3-313-340 アベチヨ



今日も暑い一日が始まる。


一週間前。

美丞大狭山との熱戦を制した西浦高校は、次の準々決勝で惜敗した。
続く激戦で皆の疲れはピークに達し、
本当に皆頑張ったけれど、負けてしまった。
悔しくないと言えば嘘になるけれど、
新設校であり、初出場でベスト8まで残った功績は
称えられるべきとして、ローカルだが県のテレビでも
微少ながらも取り上げられ
野球部の活躍と噂は学校中に広まった。

準々決勝が終わり、一年目の夏が終わり、本格的な夏休みが訪れる。
しかし野球部に休みはない。
これからも変わりなく、毎日朝から夜遅くまで練習は続く。
今日は週に一度のミーティングだけの日なので、
午前中で終わる予定ではあるけれど。

しのーか!」
「あ、花井君、お疲れ様」
「おーお疲れ。今日も阿部は休みだな。熱だっけ?あいつ大丈夫なのか?」
「んーどうだろ。今日で二日目だもんね」

ミーティングで話し合った事を纏めようとノートに向かっていた時
主将である花井君が声をかけてきた。

「捕手がいないとなー、守備練ん時大変なんだよな。
昨日だって、三橋も阿部がいないと気のねえ投球するしさ」

田島君が代わりに務めるけれど、やはり西浦の正捕手は阿部君ただ一人。
捕手は現場の指揮官であり、監督なのだ。

「水谷なんか阿部がいないと思ってなんかダラけてっし」
「うんうん、そうだよね。いつもの阿部君の怒鳴り声が懐かしいよね」
「まーな。ま、水谷モモカンに怒られて頭握られてたけどな」

あははと二人で笑いあって、すぐに静寂が訪れる。
はあっとため息を吐くと彼氏である阿部君の顔が浮かんできた。


捕手をしている時のキャッチャーマスク越しに見える真剣な顔。
休憩している時のぐったりしている顔。
おにぎりを頬張って食べる高校生らしい顔。
そして、恋人である自分だけに向けてくれる笑顔。


阿部君…大丈夫かな?と心の中で呟き俯く。
実は彼が休んだ事を知ったのは自分が最後だった。
彼氏ならば一番に自分に知らせてくれてもいいのに…と
言葉にはしなかったけれど本当は凄く引っかかっていた。
こんなことで憤りを感じる小さな自分を知られたくなくて、
一度言葉にしたら何を言ってしまうかわからなくて
まだ彼には大丈夫?の一言もメールもしていない。


「なあ、今日はもう練習ないし、阿部んち行ってくれば?」
心配してくれたのか、察してくれたのか花井君が唐突に提案した。
「え?…でも」
「いいじゃん。お前ら付き合ってんだろ、見舞いだよ見舞い!」
「迷惑じゃないかなあ?熱あるんでしょ?」
「いいじゃん、あんまり酷いならすぐに帰ればさ。顔見せてやれよ。
それに今日のミーティング内容の資料も渡してやってほしいし。
あ、これ口実な!」

そういってニカっと笑い、ポンっと私の手に資料を渡した。
その笑顔につられて私まで笑ってしまう。

「花井君っていい人だね」
「おー。いい人だろ」
「うん、じゃあ、行ってきます」
「早く出て来いって伝えといてくれよ」
「わかった!」

ノートと資料をまとめて鞄に放り込む。
足はすぐに動いた。早く阿部君に会いたい。
ジリジリと焼け焦げそうな空の下、急いで駅まで自転車を走らせた。

阿部君と私の家は正反対の為、いつもとは違う電車に乗り込む。
一応お見舞いに行くからと断りの電話をいれたのだけど、
阿部君は寝ているのか反応がなかった。
突然だし失礼かなとは思ったけれど、もう止められない。
電車も、私の気持ちも。
会って声が聞きたい。抱きしめたい、抱きしめて欲しい。
阿部君と付き合ってもう二ヶ月近く経つけれど、
同じクラスだし、夏休みになっても野球部の練習があったから
顔を見ない日なんて一日だってなかった。
当たり前のように毎日会っていたから、
あんな幸福を当たり前のように受け取ってたんだ。
初めて心に訪れた焦燥感。
たった二日会えなかっただけでこんなに苦しい。
早く早く早く。
ぐるぐると思考がめぐり、頭が沸騰しそうになりかけた所で
切望していた駅名のアナウンスが響いた。
急いで電車を出て、階段を下りて、駅構内の途中にあったお土産屋でゼリーを数個買って。
改札をくぐって何回か行った事のある彼の家へと走り出した。

ピンポン、と控えめなベルが鳴り、
ハイハイという声と共に阿部君のお母さんが顔を出した。

「まあ、千代ちゃん?」
「こ、こんにちは」

何度か会った事があるとはいえ、彼氏の親に会うのは緊張する。

「お見舞いに来てくれたの?ありがとうね!上がって上がって!」
「は、はい。おじゃまします。あ、あのこれお見舞いです…対した物ではないんですけど…」
「まー!ありがとう千代ちゃん。タカも喜ぶわよー」

たぶん今起きてると思うんだけど…
と言いながら階段を上がるお母さんの後を付いていく。
阿部君に会える。
少し緊張しながら、でも嬉しさを隠しきれない自分を不謹慎だと思った。

「タカー、起きてる?」

阿部君の部屋の前に立ってお母さんが声を掛けた。

「…今、起きたとこ」
いかにも起き抜けですというような声質で返事が返ってきた。
ガチャ。
部屋が開き、ボンヤリした顔の阿部君と目が合った。

「こ、こんにちはー。阿部君、具合はどお…ですか?」
「…」
「阿部君ー?大丈夫?」
「…しのーか?」

阿部君の顔が赤い。
それは熱のせい?それとも…。

「なーに照れてんのよ!あんたの彼女でしょうが!」
バシっと阿部君の背中を叩いて、
じゃあごゆっくりねーとお母さんは去っていった。
彼女とか言われると、は、恥ずかしいなぁ…。

「いってぇ…あんのババァ、マジで叩きやがって」
「ふふっ。あ、ごめんね突然来ちゃって…電話とメールしたんだけど
阿部君寝てたみたいだったから…」
「いや、すっげえ嬉しいよ、サンキュ」

そう言って笑ってくれた。
この感じ、久しぶりだな…心が温かい。
お湯に浸かってるみたいに胸の中が温まってく。
阿部君といるだけで。思わず涙が出そうになった。
心配かけたくないから、我慢したけれど。

「ねえ、熱は大丈夫なの?もう平気?」
「ああ、もう37度ちょいくらいだよ。ずっと寝てたから」
「良かったぁ」

言いながらペタリとベッドの傍に座り込んだ。

「悪かったな、心配させて。だいたい熱出すなんて情けねーよな」
「連戦だったもん、きっと疲れが出たんだよ」
「疲れんのは皆一緒だろ。それに…
三橋にも体調悪くしねーよって言ったのに…」

昨日の三橋君の気のない投球の様子を思い出していた。
本当にこのバッテリーはお互いに依存してるんだなって思って。
その見えない絆に少し嫉妬した。

「阿部君…そんなに自分を責めないで。誰だって具合が悪くなる時はあるよ。
それに、部の皆誰も責めてないからね」
「ああ、わかってるよ。ま、篠岡が見舞いに来てくれるなら
風邪引いた甲斐もあったかもしれないしな」

そういって手を頭にポンっとして、撫でてくれた。

あ、私今凄い幸せの中にいる。
甘い幸福感が胸の中を満たして、胸が、心が苦しい。

「ねえ阿部君…私凄く会いたかったんだけど…
でも、なんで風邪引いたって私に言ってくれなかったの…?
私、ずっと心配してたのに…」

阿部君と目が合って、もう片方の彼の手に自分の手を重ねようとしたその時。

「はーい二人ともおやつよー。千代ちゃんが持ってきてくれたゼリー!」

お母さんが明るい声と共に部屋に入ってきた。
慌てて手を引っ込めて、阿部君も私の上に乗せていた手を下ろす。
うわあ、恥ずかしい…!

「あら、お邪魔だった?あはははごめんねー」
「い、いえ大丈夫です」

何が大丈夫なのか分からないけど思わず反射的に返事をしていたのだった。

「母さん、ノックくらいしろよ」
「何よーノックしなきゃいけないことでもしてるのかしら?」
「くっ…何言ってんだよ!いいから早く出てってくれよ」
「まー何よそのモノイイは!まあ良いわ。
お母さんちょっと買い物行って来るから、今度こそごゆっくりねー。
千代ちゃん、申し訳ないけど、この子の面倒少し見ててくれる?」
「あ、はいっ」

そう言うとお母さんは階段を下りていき、その後すぐに玄関のドアが閉まった音がした。
阿部君は心底疲れた、という顔をして部屋のドアを睨みつけている。

「はー…悪いな、なんか変な母親で」
「ううん、面白くて素敵なお母さんだと思うよー」
「だいたい病人の部屋でごゆっくりって…ありえねーよ」

頭が痛い、とでも言うように阿部君が頭を抱えている。
そうだよ、私お見舞いに来たんだった。
勿論会いたいっていうシタゴコロもあったわけだけど。
自分の浅ましさに気づく。私、会いたいって気持ちばかりで
阿部君の体調のこと忘れてた…?
さっきも、教えてくれなかった阿部君の事責めた?

「ごめんね、そうだよね、阿部君病人なんだもん。
あんまり長居したら体にも良くないもんね!
あ、ねえこれ、花井君から。今日のミーティング内容の資料なの」

思わず早口になってしまう。阿部君の返事を聞くのが怖い。
だって阿部君が心配なのは本当なのに、
その心配の下に隠された嫉妬心に気づかれたような気がしたから。
なんて自分勝手な女だろうって思われたかな。どうしよう。
顔をあげてもいないのに、阿部君の強い視線を感じる。

「ごめんねっ!私そろそろ帰るね?阿部君具合悪いんだもん」
「篠岡!」

立ち上がろうと力を入れた左腕を引っ張られて、バランスを崩した。
思わず零したきゃっと言う声と共に、阿部君のベッドの端に転がる。
そろそろと目を開けると、ベッドの中で座っていた阿部君の胸元にしがみついていた。

「ご、ごめんなさいっ」
思わず離れようとすると、阿部君が背中に手を回して固定する。

「なあ、さっきの答えだけど。風邪引いた時お前に言わなかったってやつ」

ビクっと体が震えた。
自分の嫉妬心が恥ずかしい。子供みたいでバカみたいなのはわかってるのに。

「ごめんなさい!わ、私子供みたいな事言って、困らせたよね?ごめ…」

「篠岡に心配かけたくなかったんだよ。
お前いつも心配ばっかりするから。
それに、体調悪くなったなんて、三橋や他の奴にも散々体調管理の事
言っておいてまっ先に俺が倒れるなんて情けなかったから!
そんだけだよ…せっかく会えたのに、んなすぐに帰るなよ」


そういって俯いてた私の頬に触れて、顔を上げさせた。
至近距離にある阿部君の顔。まだ少し熱があるのか目元が赤い。
瞳が濡れてて凄く…色っぽいなぁ。男の子なのに。
どうしよう。私、阿部君が好きで仕方ないよ。

衝動だったのかもしれない。
私は思わず阿部君にキスをしていた。
「ん…」
首に腕を回して、唇を押し付ける。
息が出来ないくらいに深く。
「ん、はぁ…」
最初硬直していた阿部君も、やがて応えてくれた。
10秒だったのか30秒だったのか1分だったのか。
時間の感覚が分からなくなるくらいお互いの唇を貪って、
離した時には二人の間に唾液の糸が引いていた。

驚いた顔の阿部君と目が合って、急に恥ずかしくなって、俯いた。
私なにしてるんだろう…病人の阿部君襲って。

「ご、ごめんなさい私、私。
自分の気持ちばっかりで、ごめんなさい」
勝手に勘違いして、一人で嫉妬して、
恥ずかしさと自分勝手さに涙が滲んだ。
どうしよう、どうしよう。何か言って、阿部君。

「…俺、篠岡が来てくれてすげー嬉しいけど。
こうやって自分からキスしてくれんのも嬉しいし。
お前の気持ちが迷惑だなんて思ってねーよ。
俺だってお前に会えて嬉しくないわけないじゃん…」

恥ずかしそうに、顔を赤くした阿部君が抱きしめてくれる。
私だけじゃなかった。
私ばかり好きの気持ちが大きいような気がして、
数日会えなかっただけでバカだなぁ、私。
嬉しいよ、阿部君。好きだよ。
ありがと、と耳元で囁いて。
今度は嬉しさで滲んだ涙を阿部君の首元に押し付ける。
それは阿部君が着ていたシャツに吸い込まれて消えた。


「…ところで、篠岡が濃厚なキスをくれたお陰で
体が火照ってしかたねーんだけど?」
「え?」

そう言いながら私のブラウスのボタンをプチプチと外している。

「ちょ、ちょっと阿部君!熱あるんでしょ?ダメだよ…」
「平気だよ。もう殆どないし、んなに弱っちい体してねーよ」
「だって、そんな、突然」
「…夏大あったからもう3週間以上してねーじゃん。
もう俺そろそろ限界」

いつのまにかシャツを脱がされて、ブラを外されて
私の体は阿部君のベッドに沈んでいた。

「それに、うちの母親も言ってたじゃん。
ノックしなきゃいけないことでもしてるの?って。
ごゆっくりって言ってたんだから、期待に沿わねーとな」

そう言って私を見下ろした笑顔の後ろに「ニヤリ」という擬音を聞いたような気がした。

下から掬うように胸を掴み、揉みしだく。
白くて適度な大きさの柔らかすぎる胸は俺の掌を吸い込んで
まるでスポンジの様に形を変えていく。
はあ、と喘ぐ篠岡の呼吸を奪うように唇を塞いで、口内を舌で侵すと
遠慮がちに自分の舌を絡めてきた。

さっきの勢いはどうしたんだよ、と心の中で苦笑した。
縮こまっている舌を強引に引っ張り込み、思いきり吸うと
篠岡の体が揺れた。
ぴちゃぴちゃと音をたてて、まるで外国の映画で出てくるようなキス。
篠岡が、はぁと熱い息を洩らした。

「阿部君…ダメ…だよぉ」

篠岡は大きな瞳に涙を浮かべて見上げてくる。
ダメダメって人をその気にさせておいてそれはねーよ。
可愛い彼女のお願いだが、もう止められない。

それにこのダメは、俺の事心配しての意味だろ?
こうやって自分を気遣ってくれるのは嬉しい、
反面心配になる。
どこまでも他人を気遣ってくれる優しい彼女が。
いつかこいつが倒れる時が来る気がして怖いんだよ。
もっと頼って欲しい。気持ちをぶつけて欲しい。


ぷっくりと立ち上がった桜色の乳首を親指と人差し指で挟み、転がす。

「あ…んっ」

目を伏せて身悶える彼女を可愛いと思い、そのまま乳首を口に含んだ。

「あ…あ、ん、あっ」

口の中でコロコロと転がし、硬くなっていく乳首を舌で押しつぶす。
片方の乳首を指で転がして、引っ掻いたり、捏ねまわすと
耐えきれないと言わんばかりに身を捩りだした。

「篠岡、ここ気持ちイイ?」
「ん、うん、キモチ、イイ…」
「俺も。篠岡の体、すげー気持ちいい」

胸に顔を埋めながら、篠岡の体が軋むほどに抱きしめる。
裸の体同士がくっついて、密着する。
息を吸い込むと甘い香りがして眩暈がした。この香りは麻薬だ。
もっと堪能したい。
俺の愛撫で可愛い声を漏らす甘い唇も
きめ細かい吸い付くような柔らかな胸も
俺を誘うように濡れ溢れる蜜肉も

全部俺の物だ。

執拗に乳首を弄っていると篠岡の膝がゆらりと動いた。
すり合わせるようにギュっと太腿に力を入れている。
恐らく我慢できなくて、下も触って欲しいんだろうと思い、が下に手を伸ばしかけてやめた。
俺は篠岡を抱きしめたまま、勢いよく体を反転させた。
突然視界が逆転して目を見開いたまま硬直している篠岡に軽くキスをして
俺は意地悪く笑った。

「今日は俺、病人だから、篠岡がシて?」




俺の体の上でびっくりした表情を浮かべた篠岡は、
最初は戸惑っていたが徐々に女の顔になった。
篠岡の細い手が、パジャマ代わりに穿いていた俺のハーフパンツをそろそろとおろす。
既に猛り勃った俺自身が下着の下からでも痛いほど主張していた。
何度か体を重ねた事はあったが、篠岡はじっくりとそれを見る機会がなかったからか
うわあ…と漏らしながらまじまじと俺の物を鑑賞している。
「そんなに見られると恥ずかしいんだけど…」
「あ、あ、ご、ごめんなさいっ!!」


篠岡の指が先端に触れて少し弾くとぷるっと震えた。
ヤバイ、キモチイイ…。

先走りの液体が零れて、篠岡はそれを掌につけると
掌全体で全体を握ってきた。
亀頭を指でくりくりと弄り、先っぽの割れ目に液体を塗りつけて扱いたり。
指で輪っかを作って上下に動かされると
すぐにも射精感が背中を伝ってきた。

「ちょ、しのーか、タンマ」
「え?ダ、ダメ?」

上目使いで見つめられて更に加速しそうな射精感。

「ダ、ダメじゃないけど…なんか手つきがエロい」
「えーっ!?何それ!」
「ごめんごめん…なあ、口でしてくれない?」

戸惑いの表情を浮かべて、何か考え事をしていた篠岡だったが
うん、と呟きそっと俺のモノを両手で掴んだ。

赤い舌をチロっと見せて、先端に触れた。
ヌルっとした粘膜同士の刺激に思わず顔を歪めた。

「くあっ…」
「ん、は、、む」

ちゅる、ちゅくといやらしい音を立てて、口元が唾液に濡れている。
口を大きく開けてペニス全体を頬張って苦しそうな表情を浮かべている。

勿論気持ちよくさせる技術なんてないからただただ頭を上下に動かしたり
根元から舌を這わせたり、時々裏筋やカリに気をやるだけの愛撫だったけれど
俺は最高に気持ち良くて、何度も達しそうになるのを堪えた。

好きな女にこういうことして貰うってだけで
嬉しさと征服感が胸を駆け巡る。
篠岡を愛しいと思った。

「ん…も、もういいよ、これ以上はヤバ、い」
「んあ、でも…」

あああ咥えながら喋らないでくれ!
無理矢理篠岡の顔を剥がすとツーっと唾液が引いた。

きょとんとした顔で赤い舌を出して口の周りをチロチロと舐めている。
なんつうエロい顔してんだよ…とまんねーじゃん。

「じゃ、篠岡膝ついて立ってよ」

その言葉にノロノロと緩慢な動きで膝立ちになり、
俺は篠岡の体を前倒しにした。

「きゃっ!」

俺は早急に篠岡のスカートを取り去り、下着姿にする。
そのまま太腿の間に手を割り込ませて、足を開かせる。

「や、やだっ!阿部君!恥ずかしい、よ…」

下半身をむき出しにして、四つんばいでまるで獣みたいな格好をして、
本当にいやらしいよ。

せめてもの抗議なのか、振り返って両手で尻を隠そうとしてる。
その手を簡単に取って絡めて、片方の手で下着をスルスルとおろす。

下着と秘所の間にはすでに透明な糸が引いていて、
篠岡の感じたアトを見せつける。

「あ、いやっ!ヤダってばぁ…阿部、君…」

泣きそうな声をあげた篠岡に少し心が揺るぐが、それを無視した。

「恥ずかしい?でもキモチイイんだろ?お前のココ、凄い濡れてる…」

ヒクヒクと蠢くそこに息を吹きかけると、篠岡の腰と尻が動いて
愛液がトロっと太腿に流れた。

「すっげ…濡れすぎ」
言いながらぬかるんだソコに指で触れた。

「やあ、ぁあ…ッ!」
ちゅぽ、ちゅぽ、と卑猥な音を奏でながら指の出し入れを繰り返すと
更に液がこぽっと音をたてて溢れた。

「あ、あああ…~~~ん、や、だめェ、ッ!」
「さっきからダメダメって、本当は気持ちイイんだろ?
大洪水なんだけど、篠岡のココ…」

「だって、、いやああ、ん、」

周囲の蜜肉を指で開いたり閉じたりさせると
どろどろに濡れきった鮮紅色の花弁が痙攣した。
指を2本に増やしてグチャグチャと激しく抽挿を繰り返していくと、
篠岡の中がキュっと締まった。

「ここ?」
「いや、やあ、あべ、くんっ!あああ~ッ!」

叫びに近い歓喜の声を上げて、篠岡は達してしまった。


はあ、と枕に顔を埋めて、弛緩しきった体。

「まだ…終わらないからな」
まだ四つんばいのままの篠岡の尻を掴むと、上に高く上げる。

「あべ、くん、も、ダメだってばぁ…」
涙目の上気した顔をこちらに向けて抵抗しようとするが、お構いなしだ。
閉じようとする太腿を掴み、左右に開く。
遮る物のない剥き出しの粘膜に、長く出した舌を近づける。

「んん、やぁ」
泣き出しそうな声を上げた篠岡のソコに
熱く濡れた舌がやんわりと触れ、割れ目を押し割りながら侵入した。

飴玉を舐めるみたいに敏感な蕾が転がして、
ビクビクと痙攣を繰り返すソコに鼻先を埋めた。
貪るように唇を押し当てて、ピチャピチャとワザと音を出して啜る。
勃起した蕾を美味しそうに強く吸い上げた。
次の瞬間。

「いやあああ…!吸っちゃ、や、、ああああッ!」

曝された羞恥すらも忘れたかのように、篠岡は激しく喘ぐとまた達した。


太腿に愛液が流れて膝にまで届こうとしている。
はあはあ、と熱い息を吐きながらぐったりとベッドに体を預けて
阿部君ひどい、とぼやく篠岡。
涙ぐんだ目尻と、赤く染まった全身と、柔らかそうに潰れた胸と、止まらない愛液。
彼女の痴態から目が逸らせない。
熱がぶり返してきたのか、体が熱くて、熱くて…早くこの熱を放出したい…。
俺の方が限界にきていた。

「ごめん、俺もう限界…」
「えっ?あ、あべく、」

篠岡のお腹に手をまわして軽く引き寄せる。
そのまま熱く膨張したペニスを柔肉に添えると、にちゃっと音がした。

「え、この、まま?」
「体勢辛いから、今日は、後ろ…からな」

愛液をたっぷりと纏ってそのままグっと挿入すると、
体中に電気が走ったような快感が背中を駆け巡った。


「うあ、やば、い…キモチよすぎ…」
「っ……!あ、ああん、はあ、私、も」

「あっ…悪ぃっ……手加減出来そうもねぇ…」
「あべ、くんの体、すごく…あっつい…」

結合部からは激しい粘膜が絡む音が聞こえ、耳を冒していく。
細い腰を掴み、猛る狂った熱情を連続的に叩きつけると、
体を支えていた篠岡の肘ががくっと曲がり、枕に突っ伏してしまった。

「んん、ん、は、くるしーよぉ…」
「あ、わり…」

体を持ち上げて、バックのまま背面座位の体勢に切り替えた。

そのまま篠岡の膝を掴んで勢いよく開かせる。

「やだあ、あべ、くん恥ずかしい…」
「今更、だろ…っ…はぁ、くそっ」
足を掴んでいた手を胸に持っていき、そのまま激しく掴んで揉む。
硬くなった乳首も一緒に弄ると狂ったように喘ぎ声をあげた。

「ん、やあぁっ!胸も、下も、一緒に…弄られたら…
もうダメ、、おかしくなるからぁ…」


「イイから、そのまま…おかしく、なれば…?」
「ダメだったら…あ、ん!!」
「俺にだけ見せてよ、しのーかのヤらしいトコ」

渾身の力を込めて下から突き上げて、子宮口を深く抉っていく。
ガクガクと震えだした篠岡の体を強く抱きしめて、ラストスパートだ。

ぐちゃぐちゃに突っ込んで、何も考えられなくなる程の快楽に飲まれる。
全身が吸いだされるような衝撃と共に一気にスパークした快感。


「ん、ああ、あ、あ、あああ!あべく、す、好き、好きだよぉ…!」
「しの、か、くッ……俺も、好きだ…ぐッ」

目の前がチカチカして、真っ白になる。
好きだという言葉と共に、溜め込んでいた精を吐き出した。

そして二人同時に絶頂に登り詰めた。

数週間ぶりの情事は、おかしくなる位気持ちよくて、でも気だるくて。
それ以上に幸福感に満たされて。
でも幸せなキモチに浸ってる暇もなくてすぐに片付けをして
阿部君のお母さんの帰りを待った。
本当は抱き合ったまま、長い時間お互いの存在を確かめ合いたかったけど
私達はまだまだ子供なのだ。


「あー…、熱あんの忘れてた…」
「もー大丈夫?だから具合悪いのに、って言ったのに」
「いーんだよ、あのまま我慢してたら余計体に悪い」

かぁと顔が熱くなる。それって私のこと欲しいって思ってくれたって事だよね?
嬉しさ半分と恥ずかしさ半分。

「あんなに乱れた篠岡見られたしなあ」

ニヤリと意地の悪い顔で笑って、私が恥ずかしさに硬直しているところを
布団の中から腕を回して私の顔を引き寄せると、軽いキスをくれた。

その後、阿部君のお母さんが帰って来て、
寂しいけど私はおうちをおいとまして
帰りの電車の中でメールをうった。

『早く野球部に復帰してね。副主将の怒鳴り声がないと
みんな寂しいんだから。
私だって。

来年は絶対甲子園!』

数分して手の中の携帯がブルっと震え、メールを知らせる。
急いで開くと、阿部君からのシンプルな返事が視界に入った。


『もちろん』


涙が滲む。来年は絶対。
私も野球部の一員だから、一緒に行くから。

そして次の日、阿部君は野球部に戻って来た。
「おー阿部、大丈夫か?」
「おーす。花井、悪かったな迷惑かけて」
「ホントだよ。今日からしっかり頼むぜ」


「そういや篠岡今日休みなんだよ。
なんか風邪引いたとかで」
「あーそうらしいな…」
「…?…まさか…」
「悪いが黙秘権を使わせてもらう」

「こらッ!阿部テメー!」

この後花井君から散々詮索をされたのは勿論お約束。


最終更新:2008年01月06日 19:36