1-195-199 アベモモ
「だから何度もいってるでしょ!?オレは本気です」
「まだ15でしょ?本気なんて言葉簡単にいうもんじゃないよ」
「・・・・・・なんでいちいち否定するんスか」
「否定とかじゃなくてね、阿部君」
「どうせガキのたわごとだとか思ってんだろ」
(だって子供じゃない)
不毛な言い争いはもう10分以上続いていた。
セックスのあと、阿部からいきなり「結婚したい」と言われ、百枝は思わず声をあげて笑ってしまい
それがどうやら阿部の逆鱗に触れてしまったようだ。
いきなりのことだったし、予想もできない発言だったので思わず笑い飛ばしてしまったのが
よっぽどショックだったのか、彼の怒りは収まらない。
(好き、なのかな?)
自分の心に問い掛けても、上手い答えは返ってくるわけもなかった。
いや、たぶん答えはわかっている。認めたくないだけで。
「んっ・・・」
急に腕を引っ張られた痛みで百枝は我に帰った。
耳のすぐそばまで唇が近づけられる。
「好きなんだ」
阿部の一言が頭の中で繰り返し、思わず心臓がどくんと撥ねあがった。
とっさに言葉が出てこない。
耳たぶにキスをされ、舌が耳の中に入ってきたノイズ音と連動するように
体の中心がザワザワと疼きだし、思わず体をよじる。
耳から離れた唇が首筋から顔へと移り、次第に荒くなる息が互いの興奮を高め、
最初はあっさりしていたキスもどんどん熱を帯びていき
水が反発しあうような音が混じり始める。
百枝の豊満な胸の谷間に顔をうずめ、下からこねるような手の動きを加えながら
先端の突起に軽く振れると百枝の口から甘い声が漏れた。
畳み掛けるように舌で突起をなぶられる。
既に阿部の少年特有の細くて長い指は百枝の中を蹂躪し尽くして濡れきったそこからは
ときどきクチュっといやらしい音が漏れていた。
彼の視線が自分の表情を注視しているのがわかる。
額からこぼれた汗が、自分の体の上にぽたり、と落ちた。
そうやって相手の感じようを確かめないと不安なのか、普段のクールな表情に
真剣さがにじんでいてそこがかわいい。
挿入された瞬間、ほんの一瞬だけ感じた違和感はすぐさま快感にかわる。
「熱い・・・」
吐き出すようにつぶやいた彼の背中に腕を回して体の力を抜いた。
下から上へ突き上げるような律動が始まって、抱えあげられた両足が激しく動く。
奥を打ちつけられてあまりの快感に叫び声があがってしまう。
初めは抑えていたのだが、こらえきれなくなると呼吸するたびに喘ぎ声が漏れる。
細い身体に宿る全ての力をぶつけるようなセックスが、百枝の理性を失わせた。
どうしようもなく彼が愛しかった。
腰を打ちつけられて奥を刺激されると同時に敏感な個所がこすれて痺れる。
なし崩し的に達してしまい、両足がガクンと痙攣して、相手の動きが一瞬早まると、
ぼんやりした視線の先に腹の上に白濁した液が吹き零れているのがみえた。
最初のうちは、行為のたびに強い罪悪感にさいなまれたが、今ではそんな余裕などとてもなくなっていた。
このまま関係を続けていくのが怖いが、しばらくは互いに衝動を抑えられそうにない。
(今だけ・・・)
そして百枝は気だるい余韻のなかで汗で肌に貼りついた長い髪の先に残る
胸元の小さなキスマークをそっと指でなぞった。
第1部莞
最終更新:2009年10月31日 19:07