1-955-960 アベモモ

「どうしたの、らしくないね!」
急に後ろから声をかけられて、阿部は驚いて振り返った。さっき全員仲間たちは
帰ったはずなのに……。
音を立てないように部室のドアを開けて入ってきたのは、よく見知った人物だった。
ユニフォームの字が歪んで見えるほど、豊かに盛り上がった胸の持ち主。怒ると
誰より怖い両手を持つ女監督、百枝だった。
「監督…」
一人室内に残り、ぼんやりとしていた阿部は彼女の言うことが良く分からなかった。
「らしくないって、どーゆー事っすか?」
「今日の練習、ぜんぜん身が入ってなかったね。ああいう事してると怪我するよ」
すばりと見抜かれて、阿部はさっと視線を逸らした。
「………別にそんなつもりはないですけど」
「嘘だね!」
にこっと微笑みを浮かべた百枝だが、目は笑っていない。真剣そのものの目に
阿部はこれ以上議論する気が失せた。さっさと帰ってしまおうと、まだ片づけていな
かった荷物をバッグに入れ始める。百枝と視線を合わせなくてもすむように床にしゃ
がみ込むようにして作業していると、ばさりと目の前に布が落ちてきた。
見慣れたユニフォーム。だがどこか甘い香りの漂う……。


「!?」
それの意味する事に気がついて、阿部がぎょっと息を呑んだ。通常自分たちは
この下にアンダーを着るけれど、監督はどうしているのか。かっと顔が熱くなり、
脈拍が早くなる。
まさか、まさか着ていないなんてことは…。
「な、な、何考えてんですかっ」
顔を上げられなくなり、床を睨み付けるようにしていると、百枝が近づいてくるのが
分かった。ズボンを穿いた足が目の前に見える。
「ふーん、こっち見ないわけね」
楽しげに笑うと、百枝はさらに行動を開始した。シュッという衣擦れの音。僅かに
金属の擦れ合う音がして、ぱさり…と。
阿部の目の前にズボンが落ちた。瑞々しい女の脚は、鹿のようにすっきりしている。
「……!!!」
間近で見る女の脚に、思わず飛び退かずにはいられない。飛び退いた拍子に背中
をロッカーにぶつけ、尻餅をついた。
「痛ってェ…」
「あら、大丈夫?」


「ダイジョーブとか、そーゆーモンダイじゃなくてっ。なんでっ」
服脱いでんですか、とは言えない阿部だった。脱いでいるのが勘違いだったら、
あまりにも恥ずかしすぎる。だがそんな事はお見通しの百枝は、一層楽しげに
爆弾を落として見せた。
「あら、だって振られたんでしょ?」
ちゃんと裏は取ってあるわよ〜と、からからと笑われるのに、阿部は垂れた眦を
精一杯あげて見せた。いくら監督とはいえここまでプライバシーに立ち入られる
筋合いはないはずだ。怒りのままに百枝を睨み付けてしまって
「うあっ!」
慌てて顔を背けた。

ボルドー色のレース。胸元は思いの外日焼けしてなくて、白いままで。レースに
覆われた豊かな胸ははち切れんばかりのボリュームで、重力に逆らうように
見事な紡錘形を保っている。
くびれた腰とむっちりした太もも。肌色を引き立てる、上とお揃いの色の下着。
一瞬しか見ていないのに、ばっちりと脳に焼き付いてしまいそうだった。


「な、な、な…」
なんてカッコしてんだ、襲われてェのか、アンタ。高校生の男にそんなん見せ
たらやべえだろ、ふつー! ずくんと疼く腰が正直すぎて、途方に暮れたくなる。
なのに百枝はどこまでも楽しそうだった。
「阿部くんはー、振られたから練習に身が入らないのよねー。だ、か、ら」
床に座り込んだ阿部の前に、百枝が膝を付く。
「運動してスッキリしましょっ」
…………どこかで見た事のある笑顔で、百枝は明るく言ってのけたのだった。


「本当は志賀先生がいれば、もっと違う方法を教えてくれたんだろうけどねー。
今日は研修で出張してて戻らないらしいの」
百枝は布地の上から熱くなり始めた場所を撫で上げ始めた。固い布越しに与え
られる刺激はもどかしくて焦れったいのに、気持ちいい。右手で下から擦りあげ
られて握られる。
「く…っ」


「心は体に引きずられるからね、またその逆もアリってことで」
体がスッキリすれば精神的にも落ち着くだろうと言いたいらしい。
蠱惑的に唇を舐めあげて、百枝がそっと下腹部に息を吹きかける。若い雄は
簡単にいきり立ち、百枝の手の中でびくびくと身を振るわせた。
「こうすると気持ちいいでしょ。生でするともっと気持ちいいんだよ」
裏側から先端にかけて強めに擦られる。厚い布地が邪魔だった。
「自分で出してごらん」
誘う百枝の声に浮かされるようにして阿部は前をくつろげた。下着を押し上げる
自身に百枝が手を伸ばす。ユニフォームよりは格段に薄い布は、より鋭敏に
快楽を拾わせてくれた。
「ああ、ほら。もうイっちゃうね」
「う、くっ」
下着の上から先ほどと同じように擦りあげられて、阿部はどろりとした体液を
放出していた。下着に付いた多量の体液がぬるぬると新たな快楽を呼び覚ます。

「結構多いね。田島君じゃないけど、もう少し出しといた方がいいかな」
下着に滲む染みを見ながら、百枝は冷静に分析した。そして器用な指で布の
割れ目を探し当て、白濁をたっぷりとまとわりつかせた阿部を外気に触れさせた。


「んーー」
ぴちゃっ、と濡れた舌が汚れを舐め取っていく。滑らかな皮膚を楽しむように
百枝はじっくりと舌を這わせた。ヒクつく先は無視して幹を下から舐めあげる。
その度ひくひくと小さな口が震え、残りが溢れ出した。
「かんと、く…っ」
ねっとり絡む舌だけでは満足できない。もっと奥まで突き込みたい。阿部の願いが
通じたのか、一通り舐め終えた百枝は一気に喉奥まで深く咥えこんだ。
「んく…んっ」
ちゅく、ちゅるっと啜り込む、いやらしい水音が響く。長い黒髪が阿部の脚に絡み
つき、床へと広がるのが非現実的だった。あの監督が、半裸で自分の股間に
顔を埋めている。頬を窪ませて、奉仕してくれるなんてありえない。そう思うのに、
凄まじい快感が現実だと知らしめてくる。
濡れた粘膜が包み、よく動く舌が根本を擽る。時折当たる歯は痛い筈なのに、
強い悦びをもたらした。
もう、我慢出来そうもない。
阿部は百枝の頭に手をかけるとぐっと己の股間に押しつけた。何度か腰を突き上げる。
「すげェ、イイ…監督ッ」
根本まで含まれ強めに吸い上げられて、耐えきれず阿部は二度目の精を放った。

「は、あ、はあ…っ」
続けざまの放出に、息が上がる。肩で息をする阿部に、百枝はずるりと咥えていた
ものを引き出した。口の端に滴る唾液と体液を手の甲で拭いながら、笑う。
「もう少し楽しみたかったのにしょうがないなぁ」
膝で立ち、片手を床に付いて口を拭う様は、まるで雌ライオンが舌舐めずりをして
いるようだった。
最終更新:2009年11月01日 01:55