佐々木直彦「プロデュース能力」(2008)

評価

★★★☆

ひとこと

プロデュースは「問題解決」の技術でもある。
「合理的問題解決」で解決できないときにプロデュースを持ちこむという発想は
簡単なケースがいくつもあるため、イメージしやすい点がgood。
思いと行動がうまく結びつかず、行き詰まりを感じた時に手にすると良い本。


分類



目次

  • 第1章 プロデュースとは何か
    • プロデュースとは
    • プロデュースの広がり
    • プロデュースが可能にする問題解決
      • 二種類ある問題解決の発想
      • なぜ、多くの企業は問題解決にプロデュースを取り入れられないのか
      • 誰も教えてくれなかったプロデュース
      • 人はなぜ「囚われの思考」におちいるのか
      • 「囚われの思考」からの脱却
      • リスクとプロデュース
      • 「いい人」は「本当にいい人」にはならない
      • ワクワクドキドキが最後に勝つ
  • 第2章 プロデュース思考
    • 実現する夢の描き方
      • 未来への仮説
      • 未来へのストーリー
      • ストーリーは、モチベーションをつくりだす
      • ストーリーは、実現へのイメージを強化し迷いをなくす
      • ストーリーは、人を説得し巻き込む力がある
      • プロデュース思考の全体像
        1. VISION 自分の欲求・動機と実現したいビジョンは何か
        2. STRATEGY どんな方法によってプロデュースを実現するか
        3. VALUE プロデュースはどんな価値を生みだすか
    • プロデュース思考の特徴
      • 壁を越える思考
        1. 論理的に飛躍した発想を肯定する
        2. 心に湧き起こる勘定や直感を重視する
        3. 反対多数でも実行できると考える
      • 未来を創造する問題解決法
      • 自分一人ですべてを考える必要はない
    • 未来を拓く鍵
      • CASE 温泉地の活性化を仕掛けた製粉メーカー営業マン
      • 「不確かさ」を乗り越えるために
      • モチベーションの創造
      • 「わがまま」「独善」もプロデュースのエネルギー
  • 第3章 壁を越える行動
    • プロデューサーの小さな行動
      • 「小さな行動」の四つの目的
      • 職場に花を飾る方法
      • 管野早知子の小さなプロデュース
      • 「まずやってみる」は立派な戦略
      • 効力感の広がり
    • 実行チームをつくる
      • 「プロデュース」×「プロデュース」
      • たった二人のチームでも「兼務」でもかまわない
      • 一人では不可能なことをチームが可能にする
      • チームメンバーはもっとも熱きサポーター
    • なぜ行動できないのか
      • CASE 宮田洸一の小さな冒険(その1)
      • 行動の壁になる三つのブレーキ
        • A 深層心理的ブレーキ
        • B 物理的ブレーキ
        • C 身体的ブレーキ
      • 壁を超える思考と行動
    • 変化はあるとき急速に起きる
      • CASE 宮田洸一の小さな冒険(その2)
      • 小さな行動から大きな変化へ
      • プロデュース経験がプロデューサーをつくる
  • 第4章 ビジョナリ・リーダーシップ
    • ビジョナリー・リーダーシップとは何か
      • リーダーシップはリーダーだけのものではない
      • プロデューサの7つの行動
    • ビジョンについて理解する
      • ビジョンとは何か
      • ビジョンという言葉の歴史
      • 一点ではなく方向性を示す
      • 行動を起こす思考をつくる
      • ビジョンは目標とは違う
      • ビジョンのキャリア創造効果
      • ビジョンは目標より長く生きる
      • ビジョンの持つ三つの働き
    • ビジョンの語り方
      • 夢に向かうモチベーション
      • 語るべき三種類の物語
      • 三十秒で人の心を癒すネイルサロン
      • 良いビジョンは「臨場感」が湧く
      • なぜ「思いもよらぬすごいこと」が起きるのか
      • バックストーリーにある「普遍性」と「個人的な体験」
      • WHYの重要性
      • 「熱い思い」はどのようにして生まれるか
    • ビジョンはどこから生まれるか
      • 内なる自分
      • 外からの刺激
      • ビジョンの源泉
      • ビジョンは合議からは生まれない
      • ビジョンは語り合うことで共有され、実現に向かう
  • 第5章 「熱」と「ロジック」が推進力
    • プロデュース始動
      • 自分の説得
      • 「やる気」を生みだす論理的裏づけ
      • 「大義名分」と「波及効果」で人は納得する
      • かからないエンジンのかけ方
    • 熱が人を動かす
      • 夢だけでも人を説得できることはある
      • CASE 銀座を目指す宝石販売員
      • 相手をサポーターにする方法
    • 突破口を開くアイディアと戦略
      • 成果を生み出す戦略
      • 人をその気にさせるロジックは最初から考えておく
      • プレゼンテーションの重要性
      • 「大義名分」は反対を抑える力になる
      • CASE 顧客を確保してから商品化を提案しようと考えた開発マン
      • モチベーションは壁を突き破る鍵
      • 反対意見の受容
      • 「大人」のなかの子供


気になる表現


メモ

  • プロデュースとは「自分が何をやりたいのか」「それは、なぜか」というメッセージを周囲に発信することから始まる。

  • 合理的問題解決で解決しない問題への対処
    • まず問題を提起が必要
      • 何が問題なのか。
      • それは、なぜ問題なのか。
      • なぜ、このままではいけないのか
      • どういう状況を目指したいのか。それはなぜなのか。

  • プロデュース思考の7つの質問
    1. ビジョンは何か
    2. なぜそのビジョンなのか
    3. コアテーマは何か
    4. 自分に何ができるか
    5. 誰に何をやってもらうか
    6. 大義名分は何か
    7. 付加価値は何か

  • プロデュース思考の三つの重要な特徴
    1. 論理的に飛躍した発想を肯定する
    2. 心に沸き起こる感情や直感を重視する
    3. 反対多数でも実行できると考える

  • 合理的問題解決思考との違い
    • 判断基準
      • 合:正しいvs正しくない、可能vs不可能
      • プ:その気になるvsその気にならない、やってみるvsやめておく
    • 重要要素
      • 合:合理性・客観性
      • プ:アイディア・思い+大義名分
    • 思考プロセス
      • 合:原因→問題→解決策
      • プ:未来イメージ→課題→プロデュース

  • 小さな行動(=まず小さく始める)の四つの目的
    1. 生の情報を収集する
    2. 支援者・共感者をつくる
    3. より良い未来仮説をつくる
    4. 自分のモチベーションを高める

  • 効力感:その気になれば何かを変えることができる、と言う感覚。(対義語:無力感)

  • 行動の壁になる三つのブレーキ
    1. 深層心理的ブレーキ(葛藤、打算、役割意識からくる抑うつ、トラウマ、地震不足)
    2. 物理的ブレーキ(時間がないという意識、場と環境、資金、技術・道具)
    3. 身体的ブレーキ(体力、体調)

  • プロデューサーの7つの行動
    1. ビジョンを設定する
    2. 戦略を提示する
    3. チームを創造する
    4. ネットワークする
    5. 環境を最適化する
    6. プロモーションする
    7. 成果を共有する

  • ビジョンと目標の違い:目標はビジョンに至る方向性の矢印上にある明確な一地点
    • ビジョン
      • 明確な方向性を示す
      • 実現可能で魅力的な未来像
      • ここに至るさまざまなプロセスを許容する
      • 細部はファジー
    • 目標
      • どういう状態か明確
      • 数値化可能なことが多い
      • スケジュール化もできる

  • 良いビジョンの条件
    1. 目指す未来の情景がイメージできる
    2. 実現したときのさまざまな付加価値が想定でき魅力的である
    3. 現状から飛躍しているが実現可能性を感じられる
    4. 実現の方法やプロセス、関わり方を限定しない
    5. 説明しやすい

参考文献

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最終更新:2012年08月10日 09:50