「…しまった、」
桐青に勝ったあと、風邪から復活した三橋に頼み込んであのイトコの子と会えるようになった。
最初はメールをちょこちょこしてて、意外に趣味もあって、じゃあ会ってみよっか、と向こうからのお誘い。
デートとかいうやつだ。
人生初のデートにオレはすごく有頂天で、すごく楽しくて、そりゃもう楽しくて、彼女の具合が悪いことになんか気づかなくて。
それが今はどうだろう。
今は夜中の1時。場所はオレの部屋。そして、オレの部屋のオレのベッド、で。
「…やっちゃったなあ……」
オレの隣で白い肌を毛布から少し出してすやすや眠っている彼女。
生まれたままのその姿。すこし触れてみればすべすべとした肌が気持ちよかった。
デートの途中熱でへなへなと座り込んでしまった彼女。
三橋んちに送るには彼女の具合が具合だし、オレんちが近かったしで結局オレんちに泊めてしまった。
具合がよくなればそれでいい、泊めるだけ。泊める、だけ。
そう思っていたのに部屋に薬を持って行けば『栄口くん、寒い…』なんて言ってオレにしがみついてきた彼女にオレはどうしようかとあたふたしてて、そのままくっついて離れなくなってしまった彼女に困り果てながらぎゅうと抱き締めた。
気づいたらオレは彼女にキスしてて、触れるだけだったそれが彼女が起きてしまったことにより徐々に深いものへと変わっていってしまって、しまいにはセックスしてしまった。なんかオレって最低だと思う。
「…ん」
「……起きた?」
「…うん」
「熱、大丈夫?」
「だいぶ…」
「寒くない?服着る?」
オレが床に無造作に散らかった彼女の服を指差すと彼女はふるふると首を横に振る。
「栄口くんの方があったかい、よ」
ああもう、だから。
そしてぎゅうと抱きついてくる彼女。反射的に抱き返すオレ。幸せそうに微笑む彼女のその笑顔が
、今は天使どころか悪戯好きの堕天使の微笑みにさえ見える。だって、今からオレ朝までガマン大会だ。
「…おやすみっ」
「えへへ、おやすみー」
目覚ましが鳴るまであと数時間。
ガマン大会、開催。
(けど結局オレはその数十分後にガマンがとかれた、らしいことは後日にでもゆっくりと、)
最終更新:2008年07月02日 22:38