3-692 小ネタ

「あー、オナニーしてぇ。」

部室で着替え中に田島が呟く。
もうみんなこの発言に慣れ、誰も突っ込まない。
すげぇよ、田島。
オレらはヘトヘトでしゃべるのも億劫なほどなのに。

一番最初に着替えを終えて、ロッカーを閉めた泉が田島を見る。
「おまえ、セックスしたいとは言わねんだな。」
田島はシャツを着ながら泉に向き直った。
「相手がいねーよ。」
「なんでよ。おまえ、夏以来すげー人気じゃん。いくらでもいるだろうがぁ。」
水谷が混ざってくる。

確かに夏の大会以来、田島は校内で注目されていた。
とくに上級生の女に、かわいーなんつってよく声かけられてる。
しかし、田島に女ってのが、どーもピンと来ない。
結局こいつって、野球が一番大好きなガキなんだろな。

「えー、ファンとか言ってるヤツは、オレの野球してるとこしか好きじゃないぜ。
オレ試合のテンション、普通の時まで保てねぇよ。」
そんなもんなのか。
まぁこいつ、オンオフの差が激しすぎるからな。

「それにさぁ、オナニーのがラクじゃん。時間かかんねーし。
セックスっつったら、相手も気持ちよくさせなきゃだし、疲れるし、気ぃ使うし。
オレは絶対オナニーのがいいな!」

全員がいっせいに田島を見る。
話を全くスルーしてた阿部までも。
「オ、ナニーのがいいって…。セックスと比べて?両方やってみた上で?」
栄口が聞く。

「?うん。みんなは違うのか?」
ち、違うのかって…。やったことねぇよ。
普通ならここで、みんなからあーだこーだと質問されたりするだろうに、
田島という存在の空恐ろしさにみんな押し黙る。

さすがだぜ田島…。
田島は野球以外でもやっぱり『田島』だった…。
最終更新:2008年01月06日 19:41