初めてのアベチヨ 


「泣くな、泣くなって言ってるだろーが。」


阿部君と付き合いだして2ヶ月。
2人で今日は部活の買出しに行って、そのまま阿部君の家へ。
今日はお家に誰も居なくて、2人きり。
いい雰囲気になって冒頭の状況に。

触れるだけの優しいキス。
とろけるような深いキス。
私のではない指が私の身体をなぞる。
ブラウスを脱がされ、恥ずかしさのあまり目を瞑る。
阿部君が覆いかぶさってきて、首元に顔を埋める。

「篠岡。」

阿部君の低い声が耳元で響く。
耳を甘噛みされ、舌が入ってくる。
背中に手が回り、ブラのホックを外される。
直に触られ、耐えられず声が漏れる。

「ん、う、あっ!」

自分の声とは思えない声に、思わず口を塞ぐ。

「篠岡、声聞かせろ。」
「あ、べく、んっ。」

阿部君の指が下に降りていき、敏感なところにたどり着く。
恥ずかしくて、指から逃れようとしても、ガッチリと押さえつけられる。
そのまま、下着とスカートを脱がされる。

くちゅり。
触れただけで、電気が通ったような感覚に仰け反る。

「そこ、や、だ。駄目ぇっ!」
「ん、ここが良いのな?」

ぐちゅ、ぐちゅ。
阿部君の指が執拗に、同じ場所を攻める。
味わったことの無い感覚が、襲ってきて、

目の前が真っ白になった。


「イった、ぽいな。」
ニヤリ、と嬉しそうな顔で、覗き込んでくる。
恥ずかしくて、顔から火が出そう。

「すっげ、ヌルヌルしてる。」
わざわざ、私の目の前に濡れた指を持ってくる。
ペロリ、と見せつけるように舐める。
ゾクリ、その仕草が凄くエッチだ。

「ん、これが篠岡の味、か。」
目を合わせて言うんだから、阿部君は意地が悪い。
ヒドイ!と、目で訴えれば、満足そうに頷く。

「痛かったら、爪立てていいから。」
私の腕を背中に回させる、と同時に下腹部に痛みを感じる。
阿部君の指が、私の中に入ってくる。
1本、2本、3本。
この痛みが『阿部君がくれる物』だと考えると、それすら愛しい。

「篠岡、入れんぞ。」

みぢっ。
痛い。愛しくなんか無い。無理。

「阿部君、痛い、よ。」

凄く驚いたような顔をして、指で涙を拭ってくれる。

「泣くな。」
「だって・・・」
「泣くな、泣くなって言ってるだろーが。」

切羽詰った顔で、頭を掻き毟る。
そんな顔の阿部君を見るのが珍しくて、涙目のまま見つめてしまった。

「俺は、泣くなって言ったぞ?」

『そんなの無理』と、言う前に阿部君の唇で塞がれてしまった。


熱い阿部君自身が、私の中に入ってくる。
痛み。熱。

阿部君にされるがままに身体を委ねる。
耳元で聞こえる阿部君の息遣い。
卑猥な水音。

不意に、耳元で艶を帯びた声が聞こえる。
「千代」
もう、私は何も考えられなくなった。


終わったのか後始末をして、抱きしめられる。

「悪い、止まんなかった。」
「痛いって、言ったのに、酷い。」

阿部君は目をそむけ、拗ねたような表情を浮かべ、ぽつり。
「あんな顔する。篠岡が悪い。」
「ワケ、わからないよ。」

ぐるりと、背を向け、また頭を掻き毟りながら、
「惚れた女が腕ン中で、目ぇ潤ませて見つめてきたら、無理。」

なんて、耳赤くしながら言うのは卑怯だ!
卑怯だけど、なんだか阿部君が可愛く思えちゃうんだから、阿部君はずるい。

「次は、優しくしてね?」
思わず、後ろから抱きついた。

「今から練習する。」
「無理です!」
「ちっ。」

何か、拗ねちゃったけど、ここはキッチリ止めておきました。

「また、今度ね?」


今日は、何かおかしい。
朝練の時は普通だった、と思う。

教室で花井君と水谷君が目を合わせてくれない。
休み時間に廊下で沖君に会った時、ダッシュで逃げられた。
教材を運んでいたら、巣山君が7組まで代わりに持ってくれた。

部活が始まっても、みんな変だった。
ドリンクを用意していたら、栄口君が代わってくれた。

やっぱり、変。
まったりプロテインタイムに思い切って聞いてみることにした。

「今日みんな、おかしくない?」

みんなで顔を見合わせ、あっけらからんと田島君が、
「や、女子ってハジメテは辛いって、兄貴言ってたしよー。」
「あー、うん。篠岡、無理しなくていいよ?」

何で知ってるの?
声にならならず、口をパクパクさせる。

私の言いたいことを察したのか、
「朝練の後着替えてたらさ、阿部の背中が凄いって、三橋が騒ぎ出してよ。」
「なー、阿部ってば『篠岡に引っ掻かれた。』とか言っちゃうし。」
「すっげえ、嬉しそうに言うのな。」
「気ィ使うだろ?一応。」

いらない!そんな気遣い。
もう、阿部君とはしない!


でも、しちゃうんだろうな。
耳元で『千代』って囁かれたら。





最終更新:2008年01月06日 19:08