網野善彦「歴史を考えるヒント」(2001)

評価

★★★★

ひとこと

中国や韓国とイザコザしている昨今、ちょっと気になって買ってみた一冊。
「歴史の中の言葉」というテーマで新潮社主催で開催された連続講座を一冊の本にしたもので、非常に読みやすい。

目のつけどころ、というか、興味の持ち方次第で歴史はどんどん面白くなる
と思えた一冊です。日本のこと、全然知らなかった自分にも反省。

日本の東部と西部の文化の違い、「百姓」とはどういう人なのか、が特に興味深かった。


分類

目次

  1. 「日本」という国名
    • 歴史と言葉
    • 国名が決まった時
    • 倭人と日本人
    • 日出づるところ
  2. 列島の多様な地域
    • 日本国の範囲
    • すべての帝国は道が作る
    • 日本は孤立した島国ではない
    • 平将門の新国家
  3. 地域名の誕生
    • 「関東」と「関西」
    • 自立していく九州
    • 広域的地名と神仏
    • 気づかれていない地域意識
  4. 「普通の人々」の呼称
    • 「人民」と「国民」
    • 手垢にまみれない言葉
    • 柳田学と渋沢学
    • 納税の義務を負う「平民」
    • 「土」が意味するもの
  5. 誤解された「百姓」
    • 「ひゃくしょう」と「ひゃくせい」
    • さまざまな生業の「百姓」
    • 多様な人々を指す言葉
    • 一変した江戸時代像
    • 誤解は江戸時代から
    • 「農」の陰に隠れたもの
    • 農本主義と重商主義
    • 貧困な歴史学の用語
  6. 不自由民と職能民
    • 古代・中世の不自由民
    • 「奉公人」の出現
    • バクチの道、好色の道
    • 聖なるものの直属民
  7. 被差別民の呼称
    • 差別意識の東と西
    • ケガレにどう対処するか
    • 伝染するケガレ
    • ケガレのキヨメ
    • 非人・放免という職能民
    • 死とのかかわり方
    • ケガレから汚穢へ
    • 差別される人々
    • 今後の課題
  8. 商業用語について
    • 商業取引の高度な伝統
    • 市はどこに立てられたか
    • 「手形」と「切符」の誕生
    • 「手」は何を意味するか
    • 聖なる金融から、俗なる金融へ
    • 「接待」と「談合」の歴史
  9. 日常用語の名かから
    • 誰のものでもない「落とし物」
    • 神の意思を集約した「落書」
    • 土の中は異界だった
    • 「募る」の三つの意味
    • 「がいな」と「あたん」
    • 中世における「自由」とは
    • 失われた日本語の豊かさ

気になる表現



メモ

  • 689年 浄御原令執行・・・「日本」と言う国号が公式になった

  • 「村」は中世までは公的な国制の外にある集落の呼称だった

  • 環日本海諸国図:南を上にした地図にしてみると、日本海は湖のように見える。

  • 国民、庶民、市民、人民に対する語感



参考文献

  • 岩橋小弥太「日本の国号」
  • 網野善彦「続・日本の歴史をよみなおす」
  • 笠松宏至「ことばの文化史」
  • 阿部謹也・石井進・樺山紘一・網野善彦「中世の風景」

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最終更新:2012年10月06日 13:07