野球部のチアガールに立候補してから1週間ほど、
その日々はチームの敗戦と共に終わりを告げた。
同じクラスの捕手が怪我をし、今までのような戦い方が出来ない中、
それでも野球部はがんばった、と紋乃は思う。
一緒にチアガールとしてポンポンを掲げた美亜も、
応援団である浜田も梶山も梅原も、吹奏楽部の松田も深見も野々宮も、
きっと思いは同じだったはずだ。
数日後、紋乃の携帯に梅原からメールが入った。
『こないだはおつかれ。近いうちに応援団で打ち上げやらない?』
梅原へ返事を送る前に美亜に確認を取ると
「いいんじゃない?行こうよ」
とのことだった。
『連れ込まれてソッコーやられちゃうよ』
同好会の先輩である越智が浜田のことを苦々しそうにそう言っていたのを思い出した。
「でも、そんなわけないよねえ」
初めてチアの衣装を披露した日、応援団の3人が赤面したのは
暑さのせいだけではないはずだ。
あんな衣装くらいで真っ赤になる3人がそんな大それたことをするわけがない。
当日、待ち合わせた駅の入口には既に梶山と梅原、美亜がいた。
「おそくなりましたぁー」
手を振りながら小走りに駆け寄ると、3人は笑いながら紋乃を出迎えた。
「んじゃ行こうか」
「あれ、団長さんは?」
「野球部の練習に顔出してから行くってさ。吹奏は合宿でこれねーし」
「合宿かあ、大変っすねー」
ブラバンの合宿は並の体育会系よりハードだという話を聞いていた紋乃は顔をしかめた。
「とりあえず買い出しして浜田んちってことで。鍵預かってっからさ」
鍵を見せる梅原に紋乃は一瞬眉をひそめた。越智の言葉が脳裏を掠める。
「えー、お店とかじゃないんすかー」
「やー、できるならそうしたいけどオサレな店に入る度胸も金もないわけで」
古着と部屋着の境目にありそうなTシャツを着た梶山が自分を指差し、
紋乃と美亜は同時にプッと吹き出した。
「まあ浜田んちだからオサレでもなんでもないけどさ、
うまいメシは梅が作ってくれるから」
「俺かよ!まあとにかく材料買わんことにはなあ」
梅原と梶山の2人の掛け合いに紋乃と美亜は再び吹き出しそうになるのをこらえ、
「んじゃゴチになりまーす!」
と二人してぺこりと頭を下げた。
「はいカンパーイ、おつかれー!」
梶山の音頭と共に4人はグラスを軽くぶつけ合ってコーラを喉に流し込む。
結局凝ったつまみなどはなく出来合いの惣菜少しと何種類かのスナック菓子が
雑然と小さなテーブルに並べられたが、殺風景な浜田の部屋には
家主以外の笑い声がしばらく満ちていた。
「二人はさあ、彼氏とかいんの?」
梅原が唐突に切り出した。
「いませーん。ねー」
「ねー」
3杯目から梶山の作ったオレンジハイに切り替えていた紋乃と美亜は
顔を見合わせて互いに同意しあった。
クラスメイトに彼氏がいるかどうかで盛り上がることはあっても自分達には気配すらない。
悲観はしなくともいないよりはいた方がいいし、その先のことも全く考えないわけではなかった。
「んじゃ処女なんだ?」
「え、や、な」
梶山の単刀直入な問いにアルコールの効果で赤く染まった頬を
更に赤くした紋乃が口ごもる横で美亜が盛大に咳き込んだ。
「あっれぇー、美亜ちゃんもしかしてもうヤっちゃった?」
ニヤニヤしながら問いかける梅原を恨めしそうにチラッと眺めた美亜は
もじもじしたように口を尖らせた。
「中学ん時の彼氏と、3回だけ」
おおー、と感嘆の声を上げる男二人と対照的に紋乃は戸惑いを隠さなかった。
「えー、なにそれ初耳なんだけど!」
「ってことは美亜ちゃんは非処女で紋乃ちゃんはバージンか」
唐突に紋乃の視界が奪われた。両目を梅原に覆い隠されたのだが、
その驚きから抜けないうちに紋乃の耳には信じられない声が聞こえていた。
「や、ちょっと梶さん何して、ん、んん……ふあっ」
美亜の言葉が途中から何らかの手段で途切れ、くぐもった吐息に変わる。
ただならぬ気配に梅原の手を振り解こうとした紋乃だったが、
自らをガッチリと捕らえる梅原から逃れるだけの力が出ない。
「放して……」
「放してほしい割には力出てないねえ。梶、ガラナってこんなに効くもん?」
「まあガラナだけじゃねえし入れたの。その辺はあとあと」
紋乃は自らの身体の異変を感じていた。力が入らないのはまだしも、
耳元で話す梅原の吐息にくすぐったさとはまた違った感覚を覚える。
「や、ウソぉ、なにこれぇ……」
離れた場所から聞こえる美亜の声はとろんとした甘さを帯び始めている。
「あー、元彼ヘタだったんだな。普通の触り方してるだけだぜ俺」
梶山が言う間にも美亜の喘ぎ声は紋乃の耳を打った。そこへ追い討ちをかけるように
梅原は囁くように紋乃に状況を解説しだした。
「ほら、梶が美亜ちゃんのオッパイ触ってるよ。美亜ちゃん敏感だなあ。
あ、またキスした。美亜ちゃんエロいなー、梶とのチューそんなに気持ちいいもんかね」
「んっ、梅うるせー。そっちはそっちで進めてろっての」
「へえへえ。じゃあ紋乃ちゃんにも見てもらうか」
紋乃の視界が闇から解放されたが、そこには今まさにブラを外される美亜の姿があった。
紋乃が見ていることにも気づかない様子で、梶山に胸と尻とを撫でられながら
梶山の肩に頭を預けてうっとりとしている。やがて梶山がズボンの前を寛げると
美亜を促して屹立した自らへ奉仕させ始めた。
「こんなことして……団長さん帰ってきたらどうすんスか……」
紋乃が呟くともなく呟いた次の瞬間、外廊下から複数の足音が聞こえた。
そして部屋のドアが開き、聞きなれた声がした。
「おうワリぃ、遅くなった」
確かに浜田の声だったが、その直後、別の人物の声に紋乃は耳を疑った。
「……なにこれ」
紛れもなくその声は越智のものだった。
「どういうことよ、説明しなさいよ浜田」
越智のとげとげしい声に紋乃は美貌の先輩の方と篭絡されている最中の友人とを交互に見やった。
美亜は越智の声を聞いて梶山から身体を離そうとしたが、
梶山はそれを許さず美亜の頭を押さえつけて引き続き自らへ奉仕させている。
「どういうことって」
浜田の声に紋乃は一縷の望みを掛けた。この常軌を逸した状況を打開してくれるのではないかと。
「越智にいつもしてるのと同じことじゃん」
浜田がジーンズのポケットに手を突っ込んで何かを探ると、
あっと小さな声を上げて越智はその場に崩折れた。
「さっきからバイブ銜えこんで散々スイッチ入れられて悦んでたくせに、どうもこうもないよなあ?」
浜田の顔も声もいつものように明るいもので、それが余計に紋乃の恐怖心を煽った。
部屋に上がった浜田と越智は一番奥に陣取り、浜田が目だけで合図をすると
越智は羞恥と怒りに顔を赤くしながらもクロップドデニムを脱ぎ始めた。
先程浜田に入れられたバイブのスイッチはまだ切れていないらしく、
小さなショーツの生地が女性の身体ではありえない箇所で盛り上がって小刻みに震えていた。
越智は四つん這いになると浜田に向けて尻を高く上げ、
浜田はニヤリと笑うと越智のショーツを太股半ばまで下げて
秘所に深々と挿さったバイブを抜き差しし始めた。
「越智はさあ、去年から俺達のペットなんだよね」
美しい顔を歪めて嬌声を上げる越智を眺めながら梅原が紋乃の耳元で囁いた。
「もともと浜田の彼女だったんだけど、浜田あれでド変態だからさ、
見られんのとか3P4Pとかヤリたくなったっつって俺ら呼ばれたのが最初」
「聞こえてんぞー」
口ではそう言いながらも意に介する様子のない浜田は越智の服を全て脱がせると
友人たちへ越智の秘所を見せ付けるように背後から越智の脚を抱え込んで
再び越智の中で暴れるバイブを動かし始めた。
一方梶山は仰向けにした美亜の脚を大きく開かせて陰部を舌と指とで愛撫している。
美亜はいやいやをするように首を横に振ってはいるが、その口から漏れるのは
なまめかしくも艶やかな喘ぎ声だった。
「俺さあ、なるべく初めての子に手荒なことしたくないのね」
梅原の囁きに紋乃は身を震わせた。
「だから紋乃ちゃんはここで越智と美亜ちゃんのエッチなところまず見てさあ、
自分もしたいと思ったら俺に言ってくれればいいと思うんだけど」
声音は優しげではあるけれど梅原は相変わらず紋乃の身体を背後から抱きしめて離さない。
紋乃の鼓動の速さも梅原の股間の怒張も互いに筒抜けではあるものの、
今はまだそのままで他2組の痴態をじっと見守るより他はなかった。
顔を上げた梶山が浜田に呼びかけた。
「浜田ァ、ゴムくれ」
「なんだよ切らしてんのかよ、男のタシナミだろ」
「いつも使わねえもんよ、越智ピル飲んでんじゃん」
「あ、そっか」
衣装ケースの引き出しからコンドームを取り出した浜田は梶山に向けてそれを抛る。
手前で落ちたそれを拾い上げた梶山は自らに装着すると、
先程と同じ姿勢を取らせた美亜の中へ挿入した。
「おー、あいつらサカってるねえ。んじゃ俺も」
浜田は越智の中からバイブを抜くと仰向けになった。
「もうそろそろイキたいだろ?自分で動けよ」
浜田の言うがままに越智は浜田の身体を跨ぐとそびえ立つ屹立を自らの中に埋めた。
「あいつら、本当やーらしいなあ」
紋乃の目の前で仲のいい同級生と美しい先輩はそれぞれ男の腕の中で
普段は見ることのない淫らな表情で歓喜の声を上げている。
自らをじわじわと蝕む初めての感覚に身を捩じらせながらぼんやりと考えるけれど、
その思考は徐々に霞んでいく。
「紋乃ちゃんはどうしたい?」
問いかけた梅原の唇が紋乃の耳に軽く触れる。
腰に感じる梅原の怒張がまた一層大きく熱くなるのを感じ、
紋乃は自らの中に同じ熱さを認めて震える唇をやっとのことで開いた。
「私にも、して」
終わりです
寸止め&書き逃げサーセン
最終更新:2009年06月28日 22:23