6-42-46 小ネタ 小ネタ 沖補完計画 ◆VYxLrFLZyg
合宿に入って数日、銭湯で今日も田島はマッパのまま走って湯船に突撃する。
「こらっ!田島!まず掛け湯しろっつってるだろ!」
タオルを腰に巻いた花井が田島にラリアットを掛け、
無理やり田島にシャワーを浴びせる。
「つ、冷てえ!!」
じたばた暴れる田島の揺れる部分を沖は何気に見て、
ばれないようにほうっとため息をついた。
田島以外はたしなみとして腰にタオルを巻いているが
沖は全員のその下が気になって仕方がない。
もしかして、自分だけ・・・?
嫌な予感が頭をよぎる。
気を取り直してまずは身体を洗おうとシャワーの前に立ったら、
後ろを通った三橋が何かに滑って、沖のタオルを引っ掛けて転んだ。
ハラリとタイルの上に落ちるタオル。
一点に突き刺さるみんなの視線。
息を呑む気配。
そして・・・そっとみんな目を逸らした。
「沖、まだムけてないんっ!!ぶえっ!」
田島がそう発言した瞬間、まわりにいた泉と栄口と水谷が、
3人がかりで田島を湯船に沈め。
「そういうこと言うなって!!」
「ちったあ気をつかえ!!」
逆にその優しさが沖の心をえぐり、じわっと目尻に涙を浮かべた。
「もしかして、みんなムけてんの!? どうやったらそうなんの!?」
悔しさと恥ずかしさと涙を誤魔化すために半ば開き直って、沖が叫ぶと、
全員一斉に花井を見た。
「オ、オレ!? なんでオレ!?」
そのまま視線を花井の頭に固定させて。
「だって・・・ねえ?」
栄口がポツリと呟いて。
「チンコ、でかそう!!」
田島がにかっと笑って。
「体一番でかいし?」
水谷がのほほんと発言し。
「その頭だし。」
泉が冷たく言い放って。
「象徴してるよな。いや、でもいつもタオル巻いてるな。」
阿部がそういって、花井にも疑惑をかぶせ。
「ああ、そういうこと。そういう自己主張で坊主なんだ。」
西広が疑惑を確信に変え。
「沖、仲間いたな、よかったな。」
巣山がトドメをさした。
「ふざけんな!! 頭もタオルも関係ぇねえだろ!? 巣山だって、坊主じゃねえか!」
「オレは坊主だけど、花井は5厘でどちらかといえばスキンだろ。」
「いっそ、全剃りすれば?よりらしくなれるぜ?」
泉の発言でスキンヘッドの花井を想像したらしく、一斉に吹き出して肩を震わせる。
みんなのからかいに花井は顔を真っ赤にして
「5厘刈りじゃねえよ!髪の色のせいでそう見えるだけだ!
大体オレはカブってねえよ!!」
「「「「見せろ!!」」」」
全員弾けた様に一斉に花井に群がってタオルを奪おうとし、
花井は慌ててシャワーから離れて湯船に飛び込んだ。
「ああ!タオルお湯につけんな!!」
田島の指摘に花井は濡れたタオルをばしっと田島に投げつけ
そのまま湯船に半身を隠す。
「ふざけんな!アホかお前ら!?」
顔を真っ赤にして抗議する花井に、みんながにじり寄ろうとした時。
「た、田島はいつ?」
沖が相変わらず隠しもせずに仁王立ちでふんぞり返っている田島に恐る恐る聞いた。
「ん?オレ?いつだったかな~。中学かな。
時期は覚えてないけどムけた時すっげー覚えてる。」
全員興味しんしんで田島の話を聞こうと田島を見て、
なるべく直視したくないものを視認し、俯いて耳だけ傾けることにした。
「トイレいったらチンコの形が変わっててさ、びっくりしてパンツ脱いで
そのまま居間に駆け込んだら、家族におめでとーって祝われた。」
その情景を想像してしまったのか、全員一斉にうなだれて、耳を塞ぐ。
「ありえねえ。ありえねえよ。田島。」
「大家族って恐ろしい。」
「三橋!お前は!?」
田島の明るい声が響いて、みんながはっと振り向くと、
なるべく目立たないようにすみっこに居た三橋が、田島にタオルを奪われた所だった。
三橋の一点に視線が集中。
「おお、なんか破壊力ありそうだな!!」
田島の能天気な声が風呂場に響き渡り。
「三橋はどうやってムけたんだ!?」
真っ青になってぶるぶる震える三橋に、全員が同情しかけた時。
「オ、オレ。小学生、のと、き。」
「おお!小学生で!?」
「ルリに、い、、イ、イトコと風呂はいった・・時、い、イタズラされ、て。」
ムク
聞こえるはずのない効果音が風呂場に響き、全員ぐっと前かがみになって。
「そ、そのときに、無理やりぎゅっと思いっきりひっぱら、れて。」
キュウッ
さらに聞こえるはずのない、縮み上がる音が響いた。
「おお!それでムけたのか!イトコすっげーな!」
「す、すっごく、い、痛かった、よ。」
「想像しただけで痛ぇ・・・。」
「オレも。」
全員蒼い顔をし、思い思いの姿勢を取る。
「阿部は?」
沖が何気なく阿部に話を振ったら、阿部は軽く沖を一瞥して。
「そんなもん。アレ覚えた頃自然になった。」
阿部以下数人がうんうんと頷いて賛同し、
さらに阿部が性悪そうにニヤって笑って。
「ウラにさ、筋があるだろ?ソレ切るとムけるらしいぜ?」
沖は目を輝かせたが、それ以外はさらにキュウッとなったらしく。
慌ててよって来た花井が、阿部の頭を一発はたいた。
「アホか!! とんでもないウソ教えんな!沖、信じるなよ!?
使い物にならなくなるぞ!」
「んだよ、ただの冗談じゃねえか。」
不満そうにぶつぶつ呟く阿部に対して。
「いや、今の冗談は、しゃれにならないよ、阿部。」
栄口がげっそりした顔で阿部に抗議し。
「阿部、ギャグセンス、ゼロだな。」
泉が容赦なく切り捨てた。
見る見るうちにしゅんとなった沖を、花井は一瞥して大きくため息をつき。
「あのな、方法は一つしかねーんだ。とにかくムけ!」
花井はおそらく自分が実践したであろう方法を沖に伝授し、
沖は途方にくれた目で花井を見上げるしか出来なかった。
そんな怖いこと、どうやってできる?
また、合宿の日が近づいてきた。
沖は一人自宅の風呂場で、現状に変化のない自身を見下ろし、ため息をついた。
しかしすぐに、決意の篭った目に変わり、手をそっと添える。
「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ・・・。」
合宿初日、女湯でまったりしていた篠岡とモモカンは
突然隣の男湯ではじまった
割れんばかりの拍手と沖コールとおめでとうコールの嵐に
思わず顔を見合わせて、首をかしげた。
最終更新:2008年01月06日 21:48