2-376-387 アベチヨ

「やめて…阿部君……」

薄暗く、どこか埃くさいなんてことない野球部の部室に、その場の状況とは似ても似つかない声がか細く響いた。
涙で目をうるませている篠岡をただじっと見つめたまま、阿部は口端だけをニヤリといやらしくあげる。
あわてて体を起こそうと篠岡は背中を少し浮かせたが、それも日々野球で鍛えられ、がっしりとした阿部の右手によって静止された。
思い切り肩を押され、両手首をしばっている阿部のワイシャツがぎりりとくいこんだ。

「いたっ…阿部君、なんでこんなこと……」
「なんで、ってなんで俺がお前にそんなこと教えなくちゃいけないわけ?」
「そ、んな……」
「それにさ、触ってもないのにココ、こんなにしてるやつにやめてなんて言われたくないんだけど?」
「あっ!やあっ」

阿部はめくられているスカートの中の下着を指の腹でなぞる。いきなりの感触に篠岡は声をあげて反応する。
自分の発した思いもかけない甘い声に身をたじろぐ篠岡だったが、阿部は気にせず篠岡の胸の突起に舌を這わせた。

「ひゃあっ」

篠岡の味を確かめるようにペロリと一舐めすると、先端を甘噛みする。片方の手で突起をなぞり、つまむと突起が硬く主張しはじめた。

「あ、だめぇっ!」
「よくいう」

白い篠岡の胸を彩るピンク色の突起から顔をあげると、阿部は意地悪そうに笑い一気に濡れてぐしょぐしょになった篠岡のショーツを引っ張った。ショーツからは篠岡の蜜が長く糸をひき、彼女が行為にどれだけ感じていたかをよく表していた。

「うっわ…濡れすぎでしょ……」
「っ……」

阿部の言葉に篠岡は羞恥で顔を赤らめる。阿部は下着と篠岡の蜜壺をつないでいる白い糸を舌で切ると、彼女の奥に舌をいれる。

「ひゃっ!あ、べくん!」

奥にある軽くビクついている割れ目を舐めあげると、蜜があふれ出してきた。まるでソコは乾きを知らない花のように、どんどん篠岡の蜜壺を潤していく。

「そ、んなとこッ!きたないからだめぇっ!」

奥を舐め続ける阿部の頭をひきはがすように彼の髪の毛をかきむしったが、もはや快楽で体の力を失っていたため、結局それは無意味だった。



「アンタさ…さっきからダメダメ言ってるけど結局感じてんじゃん」
「ふぅっ!ァ、ちがぅ…」
「もしかしてさ、アンタってすっげー淫乱?」
「っ!」

阿部が何気なく言った言葉に、篠岡は胸を痛めた。
確かに、自分は犯されているのに感じている。だがそれは、自分が淫乱なのではなく、ちゃんとした理由があった。

(違うよ阿部君…私は……)

口でこそいやだとは言っていたが、篠岡は少なからず阿部に恋心を抱いていた。無理矢理でも、今確かにこうされているなんて、少しは期待をしてもいいものだと思っていた。
だがしかし、阿部は自分に意識をしているわけでもなく、自分のことは、部活仲間に犯されても感じているただの淫乱な女と思っているだけなのだ。
そのことが、彼女の気持ちをいたく傷つけたのだった。
篠岡は無意識にポロポロと涙をこぼしていた。

「うぅっ……」
「何今更泣いてんの?ま、どっちにしろもう遅いけど」

泣き崩れる篠岡をよそに、阿部は熱くなった自身をとりだした。失恋の悲しみと、これからするであろう行為の恐怖に篠岡は息をのんだ。

「あべくん…それだけはやめて……っ」
「もう『やだ』と『やめて』は聞き飽きたんだけど?」

そういうと阿部は勢いよくそそりたった自身を篠岡の中に突き上げた。




「あぁんっ!」

篠岡は大きな嬌声をあげ、背中を思い切り弓なりにした。初めてとは思えないほど、篠岡の中は阿部自身にあわせるかのように襞をからみつかせてくる。

「っ…ハ、アンタの身体ってエロすぎ」

阿部は声をつまらせながら篠岡の身体の感触を確かめるようにゆっくりと息をはく。
不規則に動き、阿部自身を包み込む篠岡の外壁を押し広げるように、腰をぐるりと動かす。

「やァァッ!ひゃあん」

声をあげるたび、篠岡の顔は真っ赤に染まっていく。口をふさぎたかったが、両手を拘束されているためされるがままの状態であった。
阿部が動くたびに篠岡は意思と反して甘く、甲高い声をあげていく。
阿部は自分の理性と戦っている篠岡を無視するかのように強く反り返った自身を突き上げる。
出し入れをするたびに、篠岡の喘ぎ声と結合部分から鳴る濡れた音が野球部の部室を卑猥な空間へと変えていった。

「あぁぁっ!あべくん、やっ、もうだめぇっ!」

最奥を激しく擦ると篠岡は激しく痙攣をし、いとも簡単に絶頂を迎えた。篠岡は初めての行為の激しさに気絶し、無意識に肩で荒く息をしていた。
阿部は肩で息をあげている篠岡を見つめると軽く舌打ちをし、気絶しても未だビクついている篠岡の中で少し動くと、彼もまた追うようにして絶頂を迎えた。
ひくひくとうごめく中から自身をゆっくりとひきぬくと、阿部は気絶している篠岡を力なく睨んだ。閉じられている、睫毛の長い瞳からは涙が一筋線を描いていた。

(こいつ、ずっと嫌だって言ってた)

阿部は篠岡を睨みつけたまま赤く染まった彼女の頬をてのひらで撫でた。

(泣くほど俺が嫌だったわけ?)

涙が描いた線を指の腹で少し強めに擦ると赤い頬の上に更にうっすらとしたピンクの線ができた。それを上から下へ目で追うように、篠岡の首筋をじっと見つめると、さきほどの行為で自分がつけた鮮やかな印が嫌でも目に入る。

(こんなもん、意味ねェんだ。今日抱いてみてこいつは俺が嫌いなんだってハッキリ分かった)

表情を硬くしたまま阿部は横にあるバッグから自分のユニフォームをおもむろにとりだした。
ユニフォームを手に持ったまま、未だ目を覚まさない篠岡をじっと見つめる。抱きしめようと手をのばしかけたが躊躇し、結局強引にユニフォームを彼女の身体にかぶせた。
最終更新:2009年11月07日 15:06