桐谷エリザベス「日本人も知らなかったニッポン」(2001)
評価
★★★☆
ひとこと
読んでみて最初に感じたのは「15~20年くらい前に出したらよかったのにね」。
でもよくよく読み進めてみるとその頃の連載していた内容を一冊の本にしたのだということで納得。
確かに現代日本人が読むと表層的な部分ではおや?と思う箇所も多いが、根本的な価値観とかは変わってないように思う。そこをエリザベス氏は批判するのではなく、愛をもって客観的に述べているところが秀逸。
翻って自分は外国人的な感覚をもっているのかもしれないとも感じた。育ちのせいだろうが。
分類
目次
- 知らぬが仏
- いわれのない先入観
- 「さようなら」の文化
- 潔癖すぎますか
- 失礼ですが、おいくつですか
- 醜いものを見ない日本人のすぐれた眼
- 不自然な自然らしさ
- 上手な書の条件
- 日本人との対話
- これでも時間厳守?
- お国変われば……
- “好き嫌いのない”美学
- 日本人の批判精神
- 息抜きのしかたも型通り
- 酔っぱらい天国
- 完全な模倣ではありません
- 勘定を払うのはだれ?
- お金に関すること
- お礼の氾濫
- 贈り物先進国
- 日本人はキスをしますか?
- 日本人の性差別
- 執事のような男
- 男が女になる場所
- コンピュータは女性の味方
- 男のロマン
- 子ども天国
- 怒りっぽい日本のペット
- 暑気払いの工夫
- シンプルライフ
- うちの大家さん
- 季節感
- 早く客を追い出そう
- ペットの窮状
- 日本の芸能
- 着物オタク
- 花札礼讃
- トイレ談義
- 秘すればこそロマンス
- 休暇のエチケット
- 仲間意識を解剖する
- 自粛
- 究極のシャッターチャンス
- 東京復興計画
- 日本人の常識はどこにいってしまったの
- どう老いるか
- 手袋をしてください
- 日本人より日本人らしい
- 一生懸命
- 食べ物に関する自由
友人のさなえさんに言われました。日本人の会話にも言葉のキャッチボールは多いのだけど、あなたがそれに調子を合わせられないだけなのよ、と。要は、相手の波長に合わせて、相手の気持ちをすっかり受けとめればいいのだそうです。なぜ、会話はいつも新しい考え方を触発するようなものでなければいけないの、とさなえさんはため息をつきます。なぜいろいろな考え方にいちいち自分の立場を明らかにする必要があるの、と言うのです。(p57「日本人との対話」)
メモ
- ものごとの真相や理由、取るべき方法を知り、自分の思う通りにしたいアメリカ人と、自分達ではどうにもならない事態に対して、そおうなった理由や詳しい点は専門家に任せる日本人。
- 日本人は「日本には四季がある」と信じている。(梅雨などもっと顕著な季節があるのに)
- 相手の姿が見えなくなるまで手を振る日本人。但し真の深刻な別れは無言のうちに行われる。(年賀状)
- 相手の意見には異論をはさんではいけないと考える日本人。会話が弾まない。またひとたび口にした意見は最後まで押し通さなければならない、意見は変えてはいけないものと思っている。
- 時間厳守の日本人なのになぜか“終わり”は全く時間厳守でない。
- 衛生に対する意識の違い。片方のスリッパの底を別のスリッパの内側に合わせて、何足も重ねること。銭湯の脱衣場のマット。
- 風邪に抗生物質は処方しないアメリカ。(抗生物質はウィルスには効かないため)
- 日本では素人は批判しないものとされている。専門家でなければ、とやかく言う権利はないという風潮がある。
- 一生懸命頑張って、なにごとにも全力を尽くし、あくまでもやりぬくという態度は日本人の伝統的価値観であり、そのような考え方が依然として人々の間に行きわたっている。(休暇も含め、手が空いている時間を作らない)
- 基本的には子どもは本来静かなところでひとりで寝るべき、と考える欧米。
- アルツハイマーを異常なもの、恥ずかしいものとと捉えるアメリカ。痴呆に対する寛容で辛抱強い態度をとり、老いを受け入れる日本。
- 食生活のルールが多い欧米(アメリカ)
- サンドイッチは昼食に食べるもの(朝食には絶対にしない)
- 朝食に食パンを焼かないで食べる人はいない
- 朝10時にディナー用のロールパンやリッツのクラッカーを食べる人はいない
- 朝にマフィン、ドーナツ、デーニッシュペストリーはよいがクラッカーやコーンブレッドはだめ
- サラダは昼食か夕食
- 朝食にキッシュロレーヌ、フレンチフライドポテトなんておかしい
- 缶入りミルク&砂糖入りのコーヒーは不安になる
参考文献
最終更新:2010年08月21日 18:30