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金聖響+玉木正之「ロマン派の交響曲」(2009)

評価

★★★☆

ひとこと

本能(体?)でクラシック音楽を感じ、演奏してきた私が頭で理解するために手にした超入門書。
クラシックを聴くだけの人にはちょっと解説っぽいかなと感じますが、演奏する機会のある人には何か感じる部分もあるかも。知識が増える訳ではない。
なお音楽にあまり文学性を見出さない(というか文学的な思い入れ過多になる見方が苦手)な私には金聖響氏のような解説は結構あっているみたいです。

分類

目次

プレトーク ロマン派って何?
  • ロマン派の音楽とは何か?
  • 言葉による先入観
  • 新しい音楽の創造と、音楽家同士の交流
  • 世界史的背景と作曲家たち
  • 苦悩と波瀾に満ちた人生
  • ロマン派の交響曲を楽しむ秘訣とは
1章 シューベルトの交響曲 夭折の天才が遺した全8曲
  • 短い生涯で数多くの名曲を作った大天才
  • 16歳で最初の交響曲を書く
  • 「第四番・悲劇的」「第五番」にみるシューベルトらしさ
  • ベートーヴェンとシューベルト
  • 指揮者泣かせの「未完成」作品
  • 人気はホンモノ?
  • 死後にシューマンが発見した最後の交響曲
  • ベートーヴェンへの賛辞と決別
2章 ベルリオーズの交響曲 永遠の青年が描くリアルな<<幻想>>
  • 光景が目に浮かぶリアルな音楽
  • 熱烈な恋と冷静な眼
  • ベルリオーズ自身による曲の解説
  • 魔女たちの狂喜の饗宴……夢の終わり
  • 物語性のある描写的作品の数々
  • 円熟するには強すぎた感受性
3章 メンデルスゾーンの交響曲 音楽の風景画家にして近代指揮者の祖
  • 恵まれた家庭環境と「ユダヤ人差別」
  • 音楽と苦悩を敢えて切り離す
  • 現代の指揮者の源流
  • 年齢とともに増す作品の完成度
  • 改訂を重ねた「第四番・イタリア」
  • 「第二番・讃歌」と「新しい発見」
  • 風景描写の天才ぶりを示すエピソード
  • 古典の「型」からあふれ出た「思い」
4章 シューマンの交響曲 楽譜にこめた柔らかな「響き」
  • 作曲順と番号が食い違う事情
  • シューマンとショパンの共通点
  • 指揮者による改訂への疑問
  • 楽譜のままにシューマンの音を
  • 「伝統」という言葉の意味
  • 恋の喜びのなかで一気に書いた「第一番・春」
  • 「第二番」はシューマンの心の痛みをそのまま
  • ドイツ語で書かれた画期的な「第三番・ライン」
  • ピアノ好きにおすすめの「第四番」
インターミッション 「ブラームスはお好き?」
  • 旧来のブラームス像を問い直す
  • ベートーヴェンに喩える?
  • 品格と知性
  • 「剛」のベートーヴェン、「柔」のブラームス
  • サービス精神はなかった
  • 「重厚」な「ドイツ的音楽」?
  • ヨーロッパ人ならではの「和声感」
  • 形式は古典でも音楽は新しい
  • 何を表現したかったのか?
第五章 ブラームスの交響曲 知性と品格をたたえた絶対音楽の極み
  • 「交響曲不毛の30年」の後に
  • シューマンとクララとブラームス
  • 着想から完成までに21年
  • ベートーヴェンを継ぐ者
  • 「第一番」第1楽章と「運命」
  • 「居心地の悪さ」と「苛立ち」
  • 素朴な第3楽章に潜む「幾何学」
  • 偏在する「クララ動機」
  • 重圧から解放された「第二番」
  • 「三番」の「モットー」と「音文字遊び」
  • すべての楽章が静かに終わる
  • 「第四番」の枯れたロマンチシズム
  • ブラームスとバッハ
  • そしてバッハに回帰する
  • ひとつの時代の終わり
第六章 チャイコフスキーの交響曲 哀しみが昇華した「快感」の音楽
  • 「堕落」と断じた小林秀雄
  • 楽譜にない「手垢」がこびりつく
  • 演奏家本能をくすぐる「快感原則」
  • 自筆譜を筆跡鑑定してみたら
  • 「マンフレッド」と「ロシア五人組」
  • 師に酷評された最初の交響曲
  • ロシア民謡と日本人
  • 祝祭的な「第三番」と裏腹の深い悩み
  • 「好事」と「魔」が奏功した「第四番」
  • 運命に対する「勝利」か「敗北」か
  • 「第六番」―「この曲のタイトルは謎である」
アフタートーク 「未完成」から「悲愴」まで
  • ロマン派交響曲の魅力を再発見
  • ウィーンと京都の類似性
  • 文化の腐葉土から生まれる幻影
  • クラシックの限界と新たな創造への条件


気になる表現

伝統的という言葉をわざわざ使いたがる場合、じつは伝統的でないことが多いですね。<中略>ドイツの哲学者のフッサールは、『伝統とは起源の忘却である』ともいっています。たしかに伝統という言葉が使われる場合は起源を無視する、あるいは起源を意図的に隠す場合が多いですね。(p133)


メモ

  • 荒療治が必要。ベートーヴェンに比べて効く機会が圧倒的に少ない曲はまず量でカバーして耳をその音楽に慣れさせることも必要。

  • シューベルト
    1. ニ長調(1813)
    2. 変ロ長調(1814~15)
    3. 二長調(1815)
    4. ハ短調『悲劇的』(1816)
    5. 変ロ長調(1816)
    6. ハ長調(1817~18)
    7. ロ短調『未完成』(1822)
    8. ハ長調『グレイト』(1825~26、1828改訂)

  • ベルリオーズ
    • 幻想交響曲 ある芸術家の生涯の挿話(エピソード)(1830)
    • イタリアのハロルド(1834)
    • 劇的交響曲 ロメオとジュリエット(1839)
    • 葬送と勝利の大交響曲(1840)

  • メンデルスゾーン
    1. ハ短調(1824)
    2. 変ロ長調『讃歌』(1840)
    3. イ短調『スコットランド』(1830~42)
    4. イ長調『イタリア』(1831~33)
    5. 二短調『宗教改革』(1830)

  • シューマン
    1. 変ロ長調『春』(1841)
    2. ハ長調(1845~46)
    3. 変ホ長調『ライン』(1850)
    4. 二短調(1841、1851改訂)

  • ブラームス
    1. ハ短調(1876)
    2. ニ長調(1877)
    3. へ長調(1883)
    4. ホ短調(1885)

―チャイコフスキー
    1. ト短調『冬の日の幻想』(1866)
    2. ハ短調『小ロシア』(1872)
    3. 二長調『ポーランド』(1875)
    4. へ短調(1885)
    • 『マンフレッド』(1885)
    1. ホ短調(1888)
    2. ロ短調『悲愴』(1893)

参考文献

  • アーノンクール&ロイヤル・コンセルトヘボウ シューベルト交響曲第二番
  • バレンボイム&ベルリン・シュターツカペレ シューマン交響曲
  • バーンスタイン&ウィーンフィル シューマン交響曲
  • シャイー&ライプチヒ・ゲヴァントハウス シューマン交響曲
  • ノリントン&ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ シューマン交響曲
  • ミュンシュ&パリ管 ブラームス交響曲第一番
  • クライバー&ウィーンフィル ブラームス交響曲第二番 

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最終更新:2010年08月21日 18:28