背後にあるもの
  • 認知を修正しようとすると強い抵抗にあう
  • プライミング操作は修正を容易にする
  • 偏りを指摘し修正する技法
  • 具体的な状況を重視する
  • よく見られる偏った認知や信念
  • 抵抗が強いケースの動かし方
  • 親子関係にまで遡る方法
第五章 自己否定を克服するアプローチ
  • 強い自己否定を修正する
  • 四つの認証戦略における対話技法
  • (1)情動認証戦略
  • (2)行動認証戦略
  • (3)認知認証戦略
  • (4)チアリーディング戦略
第六章 不安定な愛着の人へのアプローチ
  • 安定した関係とは何か
  • 転移と抵抗
  • 不安定型愛着の発見
  • 愛着の特性に応じた対話
  • 安全基地になる
  • 良い安全基地の条件
  • 安定型愛着の人との対話
  1. 不安型愛着の人へのアプローチ
    • 愛着不安を刺激しない
    • 合わせてくる反応に満足するな
    • 問題点の指摘には十分な注意を
    • 頭よりも心に訴えかける
  2. 回避型愛着の人へのアプローチ
    • いつまでたっても遠い人
    • 一方通行の会話も受け止める
    • 仕事や趣味の関心を共有する
    • 感情は抑えめに、少しずつ接近する
  3. 自己愛的な人へのアプローチ
    • 統制型愛着パターンと自己愛性
    • 増大する自己愛の問題
    • コフートの自己心理学
    • 鏡になる技法
    • 受容と賞賛に徹する
    • 理想化の重圧に耐える
    • 自己対象と変容性内在化
    • 甘えと共感の大切さ
    • 師になるということ
第七章 行動と環境に働きかけるアプローチ
  • 難しいケースほど行動や環境との対話が必要
  • 枠組み(ルール)と限界設定
  • 行動を客観的に記録する
  • パフォーマンスを決める三つの要素
  • トリガーを取り除く
  • 良い行動を強化する
  • 短絡的報酬と問題行動
  • 行動を指示する
  • 行動は不安を軽減する
  • 言い聞かせる言葉を指示する
  • 逆説的アプローチ
  • 家族を巻き込む
  • キーパーソンを味方につける
  • 小さな変化が大きな変化を生む
  • 一歩あとをついていく
  • 遊び心と笑いを忘れずに


気になる表現


メモ

  • カール ロジャーズ
    • 対話がもつ二つの基本的な働き
      1. 安全感を守る
      2. 考えを練り、高める

  • 変化を引き起こす三つの要素
    1. 正確な共感性
    2. 非支配的な温かさ(相手の自由な主体性を尊重)
    3. 誠実さ

  • スティーブ・ディ・シェイザー, インスー・キム・バーグ(ミルウォーキー派)
    • 解決志向アプローチ:問題がうまく解決するかどうかに中心的な関心をもつこと
    • 従来は「プロブレム・トーク」を重要視、そこから問題解決への主体的な意欲や決意が芽生えるのを待ったが、解決志向アプローチでは積極的に「ソリューション・トーク(問題解決を目指す発現)」を促すことで、より短期的に効果を引き出そうとする。

  • チェインジ・トークの5段階:現状を変えようとする意思表示
    1. 現状のまま変わらないことによるデメリットを認める言葉
    2. 変わったほうがメリットがあることを認める言葉
    3. 現状を変えることへの希望的観測や自信を語る言葉
    4. 変わることへの明確な決意を表明する言葉
    5. 現状を変えるための具体的な方法について、知恵を搾る言葉

  • アーロン・ベック
    • プライミング操作:あらかじめ下ごしらえしておくこと。

参考文献

  • ハワード・カーシェンバウム、ヴァレリー・ランド・ヘンダーソン「ロジャーズ選集 カウンセラーなら一度は読んでおきたい厳選33論文」
  • カール・R・ロジャーズ「クライアント中心療法」
  • ピーター・ディヤング「解決のための面接技法」
  • インスー・キム・バーグ「解決へのステップ アルコール・薬物乱用へのソリューション・フォーカスト・セラピー」
  • インスー・キム・バーグ「インスー・キム・バーグのブリーフコーチング入門」
  • ウィリアム・R・ミラー「動機づけ面接法 起訴・実践篇」
  • アーロン・T・ベック「人格障害の認知療法」
  • 岡田尊司「パーソナリティ障害」
  • 岡田尊司「パーソナリティ障害がわかる本」
  • マーシャ・M・リネハン「境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法」
  • 岡田尊司「愛着障害」
  • ハインツ・コフート「自己の分析」
  • ハインツ・コフート「自己の修復」
  • ハインツ・コフート「事故の治癒」
  • 山上敏子「方法としての行動療法」
  • P・A・アルバート「はじめての応用行動分析」
  • 杉山尚子、島宗理、佐藤方哉「行動分析学入門」

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最終更新:2012年01月30日 22:51