6-455-463 タジチヨ
「お誕生日おめでとう。」
「おー、ありがとー!あ、ケーキケーキ!」
田島の18歳の誕生日の今日。
千代は手作りのケーキを持って田島の家を訪れた。
「あとね、これ、プレゼント。」
「ありがと!」
田島はそれを受け取ると、屈んで千代にキスをした。
玄関先での不意打ちのキスに、千代は驚いて、それから笑った。
「開けていい?」
「うん。」
通された田島の部屋で、並んで座る。
リボンを解いて袋を開けると、中身はストリートブランドのベースボールキャップ。
「うお、かっけぇ!」
田島がそれをスポっとかぶると、2年以上も見続けた懐かしい姿を思い出す。
「ふふ、やっぱ田島くん、帽子似合うね。」
「そう?」
「うん、かっこいい。」
笑いあってキスをする。千代のおでこに帽子のつばが当たって、また笑った。
相変わらず殺風景な部屋の一角には、他の人から貰ったらしいプレゼントが
置かれていた。
まだ開けた気配のない物を含め、結構な数の包みがある。
明らかに女の子から貰った感じの、可愛らしくラッピングされた物に、
ちょっとだけやきもちをやいてみたり。
そのたびに田島は笑って千代の頭を撫でた。
「一緒に見よっか。」
「うん。」
プレゼントをひとつずつ開けていく。
えーと、これは巣山と栄口に。泉はね、メシおごってくれたよ!
名前を羅列していく田島の声に、ふと気づくと、思った以上に女の子が多い。
相変わらずと言うかなんと言うか。
この不思議な人気者ぶりは、嬉しくもあり不安でもある。
なにやら複雑な表情の千代に気づいた田島が、少し気まずそうな顔をした。
「あ。」
田島は思い出したように、ベッドの上に置いてあった小さな紙袋に手を伸ばした。
「なあに?それ。」
「これさ、2番目の兄ちゃんがくれたんだ。彼女できたっつったら、一緒に使えって。
だから、篠岡と見ようと思ってとっといたんだ。」
いったいなんだろう?一緒に使えってことは、何かお揃いの物とか?
ペアリングとかだったらどうしよう!なんて、それは考えすぎか。
しかし、自然に千代の期待は高まる。
千代の機嫌が回復したのに、ほっと息をついた田島が、紙袋から箱を取り出した。
「開けてみよっか。」
ワクワクしながら2人でそっと包みを開いていく。
包装紙の下からは、そっけない透明の箱。残念ながら、アクセサリー類ではないようだ。
ちらりと白いコードが見える。MP3プレイヤーとか?いや、ちょっと違う。
さらに開くと、ピンク色の小さなプラスチックのボールが現れた。
いや、ボールと言うよりは、楕円形で…。
「…?なんだろ、コレ。ね、田島く…、」
千代が不思議そうな顔をして隣を見ると、目を輝かせた田島がいた。
その目を見た瞬間、千代の直感が告げる。
これは、田島に与えてはいけないモノだ!
「ね、田島くん。ケーキ食べよっか?下におじいちゃん達いるんだよね。
下行って、一緒に食べようよ。」
気を逸らそうと、立ち上がった千代を、田島が抱えてベッドに放り投げた。
「きゃっ!」
弾む千代の体を抑えるように、さっと田島が馬乗りになる。
「た、田島くん、ケーキ…。」
田島がニッと笑って、千代の目の前に差し出したそれは。
ピンクローター。
「これ使ってみよーぜ!」
千代は一気に耳まで赤くなった。
いくら千代だって、これが何の為の道具かくらいはわかる。
「だ、ダメー!やだやだ、無理!」
千代がじたばたと暴れると、田島が捨て犬のような切ない目で千代を見た。
「だって、せっかく兄ちゃんが、プレゼントしてくれたんだよ?篠岡と使えって。
使わなきゃ悪くない?それにさぁ、これオレが1人で使ったら変態じゃん。」
えええええ?た、確かにそうかも知れないけど、でもっ!
お兄さん、弟にヘンな物あげないでくださいっ!
「やだ、やだぁっ!」
田島が、抵抗する千代の両手を抑える。
「篠岡、お願い。」
真剣な眼差しに射竦められるように、一瞬千代の動きが止まった。
じっと、田島に見つめられ…。あ、あれ、デジャヴ?
つい何日か前にも、似たようなことあったような…。
溜息をひとつ。抵抗するだけ無駄なことは、散々学んだ。
千代は、楽しそうに自分の服を脱がしていく田島を、呆れ顔で見ていた。
スイッチを入れると、ブーンとモーター音がする。思ったより音は大きい。
手で持つと、すごい振動が来るよ。と、田島が笑う。
千代は裸の胸を抱えた枕で隠しながら、田島の手の中で動くそれを見た。
「そういえばさ、ローターって入れて使うもんじゃないんだって。」
い、入れて使うとか、そういう…。千代は赤くなった顔を枕に埋める。
「…じゃあ、どうやって使うの?」
「こうやって、じゃない?」
田島がパッと枕を取り去って、千代の胸にローターを当てた。
「あ。」
強い振動を感じ、乳首はあっという間に硬く勃ちあがる。
「お、すげ。」
「…びっくりしたからだもん。ちょっと、くすぐったいかも。」
「オレに触られんのと、どっちがいい?」
「そんなの、知らない。」
答えづらい質問に、千代が顔を背ける。
田島が笑いながら、もう一方の乳首に舌を這わせた。
温かく濡れた、柔らかい舌の感触と、無機質で鋭い機械の感触。
どっちがいいかなんて、わかんないよ…。
同時に送り込まれる刺激に、ただ翻弄され身悶える。
「いつもとあんまり変わんない反応、かな。」
田島が千代の顔を見ながら言う。
「観察しないでよぉ。」
田島はにひっと笑って、千代にキスをした。
「次、こっちー。」
「あ、わ。」
千代の足を掴んで大きく開くと、その間に田島が座り込む。
指で襞をなぞると、ぬるりと濡れた粘膜の感触。
「あ、もう濡れてる。」
「もぉ…。へんなこと言わないでって言ってるのに…。」
田島は楽しそうな顔で、恥ずかしがる千代を見る。
「へんなこと言うと、篠岡が恥ずかしがるじゃん?それが興奮すんだよね!」
こんな状況で、屈託のない笑顔。なんとも田島らしい、が。
「バカ…。」
再びモーター音が響き、千代は体を硬くする。
田島は迷わずに、小さな突起の上にローターを押し当てた。
瞬間。千代の腰が跳ね上がる。
何、これ!?
「ひ…ぃ、あ…っ。」
言いようのない声が止まらずに出てしまい、自分で驚く。
「気持ちいー?」
「わ、わかんな、いっ。」
今までに体験したことのない感覚に、耐えられず体がビクビクと動いた。
「なんで嘘つくかな。気持ちいいんだろ?いいって言ってみ?」
「だ、だっ、て!」
どうしよう。なにこの感じ!
体を突き抜けるような強い快感に、頭の中が真っ白になっていく。
なにこれ、なにこれ、なにこれ…!
知らず体に力が入り、足の先がぴんと伸びる。
…あ、嘘、もうイク!
「はあぁ…っ。」
あと少し、というところで、田島がローターのスイッチを切った。
「えっ…。」
おあずけをくらった千代が田島を見ると、いつもの笑顔で千代を見ている。
「た、田島くん、私。」
「こんなもんでイカれちゃったらさ、オレのチンコの立場ないじゃん?」
そう言ってニッと笑うと、田島は千代の足を抱え上げた。
「行くぞー。」
ローターの快感を追うように、ぴくぴくと収縮を繰り返す膣内に、ペニスがぬるりと
挿入される。
「ひぁっ!」
さっきとはまた違う刺激に、千代の体が再び跳ね上がった。
「おぉ、すげーぬるぬる。そうとう気持ちよかったんだ?」
「い、わないで、よぅ…。」
ゆっくりと馴染ませるように田島は動き出す。
「すっげぇ。吸い付いてくる。」
「くぅ…、ん、あ。」
「入れながらこれ使ったら、どうなんのかな?」
田島の目が千代を見下ろす。まさに新しいオモチャを手に入れた子供の目で。
ローターを押し当てゆっくりと腰を動かすと、千代の体を通り抜けて、
田島にも振動が伝わって来る。
「すっげぇなー。びりびりすんじゃん。」
実験をしているような田島と対称的に、千代にはもうまったく余裕がなかった。
体はしっとりと汗で湿り、呼吸は徐々に浅く、早くなっていく。
ローターを持つ手が邪魔なのか。
それともただ千代の様子をじっと観察しているのか。
田島の動きはとてもゆっくりとしていた。
…お腹の方が擦れる。
浅いところをゆっくりと擦られることなんて、あまりなかった。
奥まで激しく犯されたくて、いつも田島にしがみついていた。
でも。
ローターの刺激も相まってか、このじれったいくらいの動きがたまらなく気持ちいい。
「篠岡、これ持ってて。」
突然右手を引っ張られ、強く振動するそれを握らされる。
「え…。」
「なんか動きにくいんだもん。ちゃんと気持ちいいとこに当てとけよ。」
田島はそう言うと、千代の膝を抱えるようにして、ベッドに手をついた。
浅いところを擦り続けていたペニスが、一気に根元まで挿入される。
「きゃああ!田島くん、ダメ、う、」
悲鳴のような大きな声に、さすがの田島も焦って、千代の口を塞ぐ。
「し、しのーか?いくらジジババ耳遠いっつっても、もうチョイ静かに、な?」
「ふ、うんん、ん~…。」
口を抑えた田島の手を退けようと、千代の指がきつく食い込む。
「イテテ、おい、デカイ声出すなよ?出したらこれ取っちゃうぞ。」
ローターを持つ千代の手を握ると、千代が涙を溜めた目でうんうんと頷く。
手を離すと、千代はぷはっ、と息継ぎをした。
涙に濡れた目が、強請るように田島を見つめる。
「わかったよぅ。ほんっと、エロイなぁ、篠岡は。」
「だってぇ…。」
「ま、そういうとこも好きなんだけどねー。」
徐々にスピードを増す田島の動きと、痺れるほどのローターの刺激。
どっちが気持ちいいのかわからず、何に集中すればいいかもわからない。
田島が自分を見て、何か言っている。でも、もう聞こえない。
聞こえるのはただ、自分の短い呼吸と、体の奥から響くモーター音。
「やぁ…っ!田島くん、もう、もう私、イッちゃうよ…!」
ぎゅうっと締め付けた千代の感触に引きずられ、田島が呻いた。
「う、わ、篠岡、そんな締めたら…。」
「あっ、ダメ!」
千代が弾けるように体を震わせると、締め付けはより強くなる。
「く、」
田島はローターを放り投げると、千代の体を抱き締め、強く揺さぶった。
すっげぇ威力…。
汗ばんだ体のまま、ぐったりと重なる2人の横で、唸りつづける小さなそれを
田島はじっと見つめた。
手を伸ばしてスイッチを切ると、千代もつられて目を向ける。
とろんと潤んだ千代の目に、ローターが捉えられた。
「田島くぅん…。それ、すごいんだね…。」
「そ、そう?そらよかった…。」
今まで散々、千代を巻き込んで振り回して来た、田島のイタズラっ子のような目に
初めて焦りの色が見えた。
これにハマられたら、まじでチンコの立場なくなるな…。
千代の気持ちいい顔は見たい。が、しかし。
「あああああ!」
突然、頭を抱えて転がり回った田島を、千代がぽかんと見つめる。
悩める田島の心の葛藤に、千代はまだ気づいていないようだ。
18歳。
新たな喜びと苦悩を手にし、田島はほんの少し大人になった。
最終更新:2008年01月06日 22:19