6-611-612 タジチヨ お菓子をちょーだいっ!
「ギャハハハハハッ!」
お昼休み教室に入ろうとしたら、突然教室から笑い声が聞こえてきた。
「イデェッ!」
「逃げろっ!」
泉君、田島君、三橋君が7組から飛び出して9組の方へ走っていった。
教室に入ると、花井君が机に突っ伏して震えていて、水谷君と阿部君が笑っていました。
「今、泉君達が走っていったけど何かあったの?」
「今日、ハロウィンじゃん?9組連中がお菓子奪いに来てたんだけどさ、
花井がお菓子持ってなくて3人がかりで擽られてやんの。」
「うっせぇ、黙れ馬鹿米。」
「ひどっ!まだ言うのソレ?」
「馬鹿だからしょうがねえよ。」
「馬鹿って、酷いよ。」
水谷君が余りにもボロクソに言われているので、フォローすれば阿部君が、
「ああ、さっき水谷が『Dead or alive?』て、言ったんだよ。」
あらら、それはちょっとフォロー出来ないかな?
「水谷君それを言うなら『Trick or treat』だよ?」
「知ってるよ!ちょっと間違えただけじゃん!しのーかだって、放課後までに何か
お菓子用意しとかないと花井みたいなメにあうよーだ!」
「あれ?水谷君はともかく阿部君は持っていたの?」
意外!お菓子なんか持っているイメージないのに。
「いや、持ってねえ。」
「阿部は3人がかりで擽られても動じねーの。つまんねー。」
うわ、擽られても平気って本当だったんだ!
ようやく落ち着きを取り戻した花井君が、
「阿部はアレだ。不感症なんだよ。」
「あ?ンだと?」
水谷君が悪乗りし、火に油を注ぐ。
「不感症!阿部ってばイけないの?カワイソー!」
「ふざけんなっ!お前等、表に出ろっ!!」
阿部君が怒ったところで、
「はーい、席に着いて。授業始めんぞ。」
そのまま、流れてしまいました。
「俺は、昼飯のメロンパン盗られたよ。」
「俺もガム盗られた。」
「清涼菓子って書いてあったから、眠気覚ましのミントあげといた。」
「酢コンブ。」
「酢コンブ!?西広は何でそんなのもってんの?」
「好きなんだよ。何となく。」
どうやら、泉君達は7組だけでなく他の組も襲っていたみたいです。
「しのーかっ、菓子くれっ!Trick or treat!」
練習後、帰り支度をしていたところを泉君・三橋君に襲撃されました。
「練習お疲れ様。飴でいい?」
擽られるのが嫌で、休み時間に友達に貰った飴で難を逃れました。
みんなと別れ、駅に向かおうと歩き出したところで、
「しのーか、Trick or treat!」
「田島君、みんなと一緒じゃなかったの?」
「便所行ってたらおいてかれた。それよりさ、Trick or treat!」
「ごめん、もう飴無くなっちゃた。でも、擽るのはやめて!」
にぃっ、と笑いながら、
「知ってる。残りを花井達にも配ってたよね。」
「え?」
「Trick or treatって、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞって意味なんだって。」
「だから、擽るのはいやよ!」
田島君は、無言でにっこり笑ったまま、側に来て、
「じゃあさ、しのーかがTrick or treatって言ってよ?」
「え?ええっ??」
「Trick or treatだよ。」
耳元で、囁く。
「言って。」
怖いくらい真剣な眼で、「言って。」と繰り返す。
「と、Trick or treat・・・?」
瞬間、抱き寄せられ、唇に生暖かいものがぶつかる。
顎を固定され、腰を抱き寄せられ、何度も何度も角度を変えながらキスをされる。
唇を割って、舌が入り込み口内を侵される。
溢れる互いの唾液が納まりきらず、口の端からこぼれる。
甘い、あまい、キス。
最後に、飴が口の中に入ってきて、
「これってさ、お菓子かな?それとも悪戯になんのかな?」
田島君はそう言って、笑いながら帰っていきました。
わたし、明日からどうやって話せばいいんだろう!
胸のドキドキが止まりません!!
最終更新:2008年01月06日 22:29