9-12-20 スヤチヨ(続手フェチ)3

練習を終えると、巣山は一足先に部室を抜け出した。
真っ暗な階段を一段ずつ上がる。
足元でスニーカーの靴底が、静まり返った校内にぎゅっと耳障りな音を立てる。
誰もいない校内に響くラバーの摩擦音は、どうにも居心地が悪い。
巣山は思わず身を聳やかせて、静寂を破らないよう足音を忍ばせた。
目的の階で顔を上げると、廊下にはどこからも明かりは洩れていなかった。
巣山は、静まり返っているいくつも並んだ教室の扉を前に、深い溜め息を吐いた。

今日の朝練終わり、ベンチで荷物を纏めていると、篠岡からそっと話しかけられた。
「あれ」以来、できるだけ近付かないよう、目を合わせないよう努めていたからか、
篠岡からも殆ど話しかけられることはなくなっていた。
それが突然、話がある、という。

『練習後に七組の教室で待ってる』

篠岡はそれだけ囁いて、何もなかったように巣山の傍を離れた。
他の部員に気付かれるどころか、巣山の返事すら待たなかった。

あの時以来、随分露骨に接触を避けてきたから、きっとそのことだろう。
どうして、そんなことをするのかと、問われるのに違いない。
巣山は気が重くなった。
いつか、こういう日が来るだろうとは思っていた。
その時がずっと来なければいいと思い、同時に、来るなら一刻も早く来てくれた方がいいとも思った。
覚悟を決めなければと思いながら、けれど実際、篠岡に話があると切り出されると、
差し込む暗鬱は拭えなかった。

七組の教室にも、明かりは点いていない。
男子部員より先に上がった篠岡は、もう軽く一時間は一人で待っているはずだった。
暗がりで、一体なにを思っているのだろう。
一体どんなことを言われるのだろう。

巣山は細く息を吐くと、扉に手を掛けた。

       *

篠岡は窓際の一番後ろの席に座っていた。
巣山が教室に入ると、振り向いて立ち上がる。

「上がったんだ。お疲れさま」
「お疲れ。――待たせて悪い」
「ううん、私が誘ったんだもん。巣山くんこそ、皆と用があったりしなかった?」
「いや。別に」
「ならよかった」

少し笑ったようだった。
窓の外から差し込む淡い光が逆光になって、表情はよく見えない。
篠岡の輪郭だけが描き出され、白いシャツの袖が青白く光る。




篠岡はしばらくなにも言わず、両手を自分の前でやんわりと組んだ。
指先同士が重なり、覚束ない様子で爪を擦って落ち着かない。
躊躇いが手に取るようにわかった。
けれど待たされる分だけ、巣山は居た堪れなさに苛まれることになる。
止めを刺されるなら早い方がいい。
いっそ一思いにやってくれ。
巣山は半ば自棄だというように、自分から訊いた。

「話があるんだろ。なに」

篠岡が弾かれたように顔を上げる。
言い掛けて、篠岡がどう切り出せばいいのか考えてまた俯く。

「あの…」

篠岡が口を開くのを黙って待つ。
かすかに傾げられた小首と、小さく揺れた髪の影を見ながら、巣山は内心で思う。
なにを思われていても、どんな言葉を投げつけられても、それが篠岡から向けられる言葉なら、
自分は黙って受け止める。
実際、それだけのことを、篠岡にしたのだから。

「あの時。…少し前に、私が指を切った時のこと、覚えてる?」
「ああ」
「巣山くん、私の手取って、…舐めた…よね。…どうして?」
「……」
「私、あの時、すごくびっくりして」
「そう」
「…すごく怖くて、…痛くて…」

篠岡の両肩が小さく震えて見えた。
両手を胸元で握り合わせ、顔を上げてこちらを見る。

「どうして、あんなことしたの?」
「悪い」
「謝って欲しいんじゃない。私は理由が知りたいの」

ああ。どうしてだろうな。
理由なんか、多分ない。ただ、そうしたかったからだ。
でも、そんな答えじゃ篠岡は納得しないだろう。誰より自分がそうだ。

「ねぇ。教えて」
「わかんねぇ」
「どうして?」

篠岡は、困惑から、子供のようにどうしてを繰り返す。
巣山は暗澹とするあまりに、この場のことがかえって他人事に思えた。
現実味を失って、感情まで淡々と凪いでいく。
答える声は、妙に落ち着いた響きになった。

「どうしてか、オレが一番知りてぇよ」
「そうやって、またはぐらかすの?」
「はぐらかす?」
「だってそうでしょ。巣山くん、全然答えてくれない!」

篠岡は急に声を荒らげた。握り締められた掌が、小さく震えている。
巣山は驚いて、思わず言葉が出なくなった。




「あの時も『おかしいんだ』なんて言って笑って。全然答えになってなかったよ。
 私、わからなくて、あれからすごく考えて、悩んで」

篠岡はままならない感情にゆるゆると首を振る。
下ろした髪が肩口で揺れる。
薄闇の中で俯く佇まいは、酷く頼りない。

「頭の中がめちゃくちゃだよ。なのに巣山くんは全然平気な顔してて。
 なんにもなかったみたいな顔して、みんな忘れちゃったみたいにしてて。
 私のことなんか全部無視で…。そんなの、ずるい…」

声はどんどん小さくなり、今にも落ちそうな木の葉のように揺らいでいる。

「どうして、巣山くんは平気なの。どうして、私ばっかり巣山くんのこと考えるの?」

電流が走ったように、身動ぎも出来なくなる。
巣山は思わず目を瞠って篠岡を見た。
篠岡は泣く寸前の小さな子供のように、肩で息を継いだ。

「あんなに驚いたのに、…怖かったのに、どうしてこんなに巣山くんのことで頭がいっぱいになるの?」
「……」
「どうして、私、こんなにおかしくなるの?」
「篠岡…」
「巣山くんがおかしくしたんだよ。ねぇ、どうして?」

篠岡が両手で顔を覆った。
巣山は鳩尾が痺れたようになって、しばらく篠岡を見つめていた。
動揺に震える篠岡はいたいけで、今すぐにもこの腕に閉じ込めてしまいたくて、
巣山は突き上げる衝動に喉が渇いてゆく。

「教えてよ…」

問い続ける声が涙で揺らぐ。
巣山は取り乱す篠岡に、内心で問い返す。

――なぁ篠岡。篠岡こそどうして、オレのあの行為にそんなにも乱される?

怒るのでも気味悪がるのでもなく、動揺するのは、どうして。
窓辺で立ち尽くす篠岡の方へ、巣山はゆっくりと足を運んだ。
一歩一歩、近付くごとに心臓がうるさく脈打つ。
掌をきつく握り、声に妙な抑揚が表れないように、巣山は慎重に言葉を継いだ。

「…確かめてみるか? 篠岡」
「え…?」
「どうして、そんな風にあのことばかり考えるのか。もう一度――」

そんなに知りたいというのなら。
自身の内側に起こる感情が、一体なんなのか。
あの時と同じように手を重ね、指を絡めて。掌に唇を、舌を這わせて、確かめてみればいい。

もっとも、そうしてみた後で自身の内に呼び起こされるだろう衝動を、
もう一度抑えられる自信は、巣山にはない。
確かめたら最後、引き返すことはできないだろう。
それでも、自身の心の奥底を覗いてみる勇気が、もし篠岡にあるのなら。



篠岡の中にある感情が、一体なんなのか。オレも知りたい。
ゆっくりと歩いて、篠岡に近付く。あと数歩。手を伸ばすにはきもち遠い。
僅かな距離を残して立ち止まる。

「――どうする?」

乾いた唇で呟くと、篠岡はゆっくりと顔を上げ、躊躇いながら手を伸ばして来た。
巣山の手に、指先が覚束なく重ねられる。
いいのかと問う前に、篠岡が手指を深く絡めた。
潤んだ目が静かに揺れている。
篠岡が小さく頷く。潤んだ目が静かに揺れていた。
かすかに怯えながら、しかしそこにはなにかを待っている従順さが湛えられている。
巣山は組み合わせて捉えた指の先に、小さく口付けた。
篠岡が小さな吐息を零した。

戯れるように啄み、手を解きながら甲に唇を落とす。
浮いた骨に弱く歯を当て、表情を見ながら指の付け根に舌を捻じ込むと、
篠岡は息を飲んでかすかに眉根を寄せた。
手を返して、掌を開かせる。
柔らかい中心に大きく口を開いて噛む真似をし、それから音を立てて吸った。

「……っ」

あの日の、乾きかけた血の跡を思い出して、軽く舐める。
脳裏に鉄錆の感覚が蘇って、巣山はあの日と同じように舌を這わせ、ゆっくりと指へと進んだ。
中指の先。薄暗い教室では、跡が残っているのかもよくわからない。
けれど、あの日、確かにここから血が流れ、巣山を逆上させた。
舌先を尖らせ、抉るようにそこを舐める。
口内に指全体を誘い込み、舌全体で包むようにすると、篠岡が小さく呼気を零した。

「ん…」

静かな教室に、かすかな水音が大きく響く。
わざと音を立てて舌を使うと、篠岡は羞恥に顔を伏せて額を巣山の肩に押し付けた。
寄せた小さな肩が自分の胸に納まる。

「巣山くん、私、おかしいよ…」
「なにが」
「怖いのに、…すごく怖いのに、続きが…知りたくて…」

確かめるように顔を覗くと、篠岡の長い睫毛が淡い影を作って震えていた。
苦しそうにかすかに乱れた息を継ぐ。

「…触って欲しくて…、もっともっと、って…」
「……」
「こんなの、おかしい」

篠岡は泣きそうに表情を崩して言う。
巣山が黙って見つめて続きを促すと、篠岡は今にも涙の零れそうな目で、縋るように見つめ返した。

「こんなの変だってわかってるけど、自分でもおかしいって思うけど、でも…、
 私、巣山くんのことが、好き」





自分はおかしいのだ、と自嘲したあの日から、巣山の日常は感情を殺すことで過ぎた。
きっと篠岡に気味悪く思われているだろう、蔑まれるのならそれもいい。
皮肉な諦めで心を満たして、けれどそれを誰にも悟られないように、平静を努めた。
話があると呼び出された時も、最悪の結果をばかり思ったのだ。

なのに、篠岡は巣山のことが好きだという。

「おかしいのは、私の方だよ…」

よく出来た冗談みたいだ。
しゃくりあげる篠岡を見つめたまま、巣山は確かめるように思う。
空いていた手で篠岡は何度も涙を拭っている。
好きで、もっと触って欲しいと思う自分に戸惑って、篠岡は泣く。
こんなのは卑怯だ。かわいくて、堪らなくなる。
思わず手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめた。
篠岡は、かすかな声でもう一度、好き、と言った。


教室の窓に背中を預けて、篠岡が小さく喘いだ。
唇を合わせながら、胸をまさぐる。
シャツの裾から掌を忍び込ませて背中を辿ると、篠岡は意を悟って凭れていた背を心持ち浮かせた。
ブラのホックを外し、その下の肌を探る。
胸のふくらみをやんわりと包むと、肌が掌に吸い付いてくる。
柔らかい胸が手の中で形を変える。
シャツをはだけさせて、その頂きに唇を落とすと、篠岡は苦しそうに息を止めた。
舌の先で舐め、転がすように愛撫する。
先が反応してかたくなり、篠岡はかすかに身悶えするように身じろいだ。

「ん…」

巣山の後ろに回された手が、何度もシャツを握り締めるのがわかる。
足元で小さく、きゅっと音がした。
靴の爪先が床を踏み、踵が不自然に浮き上がってはまた下ろされる。
篠岡が自分を抑えようと、無意識にしているのだろう。
巣山はその仕草に一気に昂ぶり、身体中が熱くなるのを感じた。

スカートの中に手を滑り込ませると、篠岡はにわかに怖じた様子で腰を引いた。
巣山はそれを追うように身体を密着させると、下着の上から指を這わせた。
「あ…っ」
湿りを帯びたそこに、指を強く押し付けるように愛撫する。
やがて小さく硬いそれの感触を見つけ、指の先で優しく撫でた。

「や…っ、そこ…、や…ぁ」

身体は与えられる刺激に素直に反応を返し、細い腰が揺らめいている。
篠岡が擦り合わせるようにして閉じた両膝に、巣山は半ば無理やり足を割り入れた。
足を開かせ、下着の隙間から指を差し入れる。
「や、…」
わざとぬかるむ中心に触れず、ぬめる指で芯の周りを誘うように辿る。
粘膜のくぐもった濡れ音が耳を打ち、篠岡の声が更に甘く高まった。

「はぁ…、あ…ん」

乱れていく篠岡がかわいくて、少しだけ意地悪がしたくなる。
巣山は篠岡の耳に口を寄せ、乾いた声で低く囁いた。



「どうする?」
「…巣山…くん?」
「今ならまだ引き返せる」

上目遣いに巣山を見る篠岡の頬は、薄闇の中でもはっきりと紅潮しているのがわかる。
近くで目を見合わせると、篠岡の目にはそれまでになかった色が浮かび、
零される乱れた熱い吐息には、あきらかな艶を帯びている。

「…ずるい…よ、そんなの…。もう…」
「もう…?」

巣山は先が欲しくて焦る気持ちを抑え込み、篠岡の言葉のままを聞き返して追い詰める。
篠岡は巣山が先に進まないことを悟ると、視線を揺らしてくしゃりと表情を歪めた。
わずかな逡巡の後、乱れた息を吐き出し、篠岡は巣山にきつく抱き付いた。
篠岡から唇を合わせ、深く口付けられた。
差し入れられた舌がたどたどしく巣山を誘い、懸命に巣山の官能を煽ろうとしている。
目尻に溜まった涙がかすかに光って、理性は音を立てて切れた。



恥ずかしがる篠岡を無理やり、机に押さえ込む。
指を中に差し入れる。指を増やし、動かして奥をほぐすと、篠岡は胸を喘がせた。
「は…」
いやらしい水音が巣山の興奮を煽る。
張り詰めたものを宛がうと、篠岡は息を飲んだ。
そのかすかな呼気さえ、甘く溶けて巣山を刺激する。
圧し掛かるように侵入すると、中は狭くて、そのきつさに眩暈がする。

「――っ」

篠岡の顔が歪む。痛みに、掌が肩を掴んで握り締められている。
巣山は動きを止めて、掌をそっと重ねる。
ゆっくりと解き、篠岡の手を口許に運ぶと、その右手にキスをする。
「ふ…」
中指を咥え、舌で柔らかく包む。口腔全体で優しく吸うと、篠岡は小さく息を吐いた。
次第に身体の緊張が解ける。巣山は身体を奥まで進めた。

締め付けられて、今にも達しそうだった。
熱くて、頭が真っ白になる。
「篠岡」
呼ぶと、篠岡が重そうに瞼を上げた。
大丈夫と答えるように、巣山の首に腕を伸ばす。


篠岡の中は溶けそうに熱く、肌は身体の奥の熱を伝えるように火照った。
「あぁ…あ、…んっ」
粘膜が擦れる音に、篠岡の堪えきれない嬌声が交じる。
奥を突き、身体を引くと、篠岡の柔らかい中が絡みつくように応える。
まるでそこが蠢き、飲み込まれるようで気が遠くなる。
徐々に高まる射精感を堪えて、巣山は何度も篠岡を突く。
篠岡の細い体はがくがくと揺さぶられながら、欲望を受け入れ、その熱を飲み込み、更に増幅して応えた。


「ふぁ…、あ…っ」

喘ぐ声が跳ね上がり、篠岡の限界に近いことを教える。
快感に支配されているのか、篠岡はもう目を瞑ったまま、ただ意味を成さない声だけを零している。
その声が、更に巣山を追い上げる。

「は、あ、あ、あぁ…」

篠岡の身体が、髪が、胸が、巣山の律動で揺れ、思考に白く靄がかかる。
「や…ぁ、ん…んんっ」
足元からぞくりと官能が這い上がり、巣山は身震いする。
欲しいまま貪り、果てなく昂ぶる。
「はぁ、あ…、もう…っ」
篠岡の身体がぶるぶると震え始め、足が巣山に纏いついた。
もっと深くと求めるように、腰をきつく絡めた。

「も…う…っ」
「篠岡…っ」
「あぁ…、あ、あ…、――っ」


       *




動きを止めると、篠岡は堪えていた息を吐き出した。
しばらく首筋に顔を埋めていた篠岡が、掠れた声で囁く。

「巣山くん、好き…」

巣山は咄嗟に言葉が出なくなった。
「好き…」
言われるたび、胸がいっぱいになる。
鳩尾が痺れていく。巣山は奥歯をきつく噛み締めて、細く息を吐いた。
「大好き」
篠岡は歌うように言う。
巣山は、汗が浮いて張り付いた篠岡の前髪をそっと払った。
篠岡が蕩けそうな表情で目を細める。巣山の手を取り、指先を優しく絡めた。
巣山は取られた手を逆に引き寄せて、指先に口付ける。
やがて好きにさせていた篠岡が、その手をするりと解いた。
指先をそっと伸ばし、辿るように巣山の頬を撫でる。

「この間、叩いちゃってごめんね。痛かった?」

巣山は首を振って答える。

「あれはオレが悪い。篠岡こそ、怖かっただろ」
「少し。でも手に触れられるのはすごく好き。
 巣山くん、前に私の手褒めてくれたことがあったでしょ。あの時も、すごく嬉しかった。
 だからこの間のことも、私の手心配してくれたのかなって思うと、怖かったけど、今は嬉しいの」

一方的に怖い思いをさせられたのに、篠岡はそんな風に言う。
巣山は覚えず目を瞬き、篠岡をまじまじと見た。
そもそも以前、篠岡の手を褒めたことを、覚えていてもらえるとも思っていなかった。
篠岡の底のない優しさに、巣山は眩暈にも似た、いとおしさが突き上げる。

「…篠岡。好きだ」
「うん」
「もうずっと前から…、本気で、おかしくなるくらい」

血を吐くような気持ちで呟いたあの日。
篠岡は、巣山の告白に凍り付いたように言葉を失っていた。
けれど。今、目の前にいる篠岡は、同じ言葉を聞いて、表情を綻ばせた。

「おんなじだね」
「同じ?」
「私もあれからずっと、巣山くんのことばっかり考えて、おかしくなりそうだったもん」
「……」
「ううん、多分、今もずっとおかしいままだよ、私。もっと巣山くんのこと知りたくて、
 もっともっと巣山くんに触って欲しくて、今でもずっと苦しい」
「篠岡…」
「私達、きっとお似合いだよ」

まだ紅潮の残る頬を柔らかく笑ませ、篠岡は静かに言葉を継ぐ。
潤んだ目で巣山をみる篠岡がかわいくて、巣山は胸の底にあたたかい感情が滲むように溢れた。

巣山はやっと心の底から穏やかな気分で、篠岡を抱き締めた。
最終更新:2008年10月28日 22:36