1-723-726 アベチヨ

二人以外は誰もいない教室。
目の前にいる阿部くんの体は、結構しっかりしてて、私は右手で、彼の首から肩甲骨を撫でていた。
「篠岡、くすぐったい」
「……そう?」
だって、触りたかったんだもの。
と心の中で呟く。
一見細身なのに引き締まった体は、私を誘惑するのに充分だ。
「…ずりぃよ、篠岡。俺だけ脱がして、自分はそのまんまかよ?」
そう言って視線をそらす阿部くんが可愛くて、軽く口づける。
阿部くんは強く私を抱きしめて、深いキスをしてくれた。
長いキスを終えると、阿部くんが私の制服に手を伸ばす。
「脱がすの?」
「俺の楽しみだからな」
そう言って笑う阿部くんに、私は少し見惚れた。



壊れ物を扱うかのように優しく、それでいてどこか荒々しい愛撫に反応する私の体。
阿部くんの指が胸を撫で、主張を始めた突起を摘む。
生暖かい舌がそこを舐めあげて、軽く歯をたてられると、私の口から甘い声が洩れる。
「篠岡…すげぇエロい…」
「や…言わないで…」
恥ずかしくて、両手で顔を隠す。でも、すぐに阿部くんに外された。
「隠すなよ、篠岡が俺だけに見せる姿が見たいんだ」

阿部くんの愛撫が下半身に及ぶと、私は襲い来る快楽に身を委ねるしか出来なくなった。
阿部くんの舌が恥ずかしい所を舐めて、ゆっくりと指で中を掻き混ぜて、口が敏感な蕾を軽く吸いあげる。
「やだっ、それ…駄目ぇっ」
「何で?」
上目使いで私を見る。
「ふああっ、だって…おかしくなる…からぁ」
「だから、おかしくなっていいって」
激しくなるその動きが、更に私を気持よくさせる。
私、阿部くんに気持いいこと、してもらってるんだ。
そう思うと、余計に恥ずかしくなって、けれどもっと欲しくなって、気づいたら、阿部くんにおねだりをしていた。



「篠岡…」
阿部くん、変に思わなかったかな。はしたない女の子だと思ったかな。
でも、もう我慢できない。
阿部くんと、一つになりたい。
「お願い…阿部くん、きて…」
阿部くんの喉が動いた。
「…俺、加減出来ねぇから、な」
「…うん…」
頬に優しくキスをしてくれて、ゆっくりと阿部くんが私の中に入ってくる。
「ん…ああっ」
「中…きつ…っ」
阿部くんの洩らした声が、私を興奮させる。
阿部くんが私を滅茶苦茶に愛している間、私はずっと阿部くんにしがみついて、与えてくれる快楽を受け入れていた。
「阿部くん…っ、阿部くんっ、私、もう……!」
「あ…俺、も…!」
互いに昇りつめて、彼の体温を感じながら、私はこう思っていた。

阿部くんとなら、きっと、もっと気持よくなれるかもしれない、と。

終わり
最終更新:2009年10月31日 23:26