3-197-209 ミハチヨ「メダカが見た虹」



「……キレイ だ。……す、すい こまれ そう」
少年は、頭上にある満天の星を眺めていた。
今立っているのは誰もいないマウンド。フェンスには野球ボールが、一個だけ転がっていた。
少年は夜空の星座を観ながら、左手の刃物を静かに右手首に置いた。


夏の甲子園に向けた初戦を、西浦高校は勝ちあがった。
野球部は次の試合に向けて、さらに練習に熱を入れていた。
「あ、阿部君……、み み 見て 欲しい ものが あ あるん…だ」
捕手用の防具を身につけたあと、阿部は三橋に声をかけられた。
阿部の顔にはいくぶんかの驚きと好奇心があった。三橋の方から話題を振られるのは、かなり珍しいことだからだ。
「ああ。なんだ?」
三橋は、阿部の準備ができしだい、話しかけようと待っていたようだった。
「お オレ、最近……球が速くなったみたいなんだ」
「え!?マジで!?三橋スゲーじゃん!」
部室内では練習着に着がえている部員でにぎわっていた。そして、誰もが三橋の言う球速が上がったことを話題にした。
「なぁ、たしかめてみようぜ!」
「うん」
田島は三橋の背中を押して、ブルペンまで連れて行こうとした。
「やれやれ、モモカンが居ない時に……」

三橋の肩慣らしが終わると、阿部はスピードガンを持っている千代の方を向いた。
「篠岡、準備はいい?」
「はい、オーケーです」
了承が出されると、阿部は定位置に座った。そしてミットを構えてボールが来るのを待った。
「い いきます」
三橋は全力投球をした。
「篠岡、どう?」
田島は結果が出るまで我慢できずに、スピードガンの表示をのぞきこんだ。
「114キロです」
おお!と周りから歓声が上がる。
春のころの三橋の球速は、速球でも100キロそこそこのものだった。そのころに比べれば、格段の進歩のあとが見て取れた。
「三橋、114だってさ」
「うん!」
三橋はマウンドの上で、小さくガッツポーズをした。それはまるで、いいことをした後に褒めてもらってうれしがるのに似ている。
「もっと、もっと速く……投げられるよ」
グラブを挙げてボールの返却を求められたので、阿部はグラブめがけて放り投げた。
三橋はもう一度振りかぶり、力のこもった球を投げた。
「117キロです」
先ほどよりもさらに大きな歓声が湧きおこった。三橋は、歓声に気を良くしたようで、照れくさそうにうひゃうひゃしている。
阿部にとっても、三橋の球速はうれしい誤算だった。これだけの才能をもった投手を、できるだけ日のあたる場所へと行かせてあげたかった。
「これなら、120も夢じゃないかもな」
周りの熱が阿部にも移ったかのように、阿部も饒舌になった。
「よし、今度はサインも入れるぞ。もう1球こい」
阿部の返球を受け取ると、三橋は大きくうなずいた。
そして、全力投球の3球目。
いつも以上に気合を入れると、三橋はおおきく振りかぶり、阿部のミット目がけて投げた。
「――!?」
三橋の球はあらぬ方向へと飛んでいった。阿部は、フェンスに跳ね返った球が地面につくよりも早く、マウンドでうずくまる三橋のもとへと駆けだした。
「三橋!?三橋!?」
部員たちが駆け寄っても、三橋は起き上がらなかった。
冗談、冗談、怪我した演技、抜群だったでしょ?
三橋がこういう軽口を言わないことを、全員がよく知っていた。
三橋は右肩を押さえたまま、口から泡を噴いていた。


三橋は千代に付き添われて救急車に乗った。
練習後の部室は、誰もが意気消沈していた。
「ねぇ、三橋の肩ってどうなったの?」
西広は、野球経験の不足ゆえ、ピッチャー陣にたずねてみた。
「野球肩っていうやつ。ピッチャーの急所である肩と肘を酷使し続けて、フォームが崩れたりして筋肉やスジを傷めるんだ」
沖は自分でピッチングフォームを演じながら西広に説明をした。
「それって直るの?」
「んーー」
花井は腕組をして渋い顔をした。
実際に、野球肩、野球肘を起こしても、もとのように投げられるケースは多い。キチンとした治療とリハビリに時間をかければ直るだろう。
「三橋の場合はなぁ、かなり症状もデカそうだしな」
「そ、そうか……。でも、救急車もすぐ来てくれたし、不幸中の幸いだよね」
西広は場の雰囲気を少しでも明るくしようと、精一杯の材料を提供しようとした。
「いいわけねぇよ!」
それまでイスに座っていた阿部は、大声を上げると、目の前のテーブルをひっくり返した。
室内に悲鳴が起こり、みな阿部に注目する。
「アイツは、中学のとき散々な目にあったんだ。西浦に来て、ようやくまともな野球ができるはずだったのに……」
阿部は、うつむきながら両こぶしを固く握った。
「タマ遅いピッチャーでも、9分割に投げ分けられるコントロールがあったから、アイツはやってこれたんだ。これで、本当に肩を壊しちまったら、アイツ……」
また同じイスに座りだし、頭を抱えてうずくまった。
「あべ……」

(オ オレ がんばる から 球威も コントロールもある投手に)
(速いタマ……、投げたい!)

誰よりも投げることが好きで、そのための努力をおしまない。三橋はそういう人間だった。
<バッカヤロウ……。無茶しやがって>
阿部が見たところ、三橋は桐青戦でさらにピッチャーとしてひと皮むけた。
今までが卑屈に投げていた分、勝利の味を覚えて、より強い欲が芽生えた。
おそらく、試合後も我慢できずに、制限も関係なく家で全力投球していたに違いなかった。
「俺のせいだ」
阿部は部屋にいる仲間に謝罪した。
「俺がアイツに夢見るようなこと言ったせいだ」
「ちがうよ。最初に確かめようって言ったの、俺じゃん。……俺が三橋を怪我させたんだよ」
田島はロッカーの中でおとなしく座っていたが、ようやく言葉を発した。


翌日から、三橋は野球部の練習を休み、病院へ通院することになった。
阿部は千代に三橋のことを頼んだ。
「なるべくアイツといっしょにいてやってくれないか?」
「うん。私も三橋くんと一緒に病院につきそう」
「たのむ。俺たちもなるべくアイツに話しかけるようにすっから」
三橋は、怪我をした後、また誰にもしゃべらなくなった。時には、同級生でさえ逃げるように避けている。

放課後、二人はバスに乗り、市内の総合病院へむかった。
「今日は病院に来る人少ないし、受診もはやくおわりそうだね。……たぶん」
千代はできるだけ明るい声で三橋に話しかける。しかし、その返事は生半可だったり、話を聞いていなかったりすることも多い。
「ホラ、信号青!わたろう!」
「あっ」
右手で三橋の左手をつかむと、横断歩道を連れてひっぱり歩いた。
つめたい手をしていた。力が入らず、無気力で、あせりと自責の念がみえた。
「ケガをすると、やっぱり、自分を責めちゃうもんなのかな……」
千代も長い闘いになることを覚悟した。


三日後。
「つ おっ……次の試合、お 俺、でれない よね」
病院の待合室のベンチに二人で座っていると、三橋は試合の話題をした。
「…うん。今回はさすがに止めといたいいよ」
「……うん」
三橋はさびしくうなずいた。今の状況にあっても、やはり、マウンドは誰にも譲りたくないようである。
「投げたい なぁ」
三橋はつぶやいた。
「大丈夫。みんな、三橋くんが戻ってくるまで、勝ち続けるよ」
「うん」
その後は、看護師に名前を呼ばれるまで無言になった。

外科の担当医は、キレイに髪を分け、官僚を思わせるような眼鏡をかけた人だった。
「三橋さんの肩のレントゲンですが、こちらの右肩後背筋に深く障害を起こしています」
パネルにはめ込んだ写真を二人で見ると、医師の指すところを注目した。
「こちらの部位は、治療がとてもしにくい部分です。別の筋肉に隠れて中に入り込んでいるので、手術も困難です」
千代は説明を聞きながら、医師の顔と三橋の顔を交互にみた。
三橋は話を聞きながらふるえていた。
「先生、肩はどれくらいで直るもんなのでしょうか?」
千代の質問に、医師は三橋の顔を見ずに、千代に向かって答えた。
「日常生活で不自由なくすごすまでには、数年はかかります」
「あの……あの……、三橋くんは投手なんですけど、……もとの球を投げるまで、どれくらいかかりますか?」
千代は三橋のため神に祈った。せめて最善の知らせを聞いて帰りたかった。
「まず無理でしょう」

病院前のバスの停留所で、二人は何台もバスを乗り過ごした。
二人は病室を出たときから、ひと言もしゃべっていない。三橋はベンチに座ったまま、石のように固まっていた。
千代はそれでも動くことをうながさなかった。ただ三橋の傍らにいてあげたかった。
すると、千代の携帯が鳴り出した。
「俺だ。三橋に何度もかけてるんだが、全然通じない。病院だから切ってたか?」
阿部からだった。三橋は、電話越しに阿部の声を聞くと、ビクッと反応した。
「うん。もうすぐ帰るから。……大丈夫。……うん。…・・・それじゃあとで」
電話を切ると、三橋はひざを抱えだして泣き始めた。
「あ あ あ べ…くん」
「ええ。みんなも、たった今練習あがったんだって」
「ど どう し よう……。かっ えっ かえれ ない……」
千代にも西浦のみんなにどう説明すれば良いかわからなかった。医師の話だと右肩が戻るのは絶望的。
三橋にとって、西浦野球部にとっても、受け入れ難いことだった。
「今日は学校に戻らずに、このまま家に帰ろう。ね?」

バスに乗って最寄りの停車場までくると、バスの中で三橋と別れた。
「み、三橋くん。あの、さ……、病院はあそこだけじゃないから。ホラ、怪我したときは複数のお医者に看てもらった方がいいって、志賀先生もいってた」
三橋は泣いていなかったが、暗く落ち込んだ顔を千代の方に向けようとしなかった。
「だから、明日は別の病院に行こうと思うの。……今日はおつかれさま。それじゃあ、ね」
あごだけでうなずくと、三橋はバスを降りていった。
扉が閉まり、窓の外の三橋が歩いていったのを確認すると、千代は顔を覆って泣き崩れた。
「ひどすぎるよ……かみさま」

三橋は別れたあと、自然と足が西浦高校にむかっていた。
すでに練習時間は終わっている。グランドは整備されてあり、誰もいないマウンドまでやってきた。
カバンの中から、いつも携帯している硬球をとりだした。さらに、ふで箱の中のカッターナイフも取り出してズボンにしまいこんだ。
カバンを置いて足場を確かめると、ゆっくり肩を伸ばした。
(だいじょうぶ……。いたくない)
いつもの通りに構え、左足をあげて、オーバースローで投げてみた。
「うぐっ」
肩をまわしたところで激痛が走った。球はそのまま2メートルほどしか飛ばず、てんてんと転がっていった。
(……うそじゃ ないんだ。……ホントに オレ なげられなく なった)
三橋は空を見上げた。頭上の夜空が自分を包んでくれた。
「……キレイ だ。……す、すい こまれ そう」
三橋は見上げながら、ポケットに入ったカッターをとりだす。そして、刃を伸ばしきると、静かに右手首にあてた。
この時、不思議と三橋には死ぬ怖さはおきなかった。
それは、マウンドの上だったからかもしれないし、星空に感動して死がどうでもよくなったのかもしれない。


扉がひらく音がすると、人が突っ込んできた。両手で刃物を持つ手を押さえると、三橋から強引に奪い取り、遠くへ投げ捨てた。
「しっ し し 篠岡 さん」
「バカッ!」
千代は三橋の頬をはたいた。夜中に乾いた音が響く。
「バカッ!バカッ!バカッ!バカッ!……うぅ」
「ごめっ ごっ ごめん ……なさい」
三橋はその場に腰砕けになり、うつむいて泣き出した。
学校に戻ってきた千代は、マウンドで立ち尽くす三橋を見つけた。
はじめはとても声をかけられる雰囲気ではなかった。ポケットからカッターをとりだしたのを見るとかけだした。
「どうして……こんな……」
三橋のリストカットを防いだ千代は、足元でうずくまっている三橋に声をかけた。
返事はなかった。しかし、
「お オレ、まだ ピ ピッチャー  つ づけ…られるよ。……ひ ひだり腕だって ある し」
下を向いてつぶやき始めると、今度は千代の足にすがりついた。
「あ 阿部くんだって い いる から。だから、……だから、お願い。……お オレ に 投げさせて」
三橋が千代にせまり、おもわず仰向けに倒れこんでしまった。
「……ひ ひどい  ヤツ …だよね。……こ こん なに なっても、……マウンド ゆずらない」
「みはしくん……」
「意味がないんだ……。オ オレ ピッチャー や やら ないと、……生きてる 意味なんて……ない」
ぐっう、う、ううう。
再び三橋は、堰を切ったように号泣しだした。

「そんなこと……ないよ」
「あるよ!」
「そんなことない!」
千代は三橋の顔を上に向かすと、顔を近づけ、そのまま口づけをした。
「……あむ……」
マウンドで重なりあう二人には、虫の声しか耳に入らない。
千代が三橋の唇をはなすと、そのまま三橋にすがるように抱きついた。
「私は、イヤ。私が好きな人が悲しむのも、居なくなっちゃうのも、イヤ」
「……えっ?……えっ?」
「三橋くんが好きだって言ったの!」
そういうと、再び千代は三橋の唇を己で塞いだ。
今度は千代の舌が、三橋の中に入り込んでくる。舌と舌が触れ合うと、口の中でかきまざるように絡み合った。
「あふぅ……んう、……れむ」
(あたまが、クラクラする。きもちよすぎて)
千代も息を吸うために、顔を離した。三橋は側にある千代の顔を眺めてみた。
大きくキラキラした瞳は、涙でうるませている。唇はやや厚めで、今しがたその柔らかさを味わったばかりだった。
「お おオレ のこと?」
「うん……。だって、すごくカッコいいから」
三橋にはこれまでに自分に向けられた台詞の中で、聞いたことのないものばかりだった。

千代は着ているシャツのボタンをはずし、自分の胸で三橋の顔を抱きしめた。
「吸って」
三橋は顔を真っ赤にしながら、どうするか躊躇した。目の前には千代のまだ幼いつぼみがある。
それは暗いピンク色をしており、頂点は天に向かってツンとしていた。
三橋は我慢できずにワレを忘れてむしゃぶりついた。
「はぅ…あ、…あ、あん」
舌で突起物を転がすたびに、硬度が増していくのがわかる。そして、かたくなればなるほど、刺激を与えやすくなる。
「あぁ、そんな……、いっ…、はげ…しく」
三橋は口をはなした。乳首と唇が、自分の唾液で橋がかかった。
今度は左の胸を攻め始めた。そして、右手の人差し指で、右胸をいじくり続ける。
「あーっ、あっあっ、や……はんっ、ぁん、どうに、か、……なっちゃうっ」
先端部につよく衝撃をあたえたとき、千代ははげしく乱れるのがわかった。

二人はお互いの顔を見合わせた。どちらも肩で息をするほど舞いあがっている。
「ここで…してもいい?」
「で、でも……」
三橋はもう一度周りを見渡した。相変わらず、この時間では誰も見あたらない。
「私はかまわない。それに…」
「そ それに?」
三橋は千代の先の言葉をうながした。
「三橋くんは、マウンドの上が一番かっこいいから」

二人は立ち上がった。
千代ははいているスカートの下から、パンツだけを脱いだ。
三橋はズボンのチャックを下ろすと、かたくなったペニスをとりだした。
三橋がマウンドの上であぐらをくみ出すと、千代は三橋と向き合うように、三橋の腰に向かって姿勢を低くさせていった。
「あ、あの……」
三橋が何か言おうとしたので、千代は三橋に注目した。
「そ その…… オ オレも しのおか さん …が、……す、 すきだっ」
「うれしい」
感謝の意味をこめて、千代は三橋のほほに軽く唇をふれた。
三橋の自身をつかむと、自分の秘部にあてた。ゆっくりと、時間をかけて腰を下ろしていく。
千代の股から処女の証である鮮血がしたたれた。
千代は痛みに耐えるために、三橋の首にすがりついた。三橋も千代の腰に手を回し、体を密着させた。
「私たち、つながってるんだね」
「うん」
二人は目を合わせると、舌を絡ませあった。
千代は体を上下しはじめた。三橋が胎内に挿入ってくるたびに、卑猥な声がでてくる。
体の中の三橋の温度は熱く、外見からは想像のできないたくましさを感じた。

「そ その、 お オレ 射精…そうっ」
「うん」
千代は三橋から離れると、股間をにぎり、三橋のために愛撫をはじめた。
「あうっ!あ、あ……、ぅあ!あああああああっ!!」
絶頂がくると夜空にむけて咆哮した。

「おちついた?」
「……うん」
行為のあと、疲労のため、お互いが気持ちを確かめ合うために、千代は三橋の肩に寄りかかって座っていた。
「ごめん  なさい。……と とりみだしちゃって」
「ううん」
千代は拒絶した。
「あのさ、三橋くん、帰りの話の続きなんだけど、聞いてくれる?」
「うん」
「今度はね、総合病院じゃなくて、スポーツ医学の専門医の先生に診てもらおうと思ってるの」
千代は説明した。野球肩は治癒可能な怪我であること。外科医の診察と専門医の診察の見解が違うことはありえること。そして、リハビリで再びボールを投げられること。
「あとね、下から投げてみたらどうかな?」
「えっ?あ ア アンダースローってこと?」
三橋が投げられないのは、肩をまわして力をこめるときの筋肉が破損していて痛みがでるからだった。
しかし、痛みがあるときと、ない時がある。これは、使用している筋肉がことなるゆえだった。
「わたしね、ソフトボールやっていたから、ある程度は投げ方を教えることができると思うんだ。もちろん、ソフトの投げ方とアンダースローはちがうけど」
そこで千代は三橋に向いた。
「でもね、監督だって、阿部君だって、西浦のみんなもきっと協力してくれる」
「オ、オ オレに?」
「うん。だって、三橋くんは、私たちのエースだもん」



その後のことを少しだけ書く。
東京にある病院へ通院を始めたあと、三橋は長いリハビリを始めた。
怪我から半年の間はボールに触ることができなかった。
それからはアンダースローへの改造に費やされた。そして、わずかな可能性にすがる三橋の傍らには、いつも千代がいた。

そして、2年生の夏。
三橋は『サブマリン』と呼ばれるアンダースローとなっていた。
球速は110キロそこそこ。しかし、地面スレスレから放たれるボールは、打者からは浮き上がるように錯覚し、タイミングをあわせることすら難しかった。
「し しまっていこーーーーっ!!!」
「おおぅ!!!」
田島と栄口はマウンドのエースに微笑みかけた。巣山と水谷は、1年ぶりに見る背番号1番に目頭を熱くさせた。
「ながい寄り道だったな、三橋。だけど、またココにもどってきてうれしいよ」
ここにも協力者が一人。阿部はリハビリの段階から三橋の投げる球をすべて受け取ってきた。
「ここからだ。ここからまた、俺たちで虹を作っていこうぜ、三橋」
先頭打者は初球から強振。ボールはレフトの頭上に高々く舞い上がった。


最終更新:2008年01月06日 19:35