7-118-120 アベチヨ(空回り) 誕生日ぷれぜんと
12月11日 俺の誕生日。
一般的には期末テスト期間。
午前中のテストだけで授業は無いし、もちろん部活も無い!
今日は、午後から篠岡の家でテスト勉強。
篠岡がテスト期間中だけど、ケーキを焼いてくれたらしい!
帰り際、いつも以上ににやけた水谷に呼び止められた。
「阿部、今日篠岡ん家でテスト勉強だろ?」
「来るなよ?」
「行かねーよ。今日誕生日だろ?おめでと、コレ俺からのプレゼントな。」
と、俺の掌に置かれた物は、剥き出しのコンドーさん1包み。
「ばっ!?」
慌てて回りに見つからないようにカバンに突っ込む。
「俺さぁ、篠岡が友達と話してんの聞こえちゃったんだよねぇ。期待しとけ!」
胡散臭い笑顔を浮かべたまま走り去っていった。
別にやましい事は考えていない。
手作りのケーキは有るけど、今日は純粋にテスト勉強だ。
でも、家帰ってからシャワーを浴びといた。
プレゼントは水谷が変なことを言うから、実は少し期待している。
****
純粋にテスト勉強の予定だったんだ。
でも、久しぶりに2人きりだったし、コレを逃すと暫くデートは出来ないと思ったら、
我慢できなかった。
篠岡も応えてくれたし、別に悪いことじゃないよな?
でも、凄い事は何も無かった。
誕生日だし、こうリボンを着けてプレゼント!とかは無く、普通だった。
それ自体はよかったんだが、水谷のせいで期待しちまったじゃねーか!
と、ちょっとだけがっかりしていたら、恥かしそうに、
「阿部くん、先にお風呂行ってて?」
プレゼントキター!!
いっしょにお風呂!?
8の字洗いとか、潜望鏡とか!?
期待を胸に、俺は風呂へ向かった。
あったかい浴室に響く水音。
恥かしそうな表情の篠岡。
肌に感じる篠岡の体温。
リズミカルに動く篠岡の手。
「阿部くん、気持ちいい?」
「お、おう。」
俺の返事に嬉しそうな篠岡。
確かに、気持ちいい。
篠岡の指が器用に動いて刺激される。
「わたしも好きなのだ。シてもらうの。」
ニコニコととても嬉しそうだ。
いいよ。確かに、気持ちいい。
気持ち良いけど、何か違う。
なんで、シャンプー?
8の字洗いとか、潜望鏡とかいろいろあるじゃん。
「阿部くん流すよ、眼を瞑ってね。」
泡と一緒に、俺の欲望と涙も排水溝に流されました。
その後、勉強が手につくはずも無く、赤点では無いもの微妙な点を取る事になる。
さらにテスト明け、ニヤついた顔の部員に迎えられるのを、俺はまだ知らない。
終わり。
{
誕生日ぷれぜんと おまけ~水谷視点}
や、本当に偶然だったんだよね。知ったのはさ。
たまたま花井と阿部は栄口と一緒に部室で打ち合わせしながら、昼飯。
俺はクラスの奴と昼飯食って、幸せいっぱい、腹一杯。
授業が始まるまで自分の机で一眠りしようとしたところで、後ろから、
「水谷だって嬉しいよね?」
と、(篠岡の友達の)クラスの女子に、耳まで真っ赤な篠岡。
話が理解できないでいると、篠岡が、
「その、一般的な話でいいんだけど、水谷くんも、その、やっぱり、嬉しい?」
「え?何が?」
「だからさ、彼女にシてもらうの好きか?って事。」
もう大好きですよ!?
恥かしそうにしながらぎこちない御奉仕とか、嬉しそうに俺の上で腰振る彼女なんて!
言ったら引かれるから言わないけど、なんでさ?
あ!阿部に篠岡が、って事?
もしかして、誕生日?
プレゼントはわたし(はーと)ですかっ!?
真っ赤になっちゃって、篠岡ってば可愛い。
篠岡が上手かったてのは、もしかしてこの友達のおかげだったりする?
つまり、俺の返答次第で篠岡が阿部に御奉仕?
それはそれでムカつくけど、こないだの阿部は面白かった!
「うん。好きだよ。一緒に居れるだけでも嬉しいけど、シてもらえたら幸せだね!」
「幸せ・・・?」
篠岡はそう呟くと、しばらく考えてから、
「わ、わたし頑張る!だから詳しく教えて!!」
阿部に喋るなって口止めされたけど、シャンプーなんて、喋るわけ無いじゃん!
知っちゃたらつまんないよね?
阿部には、喋んないよ。阿部には!
でも、煽るのはありだよね?
頑張れ篠岡。俺らの娯楽の為に。
篠岡の頑張りが実る日はまだ来ない。
終わる。
最終更新:2008年01月30日 22:51