有栖川有栖「妃は船を沈める」

評価

★★★☆

ひとこと

有栖川有栖の魅力は読みやすい文体、
雰囲気を持たせつつも、鼻につくことはない絶妙なバランス感覚、
文学やミステリへの敬愛、
登場人物のリアリティといったところでしょうか。
本書からも、そういう魅力は感じ取れます。

純粋に「ミステリ」として評価した場合、後半はイマイチ。
前半の「猿の手」は生憎未読なのですが、非常に楽しめただけに、
後半の展開がやや残念だった。


分類

収録作品

  • 第一部:猿の左手
  • 幕間
  • 第二部:残酷な揺り籠


ネタバラシ作品(この本より先に読め!作品)

  • ウィリアム・ジェイコブズ「猿の手」

ネタバラサレ作品(この本より先に読むな!作品)



気になる表現

他人のことやと思うて、勝手に色々言うてくれますね。(中略)
こっちは真剣に悩んでるのに、無責任やわ。
一億三千三百万七千二十掛ける九百六十四がいくらになるか
一生懸命計算してる人間の横に来て、『十億より大きいでしょう』って言うようなもんです。
意味あらへん。(p214)


メモ

  1. 睡眠薬を飲んで海に転落死した男。犯人は誰か? 「猿の手」の解釈とあわせwho do itが良い。★★★★
  2. 猿の左手の3年後。地震の最中に起こった密室殺人事件。How do it。★★

参考

  • 「乱歩の選んだベスト・ホラー」

主人公

  • 犯罪学者 火村英生

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最終更新:2012年05月17日 23:59