よしもとばなな「デッドエンドの思い出」
評価
★★★☆
ひとこと
よしもとばななの作品を初めて読んだのは中学生のころだったと思う。
当時は「TSUGUMI」「哀しい予感」に惹かれた。「キッチン」は映像で見たためあまり理解できていなかった気がする。「白河夜船」も読んだはずだ。でもすべて友人から借りたものだったため記憶はおぼろげだ。いつしか、江國香織はたくさん買ったが、よしもとばななからは遠ざかっていた。
ふと気になって「とかげ」に続いて2冊目を買ってみた。
じわっとくる、あるいは内臓の奥の方でしくしくする、そんな感覚を持つ作家だと思う。
よしもとばなな自身が最も気に入っている作品集とのこと。
「おかあさーん!」は★★★★。
分類
収録作品
- 幽霊の家(2003)
- 「おかあさーん!」(2003)
- あったかくなんかない(2003)
- ともちゃんの幸せ(2003)
- デッドエンドの思い出(2003)
ふと「虐待された子どもは、自分の体の痛みと心を切り離すことができる」と本に書いてあったのを思い出した。自分で自分がだるいことが分からなかったり、肝臓がまだ本調子ではないのだから仕方ないのに、ちょっとそのだるさに罪悪感をおぼえたりしているのは、そういうのだろうか、なんて考えついて、急に心がしんとしてしまった。(p116)
そしてはっと気づいた。私は自分がいったん決めたことを変えるのが、かたくなまでに、できないたちだということを。それで、そのあまりのかたくなさにまわりは口出しのしようもなかったということを。(p121)
メモ
- 家業を継ぐかどうかに揺れ、モラトリアムを送っていた男子学生と女子学生の話。
- 「和歌山カレー事件」後におきた、ある毒物混入事件。体が傷ついたことをきっかけに心の痛みにも気づく話。
- 大家族の中の末息子として育ったまことくんの思い出。
- ともちゃんの今の恋愛観を作った過去の記憶。
- 婚約者に裏切られてしまったミミちゃんの話。
参考
主人公
- せっちゃん、洋食屋の娘
- 出版社のOL
- みつよちゃん、作家
- ともちゃん、OL
- ミミちゃん
最終更新:2010年08月21日 18:33