8-316 イズチヨ

パチンッパチンッ!
むき出しの臀部に腿が打ち付けられる度に、汗ばんだ肌が張り付き音が高らかに鳴る。
その音にかき消されそうにかすかに響く、ぬちゃりぬちゃりと粘膜が擦れ合う音。
本来聞こえるはずの喘ぐような声は聞こえず、教室の片隅で二つの影が蠢いていた。

昼休み人目を避けた空き教室の片隅で、人がいるのがばれないように声を立てずに求め合う。
「・・・っ・・・っ!」
必死に声を出すのを堪える表情の篠岡を、泉が黙って覗き込み満足げに唇を引き伸ばす。
ゆったりした篠岡のチェニックは首元までめくれ上がり、その下のスポーツブラも押し上げれられていた。
篠岡の流れるような背中の窪みに、泉は腰を動かしたまま口づけて
両手を前に回して篠岡の乳房を手のひらに包んだ。
そのまま、打ち付ける動きに合わせてその手をこねくる回すように動かしていく。

声を必死に堪える篠岡が顔を仰け反らして快感に耐えると、白いチェニックが泉の頭にふわりとかかった。
膝が震えて倒れそうになる篠岡に気づいて、泉は手を腰に回して抱え上げるように引き寄せた。
「イった・・・? なぁ篠岡?」
荒い息を吐きながら泉が小さな声で問うと、篠岡はかすかに頷いた。
泉は満足げに笑うと、両目を閉じて自分の精を吐き出す事に集中した。

「ヒドイよ。泉くん。こんな所で・・・」
ゴムと丸めたティッシュを小さなナイロン袋に包んでその口を丁寧に縛りながら篠岡は力なく泉を非難した。
昼休みが終わるまでまだ5分とちょっとある。
二人は教室の隅に座り込んでしばしの時を過ごす。
「そんなコト言って、ちゃんとゴミ袋用意してんだったら、お前も期待してたってコトだろ?」
意地の悪い泉の言葉に篠岡の頬は真っ赤に染まりきゅっと唇をかみ締めた。
「オレだって、お前がホントにヤならやんねーよ」
「そんなの・・・でも・・・だって・・・」
「でもでもだってうるせぇな。オレ知ってんだぜ?」
その言葉に篠岡が怪訝そうに泉を見ると、勝ち誇ったような泉の両目と合った。
「お前がそのブラしてん時は、OKの日だろ?」
「なっ!? そ、そんなことないもん!」
ニヤニヤと笑う泉に、篠岡は思わず両手で胸を押さえて声を荒げた。
スポーツブラは確かにホックがない分、しやすい事には変わりない。
だが、締め付けが少ないスポーツブラは楽だからつけているだけだというのに。
「じゃ、じゃぁもうコレつけないもん・・・」
「あー。シたくないなら、そうしろよ」
楽しそうに笑う泉に、篠岡は思わず拳を振り上げて叩く振りをすると、
泉はつかさずその手を捕まえて引き寄せてそのままキスをした。
軽く唇を離してじっと泉が篠岡を見つめる。
「何だ、お前からのアピールだと思ってたんだぜ?」
「そ、そんなことありません!」
至近距離の目線に必死に目を逸らしながら篠岡は強がりを言った。
泉は声を立てずに笑い続けて、やがて予鈴の音と共にふたりはそっとその教室から立ち去った。


数日後の朝、篠岡はベッドの上に自分の下着を並べて、件のスポーツブラを手に取った。


終わり
最終更新:2008年07月02日 22:41