7-241-242 ミハチヨ ある夏の日



三橋くんを家まで送るよう監督に言われた私は三橋くんと二人帰路にいた。
「今日の試合すごかったね 三橋くん完封だよ!」
「オレじゃなくて 阿部くんとみんながすごいんだ よっ!」
「みんなもだけど、三橋くんが凄いんだよ?」
「オ レはただ投げるてるだ けだから…」
「そんな事ないよ!すごくかっこよかったもん!」
三橋くんはピクっと反応して歩くのをやめた。
「三橋くん?」
なんだろう…なんか悪いこと言っちゃたかな?
「オレっ 篠 丘…さんに聞いて欲しいこと があるんだっ」
「うん?」
「オ……ッオレはっ篠丘さんがスキだ!!」
「えっ!?」
突然の告白に私は頭の中が真っ白になった。
今私のこと好きって…ど どうしよう。私は三橋くんのことどう思ってる?西浦野球部の一人だよ…ね?ううん違う…それだけじゃない。気付けばいつも目で追ってたし、おにぎり作るときも三橋くんのを作るときだけドキドキしてた。
私もきっと…。
自分の気持ちに気付いたら急に顔が熱くなってきた。
私きっとまっ赤になってる。でも、言わなくちゃ…。
「私も…三橋くんのことスキだよ?」
言った瞬間私は三橋くんに抱き締められていた。
自転車が倒れた音とともに、ジンワリと胸の奥が満たされていくのを感じる。私は目を閉じてそれを受け入れた。
あぁこれが幸せなのかな…。一人幸せに浸っていると三橋くんが唇を重ねてきた…
私今キスしてる!?
好きな人との初めてのキス。嬉しい…本当に嬉しい。気付くと目から涙があふれていた。
「ごッ ゴメン」
三橋くんが慌てて謝ってくる。
「え?」
「……その、嫌だった よねっ? オレ…いきなり きっキスなんて……」
なんか三橋くんらしいな。
「あははは嬉しかったんだよ? 嬉しくて、嬉しすぎて泣いちゃったの!」
「だから…もっとして?」
自分でもびっくりするくらい恥ずかしい事言ってる。
でも…仕方ないよね?
三橋くんはすぐにキスをしてくれた。私は三橋くんをちゃんと感じたくてまた目を閉じる。閉じると同時に三橋くんの舌が入ってきた。
「ん……」
私は不意にきた快感に声を我慢することが出来なかった。
三橋くんの息が荒くなっていく…。
激しく舌が絡められていく。私も必死に三橋くんを求める。お互いの唾液を交換しあい、舌を絡ませあう。私はその行為に夢中になっていたのに…。
「ぁ……?」
三橋くんが突然キスをやめた。

どうしてやめちゃうの?って顔をしているのが自分でもよく分かる。
「篠丘さん な…んか エッチだっ!」
「えぇっ!! そ、そんなことないよ!?」
三橋くんに言われて私は必死に否定する。
けど…そうだよね?エッチな女って思われるよね。どうしよう嫌われちゃったかな?
「篠丘さんは…こ こういうこと、スキなの?」
三橋くんは顔をまっ赤にして聞いてくる。
「んーと…三橋くんとだからだと思う」
私は自分の気持ちを素直に伝える。
「オ……ッオレも篠丘さんとだから よかっ た!」
よかった三橋くんも同じ気持ちだったんだ。私は泣きそうになるのを隠すためうつむく。
「そ、それで 今日…は親が帰ってくるの、おそいん だ!」
そ それって、そういうこと…だよね?
ちょっと怖いけど、三橋くんとなら…。
「三橋くんち入っていいの?」
「うん!大丈夫だ よっ!」 「じゃあ…おじゃまさせてもらおうかな?」
「うん!家、こっちだよ!」
三橋くんは凄く嬉しそうに答えた。
そんな三橋くんを見ながら私は呟く。

「三橋くん大好き…」

マネジとエース ある夏の日
最終更新:2008年01月30日 22:59