1-679-683 三橋

部活が終わって、皆で駐輪場へ向かってた。
「あ!」
俺が叫び声を挙げたら、阿部君がギョロンとこっちを見た。
「どうした、三橋!!」
「う…あ、わ、忘れ物…部室、に」
「あー、花井!鍵貸してくれ!」
「ん?どうした」
「三橋が忘れ物だって。
ん、サンキュ。ほれ、行くぞ」
花井君から部室の鍵を貰った阿部君がこっちを向く。
「ひ、一人で行けるよ」
「待っとこうか?」
「い、いい!あ、あありがと!」
俺は鍵を握り締めて部室に向かって駆け出した。

普段は、部員は鍵なんて持ってないから、良かった。
俺達で戸締りするなんて滅多に無いんだけど、3人、予定が重なったから。
カントクは用事で、来なくて。
志賀先生は研修で、来なくて。
しのーかさんは買出しで、
「ドラッグショップが閉まるからごめんね!」
って、早めに帰った。

暗いからなかなか鍵穴が分からなかったから、部室に入って、電気を付けたらホッとした。
目当ての物も、机の下に落ちてて、すぐ見つかったし。
それは、田島君から貰った雑誌のグラビア。
だけど、顔の所に、カントクの写真が貼ってある。
「よ、よかった。こんなの、カントクに見つかったら、大変だもんね」
スゴク上手に貼ってあるから、カントクが本当にこーゆー格好、してるみたいだ。
田島君は5人兄弟で、お兄さんが二人いるからって、よくエロ本を見せてくれる。
上のお兄さんをおー兄ちゃん、下のお兄さんはちー兄ちゃんって呼んでて、一人っ子の俺はちょっと羨ましい。
今日、持ってきたのは『アイコラ』だって。


「おー兄ちゃんが、作ってくれたんだ!
『昔はこーゆーのをやるアイコラ職人ってのがいたんだけど、最近はダメだな。
全部デジタルで伝統の技術が廃れてってる』
って。おー兄ちゃん、アイコラ職人なんだ、カッコいーだろ!」
ニコニコ自慢気に、お兄さんの声色を使う田島君は、カントクとか、篠岡さんとか、チアの人とかのアイコラをいっぱい並べた。
グラビアの皆は水着とか下着とか…は、裸とかで。
俺がどれにしようか迷っているうちに、皆どんどん持ってって。
俺の手元に来たのは、1枚だけだった。
カントクがバニーガールの姿をしてるの、だけ。
ばにい、がある。

机の下からゴソゴソ這い出る。
立ち上がろうとしたら、下半身がツーンと、した。
下半身って言うか…チンコ。
バニーガールのカントクで、半分、勃っちゃった。
「ど、どうしよう」
このまま、帰るか、治まるまで待って帰るか、それとも…。
なんか心臓がドキドキしてきて、半分だけだったのが、余計に勃ってきた。
「どうしよう…」
半泣きになってきた。
でも。
どうせ、誰もいないんだし。
俺はベンチに腰を掛けて、ベルトを緩めた。
パンツに右手を入れてソッと握る。
「んっ」
開放されたチンコは更に大きくなった。
左手で持ったグラビアのカントクを見る。
きゅっきゅっと握る場所や力を変える。
きもちいー。
「ふっ」
大きく息が漏れる。
根元から擦ったり、先っちょを弄ったり。
「あ…あ〜」
なんでこんなに気持ちいいんだろう。


ガチャ。
「まだ誰か残ってるの?」
勢いよくドアが開いてカントクが入ってきた。
固まる、俺。
固まる、カントク。
一瞬、時が止まって。
先に動き出したのはカントクだった。
「なーにしてるの、三橋君?」
「え、あ、う、あ、す、すいま、せん」
慌てて仕舞おうとしたのに、意に反してチンコは余計にギンギンになる。
ど、どどどど、どうしよう?
カントクがニヤリと笑った。
昔、ルリと見た絵本のチェシャ猫みたいな、笑い。
「最後までしたら?」
チェシャ猫だったら、消えてくのに、当然、カントクは消えなくって。
「ぅえ…あ…」
「結構立派ね、三橋君の」
俺の正面に腕組みをして立つ。
「まさか三橋君がねー。部室でこんなこと」
カントクの視線は俺の顔とチンコをゆっくりと往復する。
「皆が知ったらなんて言うかしら」
「や、止めて、く、ください」
皆に知られたら、嫌われる。
そう思うのに、チンコはギュッとなってきて。
あんまりにも痛くて、俺の手は気付いたら動いていた。
「やっぱりするんだ」
目の端に溜まった涙が零れる。
カントクの方を、見れない。
俯いて、床だけ見てた。
でも、手は動く。
「ねえ、気持ちいい?」
うんって頷く。
「ん…ああああ!」
必死で声を堪えようとしたのに、息の代わりに声が漏れる。
クスクスってカントクが笑う。
「ピッチングはあんなに技巧派なのに、オナニーはとっても稚拙ね」


恥ずかしい。
家に帰りたい。
布団に入って、眠りたい。
そのまま、死にたい、くらい、恥ずかしい。
ポロポロ泣きながら、自慰を続ける。
「あら、これは?」
カントクはいつの間にか床に落ちていたアイコラを拾う。
「へーこんなの、使ってるんだ」
カントクに見られた!
お尻の穴がギュッとなって、チンコが強張る。
「ぅあっ!」
どうしようと思う間もなく、射精した。

一本の白い筋がカントクに向かって飛んでいく。
ぴゅぅって飛んだ精液は、カントクの顔に掛かった。
「んっ」
顔に飛んだ飛沫を親指で拭って舐めるカントク。
それがすごくエッチに見えて、俺はドキドキした。
そんな俺を見て、カントクはアイコラを振る。
うあ!忘れてた!どうしよう!
怒られるかとビクビクしたけど、
「これは、没収ね」
…怒って、ない?
頷く俺に、カントクはポケットからティッシュを出して、投げた。
「床の、拭いときなさいよ」
「う、うん」
慌てて、拭いて、カントクに笑われた。
「チンポコ仕舞ってからでいいのに」
「あ…う、うへへへへ」


俺が支度してる間に、カントクは戸締りを確認して、揃って部室から出る。
鍵を閉めてるカントクの後ろで待っていると、盛大にお腹が鳴った。
「お腹減ったの?」
コクコクと頷く俺にカントクが笑いかける。
「ちゃんと練習頑張ったのね!なんか奢ってあげようか?」
「あ…じゃ、じゃあ、肉まん、がいい」
「じゃあ、コンビにまで行こっ」
「うん!」

コンビニで肉まんと、あんまんを買ってもらった。
バニーガールなカントクもいいけど、やっぱり本物のカントクの方が、すごいや。
俺の隣に座って、一緒にハフハフ食べてたカントクが、自分の鞄を指差す。
「ところで、アレ、どうしたの?」
「う、あ、た、田島君がくれた!」
「ふぅーーーーーーーーん」
また、チェシャ猫の笑顔。
!!!
ぅあ!
た、田島君、ゴメン…。
血の気の引いた俺とは反対に、ご機嫌な、カントク。


次の日、カントクに部室へ呼ばれた田島君、は、なかなか帰ってこなかった。
最終更新:2009年10月31日 23:16