1-73 レンルリ1

「うじうじしてないでよ、お、男でしょ!」
ルリちゃんの声が震えていて、オレ…はおっかなびっくりそっちを振り返った。
「あたしだって、は、はずかしいんだから」
目元をピンクにして、ルリちゃんはちょっとだけオレをにらんで、さっと顔をそらした。
おさげをほどいてうねうねになった髪がふわりと回って、日焼けの跡がついている首と肩が隠れる。
その下の真っ白な胸がちらっと見えて、あわててオレも顔を背けると
「レン!」
こっちは見えていない筈なのに、目をそらしたのがバレてルリちゃんにまた怒られた。

だ、だって、ルリちゃん、は、はだかなんだよ…?
オレ、どーしたらいいか、わかんない…んだよ。
「ご、ごめ…ん」
怒られたときの癖でうつむくと、アンダーシャツの上から腕を捕まれた。
ルリちゃんの指先にはぎゅっと力が入ってて、痛くて、熱い。
それから、柔らかくていい匂いのするカンジが肩に押しつけられる。
あ、ルリちゃんの、ほっぺただ。
「レン…ねえ、イヤなの……?」
ルリちゃんの声はおびえるみたいに小さかったけど、くっついているせいで、背中から体全体に響いた。
「ヤ、ヤじゃないよっ」
オレは一生懸命答えて、それからそっと、ルリちゃんを振り返った。
ルリちゃんはまだ半分くらい、オレの背中にくっついてるからちゃんとは見えないけど。
柔らかなくせっ毛のつむじ、髪の毛で半分隠れた肩と腕。
その向こうの床に、脱いで畳んである水色のブラウスと、ブ…ラジャー。あ、スカートはまだ履いてるんだ。
ちょっと残念ででもどっちかというとほっとして、オレはルリちゃんの手をなるべくそっと掴んだ。
ルリちゃんの手が熱くて、自分の手が冷えちゃっているのがわかる。キ、キンチョー、のせい。
最終更新:2009年10月31日 18:11