6-147-151 ハマオチ 前編(ハマオチ) ◆tE8p2y4G8I
2月。
浜田は学校で野球部の練習に混ざりすっかり遅くなったので、コンビニで夕飯を買って帰っていた。
(今日はバイトも無いし。チョコ食べながらゆっくりテレビでも見ようかな~♪)
鞄には3つのチョコレート。
1つはチアガの女の子達からもらった。
「は、浜田さん!も、もらってください!」
「お、サンキュー!嬉しいよ!」
「わ、私達本当は手作りしたんですけど、失敗しちゃって・・・」
「越智先輩と友利先輩にで味見してもらったら『毒盛るな!』って怒られたんで買いました~」
「・・・あはは、ありがとう~。」
「来年は進化した私達を見せたいっス。」
「期待しとくよw」
(あの子達は妹分って感じだよな~。梅と梶も喜んでたし。)
浜田は二ヒヒと笑う。
(そういえば篠岡のは凄かったな・・・)
もう1つは篠岡から。野球部のみんなへ。それとなぜか浜田も貰っていた。
「しのーかー!俺と三橋の違うぞー!あ、花井のもー阿部のもー!」
ミーティングが終わった後、田島がみんなのチョコを覗き込む。
「ん、みんな違うよ?それぞれの好みに合わせたの」
紙袋をたたんだ篠岡が笑顔で答える。
「え、じゃあ篠岡は11人分違う種類のチョコを手作りしたの?」
「志賀先生と監督の分も作ったよ♪アイちゃんには犬用クッキー作ったの。えへへ~作るの好きだからはりきっちゃったw」
「ありがとーしのーかーーーー!!」
「マネジだから知ってるんだよ~」と言わんばかりにと笑う篠岡に西浦ーぜはうっと涙を滲ませる。
篠岡の暖かな思いやりはすべて義理じゃなく本命なのだ。
(本当、あの子は良い子だよなー。俺までもらえたのは予想外だけど。そうそう・・・そういえば・・・)
最後の1つはモモカンから。
「私も手作りよ!カカオからねー!!」
オレンジピールならぬ、甘夏ピールが入った究極手作りチョコレート。
それが配られ、西浦ーぜはごくりとつばを飲み込む。
監督の発言を本当だと思った。
「オイ・・・カカオからだってよ・・・」
「ぜってーガーナまで肉体労働しに行ったよあの人・・・」
「むしろガーナ人の友人がいそうだよな・・・監督は」
「まぁ、これ食べたら野球うまくなりそう・・」
「なぁ、誰か『手作り』に突っ込めよ・・・」
「ねぇねぇ~やっぱここは一番先に花井が食べるべきじゃないか~い?」
「黙れ水谷。黒人とトレードするぞ。」
「はいはいだまりまーす。」
(本当・・・野球部の奴等の驚き様は凄かったなぁ~クククッ)
必死で思い出し笑いをこらえ家の前まで来た時、何かがドアの前にあるのが見えた。
(なんだ?ありゃぁ。ゴミ袋かな?)
黒い布の塊が見える。浜田が近づくとその黒い塊はもそり、と動き出した。
「・・・・ぇ。越智?!」
「・・・・・遅いわよ。」
そこに居たのは黒いゴミ袋ではなく、完全防寒した浜田の元クラスメイト・・・越智であった。
「ど、どうしたんだよ~?」
「これ、2-9の女子から浜田に。」
とピンク色の紙袋を浜田に渡す。中にはふわふわした包み紙がいっぱい入っている
「え、これって・・・」
「チョコレート。今日バレンタインでしょ。」
「おぉー!ありがとう!嬉しいー!」
「本当は梅か梶に渡してもらおうと思ったんだけど・・・あいつ等逃げて・・・ハクション!!」
越智は大きくくしゃみをし、鼻をすすらせた。
「まさか、ずっと待ってたの!?」
「だって、家に行ったら居ないし鍵開けっ放しだし!泥棒でも入ったらどうするのよ!」
「あ、そーだ。今日鍵かけんの忘れてたんだ。」
「だからずっとここに居てあんた帰ってくるの待ってたんじゃない!!」
「わりーわりー!まぁとりあえずあがれよ。コーヒー飲んでかね~?」
「良いわよ。帰る」
「待てって。」
「・・・クシュッ!」
「ほら!風邪引いたら困るじゃん!」
半ば強引に越智は浜田の家に上げられた。
「今お湯わかすからー。座っててー。」
浜田はストーブに火を付け台所へ向かった。
雑誌が数冊、床に散らばってはいるがそこそこキレイな部屋だった。
「・・・・・・へぇ。」
壁には応援団の学ランがかけられている。
よくみると裁縫道具箱もあり、タスキや弾幕もある。
「コーヒーで良い?インスタントだけど。」
「あ・・・うん。自分でやるわ。」
もらったカップに粉をいれ、お湯をそそいでもらう。
「砂糖入れないの?」
「太るでしょ。」
「えー。コーヒーの砂糖で太んないでしょ。」
「油断大敵なのよ。」
スプーンでグルグルとかき混ぜながら二人はテーブルに向かい合わせになった。
「えー・・・細いのに。」
浜田は砂糖を1杯入れた。
「・・・・」
そこから1分ほど沈黙が続く。
お互い、何を話していいのかわからない。
越智はぼーっと学ランを眺めていた。
「・・・私、浜田の事嫌いだった。」
「え・・・」
「1年の頃とか」
「あ、あー・・・」
「いっつも授業に遅れて出てきて、授業中はずっと爆睡して。先生達は怒るし、バイトしてる私達の肩身は狭くなるし」
「あー・・・」
「おまけに梅や梶と3人で色々馬鹿やって問題起こすし。そして留年しちゃうし。」
「うー・・・」
「あげくの果て、いきなり応援団つくりますから皆さん応援してください?」
「・・・・」
「何やってるんだろう。コイツって思ってたの。」
「・・・・薄々勘付いては居たよ。チアガと練習してる時、越智が来て睨んでったし・・・。」
「だけど。」
「・・・・」
「この半年間、見てて色々浜田の事誤解してたなって気付いた。」
「ぇ・・・」
「凄いじゃん。誤解してた。ごめん。」
「あ・・・どうも」
浜田は急にほめられたので赤くなった。
「・・・・けど、うちの後輩に手出したらタダじゃおかないからね!」
「あ、それは絶対無いよ!安心して!」
「何、うちの後輩は可愛くないとでも言いたい訳?」
「いや・・・俺・・・・」
何故か正座する浜田。
「お、俺は越智が好き・・・だから」
「・・・・」
一瞬、時が止まる。
「あの・・・好きです。」
「・・・・・・・。」
越智の心臓はバクバクだった。
「……」
「……」
「う、嘘だ…」
「…え?」
「そんな嘘色んな女に言ってるんでしょ!」
越智は顔を真っ赤にしながらも浜田を睨み付ける
「え…?」
「知ってるんだから!1年の時あんたと梶達で女連れ込もうって話してたの!」
越智はどきどきを必死に止めようとする。
「……あ~…」
確かに去年の今頃、梶山と梅原と話していた気がする。
「あ~彼女欲しいなぁ~…」
「あ、浜田!今度浜田ん家で合コンしようぜ!」
「なんでだよ~。」
「浜田一人暮らしじゃん。いいなーやり放題で!」
「アホか。つーか最近お前そればっか。」
「アハハハハ」
「浜田ヤリキング!」
「浜田のテクで女絶頂『こんな金髪高校生初めて!』」
「アハハハハ」
たわいもない男子の馬鹿話。無論総て架空の話である。
「…あれは健全なる男子高校生の妄想と言うか…。そんな事実は無い訳で…。というかそれ越智聞いてたのね…。」
「……。」
睨み付ける越智、ポリポリ頬を掻きながら萎縮する浜田。
「…つーか、俺ヤりまくってるように見えるの?」
越智はジロっと浜田を上から下まで見た後
「……違うの?」
「………悲しくなるから聞かないで」
「そっか…。変に誤解してごめん。」
「……俺もうヤダよ~。越智にこんな事まで言うなんてさぁ。」
(そっか、そういえば…告白されたんだ)
「…まぁ、越智の気持ちはわかったから。無理言ってごめんな…。」
浜田はハハハと笑い飛ばした。
(え、もしかして浜田振られたと思ってる?)
「まぁ越智は気にせずに越智のままで居てくれよ。」
浜田は居たたまれなくなって立ち上がった。
もしこのまま。
私が帰ってしまえば今回の事はうやむやになる。
浜田もきっと触れないだろう。嫌いだといわれたようなものだから。
私は浜田を嫌いなのだろうか……
ぐっと浜田のズボンの裾をつかむ。
振り向く浜田。
「…私、今の浜田好きだよ。」
「ぇ…」
「嫌いじゃないって言ってるの!」
「マジ?!?!?!?!」
ぱぁっと浜田に笑顔がともる
「よっしぁあああ!」
浜田のガッツポーズ。万歳三唱。
無邪気に越智に勢い良く飛びつく。
「あ、馬鹿!」
二人の肩にぶつかった冷めたコーヒーがそのまま二人にバシャリ。
ちょうど越智の服にかかってしまった。
「あ~!!!染みになる!」
「ゴメン!」
越智は急いでボタンをはずし服を脱ぎ捨てた。
浜田の目の前にはキャミソール姿の越智。
「こっちにまで染みてるよ?」
「……本当。」
「…脱いじゃえよ」
「え?」
ふだんのにやけ顔じゃない浜田の顔にドキっとする。
浜田は越智のキャミソールに手を入れた。
「あ…」
スルスルと脱がされ、細くて白い身体にそっと浜田の手が触れた。
「キスさせて…」
軽く口付けをしたまま暖かな手が上半身を撫で回して行く。
だんだん手の動きも早くなってきて、キスも激しくなる。
ブラジャーを外され浜田の顔が胸にうずめられた瞬間、越智の身体に切ない電流が走った。
「あっ…」
感じたことがない感覚に越智は身をくねらせる。
吸われ、抓られ、甘く噛まれる。
そんな事を今浜田にされてる。
そうと思うと恥ずかしくて頭がいっぱい痺れてくる。
身体から何かがあふれそうだ。
そこからもっと下の深いところへ。
浜田の手が進んで行く。
自分から脱いだのか、脱がされたのかわからない。
柔らかかな花びらに中指が触れる。ちゅくっと水の音がした。
どうして触れられるだけでこんなに甘い電気が走るのだろう。
「…動かさないで。…とまらなくなるから。」
浜田は何も言わない。太ももにキスをしながら指の動きも止めない。
「ヤダ…ヤダっ」
「…キツクいったらヤメるから。」
そんな事言われたって。
熱くて、触れるとおかしくなりそうなのに。
「…ねぇ、浜田…お願い。」
必死でお願いすると浜田は手を止め、部屋の引き出しからゴムを取り出した。
この少しの間でさえ、越智は甘い電流の余波を受け朦朧としている。
ふわふわとした波の中にいきなり衝撃が走った。
「痛っ!!!!」
「ぇ?!越智?!」
「っ~~~」
浜田の動きが止まる。越智の目にはうっすら痛みで涙がにじんでいる。
「…もしかして越智も初めて?」
「…うん」
「…痛いならやめる?」
「…続けて…」
すうっと息を吸って吐いた後、越智は少し腰を動かしてみる。
痛い。痛い。
けど、なんだか嬉しい。
繋がっている。
「無理すんな…俺がする…から」
浜田が動きだすと、再び越智の身体に甘い電流が走った。
痛みと電流が入り混じってどこかへ飛んで行きそうになる。
相手の存在を感じるだけで快感を感じてしまうのだ。
(いっぱい…私を感じて欲しい…)
(凄い可愛いな…)
細くしなやかな身体とその割には大きなな胸がゆさゆさと動く。
浜田の動きに大きく反応し、越智は身をよじらせる。
普段強気な越智が。今はこんなに自分にすがっている。
お互い息が荒くなる。獣みたいに相手を欲しがる。
「俺、もうやばい…」
「うん…私も」
一気に爆発した時、二人は最高にすがすがしい気持ちになれた。
「あー!シミになった!」
越智の服はすでにコーヒー染みの餌食になっていた。
「うちで洗濯してけよ?」
「乾くのまってたら朝になるじゃない。」
「朝まで居ればいいじゃーん」
「馬鹿。親が心配するから帰るよ。」
「え~もうすこしこのままでいよーよw」
裸のまま越智に抱きつく浜田。
「結局、私は連れ込まれてヤられてしまったし…」
「いや、越智じゃないとしないから!」
「はぁ~わかったわかった。本当、アンタと私はアホよね。」
ふぅっ。と越智はため息をついて浜田の腕の中で眠りについた。
最終更新:2008年01月06日 22:08